天才と魔法科 ―相性悪そうな組み合わせほど実はベストマッチが多い件―   作:ジューク

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第18話 『肝心な時に限って身体が不調な時ってあるよね』

 

 

 

 九校戦九日目、この日から九校戦の本戦が再開され、今は九校戦の花形競技であるミラージ・バットの予選が行われている。達也と深雪、龍兎はその試合を見にきていた。

 

 

「龍兎。怪我は大丈夫なのか?」

 

「え?まぁ、よほど激しい動きしない限りは問題ないからだいじょぶだいじょぶ」

 

「………それならいいが」

 

「それにしても小早川先輩、随分と気合が入ってましたね」 

 

「まぁ、委員長の代わりに自分が勝つって張り切りながら言ってたからね」 

 

「そうですか……何も無ければ良いのですがね」 

 

「司波君はまだ何か起こると思ってるの?」

 

「まだも何も、何一つ解決してませんからね。警戒はしてますが、手口が分からない以上如何する事も……」

 

「………それなんだけどさ、ちょーっと心当たりがあるんだよ」

 

『!?』

 

 

 龍兎の言葉に、全員が反応する。

 

 

「ほんと!!?」

 

「…あくまで俺から見た感じですけど、ウイルスというよりはまるで、電気信号回路を狂わせてるような、そんな感じがしたんですよ。もしそうならウイルス検査に引っ掛からなかったのも理解できるんですが、如何せんどこで仕込まれたかがさっぱりですよ」

 

「そう…」

  

 

 真由美の言葉を区切りにして、一同は試合に集中する。小早川は順調に点数を伸ばしていっているが、やはりと言うべきか、三高がしぶとく食い下がってくる。第一ピリオドが終わり、小早川と三高の選手との点数の差はあまり無かった。

 

 

「やっぱりしぶといわね」 

 

「ですが、小早川先輩もしっかりと点数を重ねてますからね。このまま行けば予選突破は確実でしょう」

 

「………」 

 

 

 しかし第二ピリオドが始まって数分後、その望みは脆くも崩れ去ることとなった。

 

 

       バチッ!!

 

 

「!?キャアアアアア!!!?」ヒュウウ…

 

 

 突如小早川のCADから鈍い電光が走ったと思うと、小早川の魔法が効果を失い、落下する。

 

 

「!!」バッ!

 

 

【WING!!】

 

ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!

 

「変身!!」

 

ガギン!!!

 

【FORCE RISE!!】

 

【フライングファルコン!】

 

BREAK DOWN(強制認証突破完了)………】

 

 

「(間に合え!!)」ギュンッ!!

 

 

 フライングファルコンの最速はマッハ1.7。その圧倒的な速度で龍兎は即座に落下地点に回り込もうとした、その時。

 

 

「あぐっっ!!!??」ガクッ

 

 

 突然走った痛みで龍兎は体勢を崩す。フォースライザーは、プログライズキーの性能を無理矢理引き出す。その性質故、多少ではあるが使用者に痛みが走るのだ。それに先日の一件で負った傷の痛みが重なり、龍兎の行動が遅れた。

 

 

「(ダメだ!!今は堪えろ機丈龍兎!!!)」バッ!

 

 

 走る痛みを無理矢理堪え、龍兎は上空に飛んで一直線に小早川の落下地点に回り込む。

 

 

「っっ!!!」ガシッ!

 

「…………え?」

 

「間に、合った………」

 

 

 そのまま龍兎は小早川をスタート地点に降ろし、自身も元の場所に戻ってきた。変身が解除され、足元はおぼつかない様子で。

 

 

「龍兎君!貴方!!」

 

「………ごめ、ん……ちょっと、寝かせ、て…」

 

 

 そう言い、龍兎の意識は転倒と共に途切れた。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

「電子金蚕を見抜いただけでは無く、まさか飛行魔法まで使ってくるとは………」

 

「このままでは一高が総合優勝してしまうぞ!」 

 

「………仕方あるまい。こうなったらジェネレーターのリミッターを解除して観客を殺すしかないな」 

 

「ああ。さすがに武器は持ち込めなかったが、アイツなら素手で百二百ほどなら楽に屠れる」 

 

「よし、異論は無いな。ではジェネレーターのリミッターを解除、観客の無差別殺害を命じる」

 

「顧客共が騒ぎ出すかもしれんが、そこら辺は知らん顔で押し通せば良いだろう」 

 

「儲けは無いが損もなくなるからな」

 

 

 横浜の中華街、その一室で今回の黒幕たちが蠢いていた。

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪ 

 

 

 

 

 横浜の主犯たちからの指示を受けたジェネレーターは自身に掛けられていた能力制限を解除され、命令された通りに観客を殺戮せんと動き出した。

 

 

 会場に入ってすぐ、目の前を通りかかった男に襲いかかろうとしたが、そのまま自分の突進する力を利用されて会場の外まで放り投げられた。

 

 

「………何者だ。いや、答える必要は無い。どうせ答えられないだろうからな」

 

「…………………」

 

 

 彼にその事を考える能力は――思考はもう残されてはいない。相手――柳もその事を理解してるからなのか、そのまま自ら高速で思考をめぐらせている。

 

 

 その格好はジェネレーターから見れば大きな隙だらけだったため、観客と認識した柳に再び襲い掛かる。が、またしても自分の力を利用され吹き飛ばされる。

 

 

「その身体能力からして、ただの魔法師ではあるまい。強化人間か?」 

 

「…答える必要は無いと言ったのは君だよ」

 

「答えを期待してではない。ただの独り言だ……っと、来るぞ」

 

 

 そう言って柳が構えた時だった。

 

 

 

ドゥンッ!!!

 

 

『!!??』

 

 

 ジェネレーターの脇腹に銃弾が撃ち込まれ、ジェネレーターはよろめいた。

 

 

「不破!!先走るな!!!」

 

「うっせーな!いいだろうが!!」

 

「誰だ!」

 

 

 柳が呼び掛けると、女性の方が返答する。

 

 

「我々はRインテリジェンス開発〇一課、テスター班『A.I.M.S.』。私は班長の、刃唯阿(やいばゆあ)です。副社長からこの辺りで不審な動きがあるとの指示を受け、警戒体勢を取っていたのですが…よろしければ、加勢しますか?」

 

「………頼む」

 

「行くぞ不破!」ガチャリ!

 

「ったく、ようやくか」ガチャッ!

 

 

 二人の男女――不破諫(ふわいさむ)と刃唯阿は腰にショットライザーを装着し、プログライズキーを取り出す。

 

 

 

 

【BULLET!!】

【DASH!!】

 

 

【【AUTHORISE(認証完了)】】

 

 

【【KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…】】

 

 

「「変身」!!」

 

 

 

【【SHOTRISE!!】】

 

 

【シューティングウルフ!】

 

The elevation increases(弾丸が放たれる時、) as the bullet is fired.(射角は増大する。)

 

 

【ラッシングチーター!】

 

Try to outrun this demon(圧倒されるために、) to get left in the dust.(この悪魔より速く走ってみよ。)

 

 

「行くぞ刃!」

 

「先走るなと言っているだろう!!!!」

 

 

 二人はジェネレーターに向かって駆け出す。ジェネレーターは魔法を放つも、二人は互いに逆方向に分かれて照準を外させ、そのままジェネレーターの周りを走りながらショットライザーを何度も撃ち込んだ。

 

 

「時間も惜しい。終わらせるぞ!!」

 

「わかってるよ!!」

 

 

【BULLET!!】

【DASH!!】

 

   

   

   

   

   ラッシングブラスト

 

 

 二人が放った特大のエネルギー弾は、互いに融合してジェネレーターと衝突、爆発した。爆炎から出てきたジェネレーターは黒焦げになったまま倒れ、沈黙した。

 

 

「…対象の沈黙を確認。任務完了だ」

 

「協力、感謝する」

 

「いえ。我々はこれで失礼します」

 

 

 そう言うと唯阿は踵を返し、不破も続いた。

 

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 

 

 

 

「……親の顔ほどではないけど見知った天井だ」

 

「まったく、無茶をするなお前は」

 

「………自分でも理解してる。でも、手が届く距離に救えるものがあるならどんな無茶しても手を伸ばして助けたい。馬鹿みたいだけどさ、手を伸ばして届く距離なのにのに伸ばさなかったら、そっちの方が俺は一生後悔すると思う。それが怖いから俺は手を伸ばすんだ」

 

「………………そうか」

 

「………!そういや試合はどうなったんだ!?」

 

「安心しろ。小早川先輩も怪我はないし、深雪が代役に出て優勝したよ。モノリス・コードも会頭たちの圧勝。今年の優勝は俺たちだ」

 

「………よかった」

 

「あと数時間で後夜祭もある。その怪我は治さないとな」カチャリ

 

 

 達也はCADを向け、トリガーを引く。達也が若干眉を潜めると、龍兎の傷はほぼ完治していた。

 

 

「……『再生』か。ありがとう。借り一つだね」

 

「いや。三年前のあの日、深雪たちを救って貰った恩には及ばない」

 

「………そっか。じゃ、さっさと行かないとね。会長や委員長に弄られない内に」

 

「…フッ、そうだな」

 

 

 龍兎はベッドから飛び起きると、達也と共に後夜祭の会場へと向かった。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

「!!お兄様!龍兎君!」

 

「怪我は大丈夫なんですか!?」

 

「深雪、ほのか、心配かけてごめんね。今度こそ機丈龍兎、完、全、復、活!もうほとんど大丈夫だよ」

 

「………………」ジッ

 

「…今回はさすがに、な」

 

「………そうですか」

 

「…………いいかしら?」

 

「?えっと………一色さん、だっけ?」

 

「いえ、敬語は要らないわ」

 

 

 話している龍兎たちのところに来たのは、懇親会で深雪に絡んできた愛梨だった。

 

 

「貴方、先日言ったことを覚えているかしら?」

 

「………うん」

 

「クラウド・ボールで倒したはずの里美さんに、光井さん。貴方の言った通り、してやられたわ」

 

「…………………」

 

「…どうやら目が曇っていたのは私だったようね。ごめんなさい」スッ

 

 

 愛梨はそう言い、深く頭を下げた。

 

 

 

「………もういいよ。こっちもごめんね。今回は…俺も怪我ばっかだったし、俺たちの本当の勝負は来年に持ち越しだ。次は完全勝利するつもりだから、覚悟しといてよ」スッ

 

「フフッ…ええ。その勝負、受けて立つわ」パシッ

 

「………俺もいいか?」

 

「!…一条将暉?」

 

 

 龍兎と愛梨が握手をすると、将暉と吉祥寺がも合流してきた。

 

 

「司波。機丈。今回は俺たちの完敗だ。だが、来年こそは俺たち三高が勝つ。もう油断はしない」

 

「………だってさ、達也」

 

「そもそも俺は本来選手ではないんだがな」

 

「………ん?司波?司波………!!!」

 

『?』

 

 

 達也が龍兎に返すと、突然気づいたように将暉が達也の――達也たちの(・・・・・)名字を連呼し、目を見開いた。

 

 

「お前、彼女と兄妹か!?」

 

『………………』

 

 

 龍兎たちに加え、吉祥寺と愛梨までもが「お前、今気づいたの?」と言いたげな目で将暉を見た。

 

 

「…達也を名字呼びしてたら普通気づくよね?」

 

「うぐっ…」

 

 

 将暉が呻くと、ゆったりとした音楽が流れ始める。

 

 

「…深雪。ここでじっとしているのもなんだし、一条と踊ってきたらどうだ?」

 

「!!」

 

「…そうですね………」

 

「!ぜ、是非とも………!」

 

 

 視線で深雪に問われ、将輝は壊れた玩具のように何度も首を縦に振った。それが面白かったのか、深雪は更に表情を明るくしたのだった。そのまま深雪をエスコートしていく途中で、将輝は達也の方を向いて目礼をした。恐らく自分がライバルだと考えていた相手から思わぬ助け舟が出たことを感謝してるのだろうと、周りにいた他の人にも分かるくらい浮かれている雰囲気だったのだ。

 

 

「現金なヤツだ」

 

「まったく」

 

 

 そんなこんなで、九校戦の夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

       ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 

  ――……同時刻、USNA、とある一室…

 

 

 

 一人の少女が、食い入るようにディスプレイを見ていた。そこには九校戦新人戦、モノリス・コード決勝の映像が流れていた。

 

 

「な!なんですかあのスーツは!!変身したと思ったらあんなにかっこよく!!羨ましい………やってみたい………!でもスターズ総隊長は忙しいし…!」

 

 

 少女――アンジェリーナ・クドウ・シールズは変身する達也たちを羨ましがりつつ、自身の立場と葛藤していたそうだ。

 

 

 

 

 




さてさて、いかがでしたか?
次々回といいつつ、一話に纏めました。
さすがに今回で一旦この小説はストップです。
また他の小説が落ち着いたら随時更新します。
ここまでの応援ありがとうございました!
ではでは、CHAO~♪

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