天才と魔法科 ―相性悪そうな組み合わせほど実はベストマッチが多い件―   作:ジューク

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どうも皆さん、ジュークです。
さあさ、前置きは抜きにしていきますよ。
ではでは、どうぞ!!


第1話 『設立、『Rインテリジェンス』!/運命の出会い』

 意外と年月が経つのは早いもんだ。

 

 

 CAD会社の社長である『機丈龍誠』と元魔法師で今は専業主婦の『機丈兎瑠(うる)』との間に産まれた俺はすぐにかなり高い魔法の資質を出した。

 

 

『魔法』とは言っても呪文唱えてライトニング!みたいな簡単なモンじゃあない。

 

 

想子(サイオン)』とかいう物質を脳内の『魔法演算領域』というまだまだ未解明な箇所で変数処理して……まぁ、要約すると人の脳をコンピュータみたいに使って『事象改変』を実行する現象の総称だ。

 

 

 そして十歳になり、俺は早速ライダーシステムの開発に着手した。

 

 

 そして完成したアイテムを見た親父たちは最初こそビビったが、やがて天才だと誉めてくれた。

 

 

 そして俺と親父は協力してライダーシステムを搭載したCADの開発に成功した。

 

 

そんなこんなで新たに設立された俺たちの会社が

『Rインテリジェンス』だ。Rは無論ライダー(Rider)から取っている。

 

 

 完成したCADはそれを使うライダーから

『Rシステム:バルカン(Balkan)』と名付けた。見た目はまぁ完全にショットライザーだが。それのグリップにストレージを装填できるようにしてある、CADの用語で言う特化型だ。

 

 

 無論、プログライズキーもつくってある。一応ゼツメライズキーやフォースライザー、ゼロワンドライバーや各種武器も完成した。

 

 

 ちなみに、性能は市販用、軍用と性能を分けている。まぁ、バルカンで構成された強盗団なんて見たくもないからな。そして技術漏洩を防ぐ目的でシステムを魔法的、物理的、機械的の三重で防御している。認証(オーソライズ)システムもある上に本格的に変身戦闘が可能な軍用は買う前の特別な審査が必要で、更には市販、軍用共に国外持ち出しと禁止という念の入れようだ。

ちなみに、市販用のライダーシステムは変身こそできるものの、そこそこの防弾防刃機能と多少の身体能力向上程度だが、軍用は筋力増強や動きのサポートなど、市販用とは天と地の差がある。

 

 

 ちなみに、俺の物は所謂『フルチューン』仕様である。簡単に言うと原作とまったく同じ強さだということだ。勿論ショットライザーだけではなくフォースライザー、ゼロワンドライバーもだ。

 

 

  そしてこのフルチューンモデルには、俺のみが知るとんでもないシステムが搭載されている。

 

 

 それこそが、『ANTI(アンチ) MAGIC(マジック)  SYSTEM(システム)』。

 

 

文字通り魔法を完全に無効化する、現代においてチートのシステムだ。ライダーシステム開発のため、桐生戦兎をも超える頭脳を持った俺だからこそこんなぶっ壊れシステムを完成させてしまったのだ。無論このことだけは親にも話していない。

神様が言っていた、主人公の使う『分解』とて例外ではない。システムを分解しようとしても、そもそもその魔法を寄せ付けないからだ。

 

 

 

三年後、Rインテリジェンス社地下実験施設…

 

 

「………さて、いくぜ」スッ

 

 

【BULLET!!】

 

 

AUTHORISE(認証完了)

 

 

【KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…】

 

 

 プログライズキーのスイッチを押して展開し、ショットライザーに差し込むと待機音が流れる。そのまま龍兎はベルトからショットライザーを引き抜き、トリガーを引いた。

 

 

「変身!!」

 

 

【SHOTRISE!!】

 

 

「おっらぁ!!!」バキィン!

 

 

【シューティングウルフ!】

 

 

The elevation increases(弾丸が放たれる時、) as the bullet is fired.(射角は増大する。)

 

 

 蛇行する弾丸を砕くと周りに装置が展開され、蒸気を吹き出しながら龍兎を覆うアーマーとスーツになった。

 

 

「………問題無いよ」

 

『そうか、ご苦労だった。『DRATTO(ドラット)』』

 

「出発前の最終調整完了だね」

 

 

 なぜわざわざ社の施設でショットライザーの調整をしていたかというと、他社との打ち合わせで行けない父の代わりに沖縄の『独立魔装大隊』にショットライザーとプログライズキーの納入に行くためだ。どうしても予定が合わないのでしょうがないだろう。

 

 

 ちなみに、『DRATTO』とは龍兎のビジネスネームだ。未成年であることと、ライダーシステムを狙う連中から身を守るためでもある。由来は(Dragon)(Rabbit)から取っている。

 

 

「さて、そいじゃサクッと行ってくるよ」

 

「ああ。お土産はミミガーを頼む。あのちょっとした辛さがたまらないんだ」

 

「あいよ」シュウウ…

 

 

 変身を解除した龍兎は認証(オーソライズ)システムを搭載したアタッシュケースにショットライザーを入れ、ロックを掛けて家に帰り出立の準備をした。

 

 

 しかし彼は数日後、大きな事件に、そして己の人生を大きく分ける人物と偶然の会合を果たす。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 

 軍の飛行機が沖縄に到着し、龍兎は早速飛行機からショットライザーとプログライズキーが入ったコンテナが下ろされる現場にいた。

 

 

「………うん、数に誤差無し。上々だな」

 

「……君が代表者かい?」

 

「?えっと、失礼ですが…」

 

「あっとすまない。独立魔装大隊の風間春信だ」

 

「!貴方が風間大尉でしたか。僕は父の代理で来ました、機丈龍兎と申します。今回は我々RインテリジェンスのRシステム:バルカンのご購入ありがとうございました」ペコリ

 

「ちなみに、年はいくつだい?」

 

「今年で十三ですが?」

 

「…その若さで礼儀正しいね。今後ともよろしく頼むよ」スッ

 

「………こちらこそ、今後ともご贔屓に」パシッ

 

 

 話しかけてきた男性―――今回の取引先である風間と龍兎は握手を交わした。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 数分後、龍兎は国防軍の基地にてこれからの納入、用途に関する話を風間としていた。

 

 

「――……とまぁ、今回はこのぐらいですかね?」

 

「うむ。しかし、改めてこのRシステム:バルカンとは素晴らしいな。君も着手したのかい?」

 

「えぇまぁ」

 

「…ほぅ。是非その時の話を詳しく聞かせ――」

 

 

 風間が龍兎に話しかけた、その時。

 

 

「大変です!!!」バンッ!

 

「「!!??」」

 

「大亜連合が沖縄に侵攻!現在交戦中です!!」

 

「なんだと!?警報は!!」

 

「既に発令しています!」

 

「ならすぐに戦闘準備を整え急行させろ!!」

 

「はっ!!」

 

「…龍兎君。すまないが、今すぐにシェルターに避難してくれたまえ。ここも安全とは言えん」

 

「…お言葉に甘えさせていただきます」

 

 

 そして部下の案内の下、龍兎は一路シェルターの待機室に向かった。

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

「………まったく、一応フルチューンのショットライザーとプログライズキーを持ってきておいて正解だったな。不幸中の幸い、か…」

 

 

 龍兎は、待機室内でショットライザーの調整を行っていた。沖縄に来る前に終わらせたとはいえ、不安が少しあったからだ。周りには家族連れだろうか。自分と同い年ほどの少女と親、お付きらしい女性もいる。他にも数人の一般人がこの部屋にいた。と、銃声以外になにやらドタドタと複数の足音がしてきた。とっさに龍兎は腰にセットしていたショットライザーを抜いて構える。

 

 

「失礼します!空挺第二中隊の金城一等兵であります!」

 

 

 しかし、如何やら基地の兵隊が迎えに来てくれたようだ。龍兎は安心したようにショットライザーを下ろし、すぐにこっそりと構え直す。

 

 

 開かれたドアの向こうにいたのは四人の若い兵隊だったが、全員が沖縄に残ったアメリカ兵の血縁である「レフト・ブラッド」の二世のようだ。しかし、この基地はそういう土地柄なのだろうが、それに対して特には気にならなかった。

 

 

「皆さんを地下シェルターにご案内します。ついてきてください」

 

 

 予想通りのセリフだったが、龍兎は躊躇わずにはいられなかった。なにやら、言葉の端々に嫌な雰囲気をかぎ分けたからだ。

 

 

「すみません、連れが一人外の様子を見に行っておりまして」

 

 

 龍兎が怪しんでいると、一人の女性が立って金城一等兵と名乗った兵士にそう言った。と、一等兵は難しい顔をする。

 

 

「しかし既に敵の一部が基地の奥深くに侵入しております。ここにいるのは危険です」 

 

「では、あちらの方々だけ先にお連れくださいな。息子を見捨てて行くわけには参りませんので」

 

「しかし……」

 

「(……おそらく、この人も勘づいたんだ。コイツらの得体のしれない違和感に)」 

 

 

 女性の提案に金城一等兵が難色を示したが、部屋にいた他の男性は早く避難したいようで一等兵に詰め寄っている。その隙をついたのだろうか、女性たちは小声でなにやら相談し始めた。龍兎はこっそりと聞き耳を立てる。

 

 

「…では?」 

 

「勘よ」 

 

「勘、ですか?」

 

「ええ。この人たちを信用すべきではないという魔法師としての直感ね」

 

「(…やっぱり)」 

 

 

 龍兎は確信した。この女性も気づいたと。

 

 

「申し訳ありませんが、やはりこの部屋に皆さんを残しておくわけには参りません。お連れの方は責任を持って我々がご案内しますので、ご一緒について来て下さい」

 

 

「(………確定だな。コイツら……)」 

 

 

 四人が相談を終えて龍兎に言葉をかける。言葉遣いはさっきと変わらないが、脅しつけるような態度になっていると感じたのは龍兎のみだろう。

 

 

 そんな事を考えていると、新たな登場人物がこの一幕に急展開をもたらした。

 

 

「ディック!」

 

「っ!!」バァン!

 

「っ!やは――っ!まさか、キャスト・ジャミング!?どうしてんなモンを!!」  

 

 

 金城一等兵が声の主である兵士に対していきなり発砲した。それを合図に一等兵の仲間が室内に銃口を向ける。後ろの女性が起動式を展開したが、頭の中でガラスを引っ掻いたような騒音が魔法式の構築を妨害する。龍兎はアンチ・マジック・システムでなんともないが、周りの女性たちは苦しんでいる。

 

 

「ディック!アル!マーク!ベン!何故だっ?何故軍を裏切った!」

 

  

 

 狙われた兵士の怒鳴り声が聞こえた。どうやら弾は全弾外れたようだ。

 

 

 

「ジョー、お前こそ何故日本に義理立てする!」 

 

「狂ったかディック!日本は俺たちの祖国じゃないか!」 

 

「祖国だと!?日本が俺たちを如何扱った!こうして軍に志願して、日本の為に働いても、結局俺たちは『レフト・ブラッド』じゃないか!俺たちは何時まで経っても余所者扱いだ!」 

 

「違う!それはお前の思い込みだ!俺たちの片親は間違いなく余所者だったんだ。何代も前からここで暮らしている連中にすれば、少しくらい余所者扱いされて当たり前だ!それでも軍は!部隊は!上官も同僚も皆、俺たちを戦友として遇してくれる!仲間として受け容れてくれている!」

 

「ジョー!それはお前が魔法師だからだ!お前には魔法師としての利用価値があるから軍はお前に良い顔を見せるんだ!」

 

「ディック、お前がそんな事を言うのかっ? レフト・ブラッドだから余所者扱いされると憤るお前が、俺が魔法師だから、俺はお前たちと別の存在だと言うのか? 俺は仲間ではないと言うのか、ディック!」

 

 

 と、キャスト・ジャミングが弱まり、龍兎はゆっくりと立ち上がる。

 

 

「……感動のシーン、かどうかは知らんが、なぜ俺たちを狙うんだ?意味がわからん。仲間割れなら他所でやってほしいんだが」

 

「黙れ!!お前らは大亜連合に連れていく人質!おとなしくしろ!!!」ジャキッ!

 

「………そうか。よかったよ」スッ

 

 

【POWER!!】

 

 

『!!?』

 

「これでやっと躊躇無く戦える…!」

 

 

AUTHORISE(認証完了)

 

 

【KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…】

 

「なっ!?」

 

「それは……まさか!!!?」

 

「変身!」

 

 

【SHOTRISE!!】

 

「うわっ!!?」

 

「…やはり!!」

 

「はぁあっ!!!!」バキィン!

 

 

【パンチングコング!】

 

 

Enough power to annihilate a mountain. (山を壊滅するのに十分な力)

 

 

「………やはり、Rシステム!どうしてお前のようなガキがそんな代物を!!」

 

「さァ、なんでだろう、なっ!!」ドッ!

 

「ぐほぉぉっ!!?」

 

「どっ……せえええええい!!!!」

 

「ごっはあぁぁっっ!!!!?」

 

 

 大きなガントレットを装着した龍兎の拳が二人の兵士を捉え、壁を突き破って吹き飛ばした。

 

 

「っ!撃て!撃てえぇぇ!!!」ドガガガガ!

 

「そんな小道具が効くかっ!」ガギギギギン!

 

「っ!!ありえごふぁぁっ!!!」

 

 

 龍兎は瞬く間に四人の裏切り者のうち三人を戦闘不能にし、残りの一人に向き合った。

 

 

「ひいっ!!?」

 

「俺たちを拐おうとしたんだ。当然、覚悟はできてるよな?」

 

「た、助け…」

 

「断る。他の罪無き人々を傷つけたお前を許す道理も、義理もない!!」

 

【POWER!!】

 

「オオオオオオオオオ!!!!!!」

   

   

   

   パンチングブラスト

 

 

 

 最後の兵士は龍兎の放ったガントレットの一撃で、悲鳴も聞こえぬ速さで壁を貫通し、空の彼方に消えていった。

 

「…………随分とあっけなかったな…ん?」

 

 

 と、なにやらまた足跡が聞こえてきた。また奴らの仲間かと思い構えるが、入ってきたのは同年代ほどの少年だった。

 

 

「………お前は?」

 

「深雪!!」

 

「…………お兄様!」

 

「………兄妹、か?」シュウウ…

 

 

 拍子抜けしたのか、龍兎は変身を解除した。

 

 

「………!!」カチッ!

 

 

 と、少年は奥で倒れていた母親とお付きの女性にCADを向け、トリガーを引いた。すると、女性たちは何もなかったように立ち上がる。

 

 

「……あの」

 

「?」

 

「妹を助けてくださりありがとうございました」

 

「………君」

 

「!私、ですか?」

 

「……………良いお兄さんを持ったね」

 

「!………はい!!」

 

「うん。さてと、僕はそろそろ行くよ。君たちも気をつけて」スッ

 

 

 龍兎はそう言い残して外に向かった。

 

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 あの後、外である程度兵士たちと戦っていると、突然撤退を始めた。その直前に何か光球のような物が見えたので、それが原因だろう。ひとまず事後処理は軍に任せ、父へのお土産を買った龍兎は飛行機で本州に向かっていた。

 

 

「(取り敢えず、次に作るのはアイツだな)」

 

 

 そんな中でもRシステムのことを考えている辺り、もはや職業病とすら言えるかもしれない。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

     ――…数年後、機丈家……

 

 

 

 

「…………よしっ!完成だ!!」

 

 

 龍兎は一人、自室に籠ってあるアイテムの開発をちょうど終わらせた。

 

 

 その机には、正面に二つ、右に一つある何かの赤い装填口が付いた装置と黒、緑、銀、赤、青、黄色の六つのUSBメモリが置いてあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、いかがでしたか?
必殺技、まーたやっちまった…
恐ろしく大変ですが、読者の楽しみのために頑張ります。
では、また次回でお会いしましょう。
CHAO~♪

11月1日で一周年を迎えるのですが、どれがいいですか?

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