天才と魔法科 ―相性悪そうな組み合わせほど実はベストマッチが多い件― 作:ジューク
今回はフォーゼ風にしました。
今回から横浜騒乱編!ライダーの新フォーム、新規ライダーも登場します!
ではでは、どうぞ!!
食堂の一角で、いつものメンバーと昼休みを過ごしていた龍兎たちの話題は十月に控えた『論文コンペ』になっていた。
九校戦が力を比べる大会ならば、論文コンペは知恵を比べる大会。九校戦ほどではないが、発表された論文は国際魔法協会や、それでなくとも大手の魔法技術の雑誌に取り上げられるほど注目されている。毎年、日本の魔法協会の本部と支部がある京都と横浜で交互に開催され、今年は横浜での開催だ。達也はコンペの存在を最近知ったため出ないと思われていたが、三位の平河小春という三年生が辞退し、代わりに出ることになったとわかったところで、エリカは龍兎にも問いかけた。
「――…で、達也くんが出るのはわかったけど、なんで龍兎くんは出ないわけ?」
「あぁそれね。実は百山校長直々に止められた」
『え!?』
達也と深雪以外の全員が声を出して驚いた。校長の百山は百家の一つに身を連ねており、その権威は魔法科高校の中でもかなり大きい。現代の日本における魔法教育の第一人者とすら言われている彼から直々に止められたというのはそれだけ大きな話である。
「なんでも、俺が出たらRインテリジェンスがスポンサーになりかねないから、公平性を保つためだってさ。そんなことしないってのに」
「まぁでも、多少はわかるかもな」
Rインテリジェンスは先日開かれた公式懸賞でとんでもない価値のアイテムを九個も一等賞品にした会社だ。そんな会社の息子がコンペを担当するということは、会社から最大限のバックアップが約束されるようなものだ。今回龍兎が止められたのはこれを防ぐためということらしい。
「まぁそういうこ……もう時間だ。行かないと」
話を切り上げようとしたところで予鈴が鳴ったため、この場は一時解散となった。
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
――……のだが、達也はどうやらトラブルに惚れられているようだ。
「義母の襲撃にホームサーバーへの攻撃って……どうやったらこの数日でそんなトラブルの嵐がやってくるのか逆に教えて?」
「俺に言われても困る」
コンペで必要な物があったのだが、購買部が丁度在庫切れだったために、達也、龍兎、啓、花音の四人は近くの大通りへ買い出しに来ていた。啓と花音は前でイチャついているため、達也と龍兎はなるべく聞こえないように会話している。
「おそらくは、義母の
「レ、聖遺物?なんでそんなものが………あぁ、達也の魔法で解析しろってこと?いくらなんでもそれは無茶なんじゃない?FLTはUSNAから飛行デバイスの大量受注受けてるんでしょ?わざわざそんなリスクを負わなくても」
「どうやら国防軍絡みのようだ」
「………俺の力で手伝う?」
「それも考えたが、これは俺がやるよ」
「?そう………達也」
「ああ、まだ手は出さないほうがいい」
二人は何か悪意のある視線に気づいていたが、敢えて触れずにいた。が、その方針は買い物を終えるタイミングまでだった。
「それにしても啓とデート出来るなんて思って無かったよ♪」
「花音、これ一応学校の用事なんだから浮かれ気分じゃ駄目だよ」
「でも最近はあたしも啓も忙しくなってなかなか一緒に出かけられなかったじゃん。学校の用事だとか関係無く、あたしは啓と一緒に出かけられて嬉しいよ」
「花音…」
許婚同士が雰囲気を醸し出しているのを達也と龍兎は生暖かい目で見つめていたが、やがて今はそんな場合ではないと切り替えた。
「先輩」
「如何かしたのかい?」
「監視されているようなのでその雰囲気はマズイのではないでしょうか」
「わかりますけど、今は切り替えてください」
「監視!?どこ!!?」
「あ、ちょっ――」
花音が叫んだせいで、木の影に隠れていた人物――二科生の制服を着た少女は花音に閃光弾を投げつけて逃げ出した。それで花音が足止めされた隙を縫って近くに停めていたスクーターに乗り込み、急発進しようとしたが、啓が放った放出系魔法『
少女がハンドルの近くにあった透明な蓋を開けてスイッチを押すと、スクーター後方の両サイドから一門ずつロケットエンジンが飛び出た。そのままロケットエンジンは噴煙しながら文字通り急加速し、あっという間に小さくなっていった。ただし、龍兎はポケットから何かを取り出してそれをバイクが向かった方角に投げていた。
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
「………――それで、例のものは?」
「はっ、件の司波小百合が持っているようです」
「先日訪れた家の事はどこまでいった?」
「はい、夫の連れ子が生活してるようです」
「義理の子供の機嫌を取りに行ったって事か。それで、その子供の名前は?」
「兄が司波達也、妹が司波深雪です」
「司波達也?…何処かで聞いた名前だな」
少女が逃げ込んだ車の中で、男は部下からの報告の中で聞き覚えのある人名を耳にした。その男――陳が達也の名前に聞き覚えがあったのは、今回の一件におけるとある協力者から千秋を使わせてもらう際にその事情を説明されていたからである。その事を思い出して陳は悪事を考えている顔をしつつ、部下に命じた。奥にいる虎のような雰囲気を放つ大男にも同様に命令する。
「内通者に連絡をしておけ。それと小娘への支援を強化。機密情報の漏洩が最も効果的な報復になると教えてやれ。あと小娘に武器を持たせろ。……呂上尉」
「是」
「現地で指揮を取れ。他所の犬が嗅ぎまわってるようなら排除しろ」
その命令にニヤリと獰猛な笑みを浮かべた男は無言で車から降り、消えていった。
―――空から自分たちを撮影している、蝙蝠のような影に気づくことなく。
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
そんなことがあって数日後、龍兎たちはいつものように昼食を摂ろうとしていた時、龍兎がある違和感に気づいた。
「………?あれ?エリカとレオは?」
「ああ、あの二人なら今日は多分休みだよ」
「えっ、二人一緒にですか?」
「…ああ、二人揃ってだ」
「(………人が悪いなぁ…)」
達也はほのかが何を誤解したか、彼女が何を期待しているかを瞬時に理解し、その上で人の悪い笑みを浮かべながら若干言い回しを変えて頷いた。龍兎はその変化に気付き、内心呆れている。
「意外………でも、ないのかな?」
普段感情をあまり表にしない雫も、口調は平然としていたが、その目付きはいかにも興味津々なのを隠せていない。
「え、そうなんですか!?」
「美月、貴女が私たちに訊いて如何するの」
「美月は二人と同じクラスだよね?」
エリカとレオと同じクラスである美月が目を丸くしたのを、深雪と龍兎が反論した。二人のクラスメイトである美月の方が深雪たちよりもエリカとレオの関係に詳しいのは当たり前なのだから、二人の反論は至極当然のことだった。
「あうぅ……そ、そうですよね…な、何かあったんでしょうか………」
困惑した美月は助け舟を求めて目を泳がせると、幹比古が口を開いた。
「えっ?いや、特にそんな素振りは無かったと思うけ「そういえば、昨日は二人で帰ってたな」!?」
幹比古の答えで少し場が収まるか、と思われていたところへ達也が再度膨大な燃料を投下した。その言葉にはしゃぐ三人を横目に、深雪は少し生暖かい目を兄に向けた。
「(お兄様、先日の件でストレスが溜まってるのでしょうか………?)」
「でもエリカちゃんとレオ君、本当に如何して休んでんでしょう?」
「そうだよね。あの二人に限って急病って事も無いだろうし……」
一旦沈静化かに見えた『二人が一緒に休んで何かをしている疑惑』は、全員のトレーから食べ物が無くなると再び展開された。
「それは言い過ぎと言いたいところだが、同感だな。昨日まで体調を崩してる様子は見られなかったし」
「そもそも、あの二人が体を簡単に壊すとはちょっと考えにくいし」
幹比古と達也、龍兎の三人は揃って「病欠ではない何か」と言う結論のようだ。
「もちろん偶然って可能性もある訳ですけど……」
「偶然じゃない、という可能性もあるよ」
「それは、まぁ、そうだけど……」
「そもそも『偶然じゃない』というイベントが起こりうる仲なのかしら、あの二人?」
「起こっても不思議ではないと思うけど…」
「わ、私もそう思います」
「でも仮に二人が今一緒に居るとして…いったい二人で何をしてるのかしら?」
深雪が小首を傾げながらつぶやいた言葉に、美月と幹比古が時間差で顔を赤らめた。
「……二人共何を想像したのかしら?」
「い、いや!何でもないよ!?」
「えっ、そ、そうなの!なんでもないの!」
「……まぁ、良いけど」
「………」
互いに分かりやすい反応を見せた二人にやれやれとため息を吐いて、深雪は達也へと視線を向けた。
「そうだね……仮定の上に想像を重ねた根拠も無い意見だけど……案外レオがエリカにしごかれてるんじゃないかな」
「フフッ、ありえそうですねそれ」
「…ちょっと待って、それだとあの二人は何の特訓してるの?」
『………』
龍兎が発した言葉で、達也以外の全員が頭を唸らせる。たしかに、訓練とは言ってもそれが本当なのかすらわかっていないのだ。
「………まぁ、他人のプライベートはあまり深く突っ込まないってことで」
そうしてこの場はお開きとなった。尚、この翌日レオとエリカの二人は一緒に登校したところを龍兎たちに見られ、赤面しながら焦っていた、とだけ追記をしておく。
さぁ~て、次回の魔法科は?
ジュークです。今回もいかがでしたか?
蝙蝠のような影………ナンダロナー(棒)
さて、次回は
達也、ガス攻撃に逢う
龍兎、収監所に行く
虎、ぶちのめされる
の三本です☆
次回もまた見てください!
じゃん、けん、CHAO~♪
フッハッハッハッハハハハ!
11月1日で一周年を迎えるのですが、どれがいいですか?
-
新しい小説投稿
-
他の方とのコラボ(したい人はDMを)
-
特にしなくていい