天才と魔法科 ―相性悪そうな組み合わせほど実はベストマッチが多い件― 作:ジューク
今回はW風。いよいよ大亜連合と正面衝突です。
先陣を切るのは、あの白い悪魔!
ではでは、どうぞ!!
前日までになんやかんやとトラブルが続いていた論文コンペだが、当日はこれといった事件もなくスムーズに進んでいた。一高の発表は午後三時から。午後の部が一時から始まることを考えると二時間の猶予がある。二時間とは言っても鈴音たち代表からすると足りないようで、慎重かつ迅速な最後の打ち合わせをしていた。しかし、達也は電話に出るために廊下にいた。そして戻ってきたその顔はあまり芳しくはない。いや、達也は元々感情をあまり表には出さないが、体から放つ雰囲気はあまりよろしくはなかったと言うべきだろう。
「どうしたの?誰から?」
「…藤林少尉からだ。呂剛虎を護送していた船が襲撃され、本人は逃亡した、と」
「タイミングを考えると………さすがに偶然とは言いきれないね。一応警戒しとくよ」
「そうだな」
そんな不穏な会話もあったが、結果的に一高の発表は大成功に終わった。第一高校のテーマは龍兎たちRインテリジェンスが解決した『常駐型重力制御魔法』と同じく加重魔法の三大難問の一つである『重力制御型熱核融合炉』についてだ。このテーマには生徒たちだけではなく魔法大学関係者や民間研究機関の研究者も注目している、まさしく一大テーマと言えるだろう。鈴音が魔法師の地位向上を目標とし、それに五十里と達也が手を貸して漸く発表まで漕ぎ着けたテーマだけあって、鈴音も何時ものように涼しい顔をしてはいられなかった。発表の為に作られたデモ装置には、達也が『シルバー』として開発した『ループ・キャスト』という、まったく同じ魔法を連続発動させる技術が使われている。もちろん鈴音も五十里の二人は『ループ・キャスト』技術を考案、開発した人物が達也だと言う事は知らない。だからデモ装置を作る際に達也が考案したアイデアには驚きを隠せなかった。九校戦で同じエンジニアとして調整をした五十里も、達也の持つ技術力の高さには目を見張るものがあったのだ。そして何より大衆の目を引き寄せたのは、『ループ・キャスト』技術を使うことによって、
そして舞台から降りた達也に、次の三高の発表の準備のために壇上にいた吉祥寺が自分たちが勝つと意気込んでいた時、轟音と共に会場が大きく揺れた。
「お兄様、これはいったい?」
「正面出入口で擲弾が爆発したのだろう」
「普通に考えて、流れ弾なんてものじゃない…おそらく、ここに狙いを定めた上で爆発させた…となれば、少なくともここが敵のターゲットの一つと考えて間違いないだろうね」
「先輩方は大丈夫なのでしょうか…」
「正面は協会が手配した正規の警備員が担当していたはずだ。実戦経験のある魔法師も警備に加わっている。普通の犯罪組織レベルなら問題ないはずだが……」
「………いや、そうでもないっぽい。この音、普通のアサルトライフルじゃないよ」
「フルオートじゃない……対魔法師用のハイパワーライフルか」
「ということは、襲撃犯の正体も自然と絞られてくるね。ただでさえ、ハイパワーライフルは魔法師の防御魔法を貫通させるために本来のライフルの三、四倍の爆発力のあるガンパウダーを使う。でも、通常の銃器製造技術より二段階も三段階も上の高度技術が必要になる。小国だったら製造はおろか配備も出来ない武器の音がいくつもあるってことは…」
「やはり大亜連合……だとしてもだらしがない」
「大人しくしろっ!」
達也の言葉と同時に突入してきた襲撃犯の怒声は、どこかたどたどしさを感じさせるものだった。外国人――大亜連合の兵士であるとしても、密入国したのはつい最近の事だったのだろうと二人は感じていた。
たしかに、現代魔法はCADによる高速化で銃器との対等のスピードを手に入れたと言っても、それはあくまで対等なだけであり、魔法師の力量次第でもある。相手が既に銃を構え、狙いを定めている状態では無闇に抵抗しないのがセオリーだ。
「デバイスを外して床に置け!」
テーマが対人に流用可能なものだったのか、用意していたプレゼン用のCADで魔法を放とうとしたが、即座に壁に撃ち込まれ、壁を抉った銃弾をチラリと見た三高の生徒たちは口惜しそうな顔でCADを床に置いている。彼らの対応を感心しながら見ていた達也だったが、生憎すぐに他人事では済まなくなった。通路に立っていたのが偶々達也たちだけだった所為で目についたのだろう。
「おい、オマエもだ!」
「お兄様……」
「達也」
「(どうやらここまでか……)」
侵入者は全部で六名。フロントとバックアップのユニットが三つといった構成だ。達也は会場に侵入したテロリストにCADを使わずに照準を合わせて、心の中でつぶやいた。
「(出来れば誤魔化せる魔法で済ませたいが)」
これだけの人の目がある中で軍事機密でもある『雲散霧消』を使うのは好ましくないのだが、いざという場合は仕方が無い。達也は無表情にそんな事を考えていたら、侵入者の怒声が浴びせられた。
「早くしろっ!!」
苛立った声で怒鳴られても、達也は恐怖も不安も無い冷ややかな眼差しを向けた。その眼に苛立ちと、正体不明の恐れを感じた男は引き金に置いていた人差し指に力を入れた。
「おい、待て!」
仲間の制止も虚しく銃弾は無慈悲に放たれた。
――……上に、だが。
「なにっ!?」
『キェェェオ!』
「………これは…」
銃身を弾かれた兵士の足元にいたのは、両足が外骨格のようなアーマーで包まれたT・レックスのようなガジェットだった。その口には何かが咥えられている。そしてガジェット――ファングは、それを龍兎に投げつけた。
「…できれば使いたくはなかったけど、考えるのは後回しだ!!」
ガチャリ!
「……!!龍兎君、それ………!!?」
それに驚いたのは、達也でも、深雪でもなく、近くにいた真由美だった。龍兎がキャッチして腰に当てたのは、紅い二つのスロットが付いたデバイス――
【Joker!!】
「来い、ファング!!」
『キェェェェオォン!!』
ダブルドライバーを装着し、内ポケットから取り出したジョーカーメモリを半分差し込んだ龍兎は右手を出してファングを呼ぶ。それに答えるようにファングはカシャカシャと走るとジャンプし、龍兎の左手に飛び乗った。
ガチャッ!ジャキィン!!
【FANG!!】
ガキン!
「変身!!」
ガキン!
【FANG!!Joker!!】
「かああぁぁぁぁぁッッ!!!」
龍兎がジョーカーメモリと折り畳んだファングメモリをドライバーに差し込み、ガジェット部分を中央に倒すと、周囲に破片を含んだ風が吹き荒れる。その破片は白と黒、相反するボディを形成し、次の瞬間、龍兎は右半身がスパイクの目立つ白で左半身が黒、赤く輝く複眼を持ったライダー、【仮面ライダーダブル:ファングジョーカー】へと変身した。
ガシン!
【ARM:FANG!!】
「オオオオオォォォッ!!ハァッ!!!」
「ぐあぁっ!!?」「いぎゃあぁぁ!!?」
ファングメモリのツノを一度下げると、龍兎の右腕に鎌のような刃が生えた。そのまま龍兎は凄まじい速度で正面にいた襲撃犯二人の懐に潜り込み、流れるように切り裂いた。致命傷とまではいかないものの、腹と腕を大きく斬られた襲撃犯たちはその場に倒れる。
ガシンガシン!!
【SHOULDER:FANG!!】
「はあぁぁっ!!!」
「ぎゃぁぁっ!!?」「うがぁぁあぁっ!!」
そしてツノを二回下げると、肩から同じように刃が現れる。龍兎はその刃を肩から外し、向かって右側の敵へフリスビーのように投げた。刃はまるで意思を持つかのように軌道を変え、そのまま襲撃犯たちの周りを鎌鼬のように斬りつけた。そしてブーメランのように刃が返ってくると、龍兎は仕上げに入った。
ガシンガシンガシン!!!
【FANG!!! MAXIMUM DRIVE!!!】
「『ファングストライザー』!」
トドメに三度ツノを下げて右足首から刃を生やすと、龍兎は左手に見える最後の犯人たちに向かって跳躍し、竜巻のように回転する。その周りには蒼白いエネルギーが巻き起こり、放たれた銃弾を弾き飛ばして犯人たちを吹き飛ばした。その腹にはFの形をした傷が荒々しく刻まれている。
あっという間に場を制圧し返した龍兎に、周りは状況を理解したのか、ざわつき始めた。
「あ、あれ、ダブルだよな…」
「でも、なんでここに………?」
「てか、さっき一高の奴が変身してたような…」
「一高ってことは、Rインテリジェンス副社長のやつか?」
「じゃ、ダブルの正体ってアイツなのか!?」
そんなざわつきを無視して、龍兎は達也たちの前に一跳びで降り立ち、変身を解除した。
「危なかった………敵が突拍子もない事態だと考えて俺を狙ったからよかったけど、周りの生徒たちを人質に取られてたらマズかったな…まぁ、結果オーライか…」
「………ねぇ、龍兎君…」
「へ?………あ」
自身に歩み寄る女性――真由美を見て、龍兎は今さらながら思い出した。自分は一度真由美を『ダブル』として救出しているのだ。しかも滅茶苦茶気障な台詞を吐いて。内心では顔が真っ赤になっていたが、なんとか表面上は平静を保っていた。
「…『ダブル』の正体って、あなただったの?」
「いえ、これは緊急事態用に持ってきていた複製品ですよ。ダブルの活動で集まったデータで作成したのが、この自立思考型ガイアメモリ『ファングメモリ』です。まさか使うことになるとまでは想像してませんでしたけど」
「…………そう」
真由美は表面上では納得していたが、内心では確信を抱いていた。
「(………やっぱり、あの時の違和感は本当だったのね。しばらくは良い弄りができそう♪)」
今の状況とはあまりにもかけ離れた考えをしていた真由美だったが、達也の言葉で意識を現実に戻した。周りにはエリカたちいつものメンバーが集合している。
「取り敢えず、俺たちは正面の敵を倒した方がいいと思う。七草先輩はここをお願いします」
「ええ。わかったわ」
頷く真由美を確認し、達也たちは入口の敵を掃討するためにホールを後にした。
「第二回、『今日のライダー講習会』!今回も講師をやらせてもらう、機丈龍兎です!」
「アシスタントの七草真由美です。龍兎君、今日のライダーは?」
「今日紹介するライダーは『仮面ライダーダブル:ファングジョーカー』です!」
・仮面ライダーダブル:ファングジョーカー
スペック
■身長:195㎝
■体重:82㎏
■パンチ力:8t
■キック力:13t
■ジャンプ力:30m(ひと跳び)
■走力:3秒(100m)
■必殺技:ファングストライザー、
ブレードテンペスト
「思ってたよりスペックは低いのね」
「ファングジョーカーの基本スタイルは、右手首、肩から出る『アームファング』と『ショルダーファング』を用いた近接戦闘ですから、そこまでスペックは要らないんです。しかし、ダブルシリーズの中でもトップクラスの機動力を誇っていて、一度懐に潜り込まれるとほぼ詰みと言ってもいいですからね」
「なるほどねぇ……そう言えば、必殺技は何?」
「今回使われたのは『ファングストライザー』。ツノを三度さげることで右足首から『マキシマムセイバー』を生やして恐竜の頭のようなエネルギー場を展開、周囲の敵を一気に薙ぎ倒す技です。ただし、ファングメモリは対象を守るためなら手段を選ばず排除するプログラムがあるため、ドライバーを使っていても制御しきれず暴走する可能性もある、諸刃の剣ならぬ諸刃の牙ともいうべきアイテムなんです」
「ふ~ん…中々危ないから、使う時は注意が必要ってことね」
「そうですね。さて、今日のライダー講習会はここまで!また次回の講習会を楽しみにしてて「ちょっと待って」ほぇ?」
「あの時の台詞、忘れてないわよね?」
「な、ナンノコトデスカ?ワカンナイナー」
「忘れたの?しょうがないな~。「おいおい、レディに男二人で手ェ出すなんてなってねぇな。野蛮な男は嫌われるぜ?」とか、「男も女も、秘密がある方が輝くってもんだ。あの三日月のようにな」とか…」
「もうそれ以上人の黒歴史を暴露するのはやめてくださーい!!」
「ゼ~、ゼ~………助かりました、市原先輩」
「いえ。最後の締めをお願いします」
「ん~ん~~!(リンちゃんこれ取って~~!)」
「はい。………ゴホン。え~、今日のライダー講習会はここまで、また次回をお楽しみに!!」
「七草さん。後でお仕置きの続きです」
「んんんんん~~!!(ごめんなさ~~い!!)」
11月1日で一周年を迎えるのですが、どれがいいですか?
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