天才と魔法科 ―相性悪そうな組み合わせほど実はベストマッチが多い件―   作:ジューク

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UA1000件突破しました。
ありがたい話です。
さて今回は、アニメ化決定したアイツが登場!
張り切っていきましょう!
ではでは、どうぞ!!


第2話 『参上!二人で一人の名探偵(?)』

 

 

「――とうとう完成したぜ、ダブルドライバーとガイアメモリ!!!」ガチャリ!

 

 

 先ほど完成させた装置――ダブルドライバーを高々と掲げて龍兎は叫んだ。

 

 

 無理はない。前々からこっそりと製作していた念願のライダーシステムが、完全な状態で目の前にあるのだから。

 

 

「ほんっと長かった。過程でスタッグフォンとかバットショットとかデンデンセンサーとかのメモリガジェットとハードボイルダー、リボルギャリーとかのサポートアイテムは完成してたのに、どーしてもコイツらだけは難しかったんだから」

 

 

 くるりと振り返ると、そこには飛び回るスタッグフォンとバットショットがあった。机の上にはデンデンセンサーもある。

 

 

「さて、完成したことだし今日から始めよっか。

正義のヒーロー

 

 

 ムクリと椅子から立った龍兎は、地下の巨大ガレージに向かった。

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 翔太郎の事務所の地下をイメージして造られたこの地下ガレージは無論龍兎のアイデアだ。金網の下には待機状態の大型自走変形可能装甲車――リボルギャリーの上に前半分が黒、後ろ半分が緑という特徴的なバイク――可変機構搭載バイクであるハードボイルダーが乗っていた。

 

 

「……さーてと、メット被って、いざ最初のパトロールだ!」ドルルン!

 

 

 国立魔法科大学付属第一高校――通称『一高』への合格を果たし、数日前に中学を卒業した龍兎は早速ハードボイルダーにまたがり、エンジンを吹かして夜の八王子に出た。尚、今の時代はヘルメットを着けずにバイクに乗っても違反にはならない。(無論、事故の責任や罰則は高くなる。)にも関わらず着ける理由は言わずもがな。顔を隠すためである。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

「…………」ブロロロロ…

 

 

 ハードボイルダーを走らせながら龍兎は街の様子を鋭く観察する。そして少しエンジンのギアを上げ、人通りが無い廃倉庫の近くの角を通った時、異変に気づいた。

 

 

「………ん?」

 

 

 前方を走るワゴン車に目が向く。いや、正確にはその窓に一瞬移った影だ。本当に一瞬だったが、人が入っていたように見えた。すると、ワゴン車は徐々に減速を始める。

 

 

「………取り敢えず」キキッ

 

 

 近くの路地裏に入った龍兎が顔を覗かせると、ワゴン車の助手席から一人の男が顔を出して辺りを見回す。どうやら龍兎には気づかなかったようで、運転席の男に促すと、そのまま廃倉庫の一つに入っていった。

 

 

「………一応、戦闘に備えておこう」ガチャリ

 

 

 ダブルドライバーを腰に当てて装着し、メットを外して帽子を被った龍兎は、バイクを静かに、ゆっくりとワゴン車が入った廃倉庫の前に向け―――次の瞬間、思いっきりエンジンを吹かしてウィリー走行でドアを叩き壊して廃倉庫に殴り込んだ。そしてバイクから颯爽と降りて口を開く。

 

 

「―――おいおい、レディに男二人で手ェ出すなんてなってねぇな。野蛮な男は嫌われるぜ?」

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 私、七草真由美は窮地に追いやられていた。もう高校三年生になるのだから、護衛なんて要らないと言ったのがいけなかったのだろう。帰り道に睡眠薬を嗅がされ、気がつけば廃倉庫。ご丁寧に口にはガムテープ、CADも無いため、魔法が使えない状況だった。

 

 CAD無しで魔法を使うには、魔法の工程を言語にしないといけない。しかし、口まで使えなくては無理、ということは犯人であり、自分にニヤニヤといやらしい目を向けているこの二人の男はそこそこ魔法師に詳しい、ということになる。

 

 

「………で、どうする?司のダンナに引き渡しゃあ依頼は達成だが」

 

「何言ってんだお前。こんな上玉手ェ出すなって方が無茶だろ?」

 

「まぁ、そうだよな。さぁて、まずは邪魔な服の解体ショーか?」

 

「撮影は任せとけ」

 

「おう。バッチシ撮れよ~?」コツコツ…

 

「~~!!」ズリズリ

 

「おいおい、このアマ腰振って誘惑してやがる」

 

「いいね~。じゃプラン変えて着衣でいくか?」

 

「だな。さてとぉ…」スッ

 

「(………泉美ちゃん、香澄ちゃん、ごめんね…)」

 

 

 二人の妹の名を思って強く目を閉じた時。

 

 

 

    ドッガアアアアアアン!!!

 

 

『!?』

 

 

 突然倉庫のドアが破壊され、一台のバイクが入ってきた。それには人が乗っている。月で顔は良く見えないが、体格からして男だろう。その男はバイクからスマートに降り、帽子を少し下に直しながら言った。

 

 

「おいおい、レディに男二人で手ェ出すなんてなってねぇな。野蛮な男は嫌われるぜ?」

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

「な、なんだお前は!!?」

 

「七草の追手か!?なんでここがわかった!!」

 

「(え?七草?なんだって十師族の中でもトップクラスの名前が出て………あ、そゆこと?)」

 

 

 奥にいる女性に龍兎は見覚えがあった。九校戦という、魔法科高校同士での大会で見た顔だ。

 

 

「……まぁとにかく、そのレディを放しな。そうすりゃ何も見なかったことにしとくが」

 

「黙れ!!ぶっ殺されてぇのか!!?」

 

「だいたい!お前はなにもんだ!!?」

 

「俺か?俺は――」スッ

 

 

 そして龍兎は黒と緑、二つのメモリを持った両肘を重ね、Wをつくるように構えて言った。

 

 

ただの、仮面ライダーだ

 

 

【Cyclone!!】

【Joker!!】

 

 

「変身!!」ガキン!

 

 

【Cyclone!!Joker!!】

 

 

 ドライバーを倒すと、突如廃倉庫に何かの破片を含んだ突風が吹き荒れる。その破片は龍兎の周りに集まって鎧を形成していく。そして風が止むと、龍兎は銀の線で縦真っ二つに別れており、右半身が緑で左半身が黒く、赤の複眼を持ち、銀のスカーフを下げた戦士――かつて『風都』という都市を守った二人で一人の仮面ライダーである『仮面ライダーダブル』に変身した。

 

 

「な、なんだそりゃあ!!?」

 

「ま、まさか、Rシステム!?」

 

「ふう………さぁ」ピンッ

 

 

 龍兎は左手を鳴らして指を犯人たちに向け、セリフを言い放った。

 

 

「お前たちの罪を数えろ」

 

「誰が数えるかそんなもん!!!」ダッ!

 

「ただのこけおどしだろ!」キイイン!

 

 

 男の一人はナイフを龍兎に向けて駆け出し、もう一人は魔法で支援しようとする。連携は取れているが、相手が悪すぎた。

 

 

「はっ!」ゴオッ!

 

「!?速ぐはぁあぁぁ!!!??」

 

 

 龍兎は右に装填された緑のメモリ――サイクロンメモリの風の力で自身の体を押し、加速した蹴りを放ってナイフの男を壁に叩きつけた。あまりの速さで、後ろの男の魔法の照準は外れてしまい、魔法は発動しなかった。

 

 

「ち、畜生!こうなったら――」サッ カチッ!

 

「!!」

 

「これでもくらえ!!」ブシュウゥッ!

 

 

 男は懐から発煙筒を出し、スイッチを押して龍兎に投げつけた。すると辺りに大量の煙が充満する。どうやら真由美を連れて逃げるつもりだ。

 

 

「来い!!」ガシッ!

 

 

 近くにいた女性の手を掴み、引っ張っていこうとしたが、そこで男は違和感に気づいた。

 

 

「!?おい、抵抗しねぇでさっさと――」

 

 

 すると、あの忌々しい男の声がした。

 

 

「…悪いが、そいつはレディの手じゃねぇぜ?」

 

「は?………な!?んだこりゃあ!!」

 

 

【LUNA!!Joker!!】

 

 

 無理もない。煙が晴れると、男は自分が掴んでいたのが真由美の腕ではなく、黄色に変化し、ゴムのように伸びた鎧の男の右腕だったと気づいたのだから。

 

 

「そぉらよっと!!」ドガァン!

 

「ぐはああぁぁ!!!??」

 

 

 その右腕は男を瞬時に巻き付け、思いっきり床に叩きつけた。

 

 

「さてと、トドメはメモリブレイクだ」

 

 

【Cyclone!!Joker!!】

 

 

 そして男は最初の姿に変身する。そして黒いメモリを引き抜いて、右のスロットに挿し込んだ。

 

 

【Joker!! MAXIMUM DRIVE!!】

 

 

「はぁぁぁぁ………!!」

 

 

 すると、再び風が吹き荒れ、龍兎の体を上に持っていく。そして頂点に来ると、龍兎は叫んだ。

 

 

「ジョーカーエクストリーム!」

 

「「ぐわああああ!!!???」」

 

 

    ドッガアアアアアアン!!!

 

 

 龍兎は途中で銀の線に沿って二つに割れ、左半身でキックを決めると、時間差で右半身と共にドロップキックを叩き込んだ。爆発が起こり、二人の男は廃倉庫の壁に叩きつけられて気絶した。

 

 

「………!!」モガモガ

 

「……!おっと、すまねぇな」ピリッ!

 

「ぷはっ!いえ、ありがとうございました」

 

「…………アイツらが言ってたが、アンタ七草のお嬢さんか?護衛はどうしたんだ?」

 

「……えっと、それは………」

 

「………まぁ、レディのプライバシーには深くはつっこまないが。さて、俺はそろそろ…」スッ

 

「あ、あの!!」

 

「……なんだ?」クルリ

 

 

 かっこよく去ろうとしたが、真由美が呼び止めたので龍兎は振り返る。

 

 

「………お名前を教えてもらえませんか?」

 

「……ダブル。『仮面ライダーダブル』「いえ、本名を…」……一つ教えておくぜ、お嬢さん」スッ

 

 

 龍兎は指を銃のようにして向けながら言った。

 

 

「男も女も、秘密がある方が輝くってもんだ。

あの三日月のようにな。それじゃ、アディオス」

 

 

 龍兎はそのまま踵を返し、ハードボイルダーにまたがって廃倉庫を後にした。

 

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

      ――……数分後………

 

 

 

 

 

 

「…………っつーわけだ、寿和さん。後処理は任せてもいいか?」

 

『勿論。しかし、君もとんでもないな。あの七草のご令嬢を助けたなんて』

 

「正義のヒーローは人を選別しないからな。あ、そういや『アクセル』の使い心地はどうですか?俺の手元にもありますけど」

 

『ああ、あれかい?最高だよ。部下からも評判良いしね。君が製作したんだろ?』

 

「そうですね。ある程度データ集まったら送ってくださいよ。一応モニターなんですから」

 

『わかってるよ。これの提供と引き換えに君の活動を認めるという契約内容ぐらい理解してるさ』

 

「ならいいんすけど。頼みますよ?それじゃ」

 

『またね』ピッ

 

「………やっぱ。活動後の月は格別だな」

 

 

 港でハードボイルダーを停めた龍兎は、月を見上げながらそう呟いた。

 

 

 

 

 

 




さてさて、いかがでしたか?
次回、入学編です。絡みどうしよっかな。
ではでは、CHAO~♪

11月1日で一周年を迎えるのですが、どれがいいですか?

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  • 他の方とのコラボ(したい人はDMを)
  • 特にしなくていい

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