天才と魔法科 ―相性悪そうな組み合わせほど実はベストマッチが多い件―   作:ジューク

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どうも皆さん、ジュークです。
相変わらず仕事と両立で頭の容量オーバーフローで頑張ってる最近です。
ではでは、どうぞ!!


第4話 『坂道で林檎とか落とすとどんどん転がってって手がつけられなくなるよね』

「風紀委員長の渡辺摩利だ。全員動くな」

 

 

 ボーイッシュな見た目の女性が目の前に現れた。この学校の風紀委員は、主に学校での魔法の不適正使用を取り締まるという仕事を担っている。つまり、そろリーダーである彼女は相当な強者だということだ。

 

 

「(………変身したのはバレて…なさそうだな)」

 

 

 タイミング的にギリギリだったので、龍兎はホッとする。と、後ろからひょこっと見覚えのある女性が出てきた。

 

 

「…………あっ」

 

「!どうしたんだ機丈」

 

「い、いや!なんでも!(やばっ!!思わず声出ちゃった!!怪しまれてないよね!!?)」

 

「…………?(………今のあの子の声、あの人に似てたような…)」

 

 

 尚、出てきた女性――真由美に怪しまれていることには気づいていないようだ。と、達也が摩利に一歩踏み出す。

 

 

「………すみません。悪ふざけが過ぎました」

 

「悪ふざけ?」

 

「ええ。森崎一門のクイック・ドロウは有名ですから。後学の為に見せて貰おうと思ったのですが、思ったより熱が入り過ぎていたようです」

 

「………事実か?そこの君」

 

「……………え?あ、はい…」

 

「……では、そこの彼女が攻撃魔法を使おうとしていたのは?」

 

 

 と、摩利は短い茶髪を両サイドで纏めた一科生の方を指して言った。

 

 

「いやいや、彼女を責めるのはお門違いです。あの娘が放とうとしたのは閃光魔法、それも目眩ましレベルの物です。悪くても目が多少チカチカする程度の威力で攻撃魔法だなんて過激ですよ」

 

「ええ。おそらく彼女なりに場を静めようとしたのでしょう」

 

「…ほう、君たちは魔法式を読み取れるのか?」

 

「実技はできませんが、分析なら」

 

「CADには詳しいもんで」

 

「…ま、まぁまぁ!達也君も龍兎君も、悪気は無かったのよね?」

 

「はい」「ええ」

 

「………そうか。なら今回は不問とする。実習はちゃんと学校に申請するように。……あぁ、それと最後に。君たち、名前は?」

 

「一年E組、司波達也です」

 

「一年A組、機丈龍兎です」

 

「……覚えておこう」クルッ

 

 

 そう言って、摩利と真由美は校舎に向かった。

 

 

 

「………借りだなんて思わないからな」

 

「貸したと思ってないから安心しろ」

 

「お前に貸しなんか作っても微塵の得にもならんとわかってるから心配するな」

 

「司波、機丈。俺はお前たちを認めない。司波さんは俺たちと一緒にいるべきだ。覚えておけ」

クルッ

 

「あ、そうそう。根拠もない持論は妄想って言うんだよ。覚えといて損はないからね」

 

「ッ!!」

 

 

 森崎たちは二人の女子生徒を残して悔しそうに去っていった。

 

 

「………あ~~、どっと疲れた。さっさと帰ろ」

 

 

 大きくため息をつき、龍兎はポケットをまさぐりながら駅に向かおうとしたが、それを呼び止める声があった。

 

 

「待ってください」

 

「!」ピタッ

 

 

 声の主は、深雪だった。

 

 

「私たちを覚えていませんか?三年前、沖縄の国防軍の基地で――」

 

「…………あぁ、覚えているさ。見違えたね、

深雪さん。相変わらずお兄さんと仲良さそうでよかったよ。まさか君たちと同級生になるとまでは思わなかったけど」

 

「……龍兎。つもる話もある。よければだが、一緒に帰らないか?」

 

「………わかった。達也、でいいかな?俺も龍兎でいいから」

 

「ああ。よろしく頼む、龍兎」

 

「オッケー達「あ、あの!!」…何か用?」

 

「さ、さっきはありがとうございました!もしよければ、私たちも一緒にいいでしょうか!!」

 

「………達也、深雪。どうする?」

 

「俺たちは構わないが」

 

 

 こうして、達也たちと龍兎、そして和解した一科生――光井ほのかと北山雫は全員で帰路に着くこととなった。

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 

「……そう言えば、龍兎さんはRインテリジェンスの副社長なんだよね?」

 

「そうだけど?」

 

 

 コミューターの中で龍兎たち八人が会話していると、唐突に雫が質問してきた。

 

 

「次のRシステムはどんなタイプをいつ発売するの?教えて欲しい」

 

「えなんで唐突に?」

 

「雫はRシステムの大ファンなんです。今まで発売されたタイプも、市販用と軍用を両方全種類買ってるぐらいで……」

 

「あ~、それであの会社軍用タイプを何度も申請してたのか。毎度お買い上げありがとうございます。あと、実は最新作が今日完成してね。今いつ発表するか検討中なんだ」

 

「ほんと!?いつ!!?」

 

「いや、だから今検討中だって……」

 

「ねぇ龍兎くん。あの『スチームブレード』とか

『ビートクローザー』ってやつも龍兎くんが開発したの?」

 

「いや、『DORATTO(ドラット)』って言うウチ専属の技師が設計してる。俺や父さんも多少デザイン考えたりはしてるけど」

 

「へ~!センスいいんだね!ウチの連中もRシステムが大のお気に入りでさ~」

 

「知ってるよ。千葉家関係の警察官は国防軍に次ぐお得意先だからね」

 

「じゃあ、あの『パンチングコング』もソイツが作ったのか!?」

 

「うん。あれ一応硬化魔法や自己加速魔法併用の近接想定だから」

 

「バカにコングはお似合いね」

 

「んだとテメェ!!?」

 

「ふ、二人とも落ち着いて…」

 

 

 と、どうやらここにいるほとんどのメンバーはRシステムに触れているようだ。

 

 

「でも凄いわよね。『夢を現実に変える』なんて正に龍兎くんの会社だからこそ言える台詞だわ」

 

「百年前の特撮とかをモチーフにしてんだろ?」

 

「うん。ああいう変身して戦うっていうのは今でもまさしく人の夢だからね。こうして使ってくれてる人がいるのは開発者冥利に尽きるよ」

 

「……そう言えば龍兎」

 

「?どしたの達也」

 

「お前は『ダブル』について知っているか?」

 

『!!』

 

 

その言葉でコミューター内の全員がハッとした。

 

 

 

 

        『ダブル』

 

 

 

 最近八王子を中心に犯罪者などを捕らえている、所謂ヒーロー的存在としてネットなどで騒がれている存在。一部ではファンクラブや正体の考察専用サイトまでできているほどだ。

 

 

「…………これはオフレコで頼みたいんだけど、

『ダブル』はウチのモニターなんだよ。ただ、開発の過程で見つかったある問題が原因でダブルシリーズの発売はできないんだけど」

 

「問題?」

 

「………ダブルの変身に使う『ガイアメモリ』っていうデバイスが厄介でね。やろうと思えば危険物として量産されかねない代物なんだ。ガイアメモリを体に装着処理したスロットに差し込んで怪物になっちゃうっていう、とんでもない代物に。それで変身した人間を会社では『ドーパント』って呼んでる。使用すると薬物みたいに高揚感と充足感がするけど、次第に力を使いたいって衝動に飲み込まれて暴れてしまうんだ。それもガイアメモリに内蔵された様々な特殊能力を使って」

 

「………それって滅茶苦茶マズイんじゃ……」

 

「一個人に渡るだけならまだマシだけど、問題はそこそこ大きなテロ組織とかにその製造法が渡ってしまった場合なんだ。下手すればソイツらの手でドーパントの軍団とかが編成されかねないんだよ。そうなれば世界中が大混乱に落ちてしまう。だから、悪用の危険性があるダブルシリーズは販売するわけにはいかないんだ」

 

「………そんなヤバいやつなのかよ…」

 

「ウチの会社で特殊な装置使って生成したやつなら無害化されてて問題ないんだけどねぇ………あ、俺この駅だから。それじゃまた明日」スッ

 

 

 コミューターが停止し、龍兎だけが降りて行った。その足で龍兎は近くの人気の無い路地裏に向かう。

 

 

「………さぁ、ダブルの時間だ」スカチャッ

 

 

 龍兎は鞄からダブルドライバーとガイアメモリを取り出し、素早く変身した。

 

【Cyclone!!Joker!!】

 

 

 そして、サイクロンメモリの力で浮かんだ龍兎は日の落ちかけた街に向かっていった。

 

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

その日の収穫はひったくり二人、チンピラ三人だった。取り敢えず、いつものように警察署の前に縛って放置し、近くの大きな湖がある公園に来ていた。

 

 

「………………出てこい。俺から見て七時の方角の木の後ろだろう?バレている」

 

「………いや~、さすがは『ダブル』くんといったところかな?幻術には自負があるんだがねぇ」

 

 

 スルリと木から出てきたのは、片目に傷があり、眉以外を完全に剃っている僧のような

―――ただし、どこか胡散臭い―――男だった。紺色の和服に草履という、現代では滅多に見ない服装をしている。

 

 

「………一応、名前を聞いても?」

 

「そうだねぇ。九重八雲、と名乗ろうかな?」

 

「………………誰かと思えば、かの忍術使いが俺に何の用だ?」

 

「ほぅ、僕を知っているのかい?」

 

「情報は銃より強い武器になる、と言うからな。

(ま、今地球の本棚で調べただけなんだが)

…で?すまないが用件を聞いてもいいかな?」

 

「簡単だよ。君の腰のそれをいただきたい」

 

「………なぜ?」

 

「さぁ。これ以上は高くつくよ?」

 

「……仮に、だが。「断る」と返答すればどうなるんだ?まさかだが、僧が世俗にあーだこーだ言えるようなご時世じゃあないよな?」

 

「ククク、そうだね。たしかに僕は世俗とは縁を切っている。ただ、それと好奇心は別さ」

 

「…つまり、好奇心で俺のアイテムを奪うと?」

 

「まぁね」

 

 

 龍兎は瞬時に考える。少なくともこの男は近接にかけては世界でも指折りだ。幻術抜きでも侮れないほどに。しかし、調べた限りではその力をこんなこそ泥のように使う性格ではなかった。

 

 

 つまり、この男は本当に好奇心で龍兎のアイテムを奪うつもりなのだ。

 

 

「………なら断る。お前にこれを渡すわけにはいかない立場だからな」

 

「それは“会社の”雇い主が怒るからかい?」

 

「………ククッ…」

 

「?」

 

「…失敬。どうやらかなり見聞が広いようだ」

 

 

 無論、これは嘘だ。龍兎が思わず笑ってしまったのは別の理由である。

 

 

 会社の雇い主。それはつまり、ダブルについて知ってる人物から情報を得たということだ。

 

 

 ダブルに関する詳細を知っているのは、父を除けば寿和と達也たちのみ。この時点で犯人は大きく絞られる。そして、あのメンバーの中で八雲と繋がりがありそうなのは………

 

 

「………まぁ、おかしいとは思ったが。取り敢えず俺の返答は否。お前にこれは渡さん」

 

「そうか。なら――力ずくで貰うよ」

 

「それをできるのなら、な」

 

「言う…ねぇッ!!」ダッ!

 

 

 その瞬間、八雲が仕掛けた。幻術を展開し、背後に回り込もうとしている――ように見えるのが実は分身で、本体は一直線にダブルに向かっている。

 

 

【LUNA!!Joker!!】

 

 

 だからこそ、八雲の反応はギリギリだった。

 

 

「はっ!!」バッ!

 

「!!?っ!!」サッ

 

 

 ダブルは右半身を黄色に変化させ、そのまま腕を鞭のように薙ぎ払った。八雲はギリギリジャンプして後ろに下がる。

 

 

「………まさか、見抜かれるとはね…」

 

「言っておくが」スッ

 

【TRIGGER!!】

 

「俺に幻術は通用しない!」ガキン!

 

 

【LUNA!!TRIGGER!!】

 

 そのままダブルは左に青いメモリをジョーカーメモリの代わりに装填し、左半身を青に変えた。そのままいつの間にか持っていた蒼い銃――トリガーマグナムを八雲に向けて連射した。

 

 

「はっ!!」ドドドドド!

 

「こちらも、そんな飛び道具は――」

 

「効かない、とは言わせない」

 

 

 龍兎がそう言った時だった。

 

 

    グニャリ!!

 

「なにっ!!?くぅっ!!」サッ!

 

 

 突然、放たれた弾丸が軌道を大きく変えて八雲を四方八方から襲った。なんとか避けれたものの、何発かはカスっている。

 

 

「………アレを避けるか。どうやら偽者とか影武者じゃあなさそうだな」

 

「君相手にそんなものけしかける余裕はないよ」

 

「そうか。あと悪いが叩き潰す」

 

 

【TRIGGER!!MAXIMUM DRIVE!!】

 

 

「おぉっと………これはさすがにマズイね」

 

 

「トリガーフルバースト!!」

 

 

    ドッガアアアアアアン!!!

 

 トリガーマグナムから放たれた必殺技が八雲を捉え、着弾したように見えたが、煙が晴れると八雲は消えていた。

 

 

「………チッ。逃げられたか。一応確認しときたかったんだが、まぁ…いいか」

 

 

 龍兎はそのまま監視カメラが無い路地裏で変身を解除し、帰宅した。

 

 

 




さてさて、いかがでしたか?
ゼロワン以外は必殺技楽で助かります。
さて次回、生徒会?それは絶対確定かい?
はい、調子に乗りましたすんません。
ではでは、CHAO~♪

11月1日で一周年を迎えるのですが、どれがいいですか?

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