注意
・ガバガバ、捏造設定
・キャラ崩壊
・こんなザギがいてたまるか!
・ザギという名の別人
東方模造巨人(1)
ここは何処だ?
目を覚ますと、回りには岩石が転がった茶色の空間が広がっており、頭上に空いている縦穴からは太陽の光が差していた。
とりあえず、地底であることが分かる。ただし、そんなことよりも重要な事実がある。
「俺は、死んだはずだ・・・・」
俺、ダークザギはノアとの必殺光線の撃ち合いで敗北し、そのまま木っ端微塵に砕け散った。しかし、俺は生きている。
さらに、水溜まりに映った自分を見ると、自分が人間の青年になっていることが分かる。
続いて黒い上着のポケットに手を突っ込むと、何かが入っていることに気付く。取り出してみると、それは黒いエボルトラスターと銃のような武器だ。黒いエボルトラスターはダークトラスターと呼ぶことにしよう。
黒いエボルトラスターの存在で確信した。俺が人間の姿でここへと来てしまったのは、ウルトラマンノアの仕業であることを。
ノアめ、俺を完全に消滅させていればよかったものを、よく生かしたものだ。せめて、俺を生かしたことを後悔しないことだな。
「ねえ、そこの人間のお兄ちゃん。どうしてこんな所にいるの?」
突っ立っていたところに突然かけられる声。後ろに向き直ると、そこには閉じた瞳のようなアクセサリー?を着けた銀髪の少女が立っていた。気配から察するに、ヒトではないのは確かだ。
「気付いたら迷い混んでいただけだ。そもそも、お前は誰なんだ?」
「私は妖怪の古明地こいしだよ。お兄ちゃんは外来人なの?」
こいしと名乗るこの少女、怪しい奴に対する警戒心が薄すぎじゃないか?それに、外来人とはなんのことだ?
「外来人?」
「その言葉にピンと来ないってことは、お兄ちゃんは外来人だね。外来人っていうのは、外の世界から幻想郷に迷いこんできた人のことだよ」
とにかく、俺は幻想郷と呼ばれる場所に来てしまったようだ。さらに説明を聞いたのだが、幻想郷には妖怪や神が住んでいるらしい。
いつか、神とやらに会ってみたいものだ。
「お兄ちゃん、家無いでしょ?」
「来たばかりだからな」
恥ずかしいことだが、かつて暗黒破壊神として恐れられたこのダークザギが、絶賛ホームレス中なのだ。
「私の家に来てよ」
有無を言わさず掴まれる左手。俺は少女とは思えない程の力で引っ張られた。これが妖怪の力というわけか。
「そういえば、お兄ちゃんの名前聞いてなかったね」
「俺はザギだ」
「よろしくね、ザギお兄ちゃん」
これが、かつて暗黒破壊神と呼ばれた者と幻想郷住民とのファーストコンタクトであった。
やがて、2人が辿り着いたのは、西洋風の大きい屋敷だった。
「ここが私の家、地霊殿だよ」
「ふん、こんな建物が地底にあるとはな」
こいしは再び俺の手を掴むと、扉を開けて俺を屋敷の中に引っ張り込んだ。
「お姉ちゃんただいま!外来人見つけたから連れてきたよ!」
「おかえりなさい、こいし」
すぐ目の前にピンクの髪の少女がいた。頭にはヘアバンドを着けていて、そこから伸びるコードの先には第3の目があった。
最初、彼女はザギを見て何故か驚いたような表情をしていたが、我に返って自己紹介をした。
「私は古明地さとり、あなたは・・・?」
「あぁ、俺の名は・・」
「ザギさんですね」
は?俺はまだ名乗っていない筈だ・・・何故、名前が分かったんだ?
「どうして俺の名を?」
「私の能力です。私は相手の心を読むことが出来ます。ただ、あなたに関しては名前くらいしか読み取れませんでしたが」
「心を読む力か、面白い」
危ない危ない。仮に心を完全に読まれていたら、今までのことが全てバレるところだった。
「ではザギさん、しばらく地霊殿に泊まっていってください。あ、その前に他の住人を紹介します。2人とも、出てきてください」
すると、赤髪の猫耳女と黒髪の翼を生やした女が現れた。
「あたいは火焔猫燐、火車の妖怪さ。名前が長いから、お燐と呼んで」
「私は霊烏路空、地獄鴉の妖怪だよ。みんなからはお空って呼ばれてるんだ」
こいつらも妖怪か。
「よろしく頼む」
「それじゃあザギお兄ちゃん、私が地霊殿を案内してあげるよ」
ザギは、再びこいしに引っ張られていった。
「行きましたね。お燐、ちょっと彼に関することでお話が。私の部屋に来てください」
ザギがこいしに引っ張られていったのを見て、さとりはお燐と共に自室へと戻った。
「彼から一体何を読み取ったんですか?」
さとりを少し間をおいて話し始める。
「実を言うと、彼の心の中はほとんど闇で塗りつぶされていました」
「闇?」
「そうです。そして、その闇には様々な感情が含まれていました。劣等感、嫉妬、怒り、失望、渇望、その他諸々、殆どが善とは言えない感情です」
さとりとお燐の額を、汗が伝った。
「それってマズイのでは?」
「完全に悪と決まった訳ではありません。私は見ました、心の闇の中に光る一筋の光を。しかし、彼がどう転ぶか未知数です。お燐、彼の監視をお願いします。場合によっては・・・」
「殺す・・・?」
ザギを殺す。それは、さとりが最も避けたい事態だった。彼はこいしに気に入られているように見える。もしも彼を殺せば、こいしは傷つくだろう。
かつて、覚り妖怪として迫害されていた時のように、また傷ついて欲しくなかった。
「できれば、そんなことはしたくないものです」
幻想の地、幻想郷に辿り着いた暗黒破壊神ダークザギ。彼はここで何を為すのか?何を得るのか?それは、まだ分からない。