“僕”は夢と共に繰り返す   作:猟奇的少年A

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気が向いたので続き書きました。



観戦と、出走禁止の理由

 選抜レースの翌日、僕はマヤノともう一度話す為にトレセン学園の校内を探し回ってた。

 

 

「たづなさんの話だとこの階のクラスらしいけど…、居ないなぁ」

 

 

 まだホームルームが終わってないのかな? だったらもう少したづなさんとお茶してたら良かったかも…。あー、たづなさんの帽子を奪って顔埋めたいー。そんでもって帽子の匂い嗅ぎたいー。

 そんな変態チックな事を考えていると奥の方の教室が開き、オレンジの影が勢いよく飛び出て来た。

 

 

「やーっと見つけた。…って、もう1人?」

 

 

 マヤノに声を掛けようと思ったのだが、そのマヤノは後ろを振り向き栗色の髪の少女に話し掛けていた。もしかしたら今日は先約があるのかも知れない。ここは日を改めた方が……

 

 

「あれ? キミってば、もしかして──」

 

 

 あっ、やっべ。バレちゃった(笑) 別にバレた所で何も無いんだけどね。

 

 

「昨日ぶりだね、マヤノトップガン」

「ま、また会えたね…! こんなとこでどうしたの?」

 

 

 少し吃りながらこちらに小さく手を振ってくれたマヤノ。…少し顔が赤い。体調が悪いのだろうか?

 

 

「マヤノの事を探してた」

「えっ、ま、マヤを…? わぁ………ぁっ。な、にゃんっだかそれって──」

 

 

 一瞬顔を真っ赤にして惚けていたマヤノ。だがすぐに何かを思い出したかの様にハッとし、噛みながらも台詞を続ける。一旦やり直した方が良い気が…。

 

 

「ちょっと大人な感じ〜! きゃ〜〜♪」

「探してただけなんだけどねぇ…?」

「でもでもマヤ、今は急いでるんだよね。おしゃべりした……じゃなくって、してあげたいんだけど…」

「やっぱり用事があるんだよね。だったら別の日に「あっ、そーだ!」…」

「キミも一緒に来たらいいよ! ねっ、いいよねユキっぺ?」

「へっ?」

 

 

 いきなり話を振られて動揺するユキノビジン。返事をする前にマヤノに腕を掴まれ肩が跳ねる。それは僕も同じだった。

 

 

「決ーまり! そうとなったら、テイクオーフッ!」

「「えぇー…?」」

 

 

 訳の分からないままマヤノに腕を引かれる僕とユキノビジン。顔を見合わせた僕達は諦めたように苦笑いを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

「うわぁ、うわぁぁぁ……! シチーさん、やっぱすげぇなぁ…!」

「うんうんっ! 2人ともすっごいキラキラしてるねー!」

「シチーとタマモの差ってどれくらいなんだろう。 2バ身くらい?」

 

 

 マヤノに連れて来られたのはレース会場。どうやらユキノビジンがゴールドシチーの走りを見たがっていたらしく、レースに食い入るような眼を注いでいた。もちろんマヤノも楽しそうに観戦していて、そんな2人のことを可愛いなぁと思いながら売店で買ったお茶で喉を潤す。

 

 にしてもタマモクロスもゴールドシチーも、魅惑的なお腹をしていらっしゃる。くびれの辺りとおへそがほんと最高だね、出来る事なら撫でまわしたい。いや、舐めまわしたい!

 

 

 ──ドスッ!!

 

 

「うまだっち!?」

 

 

 鈍く重たい音と共に足の甲を激痛が走る。何事かと足元に目をやると僕のより一回り小さなローファーが捻りを加えて僕の足を踏み付けていた。なんとかローファーから抜け出した足を抑えて、踏み付けてきたマヤノ睨み付ける。

 

 

「なんで足踏んできたのさ! めちゃくちゃ痛かったんだけどぉ!?」

「…さっき変なこと考えてたでしょ?」

「スゥー……ソンナコトナイヨ?」

「見てたもん! いまシチーさんとタマモさんのお腹をエッチな目で見てたもん!」

「大声でそんな事言わないでくれないかなぁ!?」

 

 

 あっ、やばい。周りからの冷たい視線がほんと痛い…! と言うかなんで僕の思考がバレたんだ…!?

 

 

「トレーナーちゃんのえっち! そう言うのはマヤだけにしてよ!」

「………ん?」

「え? ……あっ」

 

 

 聞き間違えかな、今マヤノがとんでもない発言をした様な気がしたよ?

 マヤノの方を見ると赤い絵の具をぶち撒けたのかってくらい顔が真っ赤で、見てるだけなのに僕まで顔が熱くなってきた。

 

 

「ぇ、えっと、そのぉ〜………あっ、あー! タマモさんが抜け出した〜! あそこでビュンっていくのもアリなんだ〜!」

「あっ、ほんとだ〜。シチー抜かしてる〜」

 

 

 強引に話を逸らしたマヤノ。僕も気不味かったのでそれに乗っかる事にした。

 

 レースも終盤、最後の直線で抜け出したタマモが1着でゴール。僅差でシチーが2着、どうやら仕掛けのタイミングを誤ったようだ。それさえ無ければタマモではなくシチーが1着だったかもしれない。

 

 

「すっげぇレースだったなぁ…! タマモさんもシチーさんも、かっこよかったぁ〜……!」

「そっかぁ、あそこでダンッて行くと早過ぎちゃうんだ…。シチーさんはわかったんだ、すごーい…!」

 

 

 パチパチと拍手しながら瞳を輝かせるユキノと、まだ少し顔が赤いマヤノ。

 

 

「やっぱりワクワクなレースに出てるお姉さんたちって、キラキラしてる〜! いいなぁ、マヤもキラキラしたいなぁ……」

「ワクワク?」

「うんっ! こういうおっきなレースって、マヤにもわからないことがいーっぱいで、すっごくワクワクするの!」

「ならキラキラって?」

「マヤのわからないことをわかってる、大人のウマ娘さんたちって、すっごくキラキラして見えるんだぁ〜!」

 

 

 大人のウマ娘って、あんまりマヤノ達と歳の差無いと思うんだけどなぁ。あっ、年齢的な意味じゃなくて経験則的なかんじ?

 

 

「だからね、マヤもあんなふうになりたいの! ワックワクのレースを走って、キラキラしたいっ!」

「…そっか」

「いいなぁ〜、トゥインクル・シリーズ……。マヤもあそこで走りたいなぁ〜…!」

「ぁ、あたしも…! まだ遠い舞台かもしンねぇけど、いつかは絶対……! よーし、さっそく学園に戻ってトレーニングがんばっぺぇ!」

「えー、トレーニングぅ…?」

 

 

 ユキノが気合を入れて拳を挙げる隣で、マヤノはむすーっとした顰めっ面を見せる。

 

 

「ヤダ! マヤはやーらないっ。トレーニングなんてつまんないもん」

「つまらない、ねぇ…?」

「レース場探探検して来よーっと。じゃあねー!」

「あっ、マヤちゃん!?」

 

 

 ユキノが手を伸ばすも届かず、あっという間にマヤノは人混みに紛れて見えなくなってしまった。

 この人混みでもあんな速く……流石は脚質適性が全部B以上あるとか言う驚き性能だねぇ。

 

 

「ねぇユキノ、マヤノってトレーニングが苦手なのか?」

「いやいや! マヤちゃんに苦手なことなンか、たぶん無ぇですよ。なあンでも、やればすぐ出来るようになっちゃうすげぇ子ンです!」

「ほぅ」

「初めてダートを走った時もすぐコツ掴んで、ウイニングライブのダンスレッスンだって、苦労してるの見たことねぇです。お勉強だってすげぇですし……とにかく、『わかった』時のマヤちゃんはすげぇンですよ〜!」

「『わかった』って?」

「マヤちゃん、よくそう言うンです。なんでもかんでも、すぐ『わかった』って。そうなった後のマヤちゃんはすげぇンです!」

 

 

 ユキノのおかげでマヤノの事が大体わかって来た。『わかる』と言う異様な理解力と驚異的な直感。先日のレースで見せた『レース展開を見極める洞察力』もその片鱗だったのだろう。勝負事でこれほど敵に回したくない才能が他にあるだろうか? 少なくとも僕は思い付きそうに無い。

 

 

「けど、なんでかトレーニングがとにかく面白くねぇみてぇで……最初の1回以降、1度も参加してないらしいンですよねぇ」

「最初の1回しか参加して無いって……えぇ──…?」

「……そのせいで模擬も含めて、レースは全部出走禁止になっちまってて…」

「なるほど、だからマヤは選抜レースにも出られなかったのか」

 

 

 少し可哀想だけど練習があってこその本番、最初以外は出て居ないとなると出走権など貰えるはずがない。

 

 

「マヤちゃん、ちょっと可哀想です……」

「…そーだね」

 

 

 選抜レースの時も、さっきの観戦の時もマヤノが見せて居た憧れの眼差しを思い出す。

 

 

「さてと、どーしたら良いのかねぇ……?」

 

 

 とりあえずもう一度話してみよう。そう思い僕はユキノに一言声を掛け、先程マヤノが向かったであろう方へと足を進めるのだった。

 

 




続きは書けたら書きます。
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