白兎は理想を抱え、幻想へと走る   作:幻桜ユウ

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第一話 

 「お祖父ちゃん! お祖父ちゃん!」

 

 白髪赤目の少年は泣く。

 

 たった一人の家族を亡くしてしまったから。

 

 ただ一つ言うなれば、この少年はたった5歳という歳で肉親と死別したということだろう。

 

 その少年の後ろには何とも言えない表情で少年を見ている女性がいた。

 

 ・・・・・・だが、女性というには少し、いや、かなり足りない胸だが(ボゴッ!

 

 すみません。

 

 えっと、気を取り直して、これはある一人の少年がある一つの大いなる物語とはまた違った冒険譚である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは迷宮都市オラリオ。幾多の冒険者がおり、ダンジョンへと挑む、とても賑やかな街である。

 

 そして、都市最大派閥の一つ『ロキファミリア』は今日も騒がしかった。

 

 

 

 

 「こら! アイズ! どこに行った!」

 

 ハイエルフの王女のリヴェリア・リヨス・アールヴは今日も自分の授業から逃げ出した問題児、アイズ・ヴァレンシュタインを探している。周りの団員達は「またか」という表情で見守っている。

 

 「アイズ・・・どこに行ったのかな?」

 

 リヴェリアの横で同じくアイズを探す白髪赤目の少年はベル・クラネル。少し前にアイズと同時期に保護されて、冒険者の一人として活動している。もちろん、アイズも冒険者だ。このオラリオではベルとアイズは期待のルーキーとして都市の有名人である。

 

 「全く。すまないなベル。アイズのせいで授業が中断なってしまった」

 

 リヴェリアはベルに謝る。ベルはとても勤勉で何故かファミリアの団員から避けられる自分の授業にも何の不満抱かず、それどころかとても積極的に参加している。アイズは全くの正反対と言っても良く、すぐ目を離せば、ダンジョンに向かってしまい、とても世話を焼いている。

 

 ベルは首を振って、大丈夫だと告げる。

 

 アイズにこの子の爪の垢を煎じて飲ませたいぐらいである。

 

 「ベル。アイズがどこに行ったか分かるか?」

 「う〜ん。ダンジョンだと思ったけど、武器置いていってたし、別のところかもしれない」

 「そうか」

 

 ふむ。どうすべきか。闇派閥のこともある。あまり遠くに行っていてほしくないのだが、仕方ない。

 

 少し、真面目に追いかけるとしよう。

 

 リヴェリアが纏う雰囲気を変え、ベルは内心「これはかなり怒ってるな〜」と思っていたが、それだけ心配なのだろうと理解した。

 

 「では、ベル。私はあの問題児を連れて帰ってくるから、先に部屋にロキのところに行ってくれ」

 「分かった」

 

 ベルはトテトテとロキの所に向かった。側から見れば、兎がぴょんぴょんと跳ねているようにしか見えない。

 

 リヴェリアはそんなベルの様子を見て、癒されながら、レベル5の『敏捷』で向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルは執務室の前に来て、トントンと扉をノックした。

 

 「ベルかな? 良いよ、入っておいで」

 

 ベルはいつも思う。何故ノックしただけで分かるのだろうか?と。

 

 ファミリアの団長ー『勇者』のフィン・ディムナは圧倒的な頭脳を持っている。

 

 さて、皆様も疑問に思っていることだろう。「このショタベルは妙に大人びてないか?」と。えっ? 思ってないって? そんなこと言わないでよ。

 

 冗談はさておき、このベルは前世と前前世を覚えている。前世とはオラリオの冒険者の『ヘスティア・ファミリア」の団長として英雄にまで至ったこと。前前世とは今の時代でいう『古代』の『始原の英雄』とも呼ばれるアルゴノゥトとしての記憶だ。

 

 これは主神ーロキ以外には誰にも話しておらず、ロキに話した時には「よりもよってあのドチビのファミリアやと〜!」と言っていたことには苦笑せざるを得なかった。

 

 では、場面を戻そう。

 

 僕は扉を開けて、部屋の中に入った。

 

 「やあ、アイズはまた逃げ出したのかい?」

 

 フィンさんは苦笑混じりに言う。

 

 「アイズたんはもう少し落ち着きを持つべきやな〜」

 

 ロキ様はゲラゲラ笑う。

 

 「あはは・・・」

 

 もちろん、僕は何とも言えないものである。前世でアイズに初めて会った時から、ずっとあの人は憧憬で好きな人だったのだ。前世では『ある事件』の後、正式に恋人になり、神様達に僕は『英雄王』とアイズは『英雄王妃』と呼ばれ、それからはほぼ、夫婦同然のようなものだった。たとえ、今そうでなくてもアイズを悪く言えるわけないであろう。

 

 「そうだ。リヴェリアさんにステータスの更新をしてこいと言われたので、お願いします」

 「ええよ〜。じゃあ、こっちに座りや〜」

 「僕も同席しても良いかい?」

 「はい、良いですよ」

 

 僕は上半身だけ脱いで、ロキ様に背中を向けた。ロキ様は背中に刻まれた神の恩恵(ファルナ)の更新をする。

 

 「ベルたん・・・。アイズたんにも言うてるけど、ベルたんも大概やで」

 「そうですか?」

 「いくらなんでも、僕にはこれは擁護できないな〜」

 「フィンさんまで?」

 「ほい、終了。これが結果や。よう見てみい」

 「はあ・・・」

 

 僕はロキ様から手渡された羊皮紙を見た。

 

 

 

 

 ベル・クラネル Lv.2

 

 『力』S 901→954

 『耐久』S 942→973

 『器用』S 982→SS 1035

 『敏捷』SS 1072→SSS 1121

 『魔力』S 923→942

 

 幸運 H

 

 《魔法》

 【エレメンタルフォース】

 ・付与魔法

 ・速攻魔法

 ・『ーーーフォース』に属性名を入れることでその属性を纏うことができる

 ・使用可能属性 『ファイア』『アイス』『ウィンド』『サンダー』『アース』『ホーリー』『ダーク』

 

 《スキル》

 【理想】

 ・早熟する

 ・理想を強く想う程、効果上昇

 ・想いは伝播する。

 

 【幻想】

 ・【理想】が限界へと至った時発動

 ・古き理想が燃えて、新しき理想が生まれる

 ・燃やされた理想は使用可能

 

 

 

 

 

 

 

 

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