白兎は理想を抱え、幻想へと走る   作:幻桜ユウ

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第十六話

 

 

 

 「う、うーん」

 

 僕は目が覚めた。ここは・・・僕の部屋かな?

 

 確か、アレンさんと戦って、それで・・・

 

 

 

 「「ハアアアアァァァァ!」」

 

 最後、僕の剣とアレンさんの槍がぶつかって、僕が押し負けたのか。

 

 ハァ。アレンさん強すぎないか? この時点で前世で初めて会った時と同じくらい強くなっている気がする。

 

 正直、『英雄王』としては歓迎するのだけど、僕としては悔しいかな。

 

 ・・・あの人の英雄であり続けると決めた時にもう負けないつもりでいたのに。どこかで気が緩んでいたのかな?

 

 まぁ良いかな。悔しい事は間違い無いけど、もう一度、僕が強くなる理由を確認できたのだから。前向きに行こう。

 

 そして、僕が身体を起こそうとすると、どうやら僕のベッドに身体を預けて寝ている人がいるようだ。しかも、一人じゃ無い。

 

 えっと、アイズ、リヴェリアさん、お母さん。

 

 わぁ。家族大集合。

 

 とりあえず、三人起こさないと僕も起き上がれないし、

 

 「三人とも『起きて』」

 「「「ッ!?」」」

 

 僕のちょっとした声に三人が飛び起きた。

 

 リヴェリアさんが肩で息をしながら、僕に話しかける。

 

 「ベ、ベル。起きたのか。というか、起こすならもう少し、真っ当な起こし方にしてくれ。心臓に悪いぞ」

 

 お母さんにも、

 

 「そ、そうよ!? いくら何でも、それはやめてほしいわ」

 

 しかし、アイズは

 

 「ベル、今度それで寝かし付けて」

 

 と要求してくる。

 

 するわけないでしょ。

 

 僕がやったのは『音』を通じて相手の精神に直接影響を与えた。影響といっても、軽く『夢見』を良くしようとさせただけだが。

 

 下層、深層に行くような人ならば、敏感に反応する。

 

 アイズは、どうなんだろうなぁ。

 

 アイズはたまに何考えているか分からない。だから、本気か冗談かあまり判別できない。

 

 すると、リヴェリアさんが口を開いた。

 

 「全く。心配したぞ。いきなり、あの『女神の戦車(ヴァナ・フレイヤ)』が寝ているお前を背負ってここまで運んできたのだからな」

 

 あの人本当に世話焼きだよなぁ。

 

 「事情を聞けば、『女神の戦車(ヴァナ・フレイヤ)』と模擬戦をしたのだろう? 良く無事だったな。・・・無事じゃなかったら、【フレイヤ・ファミリア】を滅ぼしに行っていたが」

 

 ヤッバイ。めっちゃ怒ってる。

 

 「そうねぇ。その時は私も行くわ。私の子を傷付けた罪は重いわよ」

 

 怖い! 具体的に言うと、前世でレベル4の時にリューさんと深層探索した時くらい怖い!

 

 「ベル。よしよし」

 

 アイズは平常運転。僕の頭を撫でている。

 

 「アイズは普通なんだね」

 「ん。私はアレンさんがずるいと思う」

 「ず、ずるい?」

 

 あれ? 何だか雲行きが怪しいな?

 

 「私も全力のベルと戦いたい」

 「いや、あのね? 模擬戦だから、言うほど、全力じゃないっていうか」

 「でも、スキル使ったんでしょ」

 「ぐっ、何故それを」

 「アレンさんが自慢してきた」

 

 アレンさぁぁぁぁぁん!?!? 何故言ったんですか!? こうなる事が目に見えているでしょうに!

 

 はっ! まさか! あの時の攻撃が手加減していた事がバレた!? だから、その仕返しにこれを!?

 

 それに気づいた瞬間、どこかで黒い猫人(キャットピープル)がニヤっとした気がする。

 

 「だから、【フレイヤ・ファミリア】に行く前に全力のベルと戦って、自慢しに行く」

 

 動機がショボ過ぎる!

 

 かなりの子供染みた目的を話すアイズ。(実際子供だが)

 

 「落ち着いて。この通り、僕は無事だし、模擬戦を受けたのは僕の意思だし、アレンさんが勘違いしているだけだから」

 

 僕は三人を宥めるのにかなりの時間を要した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・ということがありまして」

 「ははっ。それだけ二人はベルのことが心配だったということだよ。アイズは・・・また違うけどね」

 「ベルたんはホンマに無茶を平気でするんやな〜」

 

 三人を宥め終えた後、フィンさんとロキ様にも話しに行った。

 

 「そんじゃ、ベルたん。ステイタス更新しよっか〜」

 「あっはい。お願いします」

 

 アイズやアレンさんとの模擬戦を通して経験値(エクセリア)が大量に溜まっているため、ステイタス更新をすることになった。

 

 いつも通り、背中でステイタス更新を感じながら、僕はこの後の事を考えていく。

 

 どうするべきか。一番気にしなければならないのは二年後の『死の七日間』だ。

 

 だが、他にもある。神タナトスによるワイヴァーンの事件。イシュタル・ファミリアもあった筈だ。

 

 これらは全て潰す必要がある。神タナトスの件についてはちょっとヘルメス様に用がある。

 

 深い思考に行きそうになった時、ロキ様がステイタス更新が終わって、僕に情報を見せてきた。

 

 

 

 ベル・クラネル Lv.3

 

 『力』I0→D 546

 『耐久』I0→E 486

 『器用』I0→E 493

 『敏捷』I0→D 587

 『魔力』I0→E 452

 

 幸運 G 純粋 H

 

 《魔法》

 【】

 

 《スキル》

 【理想】

 ・早熟する

 ・理想を強く想う程、効果上昇

 ・想いは伝播する。

 

 【幻想】

 ・【理想】が限界へと至った時発動

 ・古き理想が燃えて、新しき理想が生まれる

 ・燃やされた理想は使用可能

 

 【理想昇華】

 ・燃やされた理想を理想の形に応じて変化

 ・燃やされた理想を理想の質に応じて強化

 ・燃やされた理想を理想の色に応じて昇華

 

 

 

 

 

 「アビリティが軒並み上がりましたね」

 「そんなレベルやないで・・・。頭がおかしなるで」

 「これはすごいね。僕も負けてられないよ」

 

 ロキ様が頭を押さえ、フィンさんは驚きながらも、更なる強さを求める決意をしたようだ。

 

 僕ももっと強くならなくちゃ。

 

 

 

 そして、舞台は二年後へと移る。

 

 

 

 ベルとアイズはレベル5冒険者に。

 

 フィンさん、リヴェリアさん、ガレスさんはレベル6冒険者に。

 

 アストレア・ファミリア大体がレベル4冒険者に、リューさん、アリーゼさん、輝夜さんはレベル5冒険者に。

 

 フレイヤ・ファミリアの幹部はレベル6冒険者に。

 

 オッタルさんはレベル7冒険者に。

 

 そして、アルフィアさん、ザルドさんはレベル8冒険者に。

 

 

 

 『死の七日間』は正史よりも更なる激化を遂げ、それは後に『英雄達の大宴会』と呼ばれる。

 

 

 

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