白兎は理想を抱え、幻想へと走る   作:幻桜ユウ

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第三十二話

 

 

 無事、合流を果たした僕達は少し休憩を挟み、59階層へと足を進める。

 

 【ゼウス・ファミリア】が残した記録では59階層以下は『氷河の領域』。

 

 しかし、寒いどころか蒸し暑い。

 

 連絡路の階段を降り終えた僕達の視界に広がったのは。

 

 氷河もなく、氷山もなく、蒼水の流れもない。

 

 瞳に映るのは、不気味な植物と草木が群生する、変わり果てた59階層の景気だった。

 

 最初に思い浮かぶのは24階層の食料庫(パントリー)

 

 そんな光景にアイズやベートさんは気を引き締めて、サポーター達は狼狽える。

 

 フィンさんの「前進」という言葉に僕達は動き出した。

 

 やがて、密林は消えて、視界は一気に広がった。

 

 しかし、密林の代わりに出てきたのは夥しい量の芋虫型と食人花のモンスター。

 

 そんな吐き気を催すほどの怪物の大群が囲むのは、巨大植物の下半身を持つ、女体型だった。

 

 

 「『宝玉』の女体型(モンスター)か」

 「寄生したのは……『タイタン・アルム』、なのか?」

 

 

 頬に皺を寄せるガレスさんの横で、リヴェリアさんがとあるモンスターの名を口にする。

 

 確か、深層域に棲息する巨大植物のモンスターだったはず。同胞も冒険者も手当たり次第捕食する『死体の王花』。

 

 僕達は気づいてしまった。今自分達が踏んでいる灰色の大地は、全てモンスターの死骸なのだと。

 

 そして、今、怪物の下半身に、天女と見紛う上半身を持つ巨大生物が59階層の中心で産声を上げた。

 

 誰もが正体不明の存在に戦慄する中、僕とアイズだけはその正体を知っている。

 

 

 『アリア──アリア!! それにジュピターも!』

 

 

 アイズを見て『アリア』と、僕を──正確には僕の持つ『雷霆の剣』を──見て『ジュピター』と呼ぶ。

 

 アイズは震える唇を開き、その正体の名を呟く。

 

 

 「『精霊』……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 団員達はアイズが言った『精霊』という言葉に各々の反応を示す。

 

 皆が『彼女』に視線を向けながら、『彼女』は笑いながら僕とアイズに向かって呼びかける。

 

 

 『アリア、ジュピター!』

 『会イタカッタ、会イタカッタ!』

 『貴方達モ、一緒ニ成リマショウ!?』

 『貴方達ヲ、食ベサセテ?』

 

 

 そして、『穢れた精霊』は三日月の笑みを浮かべた。

 

 次の瞬間、『魔石』を献上していた芋虫型と食人花が、『彼女』の意思を乗せて、僕達に向かって来た。

 

 

 「総員、戦闘準備!!」

 

 

 誰よりも早く上がるフィンさんの号令

 

 僕達はフィンさんの指示に合わせて、行動を開始する。

 

 女体型は僕とアイズを完全に狙って攻撃をしてくる。アイズへの攻撃はティオナさん達が迎撃する。

 

 まぁ、流石に僕を援護するような人はいないため、僕は双剣を振り、焼き払う。

 

 フィンさんは統率者の仮面が罅割れ、今にも剥落しようとしている。

 

 そんな状況と共に起きた事が僕以外の全員が驚愕した。

 

 

 『【火ヨ、来タレ──】』

 

 

 呪文(うた)が奏でられる。

 

 巨大な下半身のもとに展開される広大な魔法円(マジックサークル)

 

 禍々しい紋様と立ち昇る紅の魔力光が、女体型の全身を包み込んだ。

 

 僕は『超長文詠唱』による【ファイアーストーム】だと判断し、詠唱を止めるために動き出す。

 

 フィンさんがリヴェリアさんに結界を張るように叫び、団員に詠唱を止めるように命令するが、『魔剣』の同時射撃もレフィーヤの魔法も女体型には一切傷が付かなかった。

 

 【ディア・アルゴノゥト】は間に合わない! 

 

 そう断じた僕は、直ぐに【英雄願望(アルゴノゥト)】を発動し、『雷霆の剣』に光を収束させる。

 

 

 『【猛ヨ猛ヨ猛ヨ炎ノ渦ヨ紅蓮ノ壁ヨ業火ノ咆哮ヨ突風ノ力ヲ借リ世界ヲ閉ザセ燃エル空燃エル大地燃エル海燃エル泉燃エル山燃エル命全テヲ焦土ト変エ怒リト嘆きキノ号砲ヲ我ガ愛セシ英雄(カレ)(トキ)ノ代償ヲ──】』 

 『【舞い踊れ大気の精よ、光の主よ。森の守り手と契りを結び、大地の歌をもって我らを包め。我等を囲え】』

 

 

 女体型とリヴェリアさんの同時詠唱。

 

 この調子じゃ20秒しか蓄力(チャージ)できない! それに! 

 

 全く的に近づけない。

 

 一体一体が大した事は無くても量が多すぎる。その上で詠唱を続けながらも無数の触手でモンスターすらも巻き込んで薙ぎ払う。

 

 

 『【代行者ノ名ニオイテ命ジル与エラレシ我ガ名ハ火精霊(サラマンダー)炎ノ化身炎ノ女王(オウ)──】』

 

 

 くそ! 間に合わない! 

 

 僕は攻撃を諦め、仲間を守る方を選択する。

 

 

 「──総員、リヴェリアの結界まで下がれ!!」

 

 

 フィンさんは趨勢を見極め、退避を命じる。

 

 最前線にいた僕は【ファイアボルト】を唱え、一気にリヴェリアさんの元まで下がった。

 

 

 「【大いなる森光の障壁となって我等を守れ──我が名はアールヴ】!」

 

 

 リヴェリアさんは最硬の防護魔法が行使した。

 

 

 「【ヴィア・シルヘイム】!!」

 

 

 リヴェリアの足元に展開されていた翡翠色の魔法円(マジックサークル)が光輝を放ち、そのままドーム状の緑光領域へと変貌した。術者を含め14名の冒険者を全て包み込む。

 

 物理・魔法攻撃を全て遮断する『結界魔法』の展開──それとほぼ、同時。

 

 詠唱を終えた女体型は、『魔法』を発動させる。

 

 

 『【ファイアーストーム】』

 

 

 世界が紅に染まった。

 

 火炎の精霊を彷彿させる、極大の炎嵐。

 

 灼熱の世界と隔絶される僕達は障壁の外の光景に立ち竦む中。

 

 ピキッ、ピキッッ、と。

 

 今まで傷一つ付くことがなかった最強魔導士の結界魔法に、亀裂が生じる。

 

 フィンさんはガレスさんに命令し、僕も動く。

 

 ガレスさんはリヴェリアさんの背後に躍り出る。

 

 僕はその横に立ち、結界が割れた瞬間、リヴェリアさんの前に立てるように準備した。

 

 そして、次の瞬間、リヴェリアさんの結界魔法が甲高い音を立てて砕け散った。

 

 リヴェリアさんが紅蓮の濁流に呑み込まれる前に、僕はリヴェリアさんの前に出て、30秒蓄力(チャージ)した『雷霆の剣』を地面に突き刺し雷を放出し、結界の如く展開する。

 

 

 「「ベルッ!」」

 「兄さん!」

 

 

 アイズ、リヴェリアさん、レフィーヤさんが僕を心配する声を出す。

 

 

 「大丈夫。絶対に皆を守るから」

 

 

 僕は笑顔を浮かべながらそう言うが、炎の猛威はそんな僕を嘲笑うかのように雷を呑み込む。

 

 

 「小僧っ!」

 

 

 ガレスさんも2枚の大楯を構え、僕と一緒に防御するが、業火の波に晒され、すぐに大楯は消散した。

 

 だが、僕は『炎の魔剣』も地面に突き刺し、炎も顕現させ、炎雷の結界を作る。

 

 

 「ハアアアアアァァァァァァァァ!!!!」

 

 

 業火と炎雷はぶつかり合い、やがて大爆発した。

 

 視界を真っ赤に染める爆光とともに僕の後方にいた人達は決河の勢いで後方に吹き飛ばされた。

 

 僕は双剣から手を離さないが、それでも膝をついてしまう。

 

 だが、立たなければならない。

 

 立たなければ、守る事もできない。

 

 立て! 立つんだ! ベル・クラネル! 

 

 そんな自分への発破すらも絶望へと落とすかのように、更なる詠唱(うた)が。

 

 

 『【地ヨ、唸レ──】』

 

 

 女体型は微笑みながら詠唱を始める。

 

 展開される黒の魔法円(マジックサークル)。先程とは異なる漆黒の魔力光。

 

 魔法執行直後の硬直を介さず再詠唱に入った怪物に僕達は凍りつく。

 

 

 『【来タレ来タレ来タレ大地ノ殻ヨ黒鉄ノ宝閃(ヒカリ)ヨ星ノ鉄槌ヨ開闢ノ契約ヲモッテ反転セヨ空ヲ焼ケ地ヲ砕ケ橋ヲ架ケ天地(ヒトツ)ト為レ降リソソグ天空ノ斧破壊ノ厄災──】』

 

 

 詠唱量が落ち、すぐに砲撃は撃ち出される。

 

 

 『【代行者ノ名ニオイテ命ジル与エラレシ我ガ名ハ地精霊(ノーム)大地ノ化身大地ノ女王(オウ)──】』

 

 

 僕は何もできずにその歌を聞いていた。

 

 

 『【メテオ・スウォーム】』

 

 

 魔法円(マジックサークル)の輝きが直上に打ち上がり、階層天域が闇と光に包まれる。

 

 膨大な『魔力』が収束し、次には黒光の隕石群が姿を現した。

 

 

 「ラウル達を守れッ!?」

 

 

 フィンさんの叫びに僕は双剣を支えにして立ち上がり、パーティの真ん中まで移動し、今ある精神力(マインド)を総動員し、魔法を使う。

 

 

 「【ファイアボルト】ォ!!」

 

 

 無詠唱で出された炎雷はパーティ全員を包み込み、残った炎雷はパーティの頭上に壁となって展開する。

 

 くそっ! 全部防げない! 少しでもダメージを減らさないと! 

 

 そんな僕の思いも皆も等しく吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 立て。

 

 立て! 

 

 立て!! 

 

 立つんだ!! 

 

 今ここで立たなければ、『英雄』ではない! 

 

 今ここで吠えなければ、『英雄』ではない! 

 

 今ここで進まなければ、『英雄』になんてなれはしない!! 

 

 僕はまだ生きている! 

 

 僕の手足は繋がっている! 

 

 ならば、立てるだろう! 

 

 そうだろう! 

 

 ベル・クラネル! 

 

 

 

 

 

 絶大な破壊を齎した女体型は『魔力』を再蓄積(リチャージ)する。

 

 その光景は皆の闘争心を風前の灯火と化させるのは充分だった。

 

 ベートもティオナもティオネもレフィーヤもラウル達サポーターも。

 

 そして、アイズもリヴェリアもガレスも。

 

 しかし。

 

 しかしだ。

 

 それでも立つ者はここにいる。

 

 この光景を見ても尚、立ち上がる者が二人いた。

 

 ベルとフィンだ。

 

 ベルはボロボロの身体に鞭を打って、立ち上がる。

 

 フィンは汚れた顔を右腕で乱暴に拭い、立ち上がる。

 

 そして、ベルは双剣を召喚し、フィンは地に転がっている長槍を拾い上げ、遥か前方、禍々しい精霊達と対峙した。

 

 ベルは剣を、フィンは槍を地面に突き立てる。

 

 そして、フィンは言った。

 

 

 「あの怪物(モンスター)を、討つ」

 

 

 瞠目する冒険者達を、横顔を向けて見やりながら、

 

 

 「君達に『勇気』を問おう。その目には、何が見えている?」

 「恐怖か、絶望か、破滅か? 僕の目には倒すべき敵、そして勝機しか見えていない。──ベル。君はどうだい?」

 

 

 フィンさんは横にいる僕に尋ねてくる。

 

 僕は確固たる意志を持って、笑いを浮かべ答える。

 

 

 「僕達が怪物に勝利する『英雄譚』が」

 

 

 僕はそう言い、詠唱を開始する。

 

 

 「【笑おう! たとえどんな苦難があろうとも! 紡がれるは喜劇! 暗黒の世界を照らす希望の光! 神々よご照覧あれ! 私が、始まりの英雄だ!】」

 「【ディア・アルゴノゥト】!」

 

 

 僕は『神雷の剣』と『聖火の魔剣』を持ち、【英雄願望(アルゴノゥト)】の発動。

 

 ゴォォン! ゴォォン! ゴォォン! ゴォォン! 

 

 大鐘楼(グランドベル)を鳴らす。

 

 さらに──

 

 

 「【ファイアボルト】」

 

 

 神雷と聖火を身に纏い、背中から翼を作り出す。

 

 異端児(ゼノス)のレイさんの羽とアスフィさんの飛翔靴(タラリア)を参考にした物だ。

 

 そして、少し浮き、滑空して、最高速で女体型へ向かう。

 

 

 

 

 

 それを見ていたパーティは一人ずつ確かに立ち上がった。

 

 その様子を見たフィンは苦笑しながら、

 

 

 「退路などもとより不要だ。何より、彼が道を切り開いている。君達は彼に背を向けて逃げるかい?」

 

 

 そう発破をかける。

 

 その発言は皆の闘争心に先程の業火にも負けない炎を産んだ。

 

 

 「言われんでも分かっとるわい!」

 「少年に守られて終わるわけがない!」

 「──負けてられっかッッ!!」

 「……上等じゃない!」

 「『冒険』……しなきゃね!」

 「私は……ベルの隣に立つ!」

 「兄さんには……負けられません!」

 

 

 各々が叫び、更なる決意を胸に秘める。

 

 その様子にラウル達サポーターは涙がこぼれ落ちそうになる。

 

 

 「斧を寄越せえぇ!!」

 

 

 ドワーフの激声にサポーターが大戦斧《グランドアックス》をぶつけるように手渡す。

 

 

 「お前達、私を守れ!!」

 『はいっ!!』

 

 

 そして、傷付いた体で杖を構え、リヴェリアは翡翠の魔法円(マジックサークル)を展開する。

 

 あらゆる行動を捨て詠唱のみに専心する都市最強の魔導士に、ラウル達も声を揃え従った。

 

 

 「……いいものを見た。手前も一助となろう」

 

 

 椿は太刀を構え、戦列に参加する。

 

 冒険者達の最終決戦(ラスト・バトル)が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は芋虫型や食人花を斬り伏せながら、道を開ける。

 

 そして、後ろから【ヘル・フィネガス(魔法)】を使ったフィンさんが来た。

 

 好戦欲を引き出し、能力を大幅に上昇させたフィンさんと更に迫り来るモンスター達を虐殺していく。

 

 

 『【火ヨ、来タレ──】』

 

 

 女体型は魔法を行使しようと詠唱するが、フィンさんの槍の投擲により魔力暴発(イグニス・ファトゥス)を発生させた。

 

 流石はフィンさん! 

 

 しかし、女体型はすぐに傷を塞ぎ、詠唱する。

 

 すると、レフィーヤが『並行詠唱』しながら、追いついてきた。

 

 

 「【どうか──力を貸し与えてほしい】────【エルフ・リング】」

 『【突キ進メ雷鳴ノ槍代行者タル我ガ名ハ雷精霊(トニトルス)雷ノ女王(オウ)──】』

 「短文詠唱!?」

 

 

 一瞬で用意された砲台にティオナさんが驚倒する。

 

 

 僕は詠唱式から察して、『神雷の剣』で防御しようとしたが、背後からの歌を聞いて、このまま走る事に決めた。

 

 

 「──【盾となれ、破邪の聖杯(さかずき)】!!」

 

 

 レフィーヤは敵の短文詠唱を超える超短文詠唱をもって、友の『魔法』を発動させる。

 

 

 『【サンダー・レイ】』

 「【ディオ・グレイル】!!」

 

 

 間髪入れず、聖なる白盾と雷の大鳴が衝突した。

 

 

 「行け! フィーナ!」

 「レフィーヤァッ!?」

 「踏ん張れぇえええええ──ーッ!!」

 「──ッ!!」

 

 

 そして、二つの『魔法』は相殺され、障壁に張り付いていたティオナさんとティオネさんは当然のように吹き飛び、魔法は行使していたレフィーヤも凄まじい勢いで真後ろに飛ぶ。

 

 しかし、僕たちは振り返らずに前へ進む。

 

 女体型との距離は50M(メドル)を切ろうとしていた。

 

 そして、美しき声で紡がれた王族(ハイエルフ)の魔法が炸裂する。

 

 

 「【レア・ラーヴァテイン】!!」

 

 

 無数の炎柱が生まれ、女体型の鉄壁の装甲を焼け落とした。

 

 その炎と熱気に押され、更に加速する。

 

 残り30(メドル)

 

 女体型は甲高い声を上げ、地面から夥しい緑槍が打ち出された。

 

 その壁に対し、ベートさんとフィンさんが渾身の刺突を繰り出す。

 

 しかし、突き破れない。

 

 突撃の勢いが止まる。戦況が覆される。

 

 そんな考えが頭をよぎるが、背後から高速回転する大刃が飛んできて、緑壁にぶち当たった。

 

 ガレスさん! 

 

 ガレスさんは僕達を追い抜かし、壁へと突っ込んだ。

 

 

 「なんじゃあっ、口だけかお主ら!」

 

 

 ガレスさんは獰猛に口を吊り上げ、食い込んだ《グランド・アックス》を引き抜き、もう一度破壊の一撃を叩き込む。

 

 ガレスさんの攻撃によって亀裂が入った壁にベートさんとフィンさんも更なる攻撃を叩き込む。

 

 

 「そんな訳あるかぁ!」

 「ふっ。そんなはずないだろう?」

 

 

 そして、壁に穴が空いた。

 

 

 「行け! ベル!」

 「行きやがれ! アイズ!」

 

 

 僕とアイズは三人が開けてくれた穴に突っ込む。

 

 残り10M(メドル)

 

 

 『────アリア! ジュピター!』

 

 女体型は最初のように二つの名を呼ぶ。

 

 しかし、最初と違うのは声が悲痛になっている所だろう。

 

 もうすぐだ。

 

 もうすぐで『君』を救える。

 

 

 「アイズッ!」

 「うんッ! 【吹き荒れろ(テンペスト)】──」

 『──イヤァ! 【閃光ヨ駆ケ抜ケヨ闇ヲ切リ裂ケ代行者タル我ガ名ハ光精霊(ルクス)光ノ化身光ノ女王(オウ)──】』

 

 

 

 

 

 「ベル、アイズ……」

 

 

 リヴェリアさんが呟く。

 

 

 「やれい」

 

 

 ガレスさんが瞳を細める。

 

 

 「「いけぇー!!」」

 

 

 ティオナさんとティオネさんが吠える。

 

 

 「ブチかませ」

 

 

 ベートが告げる。

 

 

 「頼んだよ」

 

 

 フィンさんが笑う。

 

 

 「兄さん、お姉様」

 

 

 レフィーヤはその光景に『古代』を思い返す。

 

 そして、

 

 

 「ハアァ!」

 「リル・ラファーガ」

 『【ライト・バースト】』

 

 1分蓄力(チャージ)した神の炎雷と神風、精霊の光がぶつかり合った。

 

 いや、僕達は白の閃光を消し飛ばし、突き進んだ。

 

 そして、三つの剣は女体型を貫き、次の瞬間、巨体は爆砕した。

 

 魔石を貫かれ、灰となった女体型の体は僕の炎雷とアイズの風によって吹き飛んだ。

 

 その最中、不意に声が聞こえてきた気がした。

 

 

 『ありがとう。私を救ってくれて』

 

 

 僕はその言葉を聞き、意識が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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