白兎は理想を抱え、幻想へと走る   作:幻桜ユウ

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第三十四話

 

 

 

 そうして、僕は現実世界で目を覚ました。

 

 

 「あっ、起きた?」

 「うん。今、どういう状況なの? アイズ。僕がおぶられている気がするんだけど」

 「その通りだよ」

 

 

 起きたら教会・・・ではなく、アイズにおぶられていた。

 

 アイズの様子から察するに僕は【英雄の試練】が終わった後も、眠っていたようだ。

 

 だから、様子を見ていたアイズが僕を運んでくれているみたいだ。

 

 

 「お父様起きましたか? 随分とお疲れだったようで」

 「よしよし」

 

 

 二人とも・・・。僕が小さくなったからってここぞとばかりに撫でてくる。僕も疲れているから、体が動かず、抵抗もできない。抵抗できても、アイズに抑え込まれるだろうけど。

 

 

 「こういうの、良いね。久しぶりに親子が揃ったよ」

 「見た目的に逆に見えるだろうけどね」

 「お母様とお父様が私の子供。そういうのも良いですね!」

 「来世に期待してくれ」

 

 

 アリアドネの興奮に僕は何とも言えない気持ちで答える。

 

 

 「ごめん、アイズ。もうちょっと寝る」

 「うん、良いよ。『黄昏の館』に着いたら、起こすから」

 「うみゅ、ありやと」

 

 

 僕は眠気でもう呂律が回らず、意識はまた闇へと落ちる。

 

 温かな風に包まれて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイズは自分の愛しい人が再び寝たのを確認すると、【(エアリエル)】を起動させ、包み込む。

 

 その様子を見た愛しい娘達が微笑を浮かべながら、私に話しかける。

 

 

 「お母様は本当にお父様が大事なんですね」

 「私もおんぶしたい」

 「良いわよ? どっちがおんぶしたい?」

 「じゃあ、アイルズからどうぞ?」

 「ありがとう。お姉ちゃん」

 

 

 どうやら、決まったようなので、私は風を操り、ベルを浮かし、アイルズの背中へと持っていく。

 

 

 「ふふっ。可愛いね、お父様」

 「じゃあ、アリアドネ。私をおんぶして」

 「えっ? はい、分かりました。どうぞ?」

 

 

 私はしゃがんだアリアドネの背中に乗り、頭を撫でる。

 

 

 「んっ、ありがとう。よしよし」

 「ありがとうございます。お母様」

 

 

 ああ、温かいなぁ。これは寝ちゃいそう。

 

 

 「私も少し寝るから、『黄昏の館』に着く前に起こして」

 「はい、分かりました。では、しばらくお眠りください」

 「うん・・・すぅ」

 

 

 そうして、私も微睡む事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うーん。

 

 何やら、騒がしい。

 

 そろそろ起きないと。

 

 僕はそう思い、目を擦りながら開けると、

 

 

 「ベルとアイズを返すんだ! 誘拐犯め!」

 「私達は誘拐犯じゃありません! 私達は二人の娘ですから、正当な権利です!」

 「何が娘だ! 二人はまだ子供だぞ!」

 「ああもう! この人話通じない!」

 

 

 な、何が起きているんだ? 

 

 起きたら、目の前でリヴェリアお姉ちゃんとアリアドネが喧嘩していた。

 

 そして、アリアドネの背中ではアイズがすぅすぅ寝ている。

 

 この喧騒でも寝ていられるのか・・・凄いな。

 

 

 「二人とも、『落ち着いて』」

 「「ッ!」」

 

 

 恒例の少量の殺気を混ぜた声で落ち着かせる。

 

 二人は僕の声に反応し、肩で息をしながらこっちを向く。

 

 

 「お、お父様! それは心臓に悪すぎると仰ったでしょう!?」

 「ベ、ベル! 私が悪かったから、それは辞めてくれ!」

 

 

 あれ? 過剰すぎない?

 

 僕はそう思いながら、周りを見渡すと、武器に手を掛けかけたフィンさんとガレスさん。眠りから覚めて、びっくりしているアイズ。笑い転げているロキ様。そして、ちょっと震えて僕を背負っているアイルズ。

 

 あっ、やばい。ちょっとやり過ぎちゃった。

 

 

 「ごめんね、アイルズ。ちょっと下ろしてもらっていい?」

 「は、はい」

 

 

 アイルズは僕が下りやすいようにしゃがんでくれた。

 

 ああ、うん。ごめんねアイルズ。よしよし。

 

 アイルズの頭を撫でると、アイルズは「あう〜」と言って、涙目で僕に抱きつく。

 

 あっ、ちょっと力強い。レベル5で良かった。

 

 

 「それで、一体どうしたの?」

 「あ、えっとですねーー」

 

 

 愛娘説明中・・・

 

 

 「あー、なるほど。アリアドネとアイルズが寝ている僕とアイズを背負っていたから、二人が僕達を誘拐したとリヴェリアさんが勘違いした、と?」

 「す、すまなかった。少し、冷静ではなかった」

 「いえ、私の説明不足でもありました。こちらこそ、すみませんでした」

 

 

 リヴェリアさんは僕やアイズが絡むと少々ーーいや、かなり暴走する。アリアドネも普段はしっかり者だけど、たまにやらかすからね〜。二人ともそういう所が可愛いのだけど。

 

 

 「まぁ、事情を理解できたのなら良かった。そういえば、二人は【ロキ・ファミリア】に入るの?」

 「えっと、入れてくださるのなら嬉しいのですが・・・」

 

 

 アリアドネはチラッとロキ様を見る。

 

 

 「ん? 自分はええと思うで? フィンはどうや?」

 「僕も歓迎しよう。ベルとアイズの娘なら尚更だ」

 

 

 どうやら、ロキ様とフィンさんは歓迎的なようだ。

 

 良かった。

 

 あっそうだ。

 

 

 「ロキ様。アリアドネとアイルズの改宗(コンバージョン)と一緒に僕とアイズのステイタス更新もお願いします」

 「ん? ええけど、ダンジョンに行ってきたんか?」

 「いえ、【英雄の試練】を・・・」

 

 

 僕はそう言いかけた瞬間、ロキ様は僕を抱えて、応接室を飛び出し、部屋へと連れ込んだ。

 

 

 「えと、あの?」

 「・・・」

 

 

 ロキ様は無言で僕の服をめくり、ステイタス更新を始める。

 

 怖い怖い怖い!

 

 えっ何、いったい何?

 

 そして、ステイタス更新を終えたロキ様はプルプル震えだした。

 

 

 「えっと、ロキ様?」

 「な」

 「な?」

 「なんじゃこりゃああああああああああああああ!!!」

 

 

 ロキ様の叫び声が『黄昏の館』中に響いた。

 

 

 

 

 

 ベル・クラネル Lv.5

 

 『力』SSS 1892

 『耐久』SSS 1984

 『器用』SSS 1867

 『敏捷』SSS 2063

 『魔力』SSS 2236

 

 幸運D 純粋E 英雄S 昇華S 神聖S

 

 【魔法】

 【ファイアボルト】

 ・速攻魔法

 ・付与魔法に変化可能

 ・昇華時、『神雷』と『聖火』を纏う

 

 【ディア・アルゴノゥト】

 ・召喚魔法

 ・速攻魔法

 ・『雷霆の剣』『炎の魔剣』を召喚

 ・追加詠唱式『笑おう! 例えどんな苦難があろうとも! 紡がれるは喜劇! 暗黒の世界を照らす希望の光! 神々よご照覧あれ! 私が、始まりの英雄だ!』

 ・『雷霆の剣』を『神雷の剣』、『炎の魔剣』を『聖火の魔剣』に昇華

 ・自動的に【英雄願望(アルゴノゥト)】の発動

 

 【スキル】

 【原点回帰(ベル・クラネル)

 ・【英雄の試練】【英雄願望(アルゴノゥト)】使用可能

 ・【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】【眷属冒険譚(メモリア・フレーゼ)】【理想】発現

 ・【ファイアボルト】昇華可能

 ・【英雄願望(アルゴノゥト)】強化

 

 【原点回帰:幻想(アルゴノゥト)

 ・自分の(理想)乗る(同調)者の数に応じて自分のステイタス超高補正

 ・自分の(理想)乗る(同調)者にステイタス超高補正

 ・絶望に屈さず、希望を掲げる限り効果持続

 

 【精霊の救い手】

 ・身体組成を高次元へと昇華可能

 ・魂において思考、行動可能

 

 

 

 

 

 

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