翌日──
あっ、そういえば、まだ僕アルフィア義母さんにお母さんが生き返った事言ってない。
………………まいっか。
僕はそんなことは頭の片隅に追いやった。
さて、それよりも、だ。
今、僕達はダンジョンに来ている。
メンバーは僕、アイズ、アリアドネ、アイルズだ。
目的は娘2人の『調整』と妻の『本当の実力の確認』の二つだ。
……改めて妻って呼ぶの凄い恥ずかしい。
コホン、娘2人の『調整』は早く終わった。
そもそも、ズレが起きるのは『器』と『精神』があっていないから起きるのだ。
しかし、『器』は僕とほぼ同じで、『精神』というより『魂』は僕と繋がっている影響で、少し僕寄りになっている。
よって、元々ズレはあまり無かったのだ。
そして、もう一つの目的であるアイズの実力なのだが、ざっとまとめると以下の通りだ。
・詠唱式、魔法名を言わずに【魔法】の行使可能
・物理法則の無視可能
・魂の直接干渉可能
の3つである。頭おかしい。
最初の1つはまぁいいや。
だけど、下2つはもうおかしい。
これってつまり、『あらゆる物理的障害を無視して回避不可能の即死攻撃』ができるって事でしょ?
えっ、頭おかしくない?
貴方は一体何処を目指しているんですか?
まぁ、良いや。でも、どうしようかな。する事なくなった。
とりあえず、今日は27階層まで降りてみようか。
はーい。こちら、37階層の『深層』にいるベル・クラネルでーす。
えっ? 27階層までって話はどうしたのかって?
……
僕の魔剣とアイズの風とアリアドネの剣とアイルズの破壊魔法で。
それぞれ一撃入れたら、倒しちゃった。
思わず呆然としてしまった。
で、あまりにも味気なかったため、深層まで降りちゃったというわけです。
正直言おう、ここまで降りてきても全く問題ない。
アリアドネの領域魔法で僕達は持続的に体力と精神力の回復し、逆にモンスターたちそれらを奪われて動きが遅くなっている。それどころか、『スカル・シープ』のような隠密型すらも領域魔法の前では丸裸。
アイルズは領域の中に存在する全てを破壊する事ができる。つまり、わざわざ体を破壊しなくても、モンスターの体内にある魔石のみを破壊する事ができる。
正直、2人だけでも充分だ。
アリアドネが回復と探知を担い、アイルズは片っ端から破壊すれば良いのだから。
それなのにそこに僕とアイズもいる。
僕の双魔剣もアイズの風もどちらも深層のモンスターを一撃で倒せるだけの力を持っている。
うん。これ、『
いやー。深層って暗かった印象しかないけど、アリアドネのおかげで結構明るい。18階層の『
ちゃんと周囲の警戒はしてるんだよ? でもさ、もはやただの作業になりつつあるよ。
僕は『神雷の剣』で『スパルトイ』を粉々にしながら、そう思う。
うーん。確かここら辺って推奨はアビリティD以上のレベル4だったかな? パーティを組む事前提として。
で、僕達は全員レベル5でアビリティはSSS。
……あっ、ダメだこれ。オーバーすぎる。
よし、そろそろ荷物も一杯だし帰ろう!
別にこのままだと
決して、現実逃避ではないぞ!
そして、僕はまだまだ暴れ足りないようなアリアドネとアイルズを引っ張って地上へと帰還した。
ちなみに誰が速く地上まで着けるか勝負した。本気で。
しかし、僕は忘れていた。
アイズはあらゆる物理法則を無視できる。
それ即ち、
アイズは【
僕は【ファイアボルト】を付与し、浮かせた『神雷の剣』に乗って、雷の如く走った。
アリアドネは領域魔法を展開し、無限持久力を持った状態で最速で走った。
アイルズは魔法で自分をレベルをニ段階昇華させて走った。
だが、アイズは直線で戻っていくのに対し、僕達は階段を使わなければ上に上がれない。
結局、アイズに勝つことはできず、アイズにじゃが丸君を奢る事になったのだ。
ギルドで換金を済ませて、じゃが丸君を買った僕達は現在『星屑の館』にいる。
アストレア様が迎えてくれた。
「いらっしゃい、2人とも。そちらのお二人さんは?」
「初めまして、アストレア様。私の名前はアリアドネです。よろしくお願いします」
「私はアイルズです。アリアドネの妹です。よろしくお願いします」
3人は自己紹介をしている時、僕は先に中に入り、リビングにいた人達に挨拶する。
「こんにちはリューさん、アリーゼさん、輝夜さん、お母さん」
「あっ! ベル! こっちに来なさい! 一緒に喋りましょ!」
「こんにちは、ベル。……アリーゼ、少し落ち着きなさい」
「……ベルか、アリーゼではなく私の所に来い」
「ふふっ。ベルはモテモテね」
僕は最近、アリーゼさんに対して身の危険を感じ始めてきたので、輝夜さんの方に行った。
輝夜さんの隣に座ったが、輝夜さんは僕を掴み自分の膝に乗せた。
いや、あの、何してるんですか?
僕は振り向いて輝夜さんの顔を見る。
すると、輝夜さんと目が合って、輝夜さんはクスクスと笑う。
「ごめんあそばせ。ベルよ、身の危険を感じてアリーゼから離れたのは賢明だが、私の元に来るのは下策だぞ? 私もお前を狙っているのだからな」
輝夜さんはそういうと、舌舐めずりする。
あっ、獲物を狙う目つきだ。この人もアリーゼさんと同類だ!
そう、アリーゼさん──そして、今気づいた輝夜さん──は事あるごとに僕に迫ってくる。いや、僕としては嬉しいし、本当に来るなら断る気もないけど、なんか若干、いやかなり怖いんだけど!?
ちなみにであるが、僕が望むのは『恋人』ではなく『家族』。僕を好きな人を今世では拒むつもりはない。アイズには許可は貰ってるし──というか大体アイズが誘導したし、責任は取る──でも、流石にアイズ以外に『恋人』を作る気はないので、最初から『家族』として迎える。
一応、これに関しては僕が見る限り、僕に好意を持っている人達──タグに載っている人達──には伝えて置いた。そのせいなのか、いつも以上にアプローチが激しい。そして、どうやら今、輝夜さんも追加されたようだ。
なんだかなぁ。お祖父ちゃんが言ってた『ハーレム』みたいなもの──というか、まるっきりそれだけど──なんだけど、『男の浪漫』というものが、今でもよく分からない。
うーん。
いやー、あの
ちなみに余計な知識というのは『浮気』に関してである。僕がアステリオスと特訓しているだけで『浮気』だなんだと。ヘルメス様も悪ノリして「いやー、とても良い『殺し愛』だなー!」なんて言うから、より疑惑が加速した。
お陰でアイズが闇堕ち、ヤンデレになる所だった。
ああ、うん。もう、あれはヤメテホシイ。
僕は今までで一番最悪だった事件を思い返しながら、輝夜さんにナデナデされていた。