白兎は理想を抱え、幻想へと走る   作:幻桜ユウ

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第四十一話

 

 

 ベルが酔わされ、一時間後。

 

 ここで新たな人員が参加する。

 

 

 「えっと、大丈夫ですか? ベル」

 

 

 フィーナことレフィーヤと。

 

 

 「あらあら。かなり酔わされてますね」

 

 

 アリシアと。

 

 

 「私がここに来ても良いのだろうか?」

 

 

 フィルヴィスだった。

 

 エルフ三人娘の登場にベルは驚愕する。

 

 アリシアは『黄昏の館』でよく会うし、フィルヴィスはともかく、レフィーヤがここにいることはおかしい。

 

 何故ならば、本来レフィーヤはこの時期には『学区』にいるはずで、前世の記憶持ちでも『学区』からここに来れるはずがないのだ。

 

 レフィーヤは、ああ、と頬を掻きながら苦笑し、ベルに衝撃の事実を伝える。

 

 

 「やめちゃいました。『学区』」

 「はい?」

 

 

 何を言っているのだろうかこの娘は。やめた? 『学区』を? どうして?

 

 レフィーヤは慌てて訂正を入れる。

 

 

 「正確には卒業したんですけど、ほぼ無理やりなんですよね。成績優秀だからこそ、そこら辺を融通してもらえたというか」

 

 

 レフィーヤはベルに近づき隣に座る。今のレフィーヤはほぼ大人の姿で、見た目に似合わない色香を纏っている。

 

 あっ、やばい。レフィーヤがいつの間にか、リヴェリアお姉ちゃんに似てきている! 流石は《九魔姫(ナインヘル)》の後継者!

 

 僕は少し酔いが覚めてきたのにレフィーヤの雰囲気に当てられて、また頭がボーっとし始めてきた。

 

 

 「あっ、うっ」

 「あれ? ベル、大丈夫ですか?」

 

 

 そんな事を気にしないレフィーヤはさらにベルに近づき、自身の額をベルの額に合わせる。

 

 

 「うゆっ!?」

 「なんですかその声は……? う〜ん、熱は無いようですね」

 

 

 お酒などなどにより女性に対する耐性がダダ下がり中のベル。そんなベルに美しい女性が急接近したらどうなるだろうか? 勿論、オーバーヒートを起こすに決まっている。

 

 

 「きゅ〜」

 「あ、あれっ!? ベルっ!? 急に倒れて、やっぱり病気が!?」

 

 

 ベルは顔を真っ赤にして倒れて、レフィーヤは慌てふためく。倒れたベルを膝枕しようと数々の女性達が争い続け、男性達は我関せずを貫いていた。まさに地獄絵図だった。

 

 ちなみにベルの膝枕権を得たのはアルフィアだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルは目を覚まし、酔いが完全に覚めた頃。

 

 

 「うっ、う〜ん? ここは?」

 「起きたか、ベル」

 「アルフィアお義母さん? あれ、レフィーヤは?」

 「ああ、あのエルフならあそこだ」

 

 

 ベルはアルフィアの膝枕から起き、アルフィアが指し示す場所を見ると、リヴェリアに説教されているレフィーヤの姿だった。

 

 あっ、なんか懐かしい光景。いやいやいやいや、なんで説教されてるの、レフィーヤ?

 

 その疑問にはアルフィアの隣にいたメーテリアが答えてくれた。

 

 

 「レフィーヤちゃんね、ベルを気絶させちゃったから、ちょっと自分を見つめ直せってお説教されてるのよ」

 

 

 はい? 自分を見つめ直せって? というか、僕気絶したの? レフィーヤのせいで? 何があったのか全然覚えてない。ただ、思い出そうとすると思い出すなという警鐘が鳴り続ける。よし、やめよう!

 

 そういえば、と思考を無理やり切り替えて僕はリヴェリアお姉ちゃんを止めに行く。

 

 

 「お姉ちゃんお姉ちゃん。もうそろそろやめたら? せっかくの宴会だよ?」

 「……ふむ。それもそうだな」

 「ふえ〜ん。にいさ〜ん」

 

 

 リヴェリアお姉ちゃんの説教から解放されたレフィーヤは僕に抱き付いてくる。子供の状態だと潰されてしまうので、体を16歳ぐらいまで成長させてレフィーヤを受け止める。

 

 レフィーヤは僕の胸に顔をスリスリしている。

 

 全く、本当に甘えん坊だねレフィーヤ。

 

 僕はそんな事を思いながら、レフィーヤの頭を撫でる。

 

 レフィーヤは本当に幸せそうな顔で僕の手を受け入れる。

 

 レフィーヤにも辛い目に遭わせてしまった。でも、それでも僕を好いてくれるなら、僕はそれを受け入れよう。なにせ、君は僕の妹であり、僕の好敵手(ライバル)なのだから。

 

 ……どうやら、レフィーヤは寝てしまったらしい。

 

 アリシアさんにレフィーヤを預けた、僕は子供の姿に戻る。

 

 

 「本当に姿形を変えられるのですね」

 「あはは……。でも、体を成長させると疲れるんですよ。それこそ、アイズは慣れているので疲れるとかは無いそうですけど」

 「私はまだ子供で良いと思いますよ。可愛らしいですし、無理に大人になる必要は無いと思います」

 「そうですね。あと10年もすれば、それなりに成長しますから、それを待ちましょうかね」

 

 

 アリシアさんは「失礼します」とレフィーヤさんを連れて行った。

 

 僕にとってアリシアさんはある意味対等な人だと思っている。

 

 そりゃ勿論、彼女の方が年上だし、普通は対等とかは無いんだけど、僕の性格を分かってくれているからか、彼女は僕に対して適度な距離感で接してくれる。

 

 別に遠いとかそういう意味ではなくて、僕は見た目は子供なのだけど、中身は立派な大人な訳だから、風呂とかではよく女湯の方に連れてかれるが、僕はみんなの身体を見る事はできない。だから、精神的に疲れるのだけど、アリシアさんはそんな僕の様子を察してか、薄くはあるけど確かな服を着て、僕の体を洗ってくれるようになった。まぁ、エルフの習慣みたいなものを関わっていると思うけど……。

 

 あれ? だとしたら、リヴェリアお姉ちゃんはちょっと奔放過ぎない? あの人が一番僕を女湯に連れて行ってる気がする。まぁ、母性的なもので接しているのかもしれないけど。

 

 エルフって、やっぱりよく分からない。

 

 

 

 

 

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