白兎は理想を抱え、幻想へと走る   作:幻桜ユウ

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第七話

 

 

 

 僕とアイズがレベル3へと至ったその次の日の朝。

 

 僕の目の前にはこれ以上に無い程の説教をするリヴェリアさんと正座しつつも全く寝ていないのかうつらうつらとしながら説教を受けるアイズいた。

 

 どうしてこんな事に? もしかして、昨日、僕がリヴェリアさんに相談したことが原因?

 

 一体何故? 別に所詮子供のお遊びだと一笑に付すだけで良いはずなのに。それともそれができない程の何かがあったのかな?

 

 うーん。どんなに考えても答えは出ないかな。とりあえず、止めよう。リヴェリアの説教はもうアイズの耳に入ってなさそうだし。むしろ、よく耐えていると褒めたいぐらいだ。

 

 そう思い、僕はリヴェリアさんの服の裾をチョンチョンと引っ張った。

 

 すると、リヴェリアは説教を止め、僕の方に向いた。そして、「どうした?」と言う。

 

 とりあえず、事情も分からないまま説教を止めるよう説得するわけにはいかないので、僕は前世で培った『あざとさ(シルさん直伝)』を用いて、全力の涙目と上目遣いでこう言った。

 

 「もうやめて下さい『おねぇちゃん』」

 

 べるのあざといこうげき!

 

 りゔぇりあはあまりのかわいさにかたまった!

 

 それをみていたほかのだんいんたちがかわいさにたおれた!

 

 あれ? リヴェリアさんが固まった? お、おかしいなぁ。シルさんに「ベルさんがこれをやれば、歳上のお姉さん全員イチコロです!」なんて言ってたからやってみたのに。

 

 この『自分の容姿を視野に入れていない馬鹿兎』はこれを初めてやったため、どんな威力を持っているか知らないのだ。いや、仮に使っていたとしても、どうせ気付かなかったと思うが。

 

 ちなみに、眠そうなアイズもベルの声が聞こえて来たため、すぐに起きたが、ベルの可愛さに当てられ、すぐに気絶した。とても幸せそうな顔で。

 

 すると、リヴェリアはハッとして意識が回復した。

 

 あ、危なかった! 危うくあまりの可愛さに昇天するところだった! ベルは己の容姿を分かっていないのか!? そんな目で懇願されては何でも受け入れてしまうだろうが!

 

 私は目の前でとても不思議そうな顔でこちらを見ている少年を見ながら、少し前のことを思い出す。

 

 

 

 あれはアイズに世話を焼かされていて、少し苛立っていた時だ。

 

 ロキが一人の年端もいかない少年を連れて来た。

 

 最初は誘拐かと思ったが、その少年の眼を見て、理解した。

 

 この子はとてつもない想いを秘めていると。こんな幼い少年には今すぐにも駆け出してしまいそうな程の願いがあると。

 

 だから、私はロキからではなく本人から名前を聞いた。すると、その少年は焦りを身に宿しながらも微笑みながら答えた。

 

 「ベル。ベル・クラネルです。五歳です。『初めまして』」

 

 彼のーーベルの『初めまして』という言葉に何となくだが、ちょっと悲しくなった。何だか、距離が離れているようなそんな気がした。小さい少年が遠慮を用いて、近づこうとしない。

 

 だから、『私の方から』近づいた。自分でも何故そうしようとしたのかは分からない。それでも何だか気に食わなかったのだ。子供が大人に遠慮している事に。

 

 そして、私はロキに尋ねた。

 

 「この子はどうするんだ」

 「ウチの眷属にする。もちろんこの子の同意はあるで」

 

 ロキは真剣な表情で答えた。

 

 つまりはこの子がファミリアに加わるのは決定しているということだ。

 

 ならば、問題ないだろう。そう自分に言い訳聞かせて、少年を抱いた。「えっ!? あのっ!?」や「ひゅー。あのママがな〜」という言葉が聞こえる。断じて、私はママではない!

 

 「ベル」

 「は、はい」

 「君は今日から私達の家族だ。だから、遠慮なんてしなくて良い。ここには君より歳上しかいないが、だからといって変に縮こまる必要は無い」

 

 私はベルの頭を撫でながら、そう言う。

 

 すると、ベルは私の服を掴みながら、小さな声で呟いた。

 

 「ありがとう、ございます」

 

 そして、ベルは私の腕をポンポンと叩く。

 

 「もう、大丈夫です」

 

 先程の焦りを感じさせない微笑みでそう言った。

 

 この時、不覚にも私はキュンってなった。

 

 それに気づいたロキが後に揶揄いにきたが、手刀をかましてやった。

 

 

 

 こんな所だろう。不意にベルを抱きしめたくなった。彼には母親がいるが、メーテリアの話によると、ベルは家族の愛を求めていて、母の愛を与えても更に渇望していると。だから、メーテリア以外にも家族が必要だということを聞いた。

 

 私はベルの何になりたいのだろうか? 

 

 母親? いや、メーテリアがいるだろう。

 

 恋人? いや、ベルとアイズは両想いだろう。

 

 うーんと考えながら、ベルを撫でているとベルが小さく呟いた。

 

 「お姉ちゃんがいたら、こんな感じなのかな?」

 

 この時、私の頭に電撃が走った。

 

 そうか、ベルは姉が欲しいのか。

 

 ならば、私がベルの姉になろう。ベルはどう思うだろうか?

 

 「なぁ、ベル。良かったら、私がお前の姉になろうか?」

 「えっ、あっ、えっ?」

 「何をそんなに驚いている? お前がさっき言っていたことだろう?」

 「えっ、いやっ、あのっ。別にそんな意味じゃっ」

 「そうなのか? ベルは私が姉になるのは嫌なのか?」

 

 ちょっとずるいかもしれないが、さっきの仕返しだ。

 

 「いっ、いえっ! 嫌じゃないっていうか、むしろ、嬉しい・・・です」

 「そうか。なら、問題はないな」

 

 私の言葉にベルはオドオドしながら聞いてくる。

 

 「・・・良いんですか?」

 「私が提案しているんだ。良いに決まっているだろう?」

 「うぅ。おねぇ・・・ちゃん?」

 「ッ! ああ、そうだ。私はベルのお姉ちゃんだ」

 「あぅ」

 「ふふっ。よしよし」

 

 リヴェリアはみんなが起きるまでずっと撫で続けていた。

 

 そして、真っ先に起きたアイズがベルを撫でるのに参加したのは言うまでもない。

 

 それを見たロキが「リヴェリアママが、お姉ちゃん・・・・・・これはアリやな!」と言って、リヴェリアに叩かれたのも言うまでもないことだろう。

 

 

 

 

 





 ベルの家族にリヴェリア(姉)参戦!!

 ちなみにメーテリア(母)は大歓迎でした。

 あとは妹が必要かな? ・・・あっ。
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