王者の鼓動、今ここに列を成す   作:小金さん

10 / 34
 
はっちゃけ回です。
この作品読んでるけどデュエル知らないよ!という奇特な人は後半辺りから読み飛ばしてくれても大丈夫です。
サイレンススズカの頭がわっふー!になってしまったので投稿です。
 


クラシック級/9月前半:ライディングデュエル

 

「俺としたことが! ウマ娘用のメットを用意し忘れた、だと!?」

「フッ、ジャック、こいつを使え」

 

 遊星が一晩で用意してくれました。

 

 というわけで合宿も無事に終わりを迎えた八月三十一日。

 みんなで朝から合宿所や周辺の掃除を済ませ、バスに乗って帰ろうというタイミングで大型バイク二台がやってきた。

 やたら目を引く赤いバイク―――はまだいい。問題はその横にある白い()()()()()である。

 どれほど大型かというと車輪の中に座席があるくらい大きい。

 

 もちろん乗り手は遊星とジャックだ。

 先日遊星が取りに行っていた荷物の正体がこれである。

 調整も済ませてあり、準備は万全といったところだ。

 バスの中や外から視線を掻っ攫っている二人はそれが当然のようにパートナーの名を呼ぶ。

 

「スズカ」

「キングヘイロー!」

「はい」

「なぁにこれ」

 

 呼ばれて集団の中から出てくる二人。

 サイレンススズカはフリルこそ少ないがガーリーな白いシャツと七分丈のパンツ姿。

 いつもは降ろしている髪をお団子状にまとめ上げているのが印象的だった。

 私これからデートなんですとでも言いたげな幸せオーラを全身から放っているのも華やかさに拍車をかけているのだろう。

 

 その隣、深緑色のシャツに細身のGパンを軽やかに履きこなすのがキングヘイローだ。

 主張こそ薄いシルバーネックレスがアクセントとして胸元で輝いている。

 そんな彼女もまた髪をアップにしてまとめていた。

 シンプルな意匠のパンツルックに髪の毛のアップ。

 これはわざわざお揃いにしたというわけではなく、遊星から指示があったためだ。

 

「誰もツッコまないからもう一度言うわ。なぁにこれ」

 

 予め送迎バスとは別で帰ると聞いていたがまさかバイクだとは思ってもいなかったらしく、キングヘイローは呆れた表情を隠そうともしていない。

 それもやってきたのは二輪車ではない、もはやバイクと呼ぶのも憚られるナニかだった。

 そのナニかにまたがるジャックは愛機をお披露目できたせいかドヤ顔である。

 

「紹介しよう。これぞ我が愛機、ホイール・オブ・フォーチュンだ!」

 

 もう一度言おう。ドヤ顔である。

 そして何の説明にもなっていない。

 もちろんキングヘイローの顔に納得の色はなく、救いの手を求めるように隣の遊星へ視線を向けた。

 

「ああ!」

 

 ああじゃないが。

 ちなみにサイレンススズカはニコニコ笑顔でヘルメットを受け取っていた。

 

「はぁ……それじゃ私は行ってくるけど荷物お願いね!」

「はーい、キングちゃんいってらっしゃーい!」

 

 諸々を諦め、荷物を預けた後輩たちに一声かけてからヘルメットを受け取った。

 もちろん同部屋のハルウララに預けるなんてことはしていない。

 むしろ彼女の世話まで含めて頼み込んでいる。

 

 サイレンススズカの方はと言えば同部屋のスペシャルウィークにお願い済みである。

 安心して任せておける相手だ。

 何も心配もなくデート―――もとい合宿の最終工程を行えるというものだ。

 ただし、請け負ったスペシャルウィークの目は死んでいたとだけ明記しておく。

 

 

 

 

 

ヘイロー――――――――――

 

 

 

 

 

「サイドカーとかそういうのはないのかしら!」

「このホイール・オブ・フォーチュンにそんな不必要なものあるわけなかろう!」

「私の安全には必要なの!」

「それにライディングデュエルとその特訓には邪魔だ!」

「ライディングデュエルってなに!? デュエルするのにバイクに乗る必要あるのかしら!?」

「ある!!!!!!」

 

 彼らは今、ライディングデュエル用のサーキットを爆走していた。

 ヘルメットには通信装置があって走行中でも叫ぶ必要は一切ないのだが二人は至近距離でどなり合っていた。

 どれほど至近距離かというとヘルメットがなければキスができる距離だ。

 座席に座るジャックの膝の間にキングヘイローの小さな体を押し込んでいる状態で、傍から見ればカップルがイチャつきながらタンデムを楽しんでいるようにしか見えない。

 

 どうしてこのような体勢になったかというとホイール・オブ・フォーチュンの形状が特殊なため、通常のバイクのように運転手の背後から抱き着くといったことができないからである。

 というかシートも通常のバイクのそれとは違い、ゲーミングチェアといった方が近い形状だ。

 つまり物理的に背後へ回り込むスペースがないのである。

 

 決してキングヘイローを背後から抱きしめるジャックが見たいとかそういった欲求があるわけではない。

 疑うのであれば是非「ジャック Dホイール」で検索して欲しい。

 他に選択肢がないというのがよく分かるはずだ。

 俺は悪くない。

 ともあれ、そんな距離でどなり合っているものだから肉声と通信音声が二重に響いて耳が痛いほどだった。

 

「風が気持ちいいですね、遊星さん」

「ああ」

 

 そして通信から響く怒声をまるっきり無視して二人の世界に浸るのがサイレンススズカだ。

 彼女はサイドカーと取り付け機構を作ろうとする遊星を止めて背後から抱き着く形を選んだ。

 もちろん疚しい気持ちなんて一切なく、多忙な彼の労を少しでも和らげてあげるためにそうしただけである。

 

 広くはない空間に細いサイレンススズカの体がすっぽり収まって*1何とも具合がいい。

 そして暖かい背中にくっつけば強烈な風もそよ風のようで、やはりサイドカーは必要なかったと一人頷く。

 遊星のヘルメットに頭を預け、密着しながら会話しているのも併走するカップルがやたらうるさいので仕方なくやっているだけだ。

 他意はない。イイネ?

 もし疑うというのであれば1600メートル(芝)で彼女と戦って勝ててから言ってもらいたい。

 

「少し急なコーナーだ、タイミングを合わせて」

「はい」

 

 かなりのスピードで駆け抜けるバイク―――Dホイールはコーナーへ飛び込んでいく。

 体を傾けて華麗に曲がるのは恐怖心もあったが、それ以上に遊星の動きに身を任せる快感の方が大きかった。

 サイレンススズカは終始絶好調である。

 対してジャックとキングヘイローはというと……。

 

「戯け! このホイール・オブ・フォーチュンは繊細なドライビングテクニックが必要なのだ!

 怖がってないでもっと身を預けろ!」

「そうは言っても!?」

「もっと深く体を倒せ! でないと場合によってはコーナーを抜けられんぞ!」

「地面が目の前を高速で滑っていくのよ!?」

「慣れろ!」

「だって私たちのランより速いのよ!?」

「レース仕様のDホイールだぞ、何バリキあると思ってる!」

「知らないわよ!?」

 

 もうしっちゃかめっちゃかだった。

 ちなみに繊細なドライビングテクニックが必要なのは一輪車だからだ。

 二輪より安定しないのは当然である。

 そしてカーブは体を傾ける角度で調整するしかない。

 ……控えめに言って産廃では?

 

「もう少し余裕を持て! 隣のサイレンススズカなど涼しい顔だぞ!」

「あれはタンデムを楽しんでるだけだよ! 現実見えてないに違いないわ!」

「だから! 貴様も楽しめと言っている!」

 

 言って加速した。

 ひゃわわわっというキングヘイローの情けない声も響いたが誰も気に留めない。

 またコーナーが近づいてくる。

 それもS字コーナーだ。

 タイミングを逃せばコースアウト間違いなし。

 

「覚悟はいいな」

「ううっ、覚悟を問うのはずるいじゃない……!」

 

 返事はそれで充分だったし、それ以上は待てなかった。

 コーナーに突入し、機体が沈むように滑っていく。

 重心が落ちるほど大きく傾けた体はそのまま転がっていく自分をリアルに想像させる。

 ウマ娘のレースではあり得ない角度で横へ倒れるのだ。

 本能がバランスを取ろうと逆側に力を入れさせようとする。

 しかしそれでは曲がり切れないのだから理性で抑え込むしかない。

 

 長い一瞬が過ぎ、地面が遠ざかる。

 視界が平行になったと思うより早く逆側へ倒れ込んだ。

 よく見ればすぐそばに遊星のDホイールがあった。

 地面よりよほど近い。

 機体の熱さえ感じ取れそうなほどの至近距離。

 ぶつかればどうなるかなんて考えたくもない。

 

 いっそ目をつむって耐えてしまえばいい。

 そうしたら恐怖心はここまで煽られることもなかっただろう。

 だが、それだけはしたくなかったのだ。

 

「……そうよ」

 

 目を閉じて過ぎ去るのを待つだなんてことができないのだから、彼女は今ここにいる。

 ならばギャーギャーわめきたてるのは後でいい。

 今は訓練の時間で、これはデュエルらしくて、そして何より、トレーナーがやれと言っている。

 

「目が覚めたわ」

「世話の焼ける」

「誰のせいよ! もー!」

 

 気が付けばコーナーなんてとっくに終わっていて、長いストレートを進んでいた。

 ライディングデュエル用のコースなのでストレートは長く、コーナーはまとまっている仕様らしい、などと今更になってコースのことが目に入る始末だ。

 これでは一流失格である。

 そう嘆息するキングヘイローを置いてジャックは遊星へと話しかけた。

 

「もう一周したらそのまま始めよう、ルールは事前に決めた通りだ」

「分かった」

 

 高速でストレートを駆け抜け、コーナーへ。

 ラスト一周は驚くほど静かに行われた。

 

 

 

 

 

     _____ヘイロー―――――

 

 

 

 

 

「フィールド魔法スピードワールド2発動!」

「え、私がドローするの!?」

「そう言った!」

「わぁ、なんだかワクワクしてきました」

 

 一度休憩を挟み、彼らはまたスタート地点にいた。

 その上でライディングデュエルを行うことになったが、始まるその時まで締まらない二人だ。

 主に説明不足なジャックのせいでもあるのだがフォローする気のない遊星のせいでもある。

 そんな状態でもエンジンをふかして発進の準備をしっかりしている辺り、抜け目がないジャックだ。

 ギャーギャー言い合っている間にカウントはゼロへ。

 

「「ライディングデュエル! アクセラレーション!」」

「わふー!」

「ちょ、ま―――」

 

 もちろん待ってはくれないしサイレンススズカのテンションは迷子のままだ。

 あっという間に百キロを超えるスピードでかっ飛んでいくDホイール二機。

 最初のコーナーを前に一瞬遊星とジャックの視線が交わる。

 

 先行はいただく!

 

 火花を散らしてDホイールがコースを往く。

 コーナーを先に抜けたのは遊星だ。

 

「くっ! キングヘイロー! 貴様まだ恐れているな!」

「ごめんなさいってば!」

 

 ここで謝れるキングヘイローは偉い。

 蟹・機・ウマ娘一体となった遊星に分があったのは当然と言えよう。

 

「俺のターン!」

 

 遊星LP4000 SC0  ジャックLP4000 SC0

 

 遊星がカードをドローして僅かに思考を巡らせる。

 ほんの少しの間だったがそれにジャックが違和感を感じるには充分な時間だった。

 

 奴め……何が来る?

 

「俺は手札のクイック・シンクロンの効果を発動!

 手札のカードを一枚墓地に送ることで特殊召喚! 現れ出でよ、クイック・シンクロン!

 続いて手札からジャンク・シンクロンを召喚!

 この時、墓地にあるレベル2以下のモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。

 蘇れ、チューニング・サポーター!

 墓地からモンスターが特殊召喚されたことにより、手札からドッペル・ウォリアーを特殊召喚!」

「一ターンに四体のモンスターを並べるですって!?」

「この程度でうろたえるな! 問題はこの後で何を出してくるかだ、括目しろ!」

 

 立て続けに召喚されるモンスターたちにキングヘイローが驚嘆を上げ、ジャックがハンドルを強く握る。

 悩みを一瞬見せたのはなんだったのか。

 それが分かるのはおそらくこの一手だ。

 

「俺はフィールドのチューニング・サポーターとドッペル・ウォリアーにクイック・シンクロンをチューニング!

 集いし希望が新たな地平へいざなう。光さす道となれ! シンクロ召喚!

 駆け抜けろ、ロード・ウォリアー!」

「攻撃力3000!?」

 

 キングヘイローは最上級モンスターの登場に、今頃になって理解する。

 遊星というデュエリストがジャックに匹敵する強者ということを。

 そしてジャックは遊星が何を悩んでいたかを理解する。

 呼び出すモンスターをジャンク・ウォリアーにするか、それとも―――

 

 さぁ、更なるシンクロモンスター。見せてみろ!

 

「ドッペル・ウォリアーがシンクロ素材となったことでドッペル・トークンを二体を特殊召喚する。

 同じくチューニング・サポーターがシンクロ素材となったことでカードを一枚ドロー!

 そしてロード・ウォリアーの効果発動!

 一ターンに一度、デッキからレベル2以下の戦士族・機械族モンスター一体を特殊召喚する。

 再び現れ出でよ、チューニング・サポーター!」

「またモンスターを並べるの!?」

「戯け、攻撃力の低いモンスターを攻撃表示のまま放置してくれるほど甘い相手ではないわ!」

 

 細々としたモンスターたちがその姿を現し、立て続けにチューニングを行う。

 

「ドッペル・トークン二体とチューニング・サポーターにジャンク・シンクロンをチューニング!

 チューニング・サポーターの効果を発動し、レベル2のモンスターとして扱う!

 これで合計レベルは7!

 集いし怒りが忘我の戦士に鬼神を宿す。光さす道となれ! シンクロ召喚!

 吠えろ、ジャンク・バーサーカー!」

 

 そうしてもう一枚のシンクロモンスターが姿を現す。

 二体の威圧感はレッド・デーモンズ・ドラゴンを凌ぐほどだった。

 攻撃力3000にしてターン毎に自分フィールドに低レベルモンスターを呼び出せるロード・ウォリアー。

 攻撃力2700の上、リバースモンスターを安全に処理できる能力を持つジャンク・バーサーカー。

 盤面の優位を確立させつつも手札を三枚残すフォローの細やかさも見せる。

 

「チューニング・サポーターの効果でもう一度ドローし……一枚カードを伏せてターンエンドだ」

「デュエルって素敵。遊星さんの声がたくさん聞けるもの」

「ふん、終わってみればいつもの貴様ではないか……ならば―――俺のターン!」

 

 遊星LP4000 SC1  ジャックLP4000 SC1

 

 サイレンススズカの世迷いごとは当然のように黙殺される。

 初期手札こそジャックが引いたため驚くほど強いが場の不利はもはや語るまでもない。

 これを覆せるほどの一手を引き込めるかどうか。

 早くも分水嶺に立たされたキングヘイローは救いを求めるようにデッキへ手をかける。

 

「お願い、応えて……ドロー! くっ」

 

 カードを引き抜いたキングヘイローの顔が歪む。

 引いたのはSp-サモン・スピーダー。

 強力なカードだが今は使用不可能、これでは二体の強敵を打倒することはできない。

 一瞥したジャックはつまらなさそうに鼻を鳴らしてプレイングを始める。

 

「遊星、貴様が二体の僕を従え、剣とするのならば、俺も倣おうではないか!

 手札よりバイス・ドラゴンの効果を発動。

 このカードは相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、特殊召喚することができる!

 この時、攻撃力と防御力は半分になる。現れよ、バイス・ドラゴン!」

 

 ―――召喚を妨害する罠カードではない、か。

 

 一瞬の間を空けてから手札のカードを墓地に送り、さらにモンスターを召喚する。

 

「続いて手札のパワー・ジャイアントの効果を発動。

 手札からレベル4以下のモンスターを墓地に送ることで特殊召喚することができる!

 その際、墓地に送ったモンスターのレベル分、このカードのレベルを下げる。

 俺が墓地に送ったのはレベル1のダブル・リゾネーター、よってパワー・ジャイアントのレベルは5となる。

 そしてチェーン・リゾネーターを通常召喚!」

 

 レベル5のモンスターが二体並び、そこへチューナーモンスターが現れる。

 もちろん狙いはシンクロ召喚だろうがチェーン・リゾネーターはリクルーターである。

 これだけでは終わらない。

 ジャックは宣言通り、二体の剣を並べるつもりだ。

 

「このモンスターは召喚に成功した時、フィールドにシンクロモンスターが存在する場合、デッキからリゾネーターを召喚することができる。

 フィールドには貴様がご丁寧に並べたシンクロモンスターが二体! 条件は満たしているぞ!

 これにより俺はデッキからダーク・リゾネーターを特殊召喚!」

 

 これにて準備は整った。

 ジャックは腕を振るい、力強く宣言する。

 

「レベル5のバイス・ドラゴンにレベル3のダーク・リゾネーターをチューニング!

 王者の決断、今赤く滾る炎を宿す、真紅の刃となる! 熱き波濤を超え、現れよ! シンクロ召喚!

 炎の鬼神、クリムゾン・ブレーダー!」

「え、レッド・デーモンズ・ドラゴンじゃないの?」

「ふん、このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した時、次の相手ターンに相手はレベル5以上のモンスターを召喚・特殊召喚できなくなる効果を持つ。

 そして遊星の主力モンスターはシンクロモンスターのみ……そのシンクロモンスターは俺の知る限り殆どがレベル5以上で構成されている。

 シンクロを封じられた遊星など、羽をもがれた鳥も同然!

 貴様のエースモンスターを封じるチャンス、俺は決して見逃さんぞ、遊星!」

 

 言いながらコーナーを危なげなく曲がっていく。

 キングヘイローも多少の慣れができて来たのか、それともデュエルの熱で恐怖心を忘れているのか、それは何とも鮮やかなカーブだった。

 

「そしてレベル5のパワー・ジャイアントとレベル1のチェーン・リゾネーターをチューニング!

 赤き魂、ここに一つとなる。王者の雄叫びに震撼せよ! シンクロ召喚!

 現れろ、レッド・ワイバーン!」

 

 呼びかけに応じ、頭部に焔の揺らめくワイバーンが姿を現した。

 攻撃力2400とこの場で一番攻撃力の低いシンクロモンスターだがその効果は強烈だった。

 

「このカードは一度だけフィールド場の最も攻撃力の高いモンスターを破壊することができる!

 対象はもちろんロード・ウォリアー、貴様だ」

 

 ビッと人差し指と中指を合わせて対象を指し示す。

 ジャックの鋭い眼光がロード・ウォリアーをねめつけていた。

 

「このジャック・アトラスを前にその不遜な態度、目に余る!

 ロードなど知ったことか! 王者はただ一人、この俺だ!」

「くっ!」

 

 宣言と共に爆殺された衝撃が遊星を襲う。

 すぐさま体勢を立て直した彼にクリムゾン・ブレーダーの攻撃が迫る。

 

「クリムゾン・ブレーダー、ジャンク・バーサーカーに攻撃!

 レッド・マーダー!」

「そいつは通せない、羽をもがれるのは痛そうなんでな。

 罠カード発動! くず鉄のかかし!」

 

 それは攻撃を無効にし、もう一度セットし直す防御のカードだ。

 ジャックが攻撃力2700を容易く超えてくるのを想定していたのだろう。

 攻撃を防がれたところでジャックに不満な態度はなく、むしろセットカードを見れて満足しているらしい。

 

 そしてキングヘイローは二人の戦いに武者震いを隠せなかった。

 なんとハイレベルな戦いだろうか。

 無敵の布陣にも思えた遊星の一ターン目、僅か一ターンであの布陣を完成させるのにも驚いたがそれを砕いてみせたジャックの力強さはどうだ。

 逆転の一手を望んでいたが、終わってみればキングヘイローの引いたカード抜きで逆転しているではないか。

 であればあの時臨むべきだったのはドローソース、あるいは罠カードだった。

 

「キングヘイローよ、貴様には先ほどデッキを見せたな。ならばこの展開は読めたはずだ」

 

 すかさずジャックからの叱責が飛んでくる。

 彼はいつもそうだ、キングヘイローが間違いに気付いた瞬間にそれを咎めてくる。

 

「もっとカードを信じろ、俺を信じろ、そして何より、自分を信じろ。

 己すら信じられぬ者に我がデッキが応えることはない」

「……うん、わかったわ」

「よかろう、ならば俺はターンエンドだ!」

 

 絶対強者の二人に挟まれようとも、キングヘイローの心は折れていない。

 ライディングデュエルはまだ始まったばかりだ。

 

 

*1
アキさんは横乗りだったが事情は察して欲しい……スズカのゲートの方が広いデース!!!




裁定ミス、記載ミスがあったらこっそりおせーて。
指摘された分はこっそり直しました……。


終わらねぇ!?ってなったので次回はこの続きからです……デュエルってやたら文字数食うのね。
ちなみにサイレンススズカは遊星の後ろでハスハスモジモジしてますが無害です。


次回、『荒ぶる魂』にアクセラレーション!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。