灰流うららの反響が凄くて正直笑いました。
今回は年末最後の大一番ということで有マ記念だと思った?
残念!デュエル回でした!
「アタシとしたことがなぁ……」
ゴールドシップはチーム部屋に向かいながら昨日27日に行われた有マ記念を振り返り、ぼやいていた。
結果は二位と大健闘で、トレーナーも大喜びしてくれた。
冬の近江までマグロ漁に行った甲斐もあったというものだろう。
一緒に連れ出したメジロマックイーンも無事にメジロマックEーンを回避できた。マグロでも目出度い。
だがしかし、ゴールドシップとしては負け方が良くなかった。
シンボリルドルフとナリタブライアンが大接戦をする横を抜こうとして、しかし追い切れずにハナ差でナリタブライアンに敗北というのが結末の流れである。
ナリタブライアンやシンボリルドルフのファンからは突然ゴルシが来て変な声出たとかぐんぐん追い抜く会長の後ろでそれ以上に加速するゴルシはベルトコンベアーの上を走ってるんじゃないかと思ったとか一人だけ画風が違ったなどの素敵な声も届いている。
いつもなら満足の出来だっただろう。
ウマ娘としては異例ながらレースの順位に拘りがないゴールドシップにとってこれらは最上の褒め言葉である。
それでも今ここでため息をついているのには理由がある。
それはウイニングライブのトークタイム(と言う名の休憩時間)での出来事が決定的であった。
「ゴールドシップは強かったが今日ばかりは新しい力も重荷になってたようだな」
ナリタブライアンのセリフである。
ファンやトレーナーたちは首を傾げていたが、シンボリルドルフが一瞬だけ悩まし気な視線をやったり、ゴールドシップ本人も奥歯を噛みしめて認めるような発言をしていたことから彼女の言葉が真実であるのは間違いない。
ただ、ゴールドシップ的にはナリタブライアンに気を遣わせたことが一番の懸念点だった。
彼女にはただ気持ちよく走っていてもらいたいのだ。
「いいんだよ、ゴルシ様は不沈艦だからな。
どんな重荷だって背負ってやるって決めたんだ」
そう言い返して、話を断ち切った。
シンボリルドルフや他のウマ娘たちのフォローもあり、ライブも大盛り上がりで終了となり、この話題はネットで局所的な盛り上がりを見せるに留まった。
ゴールドシップが背負った荷物とはスピカのことであり……ひいてはスペシャルウィークのことである。
彼女は地元に一時帰宅をする前もグラスワンダーのことを気にかけていた。
ゴールドシップにとっては妹分のような存在であり、このことを直接相談されたこともある。
そんな経緯も手伝って、レースを通してグラスワンダーと対話をしていた。
そのせいで最後のぶつかり合いでほんの少しの気力が足りずに負けた。
負けて、勝者に気遣わせてしまった。
はっきり言ってこれが一番堪えた。
昨夜はがっつり凹んで、未だにモチベーションが立て直せていない。
年の瀬ということもあり、トレセン学園にもどこか今年を惜しむかのようなゆったりとした時間が流れていた。
つまりゴールドシップとしてははっちゃける場がないということである。
どうにもうまく気持ちの切り替えができないままチーム部屋の扉を開けた。
「おいーっす……あ?」
「貴方にはキングを助ける権利をあげるわ!」
そこにはロープでぐるぐる巻きにされたキングヘイローがぺたりと座り込み、それを取り囲むトウカイテイオーとメジロマックイーンの姿があった。
「おいおい、拉致監禁は立派な犯罪だぞ?」
「ゴルシがそれ言う?」
「自覚はありましたのね……」
_____ヘイロー―――――
「逃げようとするからつい……」
「などと供述しており」
「完全にゴールドシップさんの悪影響ですわ……」
ことの顛末は実に単純である。
一足早い部屋の大掃除を終え、暇を持て余したキングヘイローは同室の相手がいなくて寂しがっているであろうサイレンススズカをお茶会に誘おうとここまでやってきた。
そして扉を開けたところトウカイテイオーが飛びかかってきたので逃げたら何故かぐるぐる巻きにされて部屋に連れ込まれる。
混乱するキングヘイローを見かねて、どうにかトウカイテイオーを落ち着けようとメジロマックイーンが近づいたところでゴールドシップがやってきた。
というわけである。
「なに、テイオーってヘの字みたいなのが好みだっけ?」
「ち、違うよ! どっちかっていうならまだマックイーンみたいな正統派お嬢様の方が好きだし!」
「まぁ!」
「は? 私の方が完全無欠式正統派お嬢様ですが?」
縛られていても主張は忘れない。
主要もメンタルも強いキングヘイローであった。
「とにかく! ゴルシが言ったじゃんさ! キングの方が強いって!」
「あー……すまん、こりゃアタシのせいだ」
「話が見えないのだけど?」
というわけで、またしてもことの顛末を語るとしよう。
それはひと月ほど前のことであった。
ふとしたことでスピカ内でキングヘイローのことが話題になり、ジュニア級組以外の全員が高評価を付けていることが発覚したのだ。
スペシャルウィークは当然キングヘイローのことをべた褒めしたし、他者に興味が薄いサイレンススズカでさえもキングヘイローを凄い子だと言っていた。
一方後輩組*1からしてみればスペシャルウィーク先輩のお友達で、菊花賞を阻んだ敵である。
菊花賞を取れたのだから弱くはないのだろうが成績を見るに、いまいちパッとしない。
なんだかんだで尊敬しているスペシャルウィークほどの凄い相手だとは思えなかったのだ。
後になってメジロマックイーンは手の平を返すことになるのだが……。
ともあれ話をそのまま信じるのならば、スペシャルウィークよりもずっと凄い先輩になってしまう。
どこか自己評価の低いスペシャルウィークの言葉は話半分に聞いたとしても、どうにも信じられない。
トドメがゴールドシップの言葉である。
「少なくともデュエルだったらテイオーより才能あるぜ」
デュエリストとしては聞き逃せない言葉である。
それ以来、虎視眈々とデュエルの機会を伺っていたのだ。
ましてや
急に手の届くところに現れて、ロープが手元にあったなら捕獲するのも止む無しである。
厳密には強い弱いとは言っていない。
それでもゴールドシップのうかつな発言が発端であるのは間違いなかった。
「……言いたいことは色々あるけど……まぁ、いいわ。そこは大人の対応を見せましょう。
要するにデュエルしたいだけなのね?」
「うん!」
「いいわよ、丁度昨日……デッキ調整? とやらをしたばかりでやってみたかったところなの」
というわけでデュエルをする流れになってしまった。
当初の目的はどこへやら、である。
「デッキ調整ね……帝王カード三積みできたか?」
「汎神がどうにかってところね」
その話を聞いてトウカイテイオーが疑り深い目でキングヘイローを見る。
展開したデュエルディスクへとやや乱暴にデッキをセットした。
まだろくに三積みもできてないレベルなのに、ボクより上? 冗談じゃない!
ロープから解放され、デッキを取り出して相対するキングヘイローの表情に気負いはない。
デュエルディスクを借り受けて装着する姿は呑気そのものだ。
デュエリストが己の才覚を賭けて勝負する姿勢にはまるで見えなかった。
並んでパイプ椅子に座るゴールドシップとメジロマックイーンは完全に観戦の態勢である。
どこからか取り出した大きなサングラスをかけ、ゴールドシップはノリノリで仕切り出した。
「よーし、これよりトウカイテイオー対キングヘイローの試合を開始すっぞ、二人とも構えろー」
「先行は……キングヘイロー先輩ですわね」
「おっしゃー、そんじゃデュエル開始を宣言してくれ、マックちゃん!」
「デュエル開始ですわー!」
仲良しか。
ともあれ宣言が告げられ、二人は素早くデッキから五枚のカードをドローした。
「「デュエル!」」
キングヘイロー LP4000
「私は手札からおろかな埋葬を発動、デッキから黄泉ガエルを墓地に送るわ。
そしてシラユキを召喚してターンエンドよ」
墓地にキーカードを落とし、フィールドには攻撃力1850の
中々悪くない立ち上がりと言えるだろう。
ここがスピカという魔境でなければ、の話だが。
正直に言って拍子抜けだよ、キング!
「なら、ボクのターンだ」
トウカイテイオー LP4000
「ボクは手札からフィールド魔法、真帝王領域を発動! 絶対はボクだ!」
これもまたトウカイテイオーの戦術を支えるキーカードだ。
特定の条件下でEXデッキからの特殊召喚を封じる効果を持ち、シンクロが席巻している今の環境メタとしてトウカイテイオーが愛用しているフェイバリットカードである。
だが今回はその効果は重要ではない。
重要なのは三つ目の効果の方だ。
「一ターンに一度、手札にある攻撃力2800、守備力1000のモンスターのレベルを二つ下げることができる。
ボクは冥帝エレボスのレベルを二つ下げるよ」
「真帝王領域に冥帝エレボス!? まさか、貴方も―――」
「そう! ボクも帝使いだ!」
トウカイ
数ある帝デッキの中でもトウカイテイオーは最上級帝を多数採用したデッキを好んだ。
「トレセン最強の帝使いはボクだってこと、証明してみせる!
手札から冥帝従騎エイドスを召喚!
このモンスターを召喚、特殊召喚に成功した時、ボクはもう一度だけアドバンス召喚の権利を得る!」
手札のモンスターのレベルを二つ下げ、アドバンス召喚の下準備を整えた。
それ即ち、最上級帝の招来の時。
「冥帝エレボスをアドバンス召喚!」
それは広いチーム部屋でさえも狭く感じてしまうほどの巨体だった。
もはや壁と言える石状の王座に腰かけ、キングヘイローを睥睨する帝こそ、冥帝エレボスである。
「このカードがアドバンス召喚に成功した時、手札やデッキから帝王と名の付いた魔法・罠カードを二枚墓地に送ることで相手フィールド、墓地、手札の中から一枚を選んでデッキに戻す!
そこのキミ、頭が高いぞ!」
処す? 処す?
というわけで
帝の道を塞ぐモノは何もない、当然前進あるのみである。
「エレボスでダイレクトアタック!」
「手札のバトルフェーダーを守備表示で特殊召喚! バトルフェイズを強制終了させるわ!」
しかし帝の侵攻を止める者がいる。
バトルフェーダーがキングヘイローの手札から飛び出し、バトルフェイズを強制終了させた。
それも何のその、トウカイテイオーは一切気にした素振りを見せずにカードを一枚伏せてターン終了を宣言した。
「一枚伏せてターンエンド。切り札、さっそく使っちゃったんじゃない?」
「切り時は見誤らないの、だって私は一流だから。私のターン、ドロー!」
意気揚々とカードを引いた。
が先ほど飛ばされた
なんという運命の悪戯か。
ちなみに
1ターン目から手札が代わり映えしない状況を心の中では苦々しく思うキングヘイロー。
ドローロックという概念をまだ知らない彼女だったがその辛さの一端を理解した瞬間である。
それでも逆転の手がないわけでもない。
相手を倒すだけならそれこそシラユキで充分である。
だけど、伏せカードのこともあるし、ここはこっちを出しておきましょうか。
「まずは墓地の黄泉ガエルを効果により特殊召喚。
そして帝王の深怨を発動、手札の邪帝ガイウスを相手に見せて帝王と名の付いた魔法・罠カードを一枚ドロー!
そのまま邪帝ガイウスをアドバンス召喚!」
フィールドに現れたと思ったらすぐに天へと昇っていく黄泉ガエル。
とっとと失せろと邪帝ガイウスは手で払って追い返していた。
伏せカードが開かれないか、一瞬の間を空けて宣言を続ける。
「ガイウスはアドバンス召喚が成功した時、フィールドのカードを一枚除外するわ。
もちろん対象は冥帝エレボスよ。
対象が闇属性モンスターだった場合、プレイヤーに1000ポイントダメージ!」
「くっ」
トウカイテイオー LP4000→3000
ほの暗い闇が黒い巨体を埋め尽くす。
それも一瞬のことだ、それが晴れれば巨体の姿は一かけらも残ってはいなかった。
ただし、入れ替わりに罠カードが立ち上がっている。
「威嚇する咆哮を発動させてもらったよ。
残念だけどキングはこのターン、攻撃宣言はできない!」
「簡単に通させてはくれないのね、ターンエンドよ」
エンド宣言を聞きながら先ほどのアドバンス召喚についての不自然さを思うトウカイテイオー。
深怨で烈旋を引っ張ってこなかったのはボクの伏せカードを読み切った? ……まさかね。
1000ダメージを優先しただけに決まってる。だってキングには迫力が足りないもん!
そんなはずはないと首を振り、迷いを断ち切るようにドローする。
手応えは充分だった。
「ボクのターン、ドロー! いよっし! 神引きぃ!」
迫力が足りないと思いながらこの喜びようである。
果たして迫力が足りないのはどちらだろうか。
メジロマックイーンは楽しそうにデュエルするトウカイテイオーを見て苦笑している。
「墓地にある真源の帝王の効果を発動。
このカード以外の帝王と名の付いた魔法・罠カードを一枚除外することでモンスターとしてフィールドに特殊召喚!」
先ほどのターン、エレボスの効果で墓地に送られたカードは墓地でこそ真価を発揮するタイプのカードであった。
コストも一緒に送り付ける辺り、意識してデザインされているのだろう。
帝王の凍志を除外し、真源の帝王が罠モンスターとして現れる。
だがもちろんリリース要員である。
時を置かずにトウカイテイオーは宣言を続けた。
「真帝王領域の効果で手札の天帝アイテールのレベルを下げ、そしてそのままアドバンス召喚!
エレボスと同じく、帝王と名の付いた魔法・罠カードを墓地に二枚送ることで効果を発動する。
攻撃力2400以上、防御力1000のモンスターをデッキから特殊召喚だ!」
トウカイテイオーのデッキから一枚カードが押し出され、それを引き抜いて盤面に叩きつける。
読み込み音と共に姿を現すのは邪帝ガイウスによく似た怨邪帝ガイウス。
その効果はアドバンス召喚しなければ発動できないため、単純に攻撃力2800のモンスターということになる。
だがそれでも最上級モンスターが二体並ぶ姿は威圧感充分だ。
「バトル! まずはアイテールで邪帝ガイウスに攻撃!
この時、真帝王領域の効果でアドバンス召喚されたアイテールの攻撃力は800アップする!」
2800+800、つまり攻撃力3600である。
あっさりと3000の大台を超え、その衝撃は部屋全体に響き渡った。
邪帝ガイウスは粉々に砕け散り、キングヘイローのライフを削る。
キングヘイロー LP4000→2800
「そして残るバトルフェーダーにガイウスで攻撃!」
「くっ、効果で特殊召喚されたバトルフェーダーはフィールドを離れた時に除外されるわ」
お互いにライフとモンスターを削り合う構図となった。
しかし微々たる差だが着実にその差は広がっている。
それは盤面の形もそうだし、ライフとしてもそうだ。
特にあと一度、最上位帝に直接攻撃を許せば負けるラインにまでライフを減らしてしまったのは手痛い。
それは一瞬でも気を抜けば負けてしまうということだからだ。
「うっしっし、この調子じゃもう次のターンでお終いかな?
ターンエンドだけど、天帝アイテールの効果で出したカードは手札に戻されるよ」
フィールドからはいなくなったが、裏を返せばアドバンス召喚のチャンスを得たとも言える
怨邪帝ガイウスの効果は邪帝ガイウスの上位互換である。
カードを一枚除外し、属性など問わずに1000ダメージを与えるというもの。
リリースモンスターが闇属性モンスターだった場合はもう一枚除外するおまけつきだ。
フィールドに残っている天帝アイテールを破壊し、なおかつ壁は二枚……いいや安全を期すならば三枚は必要だろう。
中々に厳しい条件だ。
トウカイテイオーが勝利を目前にしたようなセリフを吐くのも無理はない。
果たして逆転の一手は引き込めるのだろうか。
「考えても仕方ないわね……私のターン、ドロー」
引き込んだカードを見て、あらと声をあげた。
ともあれ、まずは墓地から黄泉ガエルを守備表示で特殊召喚するのがこのデッキの流儀である。
「貴方にはこのキングの下に馳せ参じる権利をあげるわ、いらっしゃい黄泉ガエル!
そして汎神の帝王の効果を発動、帝王の凍気をコストに二枚を……ドロー!」
先ほどのターンにサーチした汎神の帝王と今引いたばかりの帝王の凍気を墓地に送り、気合一閃。
引き込んだ二枚のカードを手首を返すだけで確認する。
この時、何故だかトウカイテイオーは背筋が凍るような怖気を感じた。
なんてことないキングヘイローの立ち姿に威圧感を感じていたのだ。
な、何を引いたっていうのさ! いいや、何でも来たらいいよ。その上でボクが勝つ!
「続けて、墓地に行った汎神の帝王を除外し、第二の効果を発動するわ」
叱咤するトウカイテイオーを置いて、淡々と処理を進めるキングヘイロー。
宣言と共にソリッドビジョンが三枚のカードを映し出した。
「これ他人にやられるとちょっとイラッと来るね」
「かもしれないわね」
帝王の深怨、汎神の帝王、汎神の帝王。
このどれかを相手に選ばせ、それをドローするというのだが、トウカイテイオーは悩まずに汎神の帝王を選択した。
というか他に選択肢がない。
キングヘイローとて承知の上でこの選択肢を出したのだろうが、いつも他人にこの選択肢を押し付けていたのだとトウカイテイオーもちょっと反省気味だ。
まぁ、必要なら今後もそうするのだが。
キングヘイローはデッキから押し出された一枚を抜き取り、モンスター召喚に移る。
軽い調子でモンスターを盤面に叩きつけた。
「シラユキを召喚し、効果を発動するわ。
相手モンスター一枚を裏守備表示に変更し、そのままバトル!」
「帝モンスターじゃない!?」
トウカイテイオーにとって逆にこの展開は想定外であった。
先ほどのプレッシャーは何だったんだろうか。
従騎か家臣、あるいは帝王の烈旋から帝をアドバンス召喚、二枚目の壁は黄泉ガエルでカバー。
それが彼女の読みだったのだが、見事に外された結果となった。
もしかして落とし穴系を引いた?
破壊されるアイテールをそのままに思考を続ける。
召喚を無効にするタイプの罠カードを引いたのかとも思ったが相手はガエル帝と呼ばれるデッキだ。
何度も復活している黄泉ガエルは自分フィールドに魔法・罠カードがないことが蘇生条件である。
その性質上、罠カードは極端に減らされているはずだ。
現に今まで魔法・罠ゾーンはガラガラのままデュエルは進行している。
「これで私のターンは終了よ」
そして、そのままターンエンドの宣言があった。
もちろん伏せカードなどはない。
手札誘発を疑ったがここまで来たら出たとこ勝負しかない。
トウカイテイオーは気合では負けないとばかりにドローを慣行する。
「ボクのターン、ドロー!」
_____ヘイロー―――――
「それで、実際のところはどうなんですの?」
「どうって?」
「テイオーさんを焚き付けた才覚の差とやらは」
「ああ、それね」
観戦していた二人は静かに会話を続ける。
美しい姿勢のまま観戦を楽しんでいたメジロマックイーンと足と腕を組んで興味深げに眺めているゴールドシップ。
対照的な二人であるが、並んでいると美しい芦毛色の頭髪がよく似ている。
よくよく見てみれば顔立ちもどこか似ている、そんな不思議な二人であった。
「ご覧の通りだろ、やっぱキングヘイローの方が一枚上だ」
「押されているように見えますが?」
「そりゃテイオーの引きが走りすぎてるだけ。
いや、むしろキングの引きが良くない……デッキ弄った直後だし、多少の波はしょーがねーな」
姿を見せた帝は未だに邪帝ガイウスだけ。
今のターンに召喚しなかったということは引き込めなかったということだろう。
「それでも、見たところテイオーの猛攻を耐える算段が付いてるみたいだ」
「……ですわね」
キングヘイローは泰然とした態度のままターンエンドを宣言したのだ。
それは追い詰められた者のする表情ではなかった。
「調子が出てなくてもこれだからな……多少の差じゃ、高波が来た時に一気に飲まれるぞ」
「つまりテイオーはこのチャンスを掴めなければ不利ということですわね」
「流れってのはどうしてもあるからなー。それもカードゲームの面白いところだぜ?」
そもそも才覚の差で言えば初手から現れていたとゴールドシップは考える。
おろかな埋葬で墓地に送られた黄泉ガエルだが、もしあれを初手で引き込んでいたならば冥帝エレボスにバウンスされて墓地には行けず、四ターン目に壁が足りなくて敗北していただろう。
その観点で見れば冥帝エレボスの被害を最小限に抑えた手だと言える。
それに何より、ゴールドシップはデッキから何かしらの胎動を感じていた。
キングヘイローのデッキで何かが生まれようとしている。
恐らくトウカイテイオーもどこかしらでそれを感じているはずだ。
「ゴルシ様だって応援してないわけじゃないんだ……勝ちたいってんならここで決めろよ、テイオー」
「頑張れですわー! テ・イ・オー!」
とうとう静かに観戦できずに声を張り上げるメジロマックイーン。
彼女の声援に生暖かい目を向けながらも、ゴールドシップは胎動の元を気にしていた。
何なんだ、この異様なほどの熱量は?
ゴールドシップは後に語ることになる。
あれこそが“王者の鼓動”であったと―――
今更ですがテイオー持ってないので口調に変なところとかありましたらこそっと教えてください。
それと試しにアンケート作ってみました。
食指が伸びたならぽちっと押してみてください。
次回、『受け継ぐ魂』にアクセラレーション!!
デュエルの詳細内容(手札などが記載)が読めるなら読みたいですか?
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いる【鋼の意思】
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いらない
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そう、興味ないね