書くたびに思います。
もう二度とデュエルは書かねぇ……というわけで投稿です。
今更ですがデュエル興味ない人は読み飛ばしてくれて大丈夫ですよ。
「ボクのターン、ドロー!」
ここでキングヘイローとトウカイテイオーのデュエルの様子をおさらいしよう。
手札はキングヘイローに三枚、内一枚は汎神の帝王で確定している。
トウカイテイオーの手札は今引いたのを合わせて四枚、内一枚は怨邪帝ガイウスであるのが露呈している。
場にはキングヘイローの低級モンスターが二枚とトウカイテイオーの方に真帝王領域があるだけ。
ライフはそれぞれキングヘイローが2800、トウカイテイオーは3000。
これだけ聞くとまだまだ続くように聞こえるが二人はお互いに終幕の気配を感じ取っている。
長く続いたとしても後二~三ターンと言ったところだろうか。
それを感じ取りながらもトウカイテイオーはこのターンに決めたいと考えていた。
「ボクは手札からワン・フォー・ワンを発動!
雷帝家臣ミスラをコストにデッキから天帝従騎イデアを特殊召喚!」
雷帝家臣ミスラが伏した姿で現れ、その中から光が溢れる。
そこから現れたのは天帝従騎イデア―――ではなく、ケモミミ幼女だった。
ぽてりと落ちてきょろきょろと辺りを見回している。
「……イデアは?」
「お、うららじゃん」
「うわ、出ましたわ」
うわとか言うな。
「おーほっほっほっ! 私は手札から
このカードを手札から墓地に送ることでデッキからの特殊召喚は無効よ!」
高笑いするキングヘイローの存在に気付いた灰流うららは彼女の背後へと隠れてしまう。
天帝従騎イデアの召喚を邪魔され、唸るトウカイテイオーを恐る恐る観察していた。
「うがー! ちょっと待ってよ、考えるから!」
計算を覆され、このターンの展開を再度計算し直すトウカイテイオー。
怨邪帝ガイウスと天帝アイテールとなんか適当な帝を並べるつもりだったのだがこれではリリース要員が足りない。
墓地を確認しながら思考すること数秒。
……うん、さすがに三体並べるのは無理。でもアイテールまでは繋げられる!
「墓地の冥帝従騎エイドスの効果を発動、このカードを除外して墓地にある雷帝家臣ミスラを特殊召喚!
墓地の帝王の轟毅の効果を発動し、このカードを除外してフィールドの全てのモンスターを闇属性に変更する!
そして手札から異次元からの埋葬を発動して除外されたエイドスとエレボスを墓地に戻して、と」
「私のバトルフェーダーも戻してくれていいのよ?」
「やだよー、ベロベロー」
立て続けに発動されたカードが宣言通りの効果を発揮していく。
冥帝従騎エイドスが墓地と除外ゾーンを行ったり来たりして、フィールドに雷帝家臣ミスラが守備表示で現れ、全てのモンスターが闇属性に変わった。
ちなみに異次元からの埋葬は除外されたモンスターカードを三枚までなら敵味方問わずに墓地へ戻すことが可能なカードである。
バトルフェーダーを戻さなかったのは手札に回収されても面倒だし、何よりシラユキは墓地を利用する効果も持っている。
わざわざ利敵行為になることはしない。
キングヘイローも言ってみただけだろう、大して気にしていなかった。
「それにしてもしっかり轟毅を落としてたのね」
「あのねぇ、アイテールでガイウスをリクルートする時はセットで落とすもんだよ」
「なるほど、勉強になったわ」
そんな雑談を挟み、トウカイテイオーの宣言が続く。
「真帝王領域の効果で手札の怨邪帝ガイウスのレベルを二つ下げ、そのままアドバンス召喚!
このカードのアドバンス召喚が成功した時、カードを一枚除外して相手に1000ポイントのダメージを与える!
だけど、今のミスラは闇属性だ。闇属性モンスターをリリースして召喚した場合、その対象は二枚となる!」
キングヘイロー LP2800→1800
そしてキングヘイローの場にはシラユキと黄泉ガエルだけ。
もちろん選ぶのはその二体だ。
二体が同時に闇に飲まれてフィールド場からその姿を消した。
「闇属性を除外した場合、同名カードをデッキ・墓地・手札からも除外してもらうよ!」
「残念だけどどちらも一枚しか持ってないわ」
「シラユキはもう一枚くらい入れててもいいじゃんさ!」
「だから持ってないんだって」
不毛な会話をしているがキングヘイローは確実に追い詰められていた。
場はがら空き、手札は実質一枚。
だがその一枚で怨邪帝ガイウスを止める手段はいくつか存在する。
だからトウカイテイオーの宣言はまだ終わらない。
「墓地の汎神の帝王を除外して効果を発動! ……さぁ、好きなのを選んでよ」
「あらー、帝王の深怨に帝王の深怨に帝王の深怨かー、選びたい放題で迷っちゃうわね―――って一択じゃないの!」
「いいぞキングー! もっと言ってやれー!」
しっかり乗りツッコミをこなしたキングヘイローにゴールドシップのヤジが飛ぶ。
それらをまるっきり無視してトウカイテイオーはデッキから飛び出してきた帝王の深怨を空中で掴み、それを流れるように墓地へ。
「墓地にある冥帝エレボスの効果を発動、手札から帝王と名の付いた魔法・罠カードを捨てることで墓地の天帝アイテールを手札に加える!」
今度は墓地から飛び出してきた天帝アイテールを掴み取り、キングヘイローへ自慢するように見せつける。
彼女からすれば効果テキストを見せているつもりだろうが肉眼で読める距離ではない。
トウカイテイオーはどこか自慢げなまま効果を読み上げていく。
「アイテールはアドバンス召喚したモンスター一体をリリースしてアドバンス召喚ができるんだ。
そして忘れちゃいけないのが雷帝家臣ミスラがアドバンス召喚のリリースとなった時、プレイヤーはアドバンス召喚権をもう一度だけ得るってこと……つまり!」
「また来る、という訳ね」
「ご明察! 天帝アイテールをアドバンス召喚!
デッキから帝王と名の付いた魔法・罠カードを二枚墓地に送り、デッキから天帝アイテールを特殊召喚!」
天帝アイテールがそろい踏みである。
この猛攻を手札一枚で耐えようと思えばバトルフェーダーか速攻のかかしでも握っていなければならないだろう。
もしも握っているのならここで吐き出せ、そうでなければお終いだとトウカイテイオーは言っているのだ。
「バトル! 天帝アイテールでダイレクトアタックだ!」
「手札から
「むっかー! しっつこい!」
「私はね、手札が一枚でもある限り諦められない女なの」
天帝アイテールが二体とも守備表示に変更されてしまったので攻撃は無効となり、バトルフェイズは終了となる。
地団駄を踏みながらもどこかで耐えきられるような気がしていたトウカイテイオーは防衛に関しても万全を期していた。
「墓地にある帝王の深怨を除外して真源の帝王を罠モンスターとして特殊召喚。
ターンエンド、だけどこのタイミングで特殊召喚された天帝アイテールは手札に戻るよ」
「……」
そうしてキングヘイローの手番がやってきたが彼女は今崖っぷちにいる。
はっは、はひふへボンバー。
というのも手札が汎神の帝王しかなく、これは直接盤面に影響を及ぼせないカードだ。
次の相手のターンに天帝アイテールが来ることを思えば壁は二枚欲しいところ。
そんな都合のいいカードはキングヘイローのデッキにはない。
かと言って複数枚の攻撃を防ぐカードももうネタ切れだ。
そもそもフィールドにいる天帝アイテールを放置できない。
あれを倒すためのモンスターもいる。
例えば雷帝ザボルグ。
これがあれば相手フィールドを一掃できるだろう。
ただし相手のターンの天帝アイテールに押し負けてしまう。
例えば炎帝テスタロス。
これがあれば天帝アイテールを破壊しつつ、手札にある天帝アイテールを確実に墓地へ送ることができる。
一見完璧な対応に見えるが先ほどのターンで天帝アイテールをアドバンス召喚した時に汎神の帝王を墓地に送っていないとは思えない。
先ほどのターンと同様、汎神の帝王から冥帝エレボスの効果で天帝アイテールを回収という流れが見えている。
ならば逆転は不可能なのか?
いいや、そんなはずはない。
だって、こんなにも体が熱いもの。
謎の熱量を持つ己にほんの少しの戸惑いと、それ以上の期待が胸中に溢れかえる。
ドローを信じろ。
いつだったかトレーナーに言われた言葉を思い出した。
ドローは可能性だとも言われた。
要するに自分の未来ってことでしょ、自分を信じられない子になった覚えはないわ。
どこかワクワクした気持ちのままデッキを見つめ、指先をかける。
そんなピンチを楽しむかのような表情にトウカイテイオーの表情が凍った。
私はあの人の娘だもの、自分を信じる理由なんてそれで充分よ。
「私のターン、ドロー」
引いたカードを見て思わず苦笑した。
キミの可能性はまだまだ溢れていると、そうデッキに諭されているような気分を味わえるカードだった。
「ふふっ、そうね……ここから先は真なる王の領域よ。汎神の帝王の効果を発動するわ」
「ここに来て二枚ドロー!?」
引いてきた真帝王領域をコストにして二枚のカードを引き込む。
そこにはどのような可能性を引き込んできたのか。
確認したキングヘイローはチロリと舌で唇を湿らせた。
「そのまま汎神の帝王の第二の効果を発動」
墓地の汎神の帝王が除外され、ソリッドビジョンが更なる三つの可能性を示す。
帝王の深怨、汎神の帝王、帝王の烈旋。
それぞれお決まりサーチカード、三枚目の今使っているカード、相手モンスターをリリース要員として代用できるカードだ。
「ボクが選ぶのは汎神の帝王だ!」
「よしっ、汎神の帝王をそのまま発動よ!」
喜ぶキングヘイローを見て自分の選択ミスを悟るトウカイテイオー。
デッキから汎神の帝王を引き抜いた彼女はそのまま発動する。
コストに捨てたカードは
「まさか、帝を引けてなかった!?」
「キングに用意される試練はいつだって過酷なモノよ、そしてそれを乗り越えてこそキングなの!」
そして引き込んだカードこそ、今日一番の手応えである。
試練を乗り越えた先にあるのは確かな力であった。
ドクンと熱を持った鼓動が伝播し、背筋を凍らせたトウカイテイオーに汗をかかせる。
「このプレッシャーは……!?」
トウカイテイオーも良く知っている圧力だった。
それはスペシャルウィークがレースで放つ圧力と同じもの。
模擬レースで何度か味わったことがあるので間違いない。
ゴールドシップが覇道と呼ぶ技なのだがどうしてそれがデュエルの真っ最中に放たれているのか。
ワケワカンナイヨー。
「SRメンコートをリリースして雷帝ザボルグをアドバンス召喚!
天帝アイテールを破壊するわ!」
「させるもんか! 墓地にある真帝王領域を除外して天帝アイテールのアドバンス召喚権を得る!
天帝アイテールをリリースして天帝アイテールをアドバンス召喚!」
「凄いですわテイオー、お手本のようなサクリファイス・エスケープ!」
パチパチとメジロマックイーンの拍手が響き渡る。
帝が来ることが分かっていたトウカイテイオーはこのために天帝アイテールをデッキから持って来たのだ。
そして計算通り相手の思惑を外した、はずなのに。
どうしてプレッシャーが消えないんだよ!
「くっ、アイテールのアドバンス召喚が成功した時、デッキから帝王と名の付いた魔法・罠カードを二枚墓地に送って爆炎帝テスタロスをデッキから特殊召喚する!」
そのプレッシャーを薙ぎ払うために立て続けに壁を用意する。
これで攻撃力2800が二枚。
攻撃力2400と1850では倒せないし、トウカイテイオーのライフをこのターンに削り切ることなど装備カード巨大化があったとしても不可能だ。
そしてこの爆炎帝テスタロスはアドバンス召喚時に相手の手札を捨てさせて1000ダメージを与える効果を持つ。
雷帝ザボルグとの戦闘ダメージを合わせれば2200ダメージ、キングヘイローを倒せる射程圏内だ。
頼みの綱の手札誘発を奪い去り、勝利を飾るに相応しいカードとなるだろう。
キングヘイローの手札は後一枚。
手札がある限り諦めきれないというのなら、諦めさせてやるまでだ。
だというのに。
キングヘイローから放たれる熱量はいや増すばかりだった。
「なんなんだ、なんなんだよ、キングに勝ち目はもうないでしょ!
このままじゃ場のモンスターを一体も倒せない!
罠カードだったとしてもボクは今墓地に送った帝王の凍気でこのターンに破壊できる!
光の護封剣だったらガイウスで除外するだけ!
逆転はもうない……なのに! そのプレッシャーはなんだ!」
トウカイテイオーが喚くのも無理はない。
彼女は今確実に追い詰めているというのに、心情的には追い詰められていた。
その心的プレッシャーを跳ね除けようと事実を羅列していく。
自分が負けるはずない。
そう信じているのに、キングヘイローの圧力と熱量は高まり続けている。
「そうね、普通ならさすがの私も諦めてたかもしれないわ。
でも誰かが言ってるの、諦めちゃダメって。私を呼んでって……貴方ね、私を呼ぶのは」
怖いくらいの熱量を放っているのに、どこか静かなままキングヘイローは最後の一枚をデュエルディスクに差し込んだ。
ソリッドビジョンが映し出したのは一枚の魔法カード。
「死者蘇生!?
いや、でも墓地の誰を呼び出したところで逆転なんかできっこない!」
「私が呼び出すのはこの子よ、いらっしゃい―――灰流うらら!」
そしてキングヘイローが呼び出した灰流うららは元気に跳びはね、キングヘイローに抱き着いた。
まるで良く呼んでくれたと喜んでいるように。
「攻撃力0のモンスターで何を……」
「バカテイオー! そいつはチューナーだ!」
「ピェ! まさか!?」
ゴールドシップの怒声で事態を察するトウカイテイオー。
帝デッキと言うことで頭からその可能性を外してしまっていた。
真帝王領域は特定の条件下でEXデッキからの召喚を防ぐカードだが、今のキングヘイローはその条件から逃れてしまっている。
シンクロ召喚に何の障害もありはしない。
「雷帝ザボルグに灰流うららをチューニング!
継承せし王者の鼓動が、不屈の魂を呼び起こす! 貴方に拝謁の権利をあげるわ!
シンクロ召喚! レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト!」
現れたのは赤と黒で彩られた巨大なドラゴンだった。
その威容はトウカイテイオーに充分すぎるほどの衝撃を与えた。
キングヘイローから放たれる熱量の正体がこれだと思い知らされる。
「レッド・デーモン!?」
「ジャック・アトラスのフェイバリットカードですわ!?」
二人がまだ小学生だった頃にテレビで見たあのドラゴンと名前と姿が酷似していた。
ただ一人、ゴールドシップだけが冷静に考察をしている。
折れた角と腕の追加装甲? まるで再起を図ってるあのトレーナーそのものじゃねぇか。
キングヘイローは未だ動揺している二人を置いて効果を読み込む。
と言ってもそう難しい能力ではない。
すぐに動き出した。
「スカーライトの効果を発動、自分メインフェイズ時に一度だけこの攻撃力以下の特殊召喚された効果モンスター全てを破壊するわ!
そしてその数×500ポイントのダメージを相手に与える!」
「だ、だとしてもアイテールはアドバンス召喚されたカードだ。破壊はされない!」
「でも爆炎帝テスタロスは逃れられない、アブソリュート・パワー・フレイム!」
強烈な炎がフィールドの全てを飲み込んでいく。
キングヘイローが腕を払えばその炎も、煙も、モンスターさえも消え失せていた。
トウカイテイオー LP3000→2500
「キングがただじゃ転ばないのは分かった!
それでもボクの場にはモンスターが残ってる!
ダイレクトアタックはない、勝つのはボクだ!」
「いいえ、勝つのは私よ」
それでも勝利を確信しているトウカイテイオーを一刀両断するかのような力強い宣言。
キングヘイローは一枚のカードを差し込んだ。
「魔界の足枷を発動!」
発動されたのは装備カード。
ガエル帝では相性が悪いため採用されにくいはずのカード群ではあるが使用したターンにフィールドから離れてしまえば問題ないのだ。
つまりその効果は装備モンスターの弱体化。
「アイテールの攻撃力が100に!?」
「バトル!」
「そんなっ」
最後の最後まで可能性を信じ、デッキと向き合ってきたキングヘイロー。
決着の姿がそこにあった。
「レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトで攻撃!
灼熱のクリムゾン・ヘル・バーニング!」
「そんな、バカなぁぁぁ!!」
トウカイテイオー LP2500→0
_____ヘイロー―――――
「最後の最後までなかなかきつかったな」
「そうね、正直勝てないかもと何度も思ったわ」
トウカイテイオーの展開力に押され続けたがそれでも粘り続け、最後の最後で末脚を爆発させたような勝利。
それはまるでキングヘイローの走りそのもののようである。
「それでも諦めずに掴んだのがそのカードか?」
「……それなんだけど、ゴールドシップさん、見てもらえるかしら?」
言われて、差し出されたカードを見るとそこには何も書かれていなかった。
白いシンクロモンスターのカードであることが分かるだけの印刷前のような奇妙なカード。
それは先ほどまでレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトだった物だ。
「なるほど……ド厳しいな」
「厳しい?」
「ああ、あれほどのデュエルをしてもまだ足りないとさ」
「足りない?」
扱う資格がないということだろうか。
そんな風に理解しつつもデッキに収めた。
細かい話はトレーナーに聞けばいいだろうと納得したのだ。
これに仰天するのはトウカイテイオーである。
「ええー! せっかく手に入れた新カードだよ!? もうちょっと気にしようよ!」
「うるせぇ! 他人がとやかく言うもんじゃねーし、テイオーは後でお説教だ!」
「なんでさ!?」
「心当たりがないから問題なんだよ!」
デュエルやりたいなら普通に誘え!とゴールドシップのお説教が始まったが、不思議と物申したい気分になるキングヘイローであった。
それをぐっと堪え、ギャースカ騒ぎ始めた二人を置いてどこか手持ち無沙汰になったキングヘイローに声をかけたのはメジロマックイーンだ。
差し出された紙コップには温かいウーロン茶が半分ほど入っていた。
「お疲れ様ですわ」
「ありがとう」
「それとスズカ先輩をお探しのようですが、今日はカフェの方にいるそうですよ」
お茶に誘いに来たのだが、どうやらすでにお茶を楽しんでいるようだ。
これは困ったと嘆息し、ウーロン茶で喉の渇きを潤す。
「ほい、ヘの字」
ゴールドシップの声と共に投げられたのは一枚のカードだ。
キャッチしつつトウカイテイオーを探すと噛ませ犬一年生というプレートを首から下げて正座させられていた。
気にしていては負けだ、と察してキャッチしたカードを見る。
「サルベージ・ウォリアー?」
「おうよ、今のキングに最も適したカードだぜ。入れるかどうかは任せるが、とりあえずそれやるよ」
アドバンス召喚時に墓地・手札からチューナーを特殊召喚するカードだ。
このモンスターはレベル5であり、灰流うららとチューニングするとレベル8のシンクロモンスターを呼び出せる。
レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトのレベルは8であり、効果の条件がアドバンス召喚と言うのも黄泉ガエルを使っているキングヘイローには適していた。
ゴールドシップが最も適したカードと言うだけのことはある。
「……ありがとう、ゴールドシップさん」
「おーし、じゃあ次はアタシとやっぞ!」
元気よく宣言するゴールドシップだが、部屋に入ってくる前の様子はどこへやら、である。
すっかり調子を取り戻したらしい彼女は将棋盤を割って中からデッキを取り出してやる気満々だ。
マジーンゴー!じゃねぇよ。
将棋盤はプールじゃないしデュエルディスクにもならない!
カシャカシャジャキーン!ゴルシィ!
いや、なったっしょ?
……なったね。
「え、ちょっとは休憩させなさいよ!」
「そうですわゴールドシップさん! それに次はわたくしの番です!」
二人のウマ娘に腕を取られ、モテモテのキングヘイロー。
ちなみにだが、後日後輩二人に無理矢理部屋に連れ込まれたキングヘイローが一時間後に疲れた様子で着崩れた姿のまま部屋から出てきたという噂が流れ、
そうして年越しの日までトレセン学園には少女たちのはしゃいだ声が響き渡るのである。
はい、難産でした。
どうしてスカーライトを活躍させたいのにアドバンス召喚主体の帝王を相手にデュエルさせたのか、これがわからない……。
前回のアンケート結果を踏まえて活動報告の方にデュエルの詳細を乗せておきました。
興味のある方はどうぞ。
次回『初詣デートとかしたいスズカさんだ』にアクセラレーション!!