幼馴染のウマ娘に時々アドバイスしてただけなんだが 作:沼りぴょい
ぴすぴーす。どうも皆さんこんにちは。幼馴染であるサイレンススズカの要望により、トレセン学園でスズカのためだけのトレーナーとなる予定の谷村永登ちゅうもんや。以後よろしゅうな。
などと、脳内でふざけねばならぬほどに、俺は緊張している。
俺の現在地はあのトレセン学園の校門前にいるのだが……あれだ。俺の場違い感が半端ないな。
厚意で仕事をさせてもらっていたとあるカフェの店長さんには申し訳ないとは思ったが、折角の好待遇だし、なんと俺の境遇を見かねてか、トレセン学園内に俺専用の小さな小屋なのだが、一人暮らしには丁度いい家も建ててもらった。
いや、理事長先生。俺めっちゃ頑張りますわ。粉骨砕身蔵の勢いで頑張らねば、この恩は返しきれない。
さてさて、校門前で待ていれば迎えをよこすといわれたので待っているが……とりあえず迎えの人早く来て。俺緊張してるんだから。
「へー、理事長先生のスカウト? 結構できる感じ?」
「いやぁ……はは、そんなでもないよ」
目の前にいる超絶美人のウマ娘。俺は左程ウマ娘について詳しくはないのだが、彼女のことはさすがに知っている。
ゴールドシチー。ウマ娘でもありながら、なんかモデルもやってるすんごい美人。なんだっけ? 100年に一人の美少女ウマ娘とかなんとか。
校門前で待機してたら、欠伸しながらやって来ているの見かけて、なんか目が合って、気づいたらめちゃくちゃ話しかけられてた。
だから早く。早く迎えの人来て。こんな美少女と話していると心臓ドキドキしてやばいから早くっ!!
「新人トレーナーさーん!!」
来た迎え! ビバ迎え!
「こほん、それじゃ、迎えが来たからこの辺で……えっと、ゴールドシチーさん」
「ゴールドシチーでいいよ。ま、よろしく、トレーナー」
と、片手で手を振り「じゃね」と言ってから髪をかきあげてトレセン学園に入っていった。
なにあれ、すっごいかっこいい。さすがモデルと言った所か。
「すいません! おまたせしましたか!」
「いえ、全然待ってないから大丈夫ですよ」
ほんとほんと。さっきのゴールドシチーとの会話が緊張しすぎて体感時間やばかったもん。
「既に、サイレンススズカさんも準備が終わってますので、早速あって貰えますか?」
「分かりました」
休日とかでたまにあって一緒に遊んだりはしていたのだが、最近はそんなことも無かったもんな。
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私、駿川たづなといいます。よろしくお願いします」
「あ、谷村永登っていいます」
ぺこりぺこりと頭を下げてからこちらですと言われ、そのままたづなさんの後を着いていく。
「秋川理事長に挨拶とかしなくていいんですか?」
「大丈夫です。理事長からは、先にサイレンススズカとあわせた方がいいだろうと言われてますので」
と、ニコニコしながら歩いていくたづなさんの後をついて行くと、トレーナー室と書かれたところに連れてこられた。
たづなさんはコンコンコンと三回ノックをすると、「サイレンススズカさん? いらっしゃいますか~?」と、聞くと、中から最近は聞けてなかったスズカの声が聞こえた。
「それでは、サイレンススズカさんのことをよろしくお願いします」
「分かりました。俺にできる限りの事はやります」
と、たづなさんがドアの前を退いてくれたので、俺は一度深呼吸をしてから、ドアノブに手を置き、回して開ける。
「あっ…………」
「お」
そしてそこには、久しぶりにあうサイレンススズカの姿があった、
「……久しぶり、スズカ。元気だった?」
「あ、はい……えっと、そう、ですね……」
ふむ、言葉では元気だとは言っているが、耳も若干経たり混んでるし、しっぽの揺れも比較的小さいな。俺とあった時はもっと嬉しそうにピコピコさせるというのに……これは相当ストレスが溜まってんな? これ。
「おいおいスズカ。俺の前では別に嘘なんてつかなくていいんだぞ? だって、幼馴染なんだからな」
「いえ、その、永登さんのお顔を見て元気になったのは確かですから……」
やっべ。さっきのセリフめっちゃドキッとしたんだけど。なんか今なら俺の幼馴染がこんなに可愛いわけがないとかいう小説書けそうだな。
「はっはっは、嬉しいこと言ってくれるなスズカは」
「……っ」
俺は、昔のようにスズカの頭を優しく撫でる。すると、一瞬ピクっと体が反応するんだが、次第に目をつぶってからその気持ちよさに体を預ける。耳が定期的にピクピクしてるのは気持ちがいい証拠である。
さてさて、大体はスズカの状態も分かったしな。後はそうだな……。
「スズカ。久しぶりにデートでもするか」
「…………はい?」
基本的にはアニメ準拠ですが、要所要所はオリジナル要素入れます。ご容赦くださいませ。