私事ですが、第1志望内定決まりました!
これで、今まで忙しかったけど少し落ち着きそうです!
今回少し短いですが、自分が就活中にも沢山の方が読んでくださってて、続きを待ってる方もいるのでとりあえず投稿します!
「やっと静かになった……」
栄翔は、そう呟くと後ろにいる女子生徒の方を向いた。
「大丈夫だった? 濡れたりしてない?」
「あ、はい……大丈夫です……」
女子生徒が被っているブレザーは少し濡れている。先程のブーイングの際に投げられた物の中に蓋が開いていてまだ中身が残っているペットボトルがあったのだ。創真は爆弾発言をした後すぐに舞台袖にはけたが、司会である彼女はそういう訳にはいかない。そこにペットボトルが飛んできたため、栄翔は女子生徒が濡れないようにブレザーをかけたのだ。
「そっか、良かった…………ってあれ? 麗さんだったんだ」
「へっ!? お、覚えててくれたんですか!?」
「もちろん。またここに通うことになったからよろしくね」ニコッ
「ひゃ、ひゃい///」
女子生徒……川島麗は栄翔の言葉に顔を赤くする。2人が接点を持ったのはまだ中等部一年生の頃。調理の実習でペアになった時だ。栄翔の完璧な料理技術、そしてその技術を授業後も何度も嫌な顔せず惜しげも無く教えてくれる優しさ、自分の素の姿を受け入れてくれる包容力に麗は惚れてしまったのだ。
中等部二年から急に学園に来なくなったのには心配もしたが、彼を想う気持ちはむしろ前よりも大きくなっている。そんな相手に忘れられていなかった事が麗は嬉しかったのだ。
そんな麗に背を向け、栄翔はマイクを持ち話し始める。
「とりあえず自己紹介だね。総帥からの提案で2年間海外に出ていた平神栄翔です。先日、日本に帰ってきました。よろしくね」
ハウリングにより会場が静まった後、ステージ上で2人が仲良さげに会話をする。その後すぐに空気を切りかえスピーチを始める。どんどん変わっていく状況に理解が追いつかなくなっていた会場の生徒達だが、徐々にこの状況に追いつき始める。
「さて、さっきの幸平創真くんのスピーチ、凄かったですね。外部からの編入生がこの学園の授業を見てもいない段階で踏み台宣言。相当な事だと思います」
栄翔のこの言葉に生徒たちは同意を示す。中には『そうだそうだ!』『アイツはこの学園を舐めている!』などと声を上げる者もいた。再び会場が『幸平創真を許すな』という雰囲気になり始めるが、栄翔はそこに待ったをかける。
「でも──
だからといって人を傷つけていいという訳ではないでしょ」
この言葉に会場中が静まり返る。
「あの発言に対して憤りを感じるのはいい。それはこの学園のことを誇りに思っているということだし、自分の腕を軽視されたことを許せなかったということだ。この気持ちは大事だと思う」
だけどさ
「人を傷つけるのは違う。その腕は、手は何のためにある? 人に物を投げて傷つけるため? 違う。料理を作り、人に幸せを届けるためだ。その口は何のためにある? 人を傷つける様な言葉を発するため? 違う。自分の料理を、そして他人の料理を味わい、自分の腕を上げるために意見を交わすためだ。その頭は何のためにある? 人を貶める方法を考えるため? 違う。自分の成長のための方法を考えたり、相手を思いやり、相手が楽しめるような料理を考えるためだ」
会場の生徒達、特に野次を飛ばしたり物を投げていた生徒は苦虫を噛み潰したような表情をしている。
「さっきここにいる女子生徒に君たちが投げたペットボトルが当たりそうになった。蓋が開いていてもう少しで身体、髪、服が濡れるところだった。こういう事が続けば今まで先生、先輩方が築き上げてきた料理界最高峰のブランド『遠月学園』の評価を落とすことになる。そうしないためにも今後こういったことは無いようにしたい」
栄翔は一息置くと最後の言葉を語りかける。
「俺たちは料理人だ! 言いたいことは皿で語り、切磋琢磨し上を目指そう!」
そう締めくくり、礼をすると舞台袖にはけていった。
会場の生徒達、そして舞台袖の創真とえりなさえも栄翔のスピーチに圧倒され声を出すことも出来なかった。
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