「………」
将平は、珍しく黙り込んでいた。実はバグスターノイズと戦っていたあの時…ツヴァイウィングのライブが行われていたのだが、ノイズによる悲劇が起こったのだ。
あの事件で大多数の人間が死亡し、生き残った者達は“人殺し”だなんだのと呼ばれるようになってしまったのだ。
外へ出るたびに見かける…自称“正義の味方”の粛清と言う名の暴行…。
「……なんで、ああいう連中が生まれるんだ。」
俺の中に、“憎悪”の感情が沸き出す。俺はライブに行ってないが故に知らないが…あんな連中は見てるだけで吐き気がしてくるのだ。
だが……こうは言っても、自分には何も出来ない。黎斗が憑依してくれなければゲンムに変身することさえままならない。俺と黎斗のコンテニュー機能は共有しているので、変身できなければ、ライフを無駄に削るだけしか出来なくなるしそんな事はしたくない。
『将平。君がそんな事を思う立場でも意見を言える存在でもないことは知っておくといい。』
「!…んなことは分かってるんだよ!」
知ってるよ…!自分がそんな事言える立場じゃないことぐらい。
俺だってそんな現状を無視してる傍観者なんだから……
『……これから私は新たなガシャットの制作を行う。暫くは表に出ることは出来なくなるが…構わないな。』
それだけ言うと、黎斗はゲーム機に入ってしまった。将平が変身できなくなる条件は先程言った通りだが…その原因は、調子に乗らせないと憑依してくれなくなる。
「……何か気持ち悪ぃ。」
俺は妙な気持ち悪さを覚えたので、気晴らしに散歩に出ることにした。
家の庭には、仮面ライダーレーザーLv2モドキのバイクがある。何か売ってたから買ったのだ。
俺はこのバイクに乗って散歩と言う名のドライブに出掛けることにした。
「おねえちゃん…怖い…」
「大丈夫、だから泣かないで…」
立花響…彼女はリディアン音楽院に通う女子高生。彼女は、風鳴翼のCDの発売日を忘れていたので慌てていたのだが、買いに行く途中で炭化した物体を発見。
それが、ノイズの仕業だと理解するのにそう時間は掛からなかった。
逃げてる途中で、彼女は母親とはぐれている女の子を発見したのだ。
だが、響にも分かっている筈だ。このままでは二人ともノイズに襲われて死んでしまう。
響は女の子と一緒に逃げ続ける……が、もうすぐ其処までノイズが迫っていた。
「おねえちゃん…わたしたち、死んじゃうの?」
「大丈夫だから!お願い…」
女の子はもう諦めている。だが、響は諦めていない。彼女はあのライブの被害者だ。
酷い迫害を受け、バッシングを受けた。だがそれでも、彼女の胸の中に秘められている言葉…
「生きるのを諦めないで!」
この言葉が彼女を支えてきた。ならば、彼女のやることは一つ…!
Balwisyall Nescll gungnir tron…
歌。この歌が、彼女に力を与えた。彼女が光に包まれると、その姿はナニカを武装した姿となる。
だがその間にもノイズが迫っていた。ノイズが当たる直前…響の拳がノイズに直撃する。その瞬間、ノイズが逆に炭化した。
「……えっ」
彼女は今、ただの非力な少女ではない。天羽奏がかつて纏っていたシンフォギア…ガングニールを纏っていたのだから。