それでは第一話です。どうぞ
体育館でのIS起動後、IS学園への入学手続きの説明のために、俺は会議室へと案内された。
数分後、会社で仕事をしていた父さんと母さんが会議室に呼ばれ、ISを動かせる男性の重要性と学園に入学させなかった場合の危険性を検査官から軽く説明された。
「…と,このようにIS学園に入学させることができなかった場合、はっきり申し上げますが、貴重なサンプルと称して研究所に拉致される可能性が出てきてしまいます。
申し訳ありません…私達には学園への入学という形で保護することしかできません」
「いえ、こうならない事を願っていましたがこうなっては仕方ありません。覚悟はしていました」
「そうねぇ、優紀もあの時からこうなる覚悟はしていたのでしょう?」
「ああ、していたさ」
「あの、覚悟していたとは、どういうことなのでしょうか…?」
「失礼しました。遅れましたが私、こういうものです」
父さんは、俺達の会話に疑問を抱いている検査官に、話し合いが始まってから今まで忘れていた自己紹介をした。
「はい、ありがとうございます。えっと…え?…えぇぇっ!!あ、あなたがあの!?」
「改めまして、私はIS企業『Re:RISE』代表取締役社長、士道マサキと申します」
IS企業『Re:RISE』
ここ数年の間に突如として現れた、IS関係の装備、追加オプションなどを中心に扱う、いま注目を集めている新企業である。
そして注目を集めている理由の一つ。装備の開発を陰から支える『Re:RISE』所属の謎の技術開発部特別主任、公表されている情報は、「BUILD」という名前のみ、彼又は彼女が開発した武器各種は癖がなく扱いやすい武装となっており、新企業ながら既に数多くのファンがいる、謎多き人物。
そんな大注目されている企業の社長が今目の前にいるのだ。驚かないほうが無理があるというものだ。
「あの、大丈夫ですか?」
「え、ええ。それであの、覚悟していたとは一体どういうことなのでしょうか?」
「ええ、私達は優紀がISを動かせること自体は随分と前から知っていました」
「え!?」
追い打ちをかけるように爆弾を落とす父、検査官さんもう頭の中ごちゃごちゃだとおもうよ。
「お恥ずかしながら、開発途中のISを興味本位で触った時に何故か起動してしまいまして、会社の中にはこの事実を知らないものは一人もいません。それを外部に洩らそうというバカな人たちは、ありがたいことに一人もいませんでした。
世間の風当たり的に、この事を発表するわけにもいかず、今日この日まで秘密にしてきました。ですが……」
「織斑くんによるISの起動による、二人目の適正者の検査開催の可能性…」
はっとした顔を俺に向ける検査官、俺達家族の覚悟の意味が完全に分かったようだった。
自分の子供が、ISの男性適正者。
女尊男卑を加速させる犯罪組織よりも質の悪い女性権利団体による存在が抹消される可能性。
この家族は一体どれほどの覚悟をもってこの検査に参加したのだろう。
(私には、この子の年齢の時にこんな覚悟ができただろうか…)
「はい、なので俺は大丈夫です。
IS学園への入学手続きは今ここで」
「分かりました、ではこの必要書類に記入とサインをお願いします。
お二人もよろしいのですね?」
「ええ」
「はい。息子のことどうかよろしくお願いいたします」
(なら私はこの人たちの覚悟が無駄にならないように、精一杯がんばろう)
検査官は、静かな覚悟を胸に掲げた。
時と場所は変わり、『Re:RISE』本社ビル、第一会議室。
今この場には家族四人が全員集合していた。集まって話す議題はもちろん、俺の今後についてである。
これから始まるであろう地獄からいち早く逃げたいのだが…
「では、我らの愛息子、士道優紀についての会議を始める!」
『『はい!』』
「はい!じゃねーよ!!」
開始の合図をとったのは我が父、『Re:RISE』代表取締役社長、士道マサキ。
「では、まずは今日の会議中に録音した優紀ちゃんのカッコイイセリフの清聴から…」
「そんなもんを流そうとするんじゃねぇよ!!」
いつから録音していたのかわからない音声を流そうとする母、士道
「兄ぃのその音声、スマホに落としてもいい?」
「妹よ。この流れでそれを許すと思っているのか?」
最後に兄の音声を自分のスマホに落とす気でいる妹、士道
「ふざけるのはここまでにして、まじめに始めようか」
「いの一番にふざける空気を作った人が言うことかよ…」
「まあまあ、和ませようとしただけだから。ね?」
「わかってるよ」
ふざけた空気から一転して、今回の議題に入る父さんと母さん。
「さて、IS学園に入学すると言うのは、当初想定していた可能性の良くない方向に傾いてしまった訳だが、予定通りお前には『Re:RISE』の企業所属のパイロットになってもらう」
「まぁ、この辺はしょうがないよね」
この話は俺がISを動かしてしまった時に、会社の会議で大々的に決まっており、『Re:RISE』の社員たちは全員知っていることであった。
「お前は男性のIS適正者以前に、私たちの息子だ。国や他の企業に干渉されるよりはよっぽどいいからな」
「それと、
「その通り。幸い我々は国からも認められている大企業だ。
あの、バカどもも干渉はできないはずだ」
つまり、企業所属のパイロットになることによって、対女権団用の後ろ楯が付くだけでなく、父さんが説明していたが国と他企業からの勧誘をさせないようにしたのだ。
「これも決まっていたことだが、ISに関しては、お前に専用機をこちらのほうで用意する」
「機体は
「もちろんだ」
アイツとは、俺が初めて触った機体のことだ。
「そうねぇ。あの機体は完全に優紀ちゃんカスタムになっているし、国からももう一つISコアが支給されたから問題はないわよ」
「あの機体は兄ぃにしか反応しないからどちらにしても問題ない」
そう、妃が言った通り俺が動かしたISは、何故か他のパイロットが触っても反応をしなくなってしまったのだ。
確かに篠ノ之束博士が開発したISコアにはそれぞれ意思がある、と言っていたが俺しか乗せようとしないのは変わり者なのだろうか。
「IS関する基礎知識は問題ないし、操縦訓練は引き続き試験場でやっていいんだよね父さん」
「ああ、それで問題はない」
「じゃあ、会議はこれで終わりね。私とお父さんは仕事が少し残っているから二人は先に帰っていて」
「分かった。行こう妃」
「うん。お仕事頑張ってね」
優紀と妃は会議室を後にし、残ったマサキと優月は残っていた仕事に手をつけ始めた。
「さて、私達も頑張りますかね」
「そうね。あの子に降りかかる火の粉はすべて払う。これが私たちにできること」
「ああ、守ってみせるさ。この命に代えても」
俺と妃はすっかり日が落ちた家への帰り道を歩いていた。
「ねぇ兄ぃ?」
「なんだ?」
「手つないでもいい?」
妹が不安そうな顔で俺の顔を覗き込みそんなことを言ってきた。
「いいけど、どうしたんだ急に」
「…遠くに行っちゃうから少しだけ、いいかなって…」
そう、IS学園はアラスカ条約に基づいて日本に設置された、IS操縦者育成用の特殊国立高等学校。学生は基本的に学園内の寮生活になるため、関係者以外は基本的に接触することはできない。男性適正者となればなおさらだ。
「そうだな、俺も少しさみしいよ」
「ホント?」
「ああ、基本的に会えるのは長期休みの時だけだろうし、お前は大事な家族で大切な妹だ。家族と離れてさみしくないなんてそんなつまらないウソ、俺はつかないよ」
「そっか…」
俺がそう言うと、妃の不安な顔が少し晴れたように見えた。
少し元気になったかな?
「それじゃあ兄ぃ、今日の夜一緒に作ろ?」
「分かった、じゃあ、スーパーによってから帰るか?」
「うん!」
妃は満面の笑みで俺の手を握り返す。
帰り道の夕焼けはいつも以上に綺麗に見えた。
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