レジェンジャー
レッドフェニックス:穂村 敦(ほむら あつし) 人間世界の住人。探検家を目指している。
エル:精霊世界から逃げてきた女性。
カイ:エルの兄。エルを逃がすために精霊世界に残る。
堕天シン一族
ヴェルゼ ハエの姿をしたシンの使用人。
マーモン 猫の姿をしたシン一族の末っ子。
ベルフォン 牛の姿をしたシン一族の次男。
〜☆〜
世界には無数の並行世界がある。
科学が発展した世界。魔法が発展した世界。機械が支配した世界。魔王が支配した世界。
他の世界に干渉しないまま、それぞれの世界が進化している。
だが…その不干渉の定理が…今覆される。
〜☆〜
『精霊世界』
エル「はぁはぁ!」(息を切らしながら逃げている)
ヴェルゼ「イッヒッヒ~! 逃がしませんよ~!」(追いかけながら、杖先から電撃を出してけん制)
エル「あっ!?」(電撃が周囲で爆発し、転倒してしまう)
ヴェルゼ「追いつきましたよ~。さぁ、主様達を開放させるカギをいただきましょうか~」
エル「渡すわけにはいかないわ! シン一族が復活してしまったら、この世界は…」
ヴェルゼ「えぇそうですよ~。我らが主様、『ザタン様』がこの世界、ゆくゆくは数多の平行世界を支配します~。さぁ、大人しく渡せば痛い目は…」
エル「嫌と言っています!」(レジェンガン(銃)を取り出して、ヴェルゼに撃つ)
ヴェルゼ「グッ!? この小娘~!」
マーモン「ヴェルゼ、いつまで遊んでいるのさ?」(通路の奥から現れる)
ヴェルゼ「あ、マーモン坊ちゃん! 申し訳ございません。少し手間取ってしまい…」
マーモン「そんな奴、やっつけて奪い取ればいいだろ?」
エル「マーモン…そんな復活していたなんて…」
マーモン「ヴェルゼが復活させてくれたんだよ。ボクを封印の扉に数百年も閉じ込めたお礼…タップリ返してやるよ」
エル「っ!」(レジェンガンを向けて撃つ)
マーモン「無駄だよ。復活したてとはいえ、下級天使精霊に遅れは取らない」(銃弾を手で弾いて防いだ)
エル「そんな!?」
マーモン「ヴェルゼ、さっさと兄さんたちの封印のカギを奪っちゃえ」
ヴェルゼ「かしこまりました」(エルからカギを奪い取る)
エル「あっ!? ダメ! うっ」
マーモン「お前はこれからボクに痛めつけられる。簡単にくたばるなよ? ジワジワと苦しめてやる」(エルの首筋にナイフを近づけ、動けないようにする)
カイ「エルを離せ!」(レジェンガンを打ちながら迫っていく)
マーモン「うっ!」(銃弾が肩に当たり、怯む。その隙にエルを救出)
エル「カイ兄さん!」(カイに連れられて、近くの物陰に隠れる)
カイ「エル、ここは俺に任せろ。エルは五大精霊たちと共に逃げるんだ」
エル「そんな!? 私も一緒に戦います! カイ兄さんを置いて逃げるなんて」
カイ「まだザタンを封印しているカギはここにある。これが奪われたらこの世界の終わりだ。頼むエル、このカギを持って別の世界に逃げるんだ」(首にかけていたカギをエルに渡す)
エル「最後まで…カイ兄さんと戦いたいです…」
カイ「エル、お前の気持ちも分かる。でもこれも世界を守るための大事な役目だ。世界の未来はお前にかかっている。こんな重荷を背負わせる兄を許してくれ」
エル「カイ兄さん…」(涙を流しながら、カギを受け取る)
カイ「別の世界の入り口は、精霊たちが案内してくれる。さぁ、行くんだ!」(エルの周りに5色の精霊達の魂が浮いている)
エル「うぅ…カイ兄さん…約束してください。必ずまた会うと」
カイ「あぁ。必ず!」(エルを強く抱きしめる)
マーモン「よくも…ボクに傷をつけたな…ヴェルゼ! あいつらを捕らえろ!」
ヴェルゼ「かしこまりました」(カイとエルに迫っていく)
カイ「早く行くんだエル!」(エルの背中を押して、行かせる)
エル「カイ兄さん! ご武運を!」(5大精霊と共に異世界の扉に入り、消えていく)
カイ「…生きてくれ…エル。うぉぉぉぉぉ!」(レジェンブレードとレジェンガンを手にして、敵に向かっていく)
この日、精霊世界が崩落し、堕天シン一族が支配した。そして、次にシン一族が狙っているのは…人間世界、つまりこの世界である。
~☆~
『人間世界:とある遺跡がある山のふもと』
敦「この山か…」(大きなリュックを背負った青年、穂村敦が写真を見ながら歩いている)
敦「父さんが遺跡調査で行方不明になった山。俺が父さんを助けるんだ」
『回想』
敦「どうしてだよ母さん! 父さんが心配じゃないのか!?」
穂村母「そりゃいつも心配だよ。でも、今までも遺跡調査で数日も連絡取れない日はあったし…」
敦「でも半年も連絡がないのはおかしいだろ!? オレ、探しに行ってくる」(大きなリュックを背負いながら、出発の準備をしている)
穂村母「何言っているんだい! 敦までいなくなったら…お母さん、1人になっちゃうよ」
敦「大丈夫。定期的に連絡はする。それじゃ行ってきます!」(急いで家を出る)
穂村母「あ、敦! 待ちなさ…」(閉じる玄関。立ちすくむ母)
『回想終了:遺跡の内部』
敦「この遺跡か…。確か数百年前に建てられたって言われているな…」(遺跡の奥に進んでいく)
敦「こんな文字…見たことない。それにこの壁画…何を描いているんだろ?」(壁画をじっくり見ながら、考える)
敦「これは黒い羽が生えた人、悪魔かな? そして戦っているのは白い羽の人…天使かな。それに、炎の鳥に人魚、翼竜、巨人、一角獣…まるでファンタジーだな…」(禍々しい悪魔たちの絵、それと戦っている天使と空想上の生き物たちを見ながら呟く)
ゴゴゴゴ…!(突然の地揺れ。それに爆発したような轟音)
敦「な、なんだ!? お、奥からか!」(揺れが収まったと同時に、爆発した方に向かって走り出す)
敦「ッ!?」(大きく開いた部屋に出た。その部屋の中心には少女が倒れていた)
敦「おい! 大丈夫か!? …よかった呼吸はある、生きているな」(急いで少女に駆け寄る)
敦「この子…不思議な格好をしているな…。それに、カギ?」(エルの背格好、それに不思議な形をしたカギを見る)
エル「んっ…? ここは?」(意識を取り戻す)
敦「あ、おい! 大丈夫か? どこか痛むところはあるか?」(エルが目が覚め、矢継ぎ早に問いかける)
エル「ッ!? きゃぁ!?」
敦「ウワッ!?」(エルに押されて、転倒。エルはそのまま距離を取り、敦を警戒している)
エル「ど、どちら様ですか!? まさかシン一族の手先!?」
敦「シン一族? お、落ち着けって。オレは穂村敦(ほむら あつし)探検家…の卵だ」(エルを落ち着かせるように話しかける)
エル「ホムラアツシ…? あ、あの…ここは一体どこですか?」
敦「え? ここは日本で、遺跡の奥だけど…」
エル「ニホン…聞いたことないです…ということは…ここは別の世界。逃げてきたんだ…」(カギを握りしめながら呟く)
敦「えっと…君の事も聞きたいけど、まずは外に出ないか? かなりボロボロだし、オレの家においでよ。えっと名前は?」
エル「あ、すみません。私はエルと言います。そして5大精霊の…アレ?」(精霊たちを紹介しようと周囲を見渡すが、彼らの姿が見えない)
敦「せ、精霊?」
エル「ど、どこ行ったのでしょうか? もしかしてここに飛ばされた時に、はぐれちゃった!?」
敦「ちょ、ちょっと待って!? 精霊って言った? 君は一体何者なの?」
エル「は、はい。私は…精霊世界の者です。訳あってこの世界に逃げて来ました」
敦「……どうやら頭を強く打ってしまったようだな。オレの家じゃなくて病院に…」(心から心配する表情でエルを見る)
エル「本当なんです! 信じられないかもしれませんが…」
敦「分かった、分かったから! 取り合えずゆっくり説明してくれる?」
エル「はい。実は…」
ゴゴゴゴ!(再び地揺れ。倒れる敦とエル。そして、いきなり遺跡の天井に穴が開いて…)
敦「な、なんだ!?」
エル「世界の通路が!? あ、あぶない穂村さん!」(ガレキが落ちてきたので、急いで敦を押して助ける)
ベルフォン「フゥーハハハ! ようやく見つけたぜ…親父を封印しているカギ!」(牛のようなバケモノが天井の穴から落ちてくる)
エル「ベルフォン!? あの時奪ったカギはベルフォンの封印のカギだったんですね」
敦「な、何者? あの牛のバケモノ!?」
エル「ベルフォン…シン一族の1人です。私の持っている封印のカギを狙って来たんです。まさか世界を超えてくるなんて」
敦「カギって…そのカギか? だったらそれ持って早く逃げろ!」
ベルフォン「フゥーハハハ! お前のようなひ弱な男、俺様の敵じゃない。死にたくなければそこをどけ!」
エル「そうです! ベルフォンはシン一族でも一番の暴れん坊。穂村さんを巻き込むわけには」
敦「よくわかんないけど…。ボロボロの人を追いかけてくるってことは、お前は悪い奴って事はよくわかった。悪い奴は許さない、オレの心の声が叫んでいる…熱く燃えている!」(拳を握りしめ、ベルフォンを指さす)
ベルフォン「フゥーハハハ! 威勢だけはいいな。そんなに死にたいなら、すぐに死なせてやる!」(大きな斧を取り出し、敦に向かって襲い掛かる)
敦「うぉぉぉぉぉ!」(斧の大振りを回避し、ベルフォンの体を抑える)
ベルフォン「無駄なことを!」(膝蹴りをして敦を苦しめる)
敦「うわっ!?」(ベルフォンに投げ飛ばされて、エルの足元に転がっていく)
エル「穂村さん!?」
敦「ほ、本当に強い…」
エル「お願いです…逃げて下さい…。これ以上…誰かが傷つくのは、見たくないです」
敦「な、何言ってんだよ…それでエルが傷つくのはいいのかよ…。そんなのオレが許さねぇ…。それにこの程度でオレの心の炎は消えない!」
エル「穂村さん…」
敦「オレは穂村敦! どんな困難だろうが乗り越える! それがオレだ!」(立ち上がって叫ぶ!)
ベルフォン「ほざけ! これでとどめだ!」(斧を大きく振り、斬撃波をを飛ばす。が、赤い光の球がその斬撃波から敦とエルを守った)
敦「っ!?」
ベルフォン「何っ!?」
エル「あれは…5大精霊の1つ…フェニックス!」
敦「5大精霊?」(赤い光、『フェニックス』は敦に近づく)
エル「私の世界の5人の守り神です。この世界に来るとき、一緒に来たんですけど、途中ではぐれてしまって…。今までどこに?」
敦「…きっとオレ達のピンチに駆けつけてきたんだ。優しい奴だな」(フェニックスは敦の周囲を飛び回る)
エル「どうやらフェニックスは穂村さんの事が気に入ったようです。一緒に戦うと言っているみたいです」
敦「オレと一緒に?」(フェニックスは敦の左手首に止まり、レジェンチェンジャーになる。右手には炎のマークが刻印されたカギを手にしている)
エル「それは…レジェンチェンジャー!? 穂村さんあなたは伝説の戦士の1人だったのですか!?」
敦「は、はぁ!? そんな訳…」
ベルフォン「貴様ら、纏めてギタギタしてやる!」(斧を構える)
敦「よ、よく分かんないけど…力を貸してくれ、フェニックス!」(レジェンチェンジャーを前に突き出し、チェンジキーを持つ右腕を顔の前に構える)
敦「『精霊チェンジ!』」
レジェンチェンジャー『フェニックス!』(チェンジキーをレジェンチェンジャーに差し込んで回す)
ベルフォン「うおっ!?」(眩い光と衝撃に飛ばされる)
レッドフェニックス「…うわっ!? なんだこれ!?」(変身した自分の手足を見て驚く)
エル「それは、5大精霊の炎の精霊フェニックスの力を宿した姿…。精霊戦隊レジェンジャーの1人、『レッドフェニックス』の姿です」
レッドフェニックス「精霊戦隊…レジェンジャー?」
エル「私の世界に古くから伝わる伝説の戦士です。今の穂村さんなら、もしかしたらベルフォンも倒せます!」
ベルフォン「何が伝説だ! 俺様の敵じゃねぇ!」(再び斧を持って向かってくる)
レッドフェニックス「よくわかんないけど、これならアイツを倒せんだな! よっしゃ行くぞ!」(ファイティングポーズで構える)
ベルフォン「うおりゃ!」
レッドフェニックス「はっ!」(斧を振り下ろす前に、ベルフォンの腹にパンチ。たちまちベルフォンは後ろに下がって怯む)
ベルフォン「グッ!?」
レッドフェニックス「すげぇ…力がみなぎってくる。はぁ!」(ベルフォンに向かって攻撃。パンチキックの猛攻でベルフォンが怯んでいる)
エル「穂村さん! これを使ってください!」(自前のレジェンガンとレジェンブレードをレッドフェニックスに向けって投げる)
レッドフェニックス「おっと。これは武器か。ありがとうエル!」(2つの武器を手にして、レジェンガンを撃つ)
ベルフォン「ぐはっ!」
レッドフェニックス「はぁあ!」(撃ちながら接近し、レジェンブレードで連続斬り)
ベルフォン「ま、まさか…この俺様が一方的に…」
レッドフェニックス「諦めろベルフォン! オレがいる限り、エルにひどい目は遭わせないぞ!」
ベルフォン「くっ…ここは一時撤退か。だがこの程度で俺様に勝ったと思うなよ! レッドフェニックス、穂村敦、貴様の名前、覚えたぞ!」(空間に穴を開けて、その中に入っていく)
レッドフェニックス「ふぅ…何とかなったか…」(変身を解除し、元の姿に戻る)
エル「すごい…あのベルフォンが…」
敦「やったぜ…エ…ル」(バタンとその場に倒れる)
エル「穂村さん!? 大丈夫ですか!? お怪我は!?」(急いで敦の所に駆け寄る)
敦「あはは…安心したら…力が抜けちゃった…」(微笑んでエルを安心させる)
エル「…ありがとうございます穂村さん」
敦「敦でいいよ。はぁ…今日はもう父さんの捜索どころじゃねぇな…」
エル「お父様の…捜索?」
敦「い、いやこっちの話…エルはこれからどうするんだ?」(起き上がって、エルに問いかける)
エル「え、えっとですね…。散り散りになった5大精霊達を探そうと思います。きっとこの世界にいると思いますし…」
敦「寝泊まりする場所はあるのか?」
エル「そ、それは…」(顔を伏せて黙り込む)
敦「だったらしばらくオレの家に厄介になればいいぞ。エルの話も聞きたいし、フェニックスも返さないと」
エル「…そのご迷惑じゃ…」(断ろうとしたが、お腹が『グぅ~』っと鳴る)
敦「取り合えず、ご飯食べに来いよ。話はその後でもいいだろ?」
エル「えっと…お願いします」
~☆~
『旧精霊世界:精霊城』
マーモン「アハハ! ベルフォン兄さんがオメオメ逃げてくるなんて!」(椅子に座って嘲笑う)
ベルフォン「黙れマーモン! 予想外の事態が起きただけだ!」
ヴェルゼ「ベルフォン様の話によりますと、どうやらカギはこの人間世界にあるようですね」
ベルフォン「次こそは必ず手に入れる! この借りは倍にして…」
マーモン「だったら手を貸そうかベルフォン兄さん?」
ベルフォン「お前の力なぞ…」
マーモン「まぁまぁ。ほら、兵はたくさんいた方がいいでしょ?」(怪しいツボを取り出し、それを逆さまにして中身の液体を垂らす)
ベルフォン「それは?」
マーモン「ボク達の手足となってくれる、『ドロリン』と名付けるか…」(床にばら撒かれた黒い液体は人型となり、数多の兵となった)
マーモン「これを貸してあげる。今度は人間世界を思う存分暴れてきたら?」
ベルフォン「ほう…マーモンにしてはなかなか面白い物を…良いだろう」
次回予告
5大精霊を探すエル。その手伝いをする敦。
そして再び攻めてくるベルフォン。
そんな中、2人目のレジェンジャーが爆誕!
次回『決意の証! ホワイトユニコーン!』