化物らしく、人間らしく   作:照坊主

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ラブコメ地味たものってどう書けばいいかわからない…



※一部実話が入っております


能力は!成長する!!

――黄巾の乱とかいわれた戦争もなんやかんやで終結し、人々は喜んでいます。

 

「ってな、馬鹿どもが…」

 

「どうしたんですかい?旦那、急に適当な語り口調で」

 

「んー?ほれ、あれ見てみろよ」

 

そう言って指差す先には喜色を浮かべる商人、穏やかな顔したほかの屋台の売り子達

 

「…?あれが何か?」

 

「どいつもこいつも気ぃ抜きすぎだっつの」

 

ああ、本当に阿呆ばかりだ、何にも考えちゃいねー

 

「いいことじゃねぇですか、賊がいなくなりゃ商売がやりやすくなって…そりゃ、皆笑顔になるでしょうに」

 

大将もわかっちゃいねーか…いや、この世界でわかる奴のほうが少ないか…

 

「いいかー?大将だから教えるけど、こんなもん一時的なもんだ、目聡いやつは今頃買溜めしてるぜ」

 

「はぁ…そりゃまたどうして…」

 

今のうちに売り買いしたほうが儲けるのに…なんて言っとる大将

確かに儲けれるが今の一時だけだ、そんなことができるのは

 

「いいか、黄巾なんつーおバカ集団が出たんだ、そりゃ退治されてめでてーの分かるが結局のところなんにも解決にはなっちゃいねーんだ」

 

 

「ってぇすると…また黄巾みたいなのが出るんですかい」

 

惜しいってか、そうじゃねーんだよなぁ

 

「あんなもん何処にだっていんだろ、ただ規模がでかかっただけの話だ」

 

「え?…あー言われてみりゃ確かに、賊がいなくなったことなんざ無いですわなぁ」

 

「そーそー、大事なのはそこじゃねーんだ、たかが規模がでかくなった賊に官軍が負けてたってことだ」

 

大将はそこらの屋台引いてるような奴らより賢いからもう分かるだろ

 

「…なるほど、そういうことですかい…参ったなぁ…」

 

「だーから俺は言ってるんだ、とっとと店持てって」

 

賊軍に負けるような官軍だ、力が無いって言っちまったよーなもんだ

野心だかなんだかが強い奴はこれを機に天下取ろうとするだろう、何せ国に力がないのは分かっちまったんだから

 

問題なのはそこらの諸侯のほとんどが野心90の部下にしたくないタイプの奴らだってことだ

姉貴なんて多分全ステータス100とか、パワーアップキットのオリジナル武将みたいな性能してやがるに違いない

 

「領主からふんだくった金があんだろ?俺を売った時のがよ」

 

「ええ、そりゃもうたんまりと」

 

この大将も侮れねーんだよな、姉貴から金ふんだくるとか…かなりの度胸がいるぞ?

 

「旦那の言うとおり、この際本腰入れて店でも構えますかねぇ…」

 

「あ、ここでやるのはおすすめしないぞ」

 

「そりゃまたどうし…ああ、そうでした、おっかないのが居ましたなぁ」

 

姉貴は本当にうるさいからね、こと飯に関してはとびっきりうるさい

 

「孫呉に行け、孫呉に、あっこなら文句言われねーから」

 

「いや、孫呉はなんか嫌な予感がするんですよねぇ…一般庶民用って店の看板にでも書きましょうかね…」

 

まじで大将すげー、孫呉行ったら行ったで受けねーからな、この料理は…ってか大将のやり方は、ここでも受けてねーし

 

「ちなみにさ、大将」

 

「は?なんですかい?」

 

「この肉何?焼いてあるのにすっごい硬いんだけど…」

 

「ああ、あそこで売ってる干し肉焼いたやつでさぁ」

 

ぴっと指差した先には一山いくらで干し肉が置いてる

 

「…悪いこと言わねーからさ、他で店やりなぁ…ダメだって大将みてーのは」

 

「言わねーのがお約束でしょうよ、旦那」

 

どんだけものぐさなんだ、このおっさんは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~…やだやだ」

 

夜になったんで『店仕舞いですぜ、旦那』と追い出されてしまった

普通飲み屋の屋台が夜に店仕舞いするかね?

 

「ま、そんだけ焦ってるのかもねぇ」

 

懐からキセルを出し、能力で火を付ける

血を代価にすれば何でも出せる、この能力マジでチート

 

フーッと煙を吐き出しながら夜道を歩く、何気なく上を見ると

 

「お、新月か今日は…星が綺麗だねぇ」

 

生まれ変わる前じゃ滅多に見れない光景だ、ド田舎じゃなきゃ見れないな、これは

 

「…化物にも美しい等と言う感性はある…か」

 

「うるせーよ…ってか誰だお前」

 

気づけば目の前にいるのは一人の女、見たこともない奴だ

 

黒髪のショートボブ、肌は…暗いからよくわからんが多分浅黒い、身長は170ちょいかね?元譲ぐらいだ

胸もデカイ、スタイルもいい、顔は…わかんね、いかんせん暗い

 

手には無骨で大振りな直槍、服装は…ジ、ジーパンに革ジャンだと(多分)!?

 

「私の名は周倉、黄巾の生き残りだ」

 

「え…お、おう、いや…それよりもだな」

 

どこだ!どこで手に入れた!?この世界おかしいぞ!特にこういう服装関連!!

 

「お前を殺しに来た、化物」

 

言い切る前に直槍が俺の心臓を穿つ、暗いせいも相まって全く見えない

心臓を潰されると人間は前へと膝をつく、その時点ではまだ生きているため俺の能力も発生しない

 

俺が膝をつく前に槍は引き抜かれそのまま脳天へ、流石に癪なんでそれは後ろへ飛んで躱す

見透かしたようにそのまま突っ込んでくる、呆れた、とんだ馬鹿がいたもんだ

 

「俺が化物ってわかってて挑むのかい!ええ!?人間!!」

 

クレイモア風の諸刃の大剣…クレイモアでいいや、を取り出してそのまま鍔競り合いになる

 

「ああ、その通りだよ化物!私達のような化物は居てはいけないんだ!」

 

徐々に力負けをしていく、そんなはずはないのに、今の俺の力は12万飛んでー…えっと、2400ぐらい

それだけの人間集めて綱引きしても同等の力を持っているというのに…なんだこいつは…

 

「おい…女…」

 

なんなんだこいつは…

 

「くっ…押し切れん…だと…!?」

 

焦っているのか驚いてるのか、あるいはその両方か…どちらでもいいが

 

「お前…面白ぇよ…」

 

俺に適う奴なんざ、居ないと思ってたんだがなぁ…

 

「だからよ」

 

そんなお前だからこそ、全力でやってやるよ

 

 

 

 

 

新月の闇夜の中、住民区から外れた貧困層が住む貧民街の一角で男と女が戦っていた

 

女はその体躯に見合わぬ大振りな直槍を用いて、幾度となく男を貫く

男はその体躯を活かし、貫かれながらも拳を振るう

 

女は拳を受けるも、傷付く様子もなく男に挑み

男は三日月のような笑みを浮かべながら女を殴りつける

 

槍が振るわれる、常人の目では写ることさえ許され無い、まさに神速とも呼べる速度で

拳が振るわれる、常人ならばその一撃で粉々になるであろう、化物の一撃が

 

されど女は倒れず、されど男は死なず

延々と同じことが繰り返されていく

 

およそ、人の形をしたものが行える戦いとも言えないこの現象の中、男に焦りが出始めた

男の力は確かに強力だ、『命を代価とする』、男の認識では己の命でさえ他の命を差し出せば賄えるのだから

 

しかし、男の力は『代価』ありきのもの、つまりは有限なのだ

殺される度に人間一人分の力が弱まっていく

 

男は女の力を知らない、女は只ひたすらに男を貫いていくだけだ

 

槍を振るう、男の目にも写らない、そして貫かれる

拳を振るう、女の体は砕けない、そしてまた貫かれる

 

男は僅かに恐怖を抱いていた、まさか自分が殺されるとも思いもしていなかった

当たり前である、自らが最強と思っていた力が敗れるかも知らないのだから

 

男は愉しんでいた、自らを殺せる存在が湧くかのように現れたことに

男の内心は焦りがあった、しかし男は笑っていた、ずっとずっと笑っていた

 

「何が面白い」

 

戦いの最中女は尋ねる、力が最初より若干弱まっていることに女は気づいていた

なのに、この男は笑い続けている、不気味で仕方がなかった

 

「逆に問おう、なぜ笑わない?」

 

男は答える、さも当然かのように

 

「殺し合いをしているんだ、笑えるわけがないだろう」

 

女も答える、当たり前だと

その答えに男は大声で笑う、可笑しなものを見つけた子供のように

 

突然と笑うことをやめた男は言う

 

「糞みたいな俺達が、他人に特別をねだった俺達が、その特別を使ってる時以外にいつ笑うんだよ」

 

男は語る

 

結局のところ、自分達のような力を持ったのは他人を見下したいがためにねだったのさ

そうじゃなきゃ、転生する時に『特別な力』なんて望むわけがない

 

お前も俺も、見下したいから貰ったんだ、見下されてたからこそ貰ったんだ

才能、努力、生まれ、育ち、そんなものに左右されない『特別』をアレにねだったんだ

 

その時点で俺等は人間じゃねぇ、才能を磨くことも、努力を重ねることも、生まれを誇ることも、育ちを経験することも

その全てを放棄した存在だ、だからこその化物、だからこその英雄だ

 

一片でも人間でありたいと思った奴は、平和な人生歩みたいと思ったらよ

アレにこう願うのさ、『平和な世界に生んでください』ってなぁ!

 

そう語り男はまた笑う、女はそれを嘲りと感じた

 

その通りだ、そう思った自分がいるから

化物を殺した英雄と言われたがってた自分がいたから

 

男は続ける

 

「それによぉ…お前の能力、予想がついたぜ?…お前『時間を操ってる』な?」

 

女にとってその推理は図星であった、女の能力は『時を操る能力』

 

神速の槍は、槍と己の体の時間を加速させたもの

女の体が砕けないのは、自らの体の時間を止めているから

男と拮抗したのは、男の時間を少しずつ戻していたから

 

「だから…だからどうしたというのだ、わかったところで攻略はできまい」

 

痩せ我慢だった、女のこの力は同時に発動できないのである

同時に発動しているように見せかけているだけだ

 

どこぞの吸血鬼のように女は世界の時を止めて、その中を動くことはできない

あくまでも『時を操る』、それだけの力だ

 

「いやいや…攻略は可能だぜ?…俺の能力、知ってるか?」

 

男がそう言った瞬間、世界が止まった

 

女は焦った、自分は止めていないのになぜ止まっているのか?

それ以上に『何故あの男は動いているのか?』

 

「俺の力は『血を代価とする能力』、代価として払った後に得るものに制限はかけちゃいねぇ」

 

絶句としか言いようがなかった、そんなのありなのか、と

 

「惜しかったなぁ?俺の力があの吸血鬼のそれを超えたアレンジじゃなきゃお前の勝ちだったのによ」

 

既に女の眼前まで男は歩いてきている

大丈夫だ、止まった時の中ではどんな物質も破壊はできない、あの吸血鬼のそれとは違うんだ

 

女は自分に言い聞かせる、散々試した自分の力だ、それの真似事ならば、と

 

「なぁ、お前忘れてるだろ」

 

しかし、それすらも男の前では無意味だった

 

「止めることができればよ、『戻すこと』だって可能だよな?例えばお前さんが加速してる時とか、な」

 

女は理解した、ここで死ぬのだと

女は否定したかった、こんなところで死にたくないと

 

命乞いをしたかった、まだやることがあるのだと

 

「ま、イイ線いってたと思うよ、お前さんは…敗因は、俺に気づかせちまったことだな」

 

なんといえば許してもらえるのだろうか?いや、許されない、どうやって逃げる?

逃げれない、止められたら終わり、どうする?どうするどうするどうするどうする――

 

そこで、女の理性は一度決壊した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、あの、ちょっと待てや

 

「うぐっ…ひっぐ…ズズッ…」

 

気付いた後、時間止めてネタばらししてから「さぁぶん殴ろう」って思った矢先にこれだよ?

時間止めるのは消費が半端じゃないから、とっとと終わらせようとしたらこれだよ?

 

「ひぃ…ゆ、ゆるぃてぇ…えっぐ…」

 

このアマ泣きやがった!!

散々余裕ぶってたくせに、手札無くなった途端にこれだよ、どんだけ豆腐メンタルなんだよ!

 

「あーっとな…」

 

「ひぃ!」

 

うっとおしい事この上ない、なんだったんだよさっきまでの空気は

久々に真面目な戦闘かと思ったら、まさかのこんなオチかよ

 

「…白けた、帰るわ」

 

「…へぇ?」

 

あーダメだ、全然ダメだ

泣いてる奴ぶん殴るとかは前世でもダメだった

 

そいつがどうしようもないクズなら躊躇わないんだがなぁ…

どうにもそうじゃない場合は踏み切れねー

 

「あ…」

 

「てめーもとっとと帰れ、これ以上俺をセンチな気分にさせるな」

 

そうだ、隣の席にいたいじめられっ子の山下君を思い出すんだ

いじめっ子だった奴の太腿にペーパーナイフぶっ刺してどっか行ったけなー…元気かなー…

 

…ああ、クソッ…人間じゃねーだのなんだの言って、なんか俺が一番人間臭いんじゃねーか?

 

 

「あー…無駄だった」

 

一気に1万ぐらい持ってかれたんだけど…これ、どこで補填すりゃいいんだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~後日~

 

「あ…あの、お世話になります…」

 

目の前にいるのはこの前の…周倉とか名乗った女

そして、俺の住んでる長屋の大家さんの奥さん(実際はこの人が大家さん)

 

「ごめんなさいね~仁ちゃん、この子どうしてもっていうから~」

 

間延びした声が特徴的…どこぞの軍師と被るが全く関係ない

 

「いや…ってか、なんでまた相部屋なんか…」

 

「えっと…その…なんでと言われると…その…」

 

モジモジし始めた周倉、てめーには聞いてねー

あらあらとか言ってる大家さん…の奥さん

 

「あの…奥さん、俺家賃ちゃんと払ってますよね?なんでまた…」

 

「ああ~、仁ちゃんもう払わなくてもいいわよ~?」

 

「はい?」

 

「この娘がね~、ここの長屋建て替えてもね~数年ぐらい払ってもらわなくてもいいぐらいお金くれたの~」

 

あ、はぁ、さいですか

…結局世の中金ですか…世知辛ぇ…

 

「そういうことで~よろしくね~」

 

大家さんの奥さんはそう言って自分の家へと戻り

目の前には上目遣いでこっちを見てくる周倉

 

暗くて分からなかったが美人だ、それこそ姉貴の周りの連中に引けは取らない

 

「あの…真名は咲夜と言います、ふ、ふつつつかものですが、よろしくお願いします!」

 

つが一個多いぞ、おい、しかも真名に何の捻りもないぞ、あといきなり預けるなよ殺そうとしたやつに…

ダメだ、ツッコミしかでてこねぇや

 

…あれか?吊り橋効果ってやつなのか?流石に惚れられてるのわからんほど朴念仁じゃないが…

 

「あー…うん、いいか、俺の真名は立華だ、よろしく…まぁ、入れよ」

 

「は、はい!」

 

パァっという擬音とたんぽぽ地味たお花が舞っている幻覚を見つつ部屋の中に入れる

 

据え膳食わぬは男の恥とも言いますし…ま、たまにはいいよね、こういうのも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに後日、ふざけて姉貴たちにに婚約者として紹介したら姉貴と元譲が猛禽類の顔をしました

あいつら絶対に転生者だろ…トリトリの実の使い手だよ、まじおっかねぇ…




さぁ、どこが実話でしょーか!?


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