化物らしく、人間らしく   作:照坊主

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第3話です
夏は忙しいので亀更新だったのがどん亀更新となりますのでご承知ください


いろいろと面倒になってきたの

「くぁ~・・・うまいねぇ・・・」

 

今日も今日とて酒を飲む

 

上等な酒ではなく安っぽい酒

つまみは炙って塩を振っただけの肉

 

「この安っぽさがたまらん」

 

「安っぽくて悪ぅござんしたね、旦那」

 

苦笑いする大将、ま、嘘じゃないしな

 

「いやいや、前にも言ったがこの方が風情がある」

 

「場末の屋台に何を感じてるかは知りはしませんがね」

 

大将の言葉を流しながら肉をほおばる、油が落ち切っている

塩の味も薄い、いわゆる安物

 

「ま、似合いだな」

 

「なにがですかい?」

 

「いいや、なんでも」

 

「そうですかい」

 

そういって大将は肉を焼く

俺は酒を飲む

 

今日は満月、星が見えない嫌な夜だ

 

「そういや旦那、黄巾って知ってますかい?」

 

「ああ?抗菌?」

 

フッ素加工のことか?ずいぶんとぶっ飛んでるなぁ、おい

いくら時代フッ飛ばしてるようなもんがゴロゴロあるったってそりゃ吹き飛びすぎだろう

 

「ええ、頭に黄色の布巻いて暴れてる連中なんですがね」

 

抗菌じゃなくて黄巾か、紛らわしい

 

「黄色いのは好きじゃないな、芭蕉(ばなな)は好きだが」

 

「・・・南蛮まで行ったんですかい?」

 

「おう、暇つぶしがてら」

 

本当に群生してるんですもの、参っちゃうね

乱獲してたら猫っぽい奴らが泣いて止めてくるし

流石に心が痛んだっての、全部食ったけど

 

「で、黄巾がどうかしたのかい?」

 

「ええ、なんでも大元叩くらしくって、今どこもかしこも兵隊集めてるようでして」

 

「ふむふむ」

 

「旦那にもお呼びがかかってるんですわ」

 

「はい?」

 

なんで大将がそんなこと知ってるんだ?

 

「いやね、あっしは一町民でしてね」

 

「あー…ごり押しされた?」

 

「いやはや…面目ない」

 

ま、かまわんのだがね、大将も悪びれた顔してないし

 

「いくらほど包まれたよ」

 

「ざっと3回死ねる分くらいですかねぇ」

 

「ならもっと良い肉出せよ、俺じゃなかったら噛み切れんだろこれ」

 

本当にそれほど硬い、何の肉かわからん程に硬い

 

「旦那だけですよ、そんなの出すの」

 

「本当いい度胸してるよなぁ、大将よぉ…」

 

真っ二つにしてやろうかこの野郎…

 

「まぁまぁ…とりあえず顔出しだけはしっかりとやってくだせェ、あっしが言われたのはそこまでなんで」

 

「ういうい、それじゃ、俺は城に行けばいいのかな?」

 

「へぇ…すみませんね」

 

「いいってことよ、…次のはしっかりと奢れよ?」

 

「わかってまさぁ」

 

なんか馬が合うなぁ、打てば響くとはこのことなのだろうか

前世じゃ恋人だったかな?

 

「うおぼろろろろろろろろろ」

 

その場でぶちまけたら追い出された、因果応報ってやつだね

でもね、いくら俺の正体知ってるからって牛刀ぶん投げることはないんじゃないかと思うんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、みんな大好き曹仁様だよー」

 

死なない程度に警備を蹴散らし謁見の間の扉を蹴破る

 

「な、賊か!?」

 

「警備の者は何をしている!?」

 

なんか知らねぇー奴らが増えてる、特にちんまいのがうるせぇ

 

「来たわね、立華」

 

姉貴と夏候姉妹のみが落ち着き払っている

 

「来たな、今度こそその首地の果てまで飛ばしてやる!!」

 

前言撤回、犬が騒いでる、スッゲェ物騒なこと吠えてる

 

「真名呼ぶなというに・・・もういいや、メンドくせぇ」

 

「な、華琳様に向かって・・・!!」

 

うるさいのが余計にうるさい、誰だこれ

犬が増えたかと思ったら猫がいるよ、なんだこれ、南蛮で見たぞこんなの

 

「落ち着きなさい、桂花」

 

「しかし!!」

 

気にせず姉貴の前まで進む

 

「と、止まれ!!」

 

「慌てるな妙才、お前はそんなやつじゃないだろ?」

 

慌てるクールビューティー、眼福ですわぁー、弓矢向けられてなきゃもっと幸せですわー

 

カツカツと足音立てながら進む

 

「止まらんかぁ!!」

 

斬りつけてきた元譲をそのままに進む

 

傍から見た異様だろう

なにせ体に剣が埋まったまま、埋めた人間を引き吊りながら歩いているのだから

 

姉上の直前に立つと頭に衝撃がくる、左右からだ、とてつもなく痛い

右を見ると鉄球抱えた少女、左を見ると・・・

 

「いつぞやの小娘か」

 

完全に怯えた顔だ、当たり前だがな

正面に向き直ると不敵な顔した姉上

 

「あら、よくここまで来たわね立華、何の用?」

 

それをあんたが言うかね

 

「…いくらだ?」

 

見下ろしながら言う

 

「なんのこと?」

 

大将に払った金のことだと思っているんだろうがそうじゃない

 

「いくらで化物を使うのかと聞いているんだ」

 

「…そう、そういうこと」

 

悲しげに目を伏せる姉上、騙されるかってんだ

 

「そうもなにも、それ以外考えがつかんのだが?」

 

「私の下には」

 

「それは前にも言った」

 

「それでも…あなたは」

 

「くどいぞ、裸の王」

 

周りがざわめき立つ…なんかオーラまとってる子がいるんだけど、何アレ、波動拳でも打つの?

いきなり瞬獄殺決められたらいくら俺でもどうなるかわからんのだが…まぁいい

 

「貴様が俺を殺せん限りお前に仕えることはない、これまでもこれからもそうだったはずなのだ」

 

「…」

 

「故に俺を使うというのならば其相応の対価を用意することだ、異論はあるまい」

 

タダ働きはごめんだし、ここで断ると大将にも迷惑がかかりそうだしね

 

「…ええ、分かったわ」

 

「ならばよし」

 

そう言い踵を返す、こんな居づらい空間にいつまでも居れるか!

 

「…いつまでぶら下がっているつもりだ、元譲」

 

「好きでやってると思ってるのか!?」

 

若干半泣きだな、だったらよせばいいのに

 

剣ごと投げる、埋まっていた剣を引き抜かずにやったためあちこちに内蔵が飛ぶ

元譲は飛んだ内蔵踏んづけてこけてやがる、ざまぁ

 

「ひっ!」

 

「なんと・・・!」

 

「・・・狂人の類なのか?」

 

様々な感想をありがとう、大体あってるよ、とそう思いつつ歩く

飛び散った内蔵はそのままにすぐに体は再生してゆく

 

それは見てまた驚く、見飽きた光景だ

 

ちなみに元譲は、何かブツブツ言いながら床をたたいている

ちょっと怖い

 

「少しよろしいですか~?」

 

またちんまいのが出てきた、頭に人形載せている

 

「なんだ?」

 

人形に興味が有り話を聞くことに、…あれ、あの人形、万博のやつじゃね?

 

「あなたが噂の化物ですか?」

 

「ああ」

 

やっぱ万博のだ、俺見に行ったもの、なに、昔からあるデザインなのあれ

芸術爆発してたのは中国も同じなのか、やべぇ、侮れねぇな、てっきりパクってるばっかりかと

 

「…どうして、いや、どうやって化物になれたのですか?風はそれが知りたいのです」

 

「ふむ」

 

え、なに、化物のなり方?やべ、話聞いてなかった

 

「弱者たれ」

 

化物は弱い奴しかならねぇーって旦那が言ってたからな

実際のところ俺はただの弱虫だ

 

「弱者…ですか?」

 

「そうだ、化物とは人間でいることに耐え切れなくなった弱者の末路だ」

 

少なくとも、瀕死の時に血を舐めればいいんじゃないかと思う

 

「ですがあなたは強いですよ?だからこその化物だと思うのですがー?」

 

「努力も重ねず楽して強くなったものがか?」

 

転生特典といったものにすがった、努力を拒んだ弱者

何ら過程も踏まずに、逃げることを選んだ

 

…今言ってもどうしようもないことだけどな

 

「ふーむ」

 

「要はそういうことだ」

 

話を切り、脇をすり抜けざまに人形を取る

 

「ああ~風の宝譿が~」

 

「よく出来てんなぁ~これ」

 

マジでよく出来てる、なんでこんなに上手く出来てるんだ?やっぱり起源は中国なのか?

人の物を取りっぱなしなのはあまりよろしくないので、すぐに頭に載せる

 

「むぅ~…いいように弄ばれたのです、こうなってはお兄さんに責任を」

 

そこまで言ってメガネの嬢ちゃんがブッ倒れた

 

「風が…未熟なカラダを…たくましい…ぶふっ!!」

 

「し、しっかりするの~!」

 

なんだありゃ、芸人かなんかか?

 

「・・・あ~もう帰るぜ」

 

そう言って扉の方へと歩く、見送りはいらねーからこっち見んな

 

「あ、待つのですお兄さん、責任は取ってもらいますよ?」

 

「せめて元譲ぐらいになってから来い」

 

そう言ってその場をあとにする

後ろの方で「…大きのがお好みですか」とか聞こえたがその通りだ

 

小さいのにはトラウマがあるんでね

 

 

 

 

 

 

 

貧民区のあばら家に帰る、そこらに寝っ転がり穴のあいた天井から差す月の光を見る

 

「…いくらくれんだろ」

 

金額聞いてねぇや

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