SEVEN's CODE二次創作夢小説【オレンジの片割れ】第一部 作:大野 紫咲
一方、一足先にタワーへ到着したムラサキは、植能を使って一人で巨大な鳥に対峙しようとするが……!?
第13節 屋上
になのワープ装置は有能だった。
普段とほぼ大差ない転送速度で、エントランスの前に到着したボクは、落書きに汚れた壁の前に築き上げられた死屍累々に、呆然として立ち尽くす。
「これは……!?」
慌てて駆け寄るが、全員気を失っているだけで、命に別状はなさそうだ。
倒れ伏している者の中には、例のシェルター事件以降、行方不明になっている人の姿もいた。
コンクリートが砕かれた地面が、突貫工事でもしたようにボコボコになり、ほじくり返された土がそのへんに溢れ返っている。
(やっぱり、土のエレメントか……? そうだ、ムラサキ!)
ここまでの惨状の中で、彼女は無事だろうか。
無線で呼び掛けた隊員たちにエントランス前の人々を任せることにして、ボクは彼女の部屋へと向かう。息を切らせて階段を上ったが、叩いた扉の先の部屋は静まり返っていた。
「ムラサキ! いる!?」
焦って思わずドアノブを握ったら、かちゃりと音がしてドアが開いたので面食らう。
(開いてる……? 停電でセキュリティロックが機能してないのか?)
事態が事態なので勝手に上がり込むと、真っ暗な部屋の中に彼女の姿はない。けれど、テレビ画面にあの文字列が流れているのを見て、ボクは思わず苦い顔になった。
(やっぱり……!)
ふと周りを見渡すと、机の上にぼんやりと輝きを放っているものがある。
鏡と……これは手帳? 開いてみると中身は真っ白だったが、その傍に雑に書き散らかしてあるノートとペンを見て、心臓が止まりそうになった。
ぱらぱらと捲ったら、ボクらがさっきクロカゲでやったのと、大体似たような思考プロセスが手書きでメモしてある。彼女が暗号を解いてしまったことは明白だ。その後、何をしようとしたのかも。
「あんの、バカ……!」
思わず、拳をテーブルに叩きつける。
ボクがここに来てるのに、先に一人で行ってどうすんだ。しかも、あのエントランスの惨状。外へ出たんだとしたら、あいつらを倒したのもムラサキに違いない。植能を使えば使うほど、調子が悪くなるとか言ってたのに。
苛立ちもマックスになりながら、もう一度転移装置を立ち上げようとした時、コンパス型のそれがぴかぴか光った。
『ヨハネ~~? 聞こえてる~~?』
「にな! どうした!?」
『あ、よかった! あのねぇ、街で電波発生装置を操ってたあやし~奴らを、確保したよん! ろことはるかが主体でやっつけてくれたって! いっちょあがりぃ!』
「は、はや……。あ、てことは、電波の復旧もそろそろ……!?」
『それがねぇ。なんか、今タワーの上で大型の積乱雲が発生してるみたい。真っ黒な雲が渦巻いてて、すごい事になってんの、こっからも見えるよ~!』
「マジで……!?」
慌てて部屋から飛び出して見れば、ただでさえ暗い空の遥か向こうに、もっと真っ黒の蚊の大群のような雲の集まりが見えた。
台風か竜巻でも起きているのかと思うような光景に、心臓が早鐘を打つ。雷がその裂け目から飛び出しては、四方八方に白い筋をまき散らしている。
『あっこから出てる雷の影響で、今度は街全体が電波狂ってるみたいなんだよん……。だから、復旧はもーちょい先かも』
そう言うになの声も、ざーざーという雑音で聞き取りにくい。
その端末を縋るように握って、ボクは呼び掛けた。
「にな! あそこまでこの転移装置は使えるのか!?」
『うう、電磁波の干渉が強烈すぎて、タワーの上まではムズいかも……多分近くまではいける! でも急いで! この装置が使ってるゲートも、不安定になってきてるみたいだし! それ言いたくて電話したんだ!』
「了解! ありがと!」
短く礼を言って通信を切ったボクは、すぐさま装置を握り締める。
せめて少しでもムラサキの近くに飛ぶようにと、祈ることぐらいしかできない。
けど、もしセブンスコードに神様がいるんなら。
もし思いが叶う街だって言うんなら、この願いを叶えて欲しい。今こそ、その力が必要だろう。
そう思ったボクの体を、強くなった光通信の閃光が包んだ。
サヤコさんと別れてから踏み込んだタワーの中は薄暗くて、人気がなかった。
外出自粛令が敷かれているんだから、そりゃそうかと思う。ていうか、こんな天気の日に来ても、展望階から何も見えるわけないし。
そう思ってエレベーターホールへ向かおうとしたら、突然声を掛けられて飛び上がった。
「おい! ここで何をしている!」
「ひゃっ」
見ると、清掃員というか警備員というか、とにかく係員っぽい制服と帽子に身を包んだ、見た目の若いおじさんみたいな人が、気難し気な顔でこっちへ歩いてきたところだった。
「まったく、何でこんなところへ来たんだ。すぐに帰れ」
「え、えとすみません……実は私、これからこの上に用があって……」
「何を言ってる。ここはお前のいるべきところじゃない! 早くしないと、戻れなくなるぞ!」
(ですよねー!)
ますます険しい顔で怒鳴るおじさん。こんな天気の日にのこのこやって来て、タワーの頂上に上ろうって言うんだから、そりゃ止めもするだろう。
(ビルの警備の人かな? こ、こんな状況なのに仕事をしてるのか……なんて律儀な人……!)
なんと一人でここに居残っていたらしい。
暗いホールの物陰には特に気配がないし、他に相手もいなさそうだ……よし、それなら。
早く帰れと怒鳴り続けるおじさんに、ちょっと申し訳なく思いながらも、私は背後に回した手で人差し指を一本立てながら、こっそり呟いた。
「ウーム。……対象を魅了」
するするっ、と糸のようなピンクの光が伸びて、おじさんの足元を取り巻いていく。
これで私にメロメロになったおじさんは、喜んで道を開けてくれるはず……と思ったら。
おじさんは、いきなり立ったまま居眠りするようにしてがくんっとつんのめると、膝から崩れ落ちた。思わぬ反応に、植能を仕掛けた事も忘れて、普通に駆け寄ってしまう。
「だっ、大丈夫ですかっ!?」
「ぐぅ……私は、異世界人の安全を……むにゃ……」
どうやら、眠っているだけらしい。少しほっとしながらも、おじさんを引き摺って近くの柱に寄り掛からせてから、私は改めて額の汗を拭い、エレベーターのボタンを押した。
ノンストップで降りて来たエレベーターの扉が開いて、真四角の光がぽっかりと空間に穴を空ける。
銀色で統一されたタワーのエレベーターは、温もりがなく無機質でなんとなく落ち着かない。
(……怖いな)
エレベーターで怖い夢を結構見たことがあるので、オフィス調のエレベーターって結構苦手だ。
最上階のボタンを押して、動き始めた箱の中で回数表示を睨み上げながら、気を紛らわせようと考え事をすることにした。そう、たとえばさっきの警備の人とか……
(しかし、いくら仕事だからって、たった一人でいるってやっぱりおかしくない?)
たまたま残されてしまったのだろうかとか、もしや上が相当のブラック企業なのかとか考えたけど、ふとゆっくり思い返せば、ああいうおじさんの話も、ネットで見たことがあった。
前、異世界に行く方法を興味本位で調べていた時に、本当に異世界へ来てしまった人間を追い返そうとする、時空の管理人らしきおじさんがいるという噂を見たのだ。
主人公の前に現れて、「もうここへは来てはいけない」とか、「早く自分の世界に帰らないと戻れなくなる」とか、もっともらしい事を言って追い返すらしい。そのおじさん自体は、どこへ所属していて何者なのか、全くの謎らしいのだけど。つまり、いわゆる都市伝説。
(……まさか、さっきのおじさんもそれだった?)
なんでこんな所でと思ったが、よく考えたら私は「私がいる」世界の2021年から、「ヨハネ達がいる」世界の2054年へと飛んでるわけだから、時間空間ともに別世界の人間ではあるわけで、確かにおじさん側からしたら「異世界から来た」人間だ。あれが何を象徴した都市伝説であれ、私のことは取り締まる対象と見なされたのかも。
ただ、警告を与えるだけで害はなさそうだったし、それ以上にもっと気になることもあった。
(あの人も、さっきの車の持ち主だった男の人も……どうして、急に寝ちゃったんだろう)
壁に寄り掛かったまま、掌を見つめる。車の男性は、女性に詰め寄られた時私が背後から接触していたし、さっきのおじさんには意図的に力を使った。てことは、どっちも私の植能が及ぶ範囲内にあったということになる。
ただ、ウームには催淫効果はあるけれど、当たると眠くなるなんて力は、今までなかったはずだ。
ふと襟ぐりを開いて熱を持つ左胸を覗き見れば、その上に羽ばたくように動く蝶の紋が広がっていた。時折脈打つように、濃い紫色の光を放っている。
(……植能が、変質してきている)
深く息を吐く。
シェルターの時から思っていたけれど、最初は相手を魅了するだけだったこの植能が、使えば使うほど、別の何かに変わっているような気がする。
「っ、!」
そう思っていながら寄り掛かっていた私は、エレベーターの振動する音で驚いて目が覚めた。
知らないうちに視界がゆっくり狭く暗くなっていた。がくん、と頭を振ってから漸く、自分が立ったまま寝かけていたことに気付く。
(やっば、これ自分にも効くの……? こんな時に勘弁してくれぇ)
体の怠さと疲れも相まって、余計に寝そうになっていたらしい。雨で着物は重いし、冷たいせいで寒いし、早く布団に帰って寝たいと思いながらも、最上階に着いたエレベーターの扉をくぐる。
ガラス張りの展望塔の外は、雨嵐の天候になっていた。空を覆う程大きな鳥の影が、時折雲から透けて見える。ぴかっと光る雷が、暗いフロアに私の影を落とした。
(もっと上に行ける場所は……)
四角い形状の展望フロアをぐるっと一周すると、非常階段の入口を見つけた。関係者以外立ち入り禁止の札が掛かっている、上に向かう方の階段を上ると、間もなく「R」の表示がある鉄の扉が現れる。
(さてと……)
何が出て来るか。相応の風雨に打たれることを覚悟しながら、そろりと扉を押したが……予想に反して、さっきまで見えていたはずの大雨は降って来なかった。
「え?」
びゅう、と屋上の風が吹き付ける。
コンクリートの床を踏み締めて見上げると、上空は時折網目のようにして雷の線が飛び交っているものの、真上はほぼ星空。どうやらここは、台風の目のような場所らしい。タワーをぐるっと囲むようにして、周囲には分厚い雲の壁が張り巡らされている。
そして、ぐるぐる流れる雲を裂くように。電気を帯びた黄色い巨大鳥が、突如真上から姿を現わした。
「きぇええええええ!」
「っ……!」
甲高い鳴き声に思わず目をつぶる。
周囲の雲さえ蹴散らしそうなほどのすさまじい風を起こしながら、黄色く輝く翼を広げて屋上のど真ん中に着地した鳥は、警戒するようにケンケンとこちらに鳴いている。
時折放電する電磁波の中で、苦しそうに首をもたげる鳥に向かって、私は歩み寄った。
「落ち着いて!私だよ。しっかり……」
「ぎぇえええええ!」
けれど、どうやら私の姿は見えていないらしい。
ギラリと光る目玉でこちらを見た鳥は、突如飛び立って雲の向こう側で正確に旋回すると、嘴をドリルのように尖らせて突っ込んで来た。
「うっ、わわわわわ!」
慌てて逃げるも、背後で鉄骨が弾けて飛び散る、ものすごい音がする。
辛うじて脇に飛び退き倒れ伏したが、さっきまでいた入り口部分が、鳥の広げた硬い翼に打たれてぐしゃぐしゃに崩れていた。
「おいおいおい……」
一体、ちっぽけな人間一人でこれをどうやって何とかしろというのか。呟きと一緒に変な冷や汗が出た。
鉤爪を下に急降下しようとする鳥を、なんとか倉庫の影に隠れてやり過ごす。攻撃どころか、これじゃうかつに動いただけで粉々にされてしまいそうだ。しかも、私はあることに気が付いた。周りに今破壊された場所以外、戦闘の痕がほとんど見られないところを考えるに、どうやらヨハネはここへ来ていないらしい。
(……もしかして、私ものすごい早とちりした?)
八時はとっくに過ぎているのに。けど、賢いヨハネのことだ。もしかしたら、こんなバカな罠に引っ掛かるかとか言いながら、冷静にSOATで作戦会議でもしているのかもしれない。ていうか、そっちの可能性の方が絶対高い。
(あ~~ん、私のバカ~~~~!)
けれど、ここまで来たらこの子を見捨てて帰るわけにもいかない。
熱を発する体を抱いて、どうにか私でも動きを止められそうな方法を考える。
(あまり広い場所に長時間出ると、あの子は真上から足で掴もうとしてくる……。
てことは、周りを飛んでるあの子が旋回して戻って来る前に、何とか準備して植能を当てられれば……!)
問題は、木よりもデカいあのサイズの鳥に、植能の力が効くかどうかだが。
そこは、広い面積に当てて効くことに期待するしかない。少しでも鈍ってくれれば、少なくとも暴れるのをやめさせたり、正気に戻させることは出来るかもしれない。
びゅっ、と目の前を鳥が横切って雲の彼方へ高く舞い上がった瞬間に、私は物陰から飛び出した。
「
両腕を突き出し、出せ得る限りの力を凝縮して、テニスコートのように屋上の端から端まで、フェロモンの壁を生成する。
目を閉じて集中しながら、できるだけ広範囲に行き渡るように。真ん中に立たないと、綺麗に両端へ植能の力を送れないのだ。丁度ゴム飛びの縄のようにしてそれが出来上がったところに、追い風に乗ってあの子が突っ込んで来た。
(お願い、止まって……!)
「びいいい!」
「ひゃああああ!」
羽毛に覆われたお腹が、頭の上すれすれだ。ぶっちぎっていく翼の両端に、風に千切れるピンクの桜みたいな光がちらちら見える。
強風に背後へよろめいた瞬間、隙間から入って来た風に一瞬で袴が煽られた。そのまま踏ん張り切れず、パラシュートのようになった和服に舞い上げられて、私はぐるぐる回転しながら、ふわっと背後へ吹っ飛んでいた。
(……え? 空?)
目の前に、雲が覆う空。脚側に屋上があって……つまり、私は屋上の柵を越えてタワーの外側へ放り投げられながら、重力加速度に従って落ちようとしているのだった。ごろごろという音と共に、ふと雨の雫を額に感じた。
(……あーあ。ここまでかぁ)
危機的状況のはずなのに、不思議と静かな気持ちだった。残念だったけど、私はやり切った。背中の力がふっと抜けて、雷鳴も、街に叩きつけられてここまで鳴り響いて来る雨音も、風の音も、全て静かに耳から遠ざかっていく。
死ぬのって痛いのかな、と考えた。普通に過ごしていても痛みやら不調やら起こる殻が、さすがにこの高さから落ちて無事なはずはないだろう。悲惨な最期を迎えるに違いない。それにジェットコースターであれ何であれ、私は浮遊感てものが苦手なのだ。死ぬ間際まであれが続くのはやだなあ、と走馬燈じみたことを思いながら、目を閉じた時だった。
「……っ、ぅう!」
微かな唸り声と共に腕に衝撃が伝わって、私は目を開けた。
嵐の風が、音が、冷たさが、一気に速度を増して感覚に蘇る。
落ちていたはずの私の体は、ビルの絶壁に、振り子のようにしてぶらんと揺れ下がっていた。真上から引っ張るように、右手を誰かが掴んでいて――見上げた先に、ビルの壁に掛けた脚と、ワイヤー銃を撃った片腕で自分を支えながら、私を繋ぎ止めるヨハネの顔があった。
「っ、ヨハネさ……!?」
「今、助けるから! 絶対に、離すな……っ」
屋上の辺縁部は、すさまじい天気だった。風がびゅうびゅう吹き、屋上の縁に撃ち込んだ先端から、ヨハネの持つ銃身まで繋がるワイヤーも、すごい勢いでたわんでいる。なぜか制服じゃなく、賭場の時の姿をしたヨハネのクチュールが、派手な色の鯉のぼりみたいに荒れて――両目を開けるのも難しいほどの雨が叩きつける中、髪を貼り付かせながらも、その青い瞳だけは必死の形相でこっちを睨んでいた。
(……ヨハネさん)
その時。雨に濡れたヨハネの手袋が、隙間に入った水で滑って脱げ始めた。
「!」
指先側から私に掴まれて脱げ落ちていくその反対側を、辛うじてヨハネが捕まえる。滑りやすい手袋の表面を素手で鷲掴みながら、剥き出しになった褐色の細い腕が震えた。冷雨の中、一瞬苦し気に息を吐いて歪んだその顔に、たまらず首を振って叫ぶ。
「もういい! もういいよヨハネさん! あなたまで落ちる前に、早くっ……」
「バカ!!! あんた一人守れなくて、何がSOATの隊長だっ!!! ボクをここまで巻き込んどいて、あんたが勝手に手を離すなんて絶対に許さないからね! 死んでも離すな! 離したら後でブッ殺してやる……っ!」
嵐の中でも不思議なほどよく通る、鼓膜の破れそうな大声で怒鳴られて、思わず腕の痛みも息の苦しさも、忘れそうになりながらはっと目を見開いた。
……滅茶苦茶支離滅裂なことを言ってるのに。その言い草に、有無を言わさない力強さに、ひどく安心して泣きそうになる私がいた。
見上げた鼻の筋を伝って、雨が落ちて来る。ヨハネさんは腕に力を込め、二人分の体重を支えながらも、ゆっくりと着実に、屋上に撃ったワイヤーを引き上げ始めた。少しずつ、滑車に巻き上げられるようにして、体が上に近づいていく。
「……っぐ、はぁ!」
縁まで辿り着いて、私を投げ出すように引っ張ったヨハネさんと、勢いのまま二人で乾いたコンクリートに倒れ込んだ。再びびしゃびしゃになった体に、生きた心地のしなかったさっきの恐怖が、ようやく蘇る。けれど腹ばいになったままで、そこから動く気力すらしばらくは起きなかった。
「はぁ……はぁ……だい、じょうぶ……?」
「う、うん……ごめん、私、あの……」
あんな細身の体で、落ちる寸前の私を助けて引っ張り上げるなんて。そういえば、ヨハネさんの素手って、初めて見た。
どうお礼を言えばいいのか、何から謝ったらいいのかも分からないまま、私が身を起こして座り込んだその時だった。
「ぴょろろろろろ」
高く鳴きながら、上空を鳥の影が滑空していく。
今初めて気が付いたというように、立ち上がったヨハネさんが庇うように私に背を向け、愕然としたのがわかった。