もしも鈴木悟が少年だったら   作:パーピング

1 / 7
本作品は作者の処女作品になります。
小説を読んだのもオーバーロードが初めてなため、お見苦しい点が多々あると思いますが、お許しください

独自設定
本作品では鈴木悟は13の少年です、大きく違う点は基本ここだけです
その他独自設定、独自解釈がたびたび含まれるかもしれません

注意
おねショタではありません、たぶん


第1話

DMMO RPG あまた開発されたゲームの中でも燦然ときらめくタイトルの一つ「YGGDRASIL]

十二年前に発売されたそのタイトルは、キャラクター、アイテム、住居を思うがままにデザインできる圧倒的な自由度から爆発的な人気を博した

アインズ・ウール・ゴウン かつては「YGGDRASIL」内の数千を超えるギルドのうち、最高十大ギルドの一つとしてその名を馳せていた、

だが

かつては41人いたギルドメンバーもサービス終了間近の状況下でもたった一人だけになっていた。

 

00:00:01

 

中央に巨大な円卓が置かれ、その周りには41個の椅子が用意されていた。

だがその椅子に座るものは一人しか残されていなかった

大人数で使用されることを想定したその部屋には一人の少年がいるだけだった、

いつ来るともわからない、かつての仲間をその部屋で待っている

 

本名 鈴木悟 13歳 ゲーム内名 むささび

100レベルプレイヤーの竜人であり、魔力系マジックキャスター、透き通る銀髪におとなしく少女のようにも見える非常に整った顔に、派手ではないが、よく見るとその作り込みが細部に施された灰色のローブを着ていた。

 

 

「みんな来てくれないのかな……」

少年の独り言が空しく大きい部屋に響く

 

視点に表示されている時間は23:45:39、サービス終了までもう15分

少年は近づいてくる終わりの時をただ待っていた

 

天井を見上げると、巨大なシャンデリアがつるされていた

 

「ナザリックも…なくなっちゃう……」

 

膝を抱え、目の周りが熱くなるのを感じる、だが何故か泣いてはいけない気がして、その涙をぐっと堪える、むささびはアインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターなのだから、

そう思い、立ち上がる、そして椅子の背後にある黄金の杖を眺める、

七匹の蛇が絡み合った姿をするその杖はギルドの象徴、ギルド武器、その名をスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンという

圧倒的な力を持つその杖は破壊されればギルドが崩壊するという理由で一度も実戦で使われたことはなかった、本来ギルドメンバーの相談もなしに装備することなど許されない、そのギルドの象徴たる杖を手に取る

 

「みんな、怒りに来てもいいんだよ」

 

ポツリとつぶやくと部屋をでて、玉座の間へと歩き出す

 

玉座の間を目指して歩いていると人影を発見する

執事のセバスと戦闘メイド プレアデスだ

 

「だれもこなかったね…」

 

しゃべるはずのないNPCに独り言をいう

 

「NPCのみんなにも仕事してもらわないとね、『付き従え』」

  

コマンドを発動するとプレアデスたちは後ろを歩き、ついてくる

 

そうして歩いていると目の前に巨大な扉が現れる

右側には女神が、左側には悪魔が異様な細かさで彫刻されている

小柄の少年が開けるには不可能と思われるその扉は、少年が近づくと自動で開くのだった

 

5メートルはあるその巨大な扉が開かれるとまさに豪華絢爛、で地下とは思えないほど広い空間が存在していた、天井からつるされたシャンデリアは七色の宝石で作り出された幻想的な輝きを放ち、白を基調とした壁には各ギルドメンバーの大きな旗が41枚天井から床まで垂れさがっている

開く扉に誘導されるように中央からまっすぐひかれた真紅の絨毯を歩く、

階段前で立ち止まると後ろのプレアデスたちに命令を下す

 

「えっと……確か『待機』…だっけ」

 

階段の前でプレアデスたちを待たせると階段を上るとそこには美しい女性が立っていた

 

「アルベド…みんなには玉座の間を守ってもらってたけど、だれも……だれもこなかったね、ごめんね、働かせてあげられなくて」

 

NPCに言葉をかけるとそのまま少年には広い玉座に腰掛ける

 

「アルベドの設定はどんなだったかな、、」

 

ふとそんなことを思い、コンソールからアルベドの設定を覗く

 

「うわっ、すっごい長い…」

 

そのまま読まずに下にスクロールする、すると

 

『ちなみにビッチである』

 

「タブラさんってこういう趣味だったんだ…」

 

しばらくぶりの友人の性癖に驚く、ちなみにビッチの意味はぺロロンチーノから教えてもらった

  

「変えちゃえ」

 

そう思いスタッフをコンソールにかざす

するとキーボードが表示され、『ちなみにビッチである』を消す

 

「代わりになに入れよう…」

 

しばらく考えてキーボードをたたいて入力する

 

『ムササビを愛し、決して・・・』

 

「えへへ…」

 

コンソールを閉じて顔を上げる、そして壁にかかった41の旗を名を呼びながら数える

 

「たっちみーさん、死獣天朱雀さん、餡ころもっちもちさん、ヘロヘロさん、ぺロロンチーノさん、ぶくぶく茶釜さん、タブラ・スマラグディナさん………楽しかった…たのしかったな……」

 

ぐすんと玉座の間に鼻をすする音が響く、必死にこらえても、どれだけ頑張っても、胸が締め付けられてほほを熱い涙が落ちる

 

「きえ…きえないで……おわらないで………」

 

23:59:30

 

「いや、だよ…みんな……す、すてないで……いかないで」

 

どれだけ拒否しても、どれだけ願っても、この時計は時を刻む

 

23:59:50

 

締め付けられる胸から必死に願いを叫ぶ

  

「みんな……もどってきて………」

 

23:59:59

 

「…………………」

 

00:00:01

 

玉座の間には少年のすすり泣く音だけが響いていた、

ほかに音を立てるものなどない、はずだった、、、、

 

「むささび様?」

 

その声に勢いよく顔を上げる、

だれか来てくれたの?そう思いあたりを見渡すが誰もいない

 

「むささび様?」

 

声のする方に顔を向ける

 

「いかがないさましたか?おひとりで涙を流されて…」

 

美しい声が頭に響く

 

「なにかございましたら、このアルベドにお申し付けください!」

 

後ろではプレアデスたちがあわあわとしているが、むささびはそれに気づけない

 

「あっ…あるべど?」

 

アルベドが目の前まで近づいてくる 

 

「はい!アルベドです!むささび様の!むささび様だけのアルベドです!」

 

なぜNPCが喋れるのかも、なぜこんなリアルな動きをするのかも、なぜこんなに胸が落ち着くのかもわからない、 

 

「アルベド」

 

「はい!」

 

「アルベド!」

 

「はい!アルベドはここにいます!」

 

ただ今は何も考えられない、ただアルベドに抱き着いて、誰かがいる、その喜びを、嬉しさを感じていたかった

 

 

 

アルベドは玉座の間で泣き疲れ眠ってしまった愛しい人を抱きかかえていた

顔を見ればその頬には涙の跡が見て取れた

なぜあんなにも苦しそうに泣いていたのかは、現在ナザリックに残されたものならば容易に想像ができることだった、アルベドは自分の中の黒い感情を押し殺す

 

「セバス」

 

「はっ」

 

愛しい主が起きないよう、小さ目ながらも威厳ある声で命令を下す

 

「何かナザリックに異変が起きています、あなたはデミウルゴスを玉座の間に招いて防衛を任せなさい、その後、地表に上がり周囲一キロを調査、戦闘はできるだけ避け、意思疎通ができるものがいたなら話し合いで情報を引き出しなさい、時間はそう、、40分といったところね、遅れたり、緊急事態の場合は必ず連絡しなさい」

 

「かしこまりました」

 

「プレアデスたちは各自、階層に赴き階層守護者たちに異常があったと連絡を、ナザリックの警戒レベルを最大まで引き上げさせなさい」

 

ユリが頭を下げてそれにこたえる

 

「わかりました、そのように」

 

「私はむささび様をお部屋にお連れするわ、しばらく離れることはできないでしょう、その旨デミウルゴスにも伝えて頂戴」

 

言い終えると、愛しい人を抱え、歩き出した

 

 

 

部屋につくと明かりは付けず、そのまま主をベッドに寝かし、ベッド横の椅子に腰かける

愛しい人の寝顔を眺めることなど、乙女ならば胸躍ることなのだろうが、この状況では胸が裂けそうな思いだ、

 

ただただ愛おしい人の手を握る

 

「むささび様…」

 

寝苦しそうに、眉間にしわが寄っているがそれでもその美しい顔は崩れない

 

アルベドがそっと頭を撫でると入っていた力が徐々に抜ける

胸に暗い感情が宿るのを感じるが、無視して今は愛しい人を見守ることにする、、、

 

 

セバスは第七階層、赤熱神殿を歩いていた、

 

「やぁ、セバス、来ると思っていたよ」

 

背後から声がかかる、  

 

「デミウルゴス様、アルベド様から言伝を預かっております」

 

「玉座の間にて防衛を指揮する、といったところかな?」

 

「さそうでございます」

 

「セバス私に敬称は不要だよ、むささび様は?」

 

「むささび様は現在アルベドと共に寝室にてお休みになられております、アルベド様はしばらく動くことができないので貴方に任せるとおっしゃられておりました」

 

「ほう……」

 

デミウルゴスは興味深そうに、そして嬉しそうに声を上げる

 

「恐らく、貴方が望んでいるような状況ではないでしょう」

 

「さて、何のことかね」

 

悪魔が意地悪に笑う、言い返したくもなるが命令を最優先するべきだろう

 

「いえ、何でもありません、申し訳ございませんが、私は他にも地表に赴き調査せよとの命令を仰せつかっておりますので、これで失礼します」

 

「あぁ、ありがとう、セバス、君はどれくらいで戻ってくるのかな?」

 

「40分ほどで切り上げろとのことですので」

 

「わかった、では待っているよ」

 

やはり、この悪魔は苦手だ、、、

そんなことを思いながら第七階層を後にする

 

 

 

セバスと別れてすぐ、デミウルゴスは焦っていた、防衛を任されるのは非常に光栄なことだ、だがそれ故に失敗は許されない

だがデミウルゴスはすでに失敗を犯していた

 

「なるほど、これが異常事態でしたか」

 

ナザリック内で犠牲者が出てしまったのだ

どうやらフレンドリーファイアが有効になっているようだ、それにより連絡に使った恐怖公の眷属が一匹、トラップに引っ掛かり命を落としてしまった

 

本来恐怖公の眷属は無限に召喚でき、一匹が死んだところで損失はほぼ無に等しかったが

至高の恩方々に使える者たちが、ナザリック内で事故により命を落とすなど、絶対にあってはならない

フレンドリーファイアが有効になったということはナザリックの防衛を考え直し、連絡方法も確立しなければならない、もはやデミウルゴス一人では手に負えなかった、自分と同格の知能を持つものがもう一人必要だ、デミウルゴスは決心してアルベドにメッセージを入れる

 

「アルベド、緊急事態です」

 

少し遅れてメッセージが返ってくる

 

「デミウルゴス、セバスには伝えたはずだけど?」

 

「申し訳ございません、ナザリック内で恐怖公の眷属がトラップにより命を落としました、どうやら法則が変わっているようです、私一人では手が回りません、」

 

「っ!!・・・わかったわ、こちらにユリをよこしなさい、引継ぎしだい、そちらに向かうわ」

 

「ありがとうございます」

 

それを最後にメッセージを切る

 

ナザリック防衛の大仕事で見方を殺めてしまうという重大なミス、

 

「まずいことになりましたね…」

 

 

 

 

 

「ユリ、むささび様をよろしく、なにかあったりむささび様が起きた場合すぐに連絡をよこしなさい」

 

「かしこまりました」

 

ユリならば二つの意味で安心できる、完璧なメイドだ、問題は起こらないだろう

 

 ・

 ・ 

 ・ 

 ・

 

「デミウルゴス状況は?」

 

「はい、現在配下の悪魔で確認したところ、フレンドリーファイアは完全に有効になっているようです」

 

「そう…防衛を見直す必要があるわね」

 

「それにしても、至高の恩方々に使える者が、ナザリック内で事故死…」

 

「っ……申し訳ございません」

 

目の前の悪魔を睨むが、今回ばかりは仕方がない、本来であれば許されない罪だが

 

「いえ、今回に関しては仕方がないわ、残念だけど、恐怖公の眷属だったのは不幸中の幸いね、それでも最終的な決定はむささび様が決めるわ、いいわね」

 

「…かしこまりました」

 

 ・

 ・ 

 ・ 

 ・ 

 

「アルベド様、デミウルゴス様、ただいま戻りました」

 

「お帰りセバス、どうだったのかしら?」

 

「それが…ナザリックの周辺は草原でした、周囲一キロに意思疎通にかかわらず、生きているものは確認できませんでした」

 

「沼地ではなく……草原…」

 

デミウルゴスが戸惑いの声を上げる

 

「アルベド一体何が…」

 

言葉を続けようとするがアルベドに静止される

どうやらメッセージが入ったようだ

 

(アルベド様、ユリです、むささび様がお目覚めになられました、アルベド様を呼んでほしいと)

 

「わかったわ、すぐそちらにいくわ」

 

主が目覚めてすぐ自分を求めてくれる嬉しさに身震いするが、今はその余韻に浸っている暇はない

 

「アルベド?」

 

「むささび様がお目覚めになられたわ、私はむささび様を玉座の間にお連れします、現状の報告、そして守護者各員のお目通りもした方がいいでしょう、デミウルゴスは引き続き防衛の見直しを、セバスはヴィクティムとガルガンチュアを除いた、各階層守護者にこの話を伝えて、30分後に玉座の前まで来るようにしてちょうだい、頼んだわよ」

 

 ・

 ・ 

 ・

 ・ 

 

むささびの寝室の前まで来るとノックをする

 

「むささび様、アルベドです」

 

するとユリが中から顔をだす、

 

「ありがとうユリ、入れ替わりで悪いのだけど、部屋の外で待っててもらえないかしら」

 

ユリには悪いが、やはり愛しい人と会うのは二人っきりのほうがいい

 

「かしこまりました」

 

ユリが退出するのを待って中に入る

 

「アルベド…近くに来て」

 

ベッドで横になっている主からそう告げられ、近づく

 

「手、触ってもいい?」

 

「はい!もちろんです!」

 

手の感触を、温もりを確かめるように手を握られる、

 

「……夢じゃない」

 

ベットから起き上がるとGMコールをしようとするがつながらない

 

「GMコールがつながらない」

 

「申し訳ございません、無知なわたくしではGMコールが何か存じ上げません」

 

「ん、いいの独り言、アルベド?」

 

「はい!何でしょうか?」

 

アルベドに静かに抱き着くと語り掛ける

 

「どこにも…いかないで」

 

「はい、私は永遠に貴方様のおそばにいます」

 

「アルベドなにかすることはない?」

 

アルベドはいつまでもこうしていたかったが今は緊急事態だ、自分の欲望より優先するべきことがある

 

「むささび様、現状の報告と守護者各員のお目通りを玉座の間にて行いたいと思っております、どうか玉座の間までご足労ください」

 

「わかった、じゃあすぐ行こう……アルベド?」

 

「はい!なんでもおっしゃってください!」

 

「う、うん、手、繋いでもいいかな」

 

アルベドは嬉しさのあまり死にそうだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デミウルゴス、何があったのですか?」

 

セバスが疑問を訪ねてくる、正直言いたくはないが、情報共有は重要だ

 

「…ナザリック内で恐怖公の眷属がトラップで死亡しました、どうやらフレンドリーファイアが有効になっているようです、私一人では手が足りなかったのでアルベドに来てもらったのですよ」

 

セバスが渋い顔をする

 

「それは…さようでございますか」

 

「君の言いたいことはわかる、むささび様に許しを請い、これからも忠義をささげさせていただけるか」

 

「その心配はないと思いますよ、むささび様は非常にお優しい方、このことで貴方を強く攻めるようなことはしないでしょう」

 

「君から慰めの言葉をもらうとはね、素直に受け取っておくよ」

 

 

「デミウルゴスー!あんたなにやらかしたの?」

「お、お姉ちゃん!そんなこと言ったらか、かわいそうだよ」

 

そんなことを言いながら双子のダークエルフが入ってくる、アウラ・ベロ・フィオーレとマーレ・ベロ・フィオーレ、ぶくぶく茶釜さまに想像された、第六階層守護者あり、着ている服装と性別が逆な100レベルのNPCだ

 

「そうそう守護者に泥を塗るようなことをしてすまない、むささび様が来たら一緒に話させてもらうよ」

 

やりずらそうにそう告げると新たな人物が入ってくる

 

「あらちび助、来てたでありんすか?」

 

不自然に膨らんだ胸を張る吸血鬼が立っていた、ぺロロンチーノ様に創造され、第一~第三階層までという広い階層を守護する、100レベルNPC、守護者最強の彼女の名はシャルティア・ブラッドフォールン

 

「ゲッ…あなたまで来てたの?」

 

「当たり前でありんす、そちが呼ばれて第一から第三階層までの守護を任されている私が呼ばれない理由がありんせん」

 

自慢げに話し胸を張るシャルティアだがアウラも負けじと言葉を返す

 

「偽乳がそんなに胸を張ってもねー、そんなに動かすと形崩れちゃうよ?毎日大変よねーそれだけ付けると大変でしょ?」

 

「っ!!黙りなさい!あんたなんかまったくないでしょ!!」

 

「私はまだ76歳だけど、あんたはアンデット、成長しないから大変よねー」

 

「おんどりゃー!!!吐いた唾はのめんぞー!!!」

 

二人が言い争いをしているとまた新たな人(?)物が入ってくる

 

「騒ガシイ、ココハ玉座ノ間、至高ノ恩方々ガ作ラレタ中デモ最モ神聖ナ場所、喧嘩ヲスルナラ、ナザリックノ外ニイッテシロ」

 

「コキュートス、早かったね」

 

「恩方ガイラッシャルナラ、即座二向カウノハ守護者ナラバ当然ノコト」

 

そんな挨拶を交わしているとナーベラル・ガンマが入ってくる

 

「皆様、間もなくむささび様のご入場になります」

 

その言葉を聞くと、中央の絨毯を境に二つに分かれ打ち合わせでもしたかのように恩方を迎える準備が一瞬で整う

 

それを確認すると外から合図を受けたナーベラルが声を上げる

 

「むささび様のご入場です」

 

ナーベラルがそう告げると全員、首を垂れる、巨大な扉がゆっくりと開き、どこか居づらそうにアルベドと手をつないだむささび様が入ってくる、その右手にはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンが握られている、その光景はデミウルゴスにとって好ましいものであったが、失態を犯した身では素直に喜ぶことはできない、アルベドがむささび様を玉座までエスコートし座らせると、階段を降り、声を上げる

 

「面を上げなさい」

 

その場の全員が息の合った動作で顔を上げる

 

「では皆、至高の恩方に忠誠の儀を!」

 

アルベドがそういうとセバスが一歩前に出る

 

「執事、セバス・チャン、以下プレアデス、御身の前に」

 

言い終えるとセバスとその場にいるプレアデスのメンバーが首を垂れる、以下全員が同じ動作だ

 

「第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン、御身の前に」

 

「第五階層守護者、コキュートス、御身の前に」

 

「第六階層守護者、アウラ・ベロ・フィオーレ」

「お、同じく第六階層守護者、ま、マーレ・ベロ・フィオーレ」

「「御身の前に」」

 

「第七階層守護者、デミウルゴス、御身の前に」

 

「守護者統括、アルベド、御身の前に」

 

「第四階層守護者、ガルガンチュア、及び第八階層守護者ヴィクティムを除き、各階層守護者、御身の前に平伏し奉る、ご命令を、至高なる御身よ、我らの忠義全てを御身に捧げます」

 

「あ、頭をあげてください、、えっと、、ありがとうございます?」

 

「ありがとうなどもったいない!我ら至高の恩方々に身を捧げたものたち、我ら造物主たる至高の恩方に恥じない働きを誓います!」

 

「「「誓います!」」」

 

「う、うん、ありがとう?」

 

そういうと階段を下りてアルベドの前に立つ

 

「頭を上げてください」

 

その言葉で一糸乱れず守護者全員がが頭を上げる

 

「ま、まだなにが起きているかわからないですけど、皆さんの力を貸してください!」

 

言い終えるとむささびは守護者に頭を下げる

それに真っ先に反応するのはアルベドだ

 

「お、おやめください!むささび様!我ら至高の恩方に尽くすために作られた身、その創造主たるむささび様が我らの力を借りるために頭を下げるなど!!」

 

「そうでありんす!むしろこちらから伏して使えることをお願いするでありんす!!」

 

その他各員からも驚きや静止の声が上がる

 

「あ、ありがとう、よかった、よろしくおねがいします」

 

むささびが言い終えるとアルベドが口を開く

 

「では現状の報告に移らさせていただきます、セバス」

 

それに答えセバスが一歩前に出ると発言する

 

「ナザリック地表、及び周囲一キロを調査したところ、沼地ではなくすべて草原でした、周囲には人口建造物、大型生物、モンスターの類は一切確認できず、そして空には、六階層と同じ夜空が広がっておりました」

 

その場の全員が驚きの声を上げる

 

「夜空?」

 

「はい、ナザリックはどうやらどこか不明な地に転移したものと考えられます」

 

「そっ…か」

 

続いてデミウルゴスが発言する 

 

「続けてご報告させていただきます。非常事態につきまして、各階層守護者に伝令を出そうと恐怖公の眷属を使用したのですが、どうやらフレンドリーファイアが有効になっているようでして、恐怖公の眷属が一匹トラップに掛かり、命を落としました」

 

守護者全員の顔色が変わる

 

「わかった、後で恐怖公には謝らないとね」

 

むささびがそう言い終わり次の話に移ろうとするのをアルベドが止める

 

「お待ちくださいむささび様、不測の事態だったとは言え、デミウルゴスの責任下で起きたこと、罰を与えねば他の者への印にもなりません」

 

デミウルゴスを含めた守護者各員がうなずく

 

(なんでいいと言っているのに罰を受けたがるんだろう、、、前ぺロロンチーノさんが怒られると喜ぶ人がいるっておっしゃってたけど、デミウルゴスがそうなのかな?)

 

「罰するって言っても、、、その方法も思いつかなし、、それに今回のフレンドリーファイア有効はナザリック内でも誰もわからなかったんでしょ?そのことで怒るのはおかしいよ、やっぱり罰はなし」

 

「っ…かしこまりました」

 

デミウルゴスは黙って主の方針に従い、次の議題に入る

 

「次はフレンドリーファイアの確認中に判明したことなのですが、一部魔法やアイテムの効果が変わっているようです」

 

「それは…大変だね、何が変わったとか法則とかはわかる?」

 

「今の所、詳しい報告はできませんが、現在も私の階層で全力で調査中でございます、申し訳ございませんが、今しばらくお待ちください」

 

「わかりました」

 

ひとしきり報告が終わるとセバスが提案をする

 

「僭越ですが、ナザリックを隠蔽なされてはいかがでしょうか、わたくしが外を見てきた限り、あたりは開けており、ナザリックが容易に発見、攻撃される恐れがあります」

 

「そうね、それは私も考えていたわ、でも方法はどうするの?」

 

「そうですね、確かに現在ナザリックには隠蔽に適した者はおりませんね」

 

話し合っていると意外な人物から声が上がる

 

「あ、あのー」

 

「どうしたんだい?マーレ」

 

「た、例えば壁に土をかけて隠すとかであれば…」

 

「栄光あるナザリックの壁を土で汚すと?」

 

アルベドの声色が一気に低くなり、マーレを睨むがむささびがフォローに入る

 

「い、いいよそれで!マーレを隠蔽お願いします!」

 

「むささび様、、、」

 

やりずらい空気をデミウルゴスがほどく

 

「そうなると問題は上空からの視認と、山なりになるだろうから不自然になってしまい、やはりどうしても目立ってしまう、どうでしょう、周囲に同じような丘を作り、山は山の中に隠すというのは」

 

「そうだね、それがよさそう、マーレそのこともお願いします」

 

「か、かしこまりました!」

 

「上空には僕が幻術を展開しておくよ」

 

「至高の恩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ございません。」

 

「んんーん、僕もお仕事しないとね」

 

一通り事が終わるとアルベドが声を上げる

 

「それでは現状報告、忠誠の儀はこれで終了させていただきます、むささび様はこれからどうなさいますか?」

 

むささびは少し考える素振りを見せる

 

「地表を見に行きたいな、草原と夜空を見てみたい!」

 

「かしこまりました、それでは私がお供いたします」

 

そこにシャルティアが声を上げる

 

「アルベドずるいでありんす!私がお供する方が安全でありんす!」

 

「いいえ、恩方を防衛するという任務であれば、私のほうが上よ、それにあなたはナザリックの入口を含めた第一~第三階層を守護しているのだから、貴方は現場を離れない方がいいわ」

 

アルベドの正論にシャルティアが音を上げる

 

「うぐぐ…わかったでありんすよ」

 

シャルティアが敗北を認めるとアルベドが満足そうに言い放つ

 

「それでは各員、至高の恩方に我らが仕事をご覧に入れなさい!」

 

「「「はい!!」」」

 

そうして各員は自分の仕事へと向かっていく、

 

「それではむささび様、参りましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございます
正直自分で書いた文章を他人に読んでいただくのは初めてなためすごく気恥しいのですがいかがだったでしょうか

次回からは世界征服の流れに入っていきます、

(前書きでおねショタにはならないって書いておいたけど、、、おねショタになりそう、、、、)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。