本編は次回予告通りに進んでいきます
一話、二話は誤字脱字を修正させていただきました。
感想もお読みしました。
至高の恩方の呼び方についてですが、これはアニメ版発音のリスペクトと、個人解釈からくる当て字です、現在いるむささびは御方ですが、既にいない人には恩方と区別する意図もあります。(文章内でごっちゃになってしまったいたら申し訳ないです)
また沈黙表現を、、、から…に変更させていただきました。
これからも初心者ながら投稿させていただきます。
感想や評価はとても次回投稿の励み、参考になっています、正直なところ、文章を長く書くのがこんなに楽しいとは知らず、結構楽しんでやっていますw
これからもよろしくお願いします。
ナザリック地下大墳墓、第一階層地表付近、むささびとアルベドは報告の夜空を確認しに来ていた
「おや、むささび様と守護者統括殿、外をご覧になりたいとのことで?」
入口にはデミウルゴスとその配下、三魔将が警備していた
「えぇ、護衛は私が、あまり長くはならないとは思うのだけど、留守を頼むわ」
「お待ちください、護衛はアルベド一人でしょうか?」
デミウルゴスの質問にアルベドが顔をしかめる
「問題があって?」
「至高の恩方が未だ情報も詳しくわかっていない場所へと赴かれる、それは構いませんが護衛が一人というのは看過できませんね」
「問題はないわ、私は恩方の護衛であればナザリック内に私ほど適任な人間はいないでしょうし、外にはマーレもいるわ、それ程遠くへ行くわけでもないし、例え襲撃されたとしても、むささび様をナザリック内まで護衛されることなど容易いわ」
「それでもです、むささび様、どうか私一人でも構いませんので、お供を許していただけないでしょうか?」
「ぼ、僕は構いません」
「僕である私の我儘を聞き入れていただきありがとうございます」
(せっかくむささび様と二人っきりで夜空のデート予定でしたのに……デミウルゴス)
やり取りを経て地表へと続く階段を上がっていく
そうして見えてきた夜空に感動の声を上げる、
「うわぁ…綺麗……ブループラネットさん……これが夜空」
体を通り抜ける風が心地よく、寝転がってみるとひんやりとした草が気持ちいい
元居た世界では絶対に味わうことのできなかった自然を存分に堪能する
夜空に手を伸ばしながらむささびはつぶやいた
「……ほんとうに綺麗、きらきら輝いてる…まるで宝石箱みたい……」
感極まっている主人を美しい夜空には無関心に二人の僕がその横顔を悲しげに眺めていた
「この世界が美しいのはむささび様の身を飾る為の宝石を宿しているからかと、お望みとあらば、ナザリック全軍をもって手に入れてまいります」
「こんなに綺麗で広いんだよ、僕一人じゃ持て余しちゃう……でもギルドのみんなとなら、、、世界征服なんて面白いかもね!」
「「っ!」」
(ほんとに違う世界に来ちゃったみたい…みんなにはメッセージとか送ってみたけど返答なかったし、、、この世界に来ちゃったのは僕だけなのかな、、、でもデミウルゴスが魔法の効果が変わってたって言ってたし、距離が遠すぎたりするだけなのかもしれない、なら!この世界でもアインズ・ウール・ゴウンの名前がみんなに伝わればみんなも気づいてきてくれるかもしれない!!!)
一瞬暗い顔をするむささびだったが直ぐに元気を取り戻した用に顔を上げる
「戻ろっか!ナザリックに!」
「「はっ」」
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「ユリねぇーさん、むささび様どうだったっすか?」
メイド用に与えられた一室にプレアデスが集まっていた
「短い時間だったとはいえ、至高の御方のお傍で控えることができたのはとてもよかったです」
「優等生の模範解答が聞きたいわけじゃないんすっよ?夜を一緒の部屋で過ごしてどうだったかが聞きたいっす!」
ルプスレギナのちゃちゃにほかのプレアデスの面々が反応する
「………ユリ姉ずるい…」
「そんなのあるわけないでしょう、私はただアルベド様に頼まれてむささび様が寝ている間お傍にいただけです」
ユリがきりっとした声で返す
「なんすかそれ、つまんないっす、ユリ姉襲っちゃえばよかったんすよ!」
「ルプスレギナ…それは間違いなく不敬な考えですよ」
「それでも寝顔は拝見できたのでしょう?それだけでも羨ましいわ」
「ソリュシャンまで、でもむささび様…少し悲しげでした、お傍に控えることができたのはとても嬉しい限りなのですが…」
やりずらくなった空気をすぐさまルプスレギナが霧散させる
「それでも羨ましいっすねぇー、あぁ私たちも早くお仕事が欲しいっす!」
「安心してみんな、すぐ忙しくなるわよ」
ナザリック大墳墓、第九階層の執務室でむささびはアルベドから渡された報告書の山に目を回していた
「アルベド…これはどういう意味?」
難しい言葉で書かれた報告書もそうだが、これだけ短時間で山のような報告書を作れるアルベドの能力はすごい
「こちらは、ナザリックの経費削減計画です」
「経費削減?」
「はい、現在ナザリックでは資金確報の方法が確立されておりません、その為ナザリックの防衛方法を見直し、資金調達ができるまでは、コスパを優先したいと考えております」
「でも、それってナザリックの防衛能力が落ちるってことじゃ…」
「こちらは長期で考えております、様々なアイテムや魔法の使用が変わったことも考慮して、味方には害のないように、そしてお金をかけず、極力防衛能力も落とさない形で実現していく予定です」
アルベドと共に控えているセバスに意見を求める
「セバス、どう思う?」
「わたくしの意見でよろしければ、先ず、最重要すべきはナザリックの維持でございましょう、あくまで防衛能力を落とさない形であれば防衛の見直しも必要かと」
「うん、わかった、ありがとう、それじゃあ許可するね」
セバスがお辞儀をするのをみて、アルベドが用意してくれた了承の判子ぽんっと押す
「それと資金獲得方法についてなのですが、現在でも草案は様々あるのですが取り合えずはナザリック周辺の情報を集めなくては始まりませんので、ナザリック周辺の調査の許可をいただきたいのですが」
「それならいい方法があるよ!」
そういって自分のアイテムボックスからあるアイテムを取り出す
「それは…ミラー・オブ・リモート・ビューイングでございますか?」
「うん、ユグドラシルではもう使わなかったけど単純なマップ埋めにだったら使えるはずだから見てみよっか」
ミラー・オブ・リモート・ビューイングを起動するとナザリックの外が映し出されていた、外は既に明るくなっていた、どうやら執務に夢中になって時間がかなり過ぎているようだった
「あれ?明るくなってるね」
「はい、すでにむささび様が執務を始めてから4時間が経過しています」
「そんなに経ってたんだ!びっくりだね」
そんなやり取りをして操作しようとするが
「ユグドラシルと操作方法が違うみたい…どうやって動かすのかな……」
鏡の前で手を広げたり、ジャンプしてみたりするが動かない
「むささび様よろしいですか?」
「うん、」
アルベドが鏡に近寄ると命令する、
「ミラー・オブ・リモート・ビューイングよ、動きなさい」
「…………動かないみたい」
(鏡に命令…意外とおっちょこちょいなのかな?)
しばらく試しているとコツをつかんだようでミラー・オブ・リモート・ビューイングからぴぴっという機械音がすると自由に動かせるようになる
「やった!動いた!」
後ろから拍手が聞こえてくる、
「おめでとうございます、むささび様」
「流石は至高の恩方であらせられるむささび様!流石です!」
(鏡動かしただけで、べた褒めだ!)
「う、うん、ありがとう」
鏡を使って周囲を調べていると村を発見する
「あ、村がある、お祭りしてるのかな」
村を発見するがなにやら村は活発に人が動いていた
「いえ、これは違います」
よく見てみると、騎士が村人らしき人たちを襲っているのが見える
「お、襲われてるの?」
「下等な人間同士の殺し合いなど…くだらない」
(誰でも楽々PK術には情報がわからないうちは戦闘しちゃだめって書いてあったけど…)
「どうなさいますか?むささび様」
問いかけに振り替えるとセバスに真っ白い鎧の騎士の面影を見る
「タッチさん…………」
(っ!!!)
セバスは驚くが反応には出さない
「困っている人を助けるのは当たり前…ですよね、助けにいこう!」
「お待ちくださいむささび様!相手の情報が致命的にかけています!相手の強さも伏兵もわからぬ状態です!それに村を襲っているのはおそらく野党ではなく国か何かに属している者たちでしょう、この世界のパワーバランスもわかっていない状態では危険すぎます!」
「それでも、この村の人たちは今殺されてるんだよ?」
「ですが!恩方々のあん「アルベド様」
さらに反論を返そうとするアルベドをセバスが止める
「誰かが困っていたら助けるのは当たり前、これはタッチ・ミー様のお言葉です、そして、造物主の願いを聞き届けるのも配下としての務めではありませんか?」
「っ…わかりました、それではこのアルベドを護衛としてお使いください……」
「うん!行こう!」
「むささび様お待ちを、セバス、ナザリックの警戒レベルを最大まで引き上げるよう、デミウルゴスに指示を、次に後詰の準備よ、隠密行動に長けた僕を複数送り込みなさい、それが終わったらゲートを使って村まで来ること、いいわね?」
「かしこまりました」
やり取りを終えるとアルベドが黒い炎の様な物に包まれ、出てきたときには真っ黒なフルプレートに身を包んでいた
「参りましょう、むささび様」
「わかった!ゲート!」
カルネ村の村娘、エンリは妹を連れて騎士から逃げていた、
朝の日課の水くみをしようとしていたら、村がいきなり襲われたのだ、
急いで家まで走って戻り妹のネムを連れて逃げようとしたところ騎士に襲われるが、お父さんが騎士に飛び掛かり助けてくれたのだ、父の言葉に従い森まで走る、後ろから聞こえてくる父の悲鳴に思わず振り返りたくなるが、どうにか抑え込んでネムを連れて森まで走っていた、
「はぁ、はぁ、きゃあ!!」
騎士に背中を切られ、その場に倒れこんでしまう
「手こずらせやがって」
騎士が剣を振り上げるのを見てネムを庇うように抱く
「ドラゴン・ライトニング!!」
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アルベドと一緒にゲートをくぐると騎士が女の人に剣を振り下ろす寸前だった、
とっさに攻撃魔法を発動する
「ドラゴン・ライトニング!!」
ドラゴンの形をした雷が騎士の体を貫通し、容易にその命を刈り取る
人が焦げる臭いが辺りを満たす
「な、なんだお前たちは!」
とっさに魔法を撃ってしまった、一応手加減はしたが、自分の魔法を受けた人間は間違いなく死んでいる、人の焼けた臭いが鼻を強く刺激する
「残りはどうしますか?」
語り掛けてくるアルベドにもたれかかる、言葉を返す余裕がない、
目の前が暗い、人を殺した感覚が重くむささびにのしかかっていた
それを見たアルベドが瞬時に残り二人の騎士の首を跳ねる、
「むささび様?気分がすぐれないようでしたらナザリックに帰還しますか?」
「だ、大丈夫」
しばらくは罪悪感の余韻が残っていたが、すーっと消えていく、、、
アルベドから離れ、むささびは怪我をしている村人のそばによる
「け、怪我してる、これ飲んでください」
そういうとアイテムボックスから取り出した赤いポーションを渡す
「これは…」
「治癒のポーションです、たぶんこれでよくなると思います」
そういわれポーションを飲と村人の傷がふさがっていく、
「うそ…」
そこにセバスがゲートを使ってやってくる、
「お待たせしました、、むささび様、顔色が悪いご様子、大丈夫でしょうか?」
「大丈夫、ありがとう」
そこに村人が話に入ってくる
「あ、ありがとうございます!お願いです父を!村を助けてください!!お願いします!」「お願いします」
二人が土下座して頼んでくる
「わかりました、助けます」
うなずき返すと二人に魔法をかける
「アンティライフ・コクーン、ウォール・オブ・プロテクションフロムアローズ、この円の中にいたら安全だよ、それとこれ」
アイテムボックスから二つの角笛を取り出し二人に渡す、
「それを吹くとゴブリンが出てきて助けてくれるよ、じゃあ、僕たちは村まで行ってくるね」
「「お願いします!!」」
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・
「セバス、お願い」
「かしこまりました」
お辞儀をするとセバスは騎士に向かって走り出す、100レベルのモンクの動きに対応できるものなどおらず、次々に頭だけをつぶされていく
「それにしても弱い、伏兵が本命にしてもこれはあまりにもお粗末ね」
「でもなんで村を襲ってたんだろう、見た感じこの村はあんまりいいものがあるようには見えないけど…」
「恐らく国力の低下や、迎撃部隊を狩る為に行っているのでしょう、セバスに命令して何人か生け捕りにしますか?」
「そうだね、その方がよさそう」
「セバス!何人か生け捕りにしなさい、情報が必要よ」
「かしこまりまし、たっ!」
セバスはペースを上げて仕事をこなしていく
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「終わりました、むささび様4名捕虜といたしましたが、いかがないさますか?」
「捕虜はナザリックに送った方がいいでしょう、村人に殺されても面倒だわ、それでよろしいでしょうか?」
主から返事がない、暗い顔をして俯いている、
「むささび様?むささび様?大丈夫でしょうか?やはり一度ナザリックに帰還されては…」
その問いに顔を上げ明るい声で返す、
「大丈夫、大丈夫、村の人と話さないとね」
「はい…」
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村長と話すと様々なことが分かった、
話は基本アルベドが進んで話してくれたので特に問題は起きなかった
アルベド最初対価を要求した、だが元々善意で助け、襲われたばかりの村に対価を払う余裕はないだろうと反対したが対価とは情報のことだった、それなら村に負担は掛けないし、対価を要求すれば余計な詮索をされずに済むという事まで考えてのことだった、やっぱりアルベドは凄い。
長年こもって研究をしていたマジックキャスターいう事で、世界情勢に疎いためここ周辺のことを教えてほしいと頼み村長は気兼ねよくこの辺りのことを教えてくれた
どうやらナザリックとこの村はリ・エスティーゼ王国という国の領土らしい、
そしてリ・エスティーゼ王国は、バハルス帝国とよくケンカをしているらしく、今回村を襲ってきたのもバハルス帝国の騎士たちらしい、
そんな形で周辺の情報をすらすらと聞き出しているアルベドの姿はかっこよかった
でも、、、人を殺してしまった、その後もセバスに命じて騎士の大半を殺してしまった、、最初のドラゴン・ライトニングで殺した人間にはかなりの罪悪感を感じ、立ち眩みのようなものも感じた、それでもすぐに持ち直し、今はそれはない、これは竜人になった結果なのだろうか、、、
そんなことを思っていると村長の家にセバスが入ってくる
「お話し中の所申し訳ございません、村に騎士風の男たちが近づいているようです、いかがなさいますか?」
アルベドがこちらに顔を向けてくるので頷く、交渉などはアルベドに任せた方がずっといい、
「村長さん?申し訳ないのだけど、手伝っていただけますか?」
・
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・
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「馬上より失礼、私はリ・エスティーゼ王国、王国戦士長、ガゼフ・ストロノーフ、この近隣を荒らしまわっている帝国の騎士を討伐するため、王のご命令を受け、村々を回っているものである」
「王国戦士長…」
ガゼフは周りを見渡す、すでにこの村は襲撃を受けた後の様だ
警戒を強め、強めの口調で村長に尋ねる
「この村の村長だな?後ろの方々は一体だれなのか、教えてもらいたい」
「そ、それには及びません、僕はむささび、この村が襲われてたので助けに来たマジックキャスターです」
アルベドに言われた通り挨拶を交わす
かなり怖い顔をしているがアルベドもセバスもいる、大丈夫だろう
王国戦士長は驚いた顔をすると馬から降り感謝を述べてくる
「この村を救っていただき感謝の言葉もない!」
「れ、例にはおよ「戦士長!」
緊張しながら言葉を返そうとするがそれを後ろの騎士が割って入る
「周囲に複数の人影、村を囲むような形で接近しつつあります!」
・
・
・
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むささびとガゼフの一向は村の倉庫から村を取り囲んでいる敵を眺めていた
(アルベドが戦士長がどういう話をするか言ってたけど当たるのかな?)
「あれは…アークエンジェルフレイム?」
「あのモンスター?をご存じなのか?」
「は、はい、一応、第三位階魔法で呼び出せる、天使です、、あの人達は何者なんですか?」
「第三位階、、、それだけのマジックキャスターをこれだけの量揃えられるとなると、スレイン法国、それも神官長直轄の、特殊工作部隊、六色聖典のいずれかだろう」
「え?それじゃあさっき村を襲ってた人達は…」
その疑問にアルベドが答える
「恐らく、スレイン法国が偽装の為に行ったものでしょう」
「でもアルベド?この村はそんなに大事な場所なの?」
「それなら、狙いは私だろう」
「え?戦士長さんが狙われてるんですか?」
(じゃあ、スレイン法国がバハルス帝国のふりをして、リ・エスティーゼ王国の戦士長を狙った?、、、難しい、、)
考え事をしていると戦士長が愚痴をこぼす
「本当に困ったものだ、まさか帝国だけでなく、法国からも狙われているとは」
(なにか、狙われるようなことしたのかな?)
戦士長は少し考える素振りを見せるとこちらに向き直り口を開く
「むささび殿、よろしければそこの御仁をお貸しいただけないか?」
戦士長はそういうとセバスを見る
「見たところ、私以上の…かなりの実力者とお見受けする、重ねてお願いする、そこの御仁をお貸しいただきたい、報酬は望む額をお約束しよう」
自分たちの隊長、周辺国家、最強の戦士よりも強い御仁と聞き、ガゼフの部下が動揺を見せる
(これがアルベドの言ってた勧誘?断らないといけないんだっけ、、)
「それは…ダメ、かな」
「そうか、、であれば王国の法で強制徴用というのは?」
「チッ、調子に乗るなよ下等「アルベド!」
アルベドが今にも戦士長の首を跳ねそうなのを制止する、
そこにセバスが話に入る
「それはやめた方がよろしいでしょう、それにあなたは堅実な方だとお見受けします、それに村を救ったものに対しその場で強制徴用とはあまり聞こえのいい話でもございません」
戦士長はしばらく考えた素振りを見せるとむささびの手を握る
「わかった、ではむささび殿お元気で、この村を救っていただき感謝する、本当に感謝する!そして我儘を言うようだが、もう一度村を守ってほしい、今差し出せるものはないがなにとぞ!なにとぞ!」
そうして戦士長は地面に頭をつけてお願いしてくる、
そこへセバスが声を上げる
「戦士長殿お顔を上げてください、主人に許可を取ってからではありますが、できることなら私が村人を守るとお約束しましょう、よろしいですか?」
セバスに向かって首を縦に振る、
それを見た戦士長は立ち上がり深いお辞儀をして感謝の言葉を述べる
「本当に、ありがとう!」
「えっと、それじゃあこれをあげます」
むささびは事前にアルベドに言われ用意していた木彫りの像を取り出し戦士長に手渡す
「君からの品だ、ありがたくいただこう、では」
「ご、ご健闘を」
そして村から出ていく戦士長を見送った、
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「アルベドすごい!なんであの人のする事がわかったの?!」
むささびの暗い表情は影を潜め、無邪気な賞賛に気をよくしながらアルベドが答える
「村には最初からほとんど価値がないのはわかっていました、国を衰退させるために行われた工作かとも思いましたが、王国戦士長が現れたことで戦士長が狙われていることがわかりました、つまり戦士長は村に入った状態で罠にかかったわけです、つまり敵はあの戦士長よりも戦力が上、負けそうな状態になれば戦力をどうにかして上げたいと思うでしょう、そうすればセバスを勧誘してくると思ったのです」
「あの木彫りの像は?」
アルベドが少し笑うと言葉をつなげる
「王国に価値があるかはわかりませんが、一応恩を売っておければと思いまして、戦闘が始まったら観戦し、相手の戦力がわかり、あの戦士長がピンチになったら助けます、そうすれば戦士長はむささび様に恩義を感じるはずです、人間ごときではありますが有権者、王とコネクションを持っているとのことだったので一応ではありますが」
「アルベドすごいね!」
(くふふっ!むささび様にいい所を見せられたわ!!)
「いえ!これくらいむささび様の為ならもっとすごいことも!」
服に手をかけるアルベドにセバスが横に入る
「アルベド様、タイミングを伺うのであれば戦いをご覧になっていた方がよろしいのではないでしょうか」
「…そうね、そうしましょう」
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カルネ村付近の平原、王国戦士長、ガゼフ・ストロノーフは絶体絶命の危機に陥っていた、
自分の連れた兵は8割がすでに戦闘不能、死んだ者こそ少ないが、処置をしなければ時間の問題だろう、加えてアークなんとかフレイムとやらの波状攻撃により体力は削られ、ボロボロに傷つき、既に満身創痍といった状態だった
そこへ天使が更に襲い掛かる、天使数体であればガゼフ一人でも捌き切れただろうが、既に10体を超える数がガゼフを取り囲んでいた、
更に攻撃しては退避し、しかも退避ざまにマジックキャスターから攻撃魔法が飛んでくる
ガギンッ!!ガギンッ!!
攻撃魔法が鎧に当たるが、威力を殺し切れずガゼフにダメージが蓄積されていく
口からどす黒い血が流れる
休む間もなく天使たちの波状攻撃が再開される、
正面からくる天使を迎撃次いで右、左左、右、後ろ、だがついに脇腹の鎧の隙間に深々と剣を差し込まれる
「ぐはぁああ!」
思わず地面に頭から倒れこむ
それを見た敵の指揮官らしき者から声があがる
「止めだ、だが一体でやらせるな、数体で確実にだ」
体力などもうない、勝算もない、聞こえていた部下の抵抗する音もいつしか聞こえなくなった、だが、それでも
「な、なめる、なぁああああああ!!!」
歯を食いしばって、力の入らない体に力を入れて、立ち上がり剣を構える
「俺は王国戦士長!!この国を愛し!守護する者!!!王国を汚す貴様らに!!負けるわけにいくかぁああ!!!」
「その体で何ができる?ガゼフ・ストロノーフ、立てたことは賞賛しよう、貴様が人類の守り手として戦ったなら幾人の人間が助かったことか、だがお前はここで殺す、その後に村人達も、人類の存亡の為だ、無駄なあがきをやめ、大人しくそこで横になれ、せめてもの情けに苦痛なく殺してやる」
「ふっ…あの村には俺より強い御仁がいるぞ……」
「張ったりか?」
その時ガゼフの脳内に声が聞こえる、
(そろそろ交代ね)
気が付くと周りの部下と共にどこか別の場所に飛ばされていた
「ここ、は?」
ガゼフに気が付いた村長が説明する
「ここは村の倉庫です、むささび様が魔法で防御を張られています」
「む、むささび殿は?」
「それが、戦士長様と入れ替わるように姿が掻き消えまして…」
むささびからもらった木彫りの像を取り出すが取り出したと同時に光の粒になって霧散する、
それを見たガゼフはすべてを悟り、気絶した
・
・
・
・
陽光聖典隊長、ニグン・グリッド・ルーインは困惑していた、
任務達成を目の前にして、目の前にいたはずの目標が一瞬にして消失、代わりに子供を含んだ三人組がガゼフの立っていた位置にいたのだ、
「何者だ…」
「は、初めまして、スレイン法国の皆さん、ぼ、僕の名前はむささびです、よろしくお願いします」
明らかに場違いな少年が自己紹介をしてくる、
「…ガゼフをどこへやった?」
その疑問にあっさりと答えが返ってくる
「村の倉庫に、酷いけがだったから治療してもらってるはずです」
「なるほど、村人の命乞いにでも来たのか?それならば「違います」
「帰ってください」
話を遮られ下された要求は帰れ、だ、余りにも無頓着で笑ってしまいそうだ
この感じでは倉庫にいるというのも嘘ではないのだろう
「駄目だ、ガゼフを殺し、村人たちも殺す、貴様らも大人しくそこに横になれ、そうすれば苦しまずにころして」
目の前の喋りかけていた少年の前に、瞬間移動でもしたかのように後ろに控えていたはずの黒いフルプレートの女が立っていた
頬に水滴が飛ぶ、生暖かいそれを血と気づくのにそう時間はかからない
「なにが…起こった?」
水滴の飛んできた方向を見ると、頭部のない部下がちょうど倒れる所だった、
恐らく攻撃してきたのは黒いフルプレートの女だろう
「ひっ、ひぃいいい」「一体何が起こった!」「うっ、うわぁああ」
部下が混乱しているこのままではまずい、
「むささび様、やはりこいつらに生きる価値はありません、早々に殲滅されるのがよろしいかと」
「お話合いができないんだもんね、しょうがないね」
目の前の集団は一切動じる様子すら見せない
異様な光景だ、
だが負けるわけにはいかない
「落ち着け!天使たちを突撃させよ!」
隊長からの指示に部下たちが素直に応じ、三人組に向かって天使たちが突撃する
そしてその少年の腹を剣が深々と突き刺さった、かのように見えたが
「上位物理無効化、ユグドラシルだと使う機会が全然ないパッシブスキルなんだけど…」
「この様な下劣な攻撃ではむささび様には傷一つ付けられないという事ですね」
話し終えるとむささびは自分の腹に剣を突き立てている天使二体の手をつかむと振り回した、一見子供が喧嘩しているようにも見えるがその筋力はマジックキャスターとはいえ100プレイヤーにふさわしいものだった
「それっ!!」
振り回した勢いに乗せて天使二体を地面に叩きつけると天使はその存在を維持できなくなり崩壊した、
「馬鹿な!」「ありえない!何かのトリックに決まっている!」
再びニグンの部下が混乱し始める
「落ち着け!全天使で攻撃を仕掛けろ!急げ!!!」
その声に導かれるように部下たちはすべての天使を突撃させるが、
「アルベドお願い」
「はっ」
アルベドがバルディッシュを振るい、ひと薙ぎで殲滅するが、ニグン達陽光聖典のメンバーにはバルディッシュの動きを捉えることはできない
ただ突撃させたすべての天使が殲滅されたことは召喚者には理解できた
「あ、ありえない…」
部下たちは一心不乱に三人組に対して様々な魔法を撃ち放つ
「チャーム・パーソン!」「アイアン・ハンマー・ライチヤスネス!」
「ホールド!」
多種多様な魔法が雨あられと降り注ぐ中三人組は動じることはなかった
精神的な動揺もそうだが、回避も防御にも一切文字通り動くことはなかった
「ユグドラシルの魔法ばっかりだね」
「やはり、魔法はユグドラシルで使われていたものがそのまま使われているようですね」
「でもガゼフは変なスキル使ってたね」
「そうでしたね、発動前に確か、武技などと言っていました、調べますか?」
「うん、じゃあアルベドそろそろ、」
「かしこまりました」
アルベドが主人から命令を受けるとニグン達に向かってバルディッシュを振りぬく
「ひっ、ひぃいいいいい!」
ニグンの部下がスリングを取り出し礫をアルベドに向かって投擲するが礫は投擲者の頭を知覚できない速度でつぶした
またも反応できないレベルの攻撃を受ける
これ以上何かさせるわけにはいかない!そう思い攻撃を開始する
「プ、プリンシパリティ・オブザベイション!かかれ!!」
今まで微動だにせず戦場を眺めていたフルプレートに身を包んだ天使がその手に握られたメイスを振るおうと前に出てくる
「アルベド、下がって」
大天使は一気にむささびまでの距離を詰めるとその勢いに乗せ光り輝くメイスをむささびへと振り下ろしす
むささびはそれを右手で受け止める
「やっぱり上位物理無効化を突破できなきゃ戦いにならないなね『チェイン・ドラゴン・ライトニング』」
むささびが詠唱すると手からのたうつ龍のごとき白い電撃が生じ、辺りを白く染め上げる、大天使の全身を龍が巻き付くように覆い焼き尽くし
魔法が発動し終わると周囲には異様な静けさだけが残った
だがその静けさもニグンの怒号によって破られる
「あ、ありえるかぁああ!上位天使がたった一つの魔法で滅ぼされるはずがない!!!」
隊長の同様に部隊はさらに混乱していく
「二、ニグン隊長、私はどうすれば…」
「か、神様ぁぁ」
そこへニグンから活が飛ぶ
「じ、時間だ!生き残りたかったら時間を稼げ!!」
そう命令を出すと縋るように懐に手を伸ばし、アイテムを取り出す、
「最高位天使を召喚する!!!」
もはや士気は落ちる所まで落ちていた、いつ部隊が瓦解してもおかしくはないが、最高位天使の名を出すことで何とかつなぎとめる
「あれは確か…超位魔法以外を封じ込められる魔封じの水晶?」
そしてその水晶が破壊される
「見よ!!最高位天使の尊き姿を!!ドミニオン・オーソリティ!!!」
辺りが光に照らされ、光り輝く翼の集合体が姿を現す
「あれ?」
その威光を前にニグンを含めた陽光聖典全員が感動に打ちひしがれていた
「この天使が最高の切り札?」
「そうだ!これこそが最高位天使の姿だ!お前たちにはこの宝を使うだけの価値があると判断した」
むささびは呆れた様子で感極まっている陽光聖典を眺めていた
「アルベド、もういいよ」
特殊能力による魔法威力増強がされているようだが、このドミニオンはむささびに興味を失わせるのには十分だった
「っっ!!!ホーリースマイトを放て!!!」
ニグンが己の不安をかき消すようにドミニオンに命令を下す
ドミニオンの手にある王笏が砕ける
だが御方の防衛に対して完璧なアルベドはそれを許さない、
ドミニオンまで一気に接近し、ドミニオンの翼の体を中央から一気に叩き切る
ドミニオンは真ん中から切り裂かれあっけなく光となって霧散する
笑ってしまうほど簡単に、そこには何もいなくなる
ドミニオンの光輝が消え、周囲の光量が一気に落ち込む
「お前たちは…一体何者なんだ……」
ニグンは力なく尋ねる
「お前たちのような存在は…いちゃ、いちゃいけないんだ……」
それはもう気力をなくし自分に言い聞かせているようだった、
そこへむささびが暗い表情で疑問を問いかける
「ねぇ…アインズ・ウール・ゴウンって……知ってる?」
「そんな名前!聞いたこともない!!!」
ニグンは怒りに任せ、怒号で返す
「そっか、じゃあ…………」
・
・
・
・
風と草の気持ちいい草原で二人で座っていた、むささびはアルベドに寄りかかる
アルベドは黙ってそれを受け入れてくれる
辺りは既に日が落ち始めていた、村ではセバスが事後処理を行ってくれているはずだ
「むささび様?これからどうなさいますか?」
静かな草原にアルベドの美しい声が響きわたる
その声はとても気持ちいい
「みんなを…捜しに行こう……」
自然が心地よくて、アルベドの声が、温もりが心地よくて、夢うつつにこたえる
「…かしこまりました」
ぼんやりとした意識の中で沈んでく夕陽を眺めながらつぶやく
「もう、くらくなるね…かえろう…なざ、りっくに……」
そういい終えるとむささびは完全に夢の世界に入っていった
「えぇ…帰りましょうナザリックに……」
お読みいただきありがとうございます!
いろいろ積み込んだ結果一話よりも少し話が伸びてしまいました
一話のご感想ありがとうございます、皆様が感じている矛盾点、未成年者のAUGの加入ですが、それも次回で描いていく予定です
次回、黄金の夢、首を長くしてお待ちください