もしも鈴木悟が少年だったら   作:パーピング

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本作品の肝になる設定等の話を詰めていきたいと思っています
実はもうちょっと後に描きたいなぁーと思っていたのですが、
感想を見た結果早々に明かしておかないと矛盾を抱えちゃうかなぁーと思ったので執筆します、

2話の前書きでも語らせてもらいましたが、至高の恩方という表現は誤字ではありません、アニメ版の発音リスペクトと、現在いる至高の御方(むささびと)去っていった至高の恩方で区別するためでもあります、説明不足で申し訳ございません、また文章内でごっちゃになってしまっているかもしれません、そうなっていたら申し訳ないです。

独自設定
本作品での鈴木悟の両親はさらに貧困です
またむささびはナインズ・オウン・ゴールの最初の9人ではなくなっています、
原作ではナインズ・オウン・ゴール、クランの状態だった時に、加入条件に年齢制限が設けられていたかは語られていませんでしたが、一応あるという設定でやっていきたいなーと思っています。
転移前の時系列も若干いじってあります

それとたっち・みーやほかの41人の話し方や口調などがあまりわかっていないので、そこで違和感を覚える方がいらっしゃるかもしれないのでご注意願います

ぶくぶく茶釜さんは職業の設定が原作で描かれていなかったため勝手にマジックキャスターにさせていただきました。


白昼夢

辺りは日が落ちはじめ、傾いた太陽からオレンジ色の光が照らされ、辺りを染めいていた。

 

むささびはアルベドの腕の中で夢うつつに揺られ、

自分を運ぶその人の顔は茜色に染まり、とても美しかった。

 

呼ばれている気がする、どこから呼ばれているのかも、それが声なのかもわからないが、理由もなくそちらに意識を傾ける・・・・

 

 

 

 

 

鈴木悟は母親の入った驚くほど質素な棺桶を死んだ目で見つめていた、

 

死因は過労だった。

 

葬儀の参列者も非常に少なかった、むしろ葬儀を開けたことに感謝すべきなのだろう、アーコロジーに住む親戚が本来であれば、業者に回収されていくだけだったはずの遺体を火葬しお墓まで用意してくれたからだ

 

自分を育てるために必死に搾取されようとも働いてくれていた。

そこには恨みも、憎しみも、怒りさえもなかった、ただ絶望的な悲しみだけが少年の感情を支配していた。

 

 

「入りなさい、ここが新しい君の家だ」

 

富裕層の遠い親戚に引き取られ、案内された家は驚くほどきれいで、清潔に保たれたていた、その部屋は白を基調としており、母親と住んでいた部屋とは運例の差だ

 

「大丈夫、これからは私たちが君の親だ、何かあれば何でも言いなさい」

 

そういうとおじさんは部屋を後にする

 

悟の絶望に染まった表情は豪華な部屋を前にしても変わることはなかった

 

 

親戚のおじさんに引き取られて以来、用意された食事を食べるだけの絶望の中をただ生きていた悟だったが、見かねたおじさんが、お前には何かやる事が必要だと用意してくれたゲームを半ば強引にプレイさせられていた。

 

チュートリアルもなく、キャラクタークリエイト画面に進み、わけもわからないまま、プレイしていた。

 

空が赤い、赤黒としたもの物騒な空だ

プレイ前に教えてもらった綺麗な自然の世界とはかけ離れている、むしろ現実世界の空に近い

 

いきなりわけもわからず攻撃を受け、何もすることができないまま地面に倒れこむ

 

「こいつほんとに異業種か?」

 

自分を取り囲む人間たちが言葉を発する

 

「確かだよ、竜人って見た目は完全に人間だからな」

 

「にしてもろくな抵抗もしてこなかったな、生まれたてか?」

 

「ふーん、じゃあさっさと止め刺しちまえよ」

 

「異業種が、人間の振りなんてしてんじゃねぇーよ」

 

そう言い放つと、人間は振り上げた剣を無造作に振り下ろそうとする、が・・・

 

自分を取り囲んでいた人間たちは撃破エフェクトと共に霧散する

 

「……貴方は?」

 

恐らく自分を助けてくれたであろう、純白の聖騎士。

このゲームのことは何も知らないが、ただかっこいいとそう思った

 

「誰かが困っていたら!助けるのは当たり前!!」

 

正義降臨と書かれた派手なエフェクトを背後に決めポーズをとる聖騎士

彼に導かれるまま間に異業種のワールドへと足を運ぶのだった

 

 

「あれ?たっち・みー……そっちのは?」

 

ピンク色のスライムがこちらに気が付き近寄ってくる

 

「あぁ、ちょっと用事で、隣の烈火のワールドまで行ってたんだが、そこで異業種狩りに会っていたみたいでね、助けたんだが…どうやら生まれたてらしい」

 

そこへ忍者の格好をした人物が話に入る

 

「あそこは初心者じゃ入る事も出来なかったはずだろ?生まれたてをそこに放り出すなんて…またバグか、クソ運営!」

 

たっち・みーと名乗った銀色の騎士は不満を漏らしながら入ってくる忍者に苦笑いをしながら挨拶を交わすと二人の人物を紹介してくれる

 

「紹介するよ、ぶくぶく茶釜さんに、弐式炎雷さんだ」

 

「「よろしくねー」」

 

「そういえば名前をまだ聞いてなかったね、名前はなんていうんだい?」

 

助けてもらった人に失礼はできない、頭を下げて自己紹介する

 

「…むささびって言います…よろしくお願いします」

 

「「「声っ若!!!」」」

 

三人は驚愕の声を上げる

何しろ目の前の竜人は身長は170cmほどあり、顔はとてもいいとは言えず、むしろ不細工な方だったからだ、

 

「え?君…むささび君?はー、何歳なの?」

 

ピンク色の肉棒が訪ねてくる

 

「きゅ、9歳です…」

 

「「「まじかよ!!」」」」

 

全員が声を合わせて驚くコントの様な状態になっているとそこへバードマンが騒ぎを聞きつけてやってくる

 

「おー?なんだなんだ?盛り上がってるなぁー」

 

さらに続々と多種多様な人?物がやってきては、竜人の年齢に声を揃えて驚きの声を上げるのだった

 

 

「うん!こんな感じでいいんじゃないかな!」

 

ピンク色の肉棒…ぶくぶく茶釜はコンソールのキャラクター作成画面を眺めて満足そうに語る。

 

「いい出来じゃん、これなら声と外見のミスマッチ感がなくなるけど…これ姉ちゃんの癖が混じってないか…?」

 

横からコンソールを覗いているぺロロンチーノは姉に冷たい目線を送る

 

「黙ってろ弟、むささびくん、こんな感じでどうかな?」

 

ぶくぶく茶釜がぺロロンチーノさんに話しかける時とは全く違う声色で話しかけてくる

 

「あ、ありがとうございます」

 

あまりにもむささびの外見が酷かった為、ぶくぶく茶釜がキャラクリを一からし直しているところだった、クランのみんなとも顔合わせが終わっていたが、170㎝の竜人から年齢が一桁の男の子の声はあまりにも不自然だった

 

「それじゃあ、反映するねー」

 

そうしてぶくぶく茶釜がコンソールの決定ボタンを押すと、むささびの体浮き上がり、光に包まれていく、わずかな時間光に包まれるとすーっと地面に降り立つ。

自分の手を見ると体が小さくなったのがわかる

 

「「「おぉ」」」

 

みんなから関心の声があがる、声年齢相応の可愛らしい中性的な少年がそこにいた

 

「あ、ありがとうございます!」

 

自分の体を作ってくれた茶釜に感謝を述べる

 

(これやっぱり姉ちゃんの性癖が入ってるよな?)

 

(え?その話僕に振ります?)

 

「そこ、聞こえてる」

 

「「な、何でもないです」」

 

そこへ聖騎士が提案をする、

 

「よし、形は整ったし!みんなで初心者育成!もとい子育てに行きましょう!!」

 

 

初心者育成の基本のきが終わり、むささびはログアウトした後の事

 

「むささびくんの印象はどうでした?」

 

たっち・みーはメンバーに尋ねる

 

「うーん、まぁ完全な初心者って感じで、正直サブ垢とかそっちの気配はしなかったね」

 

「そうじゃなくて聞きたいのは人格とかそっちの事でしょ?、でも、なんていうか、暗かったというより闇抱えてそうだった…」

 

「まぁこんな世の中ですからね、正直誰もが闇を抱えてるって言っても過言じゃないと思いますよ?」

 

たっち・みーは少し考えた素振りを見せると皆に提案する。

 

「確かに暗い子ではあったけど、あの子に、楽しいって言葉を知らなそうな子に、ゲームの中でぐらい親切にしてあげたい、楽しんでもらいたい、私はそう思ってる…」

 

少しの沈黙が続き、ぶくぶく茶釜が口を開く

 

「元から異業種狩りを狩る、善をする事を目的としたクランなんだし、いいんじゃない?社会人であることってのも特にこれといった特別な理由があったわけじゃないし…それにクラン長はたっち・みーさんだよ、私はたっちさんが決めた方針に従うよ」

 

ウルベルトも思うところがあるのか、今回は何も言わない

 

「それに次もやる約束はしたけど、ログインしてくるかはあの子次第だしね、ログインしてくるようだったら暖かく迎えてあげるのもいいんじゃない?」

 

「そうですね…ありがとう、それじゃあ今日はこれでお開きだ、みんな集まってくれてありがとう」

 

 

次の日・・・むささびは特にすることもなく、何かしていないとおじさんに怒られそうなので、ユグドラシルを仕方なしに起動する。

 

ログイン画面から進むと最後にログアウトしたナインズ・オウン・ゴールの拠点、留置所だった

 

「あっむささびくん、来たんだ!」

 

声のする方に振り替えるとそこにはピンク色の肉棒が立って?いた

 

「…あなたは」

 

「忘れちゃった?ぶくぶく茶釜!」

 

「…ごめんなさい」

 

名前を忘れられたことを気にも止めず笑いかけてくれる

 

「昨日は確かみんなでチュートリアルやったんだったねー、そうだ!これから私が色々教えたげるよ」

 

スライムに強引に手を引かれ倉庫のような場所に連れてこられる

 

「むささび君はどんな職業するか決めてる?」

 

「職業…ですか?」

 

「そう、例えば私はマジックキャスターこういう魔法を使えるの」

 

そういうと茶釜は手から少しの炎を見せる、むろん室内で使用しても問題ない魔法だ

 

「ほかにも剣を振るったり、まえ忍者の恰好した人いたでしょ?あんな感じで忍者になれたりもするの、こんな剣もあるんだよ」

 

茶釜は箱の一つから冷気を放つ刀を取り出し、自慢げに見せてくる

 

むささびは少し考えると答えをだす

 

「…じゃあ魔法使ってみたいです…」

 

「わかった、それじゃあこれから「ん?むささび君に茶釜さんこんな所で何を?」

 

やってきたのはぷにっと萌えさんだった

 

「ぷにっと萌えさん、今むささび君がログインしてきたから昨日の続きってことでどんな職業とクラスを取りたいか聞いてるところなの、むささび君マジックキャスターやりたいって」

 

「そっかー」

 

ぷにっと萌えはむささびに近づくと胸を張って語り始める

 

「いいかい?むささび君、戦いというのは情報が命なんだよ、どれだけ強かろうと、いかにワールドチャンピオンの称号を持っていようと、情報を軽視したら勝てない、絶対に負けてしまう、つまり戦いというのは始まる前に終わっているんだよ、だから君は情報系を「それは貴方が欲しい能力でしょ」

 

「ばれましたか」

 

「むささび君は好きな職業になっていいんだよ、うちのクランは基本どんなビルド組んでも大丈夫だから」

 

「…それでいいです…」

 

「だよね!やっぱり情報系がいいよね!」

 

「いいの?むささび君…」

 

「…はい、これで…これがいいです…」

 

「あ、あー…よしっ!それじゃあ私が教えてあげよう!!」

 

 

「到着ー!!情報系とはいっても、最初は魔力系から取得する必要があるからまずはそっちから取得しようか!」

 

ぷにっと萌えとぶくぶく茶釜に連れられ初心者向けの低難易度ワールドに足を運んでいた。

初心者向けといっても人間や亜人を選んだ人がスポーンする、人間向けワールドだった為、ぷにっと萌えとぶくぶく茶釜は人間に変身していた。

そのワールドは初心者が最初に始めるワールドという事もあり、烈火のワールドともクランの留置所があるワールドとも一変した、自然豊かな場所だった。

 

草木が颯爽と生い茂り、近くには小川が流れ、少し行ったところには森が見える、青い美しい夜空からは太陽が光を照らしていた。太陽の光を川の水が反射し、きらきらと輝くその世界はゲームながらとても幻想的だった

 

「…綺麗……」

 

「そっか、むささび君は烈火のワールドにスポーンしちゃったから、ユグドラシルの自然を見るのは初めてなんだ、どう?綺麗でしょ、私たちが住んでた地球は昔はこんな感じだったんだって」

 

むささびは小川に近づくと水に手を入れる、冷たさなどは感じる事は出来ないが、それでも、魚や水草で美しく彩られた川はとても綺麗だった

 

「…これが、地球……」

 

「そうだよなー、これが地球の昔の姿ーなんて、ちょっと現実味がないよな、烈火のワールドの方が地球って言われてもしっくりくる感じがするよな」

 

「それじゃあ、職業習得の前にちょっとこのワールド見てまわろっか!」

 

「…いいの?」

 

「もちろん、ゲームはしたい事を出来るから楽しいんだよ、ほら行こ!」

 

 

それからワールドのいろんな場所を見て回った、広々とした草原も、ドームで囲まれていない村の畑も、木が沢山生えている森も、どれも現実世界では味わえない、本当に綺麗で美しい世界だった、初めて、あの絶望を感じてから初めて、生きる意味を失ってから、初めて自分から何かをしたいとそう、心から思うのだった

 

「むささび君、最後にいい物見せてあげるこっち来て!」

 

茶釜さんに近づくと、自分の手を取り、茶釜さんは魔法を唱える、三人の体は淡い光に包まれ、宙に浮く。

茶釜さんはこちらの顔を覗き込みいたずらに、にっこりと笑うと、空へ勢いよく加速した、

風を切る音とあるはずのない浮遊感に包まれ、思わず目をつぶり、茶釜さんの体にしがみつく

しばらく高所と速度に身を固めているとゆっくりと停止するのがわかる

 

「ほらむささび君、目開けてみて」

 

茶釜さんに促され、恐る恐る目を開ける……

 

そこには大自然の情景が映されていたいた、あまりの光景に言葉を失う

雲の上程の高さから、一つ一つ見て回っていたものが上空から全て一望出来た。

それはとても贅沢な光景だった。

 

その景色を前にしてはどんな調度品ですらかすむような光景だった

 

ゆっくりと茶釜さんの手を放し、体を大自然へと向けその激情に身を震わせる

 

(やっぱり連れてきて正解でしたね)

 

(うん、気に入ってくれたみたい)

 

「ゲームも悪くないでしょ?」

 

「うん、凄い、とても綺麗」

 

そこにはいつもの言い淀みは無く、ただの機械的な受け答えでもなく、むささびが、鈴木悟が、しばらくぶりにした本当の会話だった。

 

 

上空から大自然を見終わると草原に降り立ち、職業習得を始める。

周囲にはちらちらとモンスターが見えるがどうやらこちらには気づいていないようだ

 

「マジックキャスターのクラスを習得するには最初の一歩がめんどくさいんだけど、手っ取り早くしちゃおっか」

 

ぶくぶく茶釜がアイテムボックスから黒い本を取り出し、むささびに手渡す

 

「って、それ、いいんですか?茶釜さん」

 

「ん?いいよいいよ、別に使い道もなかったしねー」

 

「えっと…それは?」

 

「これは魔力系マジックキャスターのクラスを読むだけで獲得して、+10レベル上がって、更に30レベル到達まで経験値上昇が掛かる魔導書だよ」

 

この本の価値はわからないが、ぷにっと萌えさんの反応を見るに割と価値のあるものなのだろう

 

「…ありがとうございます」

 

「いいよ、いいよ、読んだらステータス割り振りとかの画面が出るから、そこからはぷにっと萌えさんお願いねー」

 

「はいはい、そっちは私にお任せあれ~」

 

「じゃあ、開いてみて」

 

「…わかりました…」

 

ゆっくりと本を開くと効果音が鳴り響き画面にレベルアップっとでかでかと表示される

 

自動的にコンソールが開き、ステータスの割り振り画面が出てきた

 

「おぉ、使ってるところ初めて見たけど、割と地味だね」

 

「そうですねー、じゃあむささび君ちょっといい?」

 

そういうとぷにっと萌えはコンソールをいじり始める

 

ピッピッと機械音がしばらく鳴り響いた後、ぷにっと萌えが満足そうな声を上げる

 

「うん!こんな感じでいいんじゃないかな」

 

そういってむささびにステータス割り振り画面を見るが正直わからない

 

「ありがとうございます」

 

「よし!これである程度ここでの戦闘は出来るようになったし、あそこのモンスターに向かって魔法撃ってみようか」

 

そういうと二人は魔法の使い方、リキャストタイムというものやMPについて説明してくれた

どうやら魔法を撃つと次撃つまでに時間がかかるらしい、その時間をリキャストタイムといい、今はあまり意識しなくてもいいが、後々重要になってくるらしい

MPについては特に詳しく教えてくれた、MPは魔法を使うと消費され、使っていなければ回復していくらしい、その為魔法を撃ちすぎるとすぐにMPがなくなって戦えなくなってしまうので、魔法を撃つ頻度には注意しろとのことだ

 

「じゃあさっき教えたとおりに、あそこのスライムにマジックアローを撃ってみようか、あ、ピンク色のは味方だから注意してね」

 

「今は人間の姿だ!」

 

そんな二人のやり取りに少しだけ笑ってしまう

 

「ふふ…あ、あの…すみません。」

 

二人はぱっと顔を見合わせると

 

「いいんだよ、笑っても、ほらっ!」

 

そういうとぶくぶく茶釜はぷにっと萌えにフレンドリーファイアを有効にして極大魔法を放つ

 

「ちょっ!!味方に第十位階魔法とか何考えてるんですか!!!」

 

ぷにっと萌えは思わぬ味方の奇襲に悲鳴を上げる

 

「えぇいっ!よけるでない!少年の笑いの犠牲になれぇ~!」

 

「こ、殺されるっ!!!」

 

「あは!あははははは!」

 

少年は久しぶりに笑うことができた

 

 

むささびは教えられた通りに画面上に表示されているマジックアローと書かれた四角いアイコンをクリックする

 

「マ、マジックアロー!」

 

すると自分の両肩辺りに光が収束し、光弾が出現、数メートル先にいる青色のスライムに着弾する、

 

「わっ、すごい」

 

自分から放たれた魔法の感動に浸っているとぶくぶく茶釜から指示が飛んでくる

 

「こっちに気づいたよ近づかれる前に倒しちゃおう!」

 

「うん!」

 

「マジックアロー!マジックアロー!マジックアロー!」

 

じわじわと近づいてくるスライムに対してマジックアローを連射する、10レベルのマジックキャスターのMPはあまり消費されない

 

5発ほど撃つとスライムは撃破され、その場にクリスタルを落とす

 

「おっ、ドロップしたみたいだな、今みたいにモンスターは倒すとたまにクリスタルやアイテムをドロップするから、いい効果やいい物もたまに落とすから拾っておいた方がいいぞ」

 

「うん!」

 

むささびはスライムのドロップした青色のクリスタルを拾い上げ見つめる

 

キラキラと小川の水のように光を反射するクリスタルはこの世界で初めて自分で手に入れたものだ

 

「初ドロップおめでとう!今日はこんな感じで魔法を使うってことを慣れていこう、そしたらレベリングとかもやっていこう」

 

「はい!」

 

元気な声で返事をするとクリスタルを自分のアイテムボックスにしまい、また近くにいるモンスターにターゲットし、魔法を放つのだった

 

 

一通りの予定も終わり、三人は留置所に戻っていた。

 

「むささび君お疲れ様、今日は初めて体験する物が多くて疲れたでしょ?」

 

「で、でも楽しかった、です」

 

「そうか、それはよかったな」

 

本当に楽しかった、新しい世界はとても美しく、驚きと感動をくれた

 

「じゃあ今日はもう落ちる?」

 

「は、はい、ありがとうございました!」

 

ぶくぶく茶釜とぷにっと萌えは満足そうにうなずくと元の世界へ送り出してくれる

 

「よかった、じゃあお疲れ様、また明日ね!」

 

 

「茶釜さん、なんであそこまで親切にしたんですか?あの本…課金アイテムでしょ?」

 

むささびがログアウトした後、クランの執務を行いながら茶釜に尋ねる

 

「ん…ちょっと、ね…私はあの子の気持ちわからなくもないからさ」

 

茶釜は手を止める様子もなく言葉を返すが、言いにくそうに言葉を濁していた。

 

(似たような境遇、ってことか?…流石に性癖でってわけじゃないだろうし、でもむささび君が身の上を話したことなんてなかったと思うけど…)

 

「そうですか、まぁ、あんまり深くは聞かないでおきます」

 

「ありがとう」

 

「それにしても、いい反応でしたね!むささび君あの様子だったら明日もログインしてきてくれそうですね!」

 

「うん、あの子にも楽しみができたらいいな…」

 

 

 

 

 

 

 

「昨日、むささび君ログインしてきたみたいですね」

 

ナインズ・オウン・ゴール、留置所にたっち・みー、ぶくぶく茶釜、ぷにっと萌えが集まっていた。

 

「えぇ私とぷにっと萌えさんで人間の初心者ワールドにむささび君を連れて行ったんですよ」

 

「人間の初心者ワールドですか?どうしてですか?」

 

「ほら、あの子バグかなんかで烈火に生まれてたでしょ?、ユグドラシル最初の楽しみを味わってないなんてもったいないって思って」

 

「それに見したときは結構いい反応でしたよ」

 

たっち・みーは満足そうな反応を見せる。

 

「それはよかった」

 

「最初はやっぱりちょっと暗かったんですけど、やってるうちに段々明るくなっていって、景色を見たときとか結構浸ってましたよ!」

 

「魔法を初めて撃った時も感動してたみたいだったし、これからも来てくれるんじゃないかな?」

 

むささび君の様子を聞き終えるとたっち・みーは真剣な声色で話しかける

 

「…二人に相談したいんですけど」

 

「どうしたんですか?たっちさん、改まって」

 

「皆にはまだ行ってないんですが、本格的にあの子をクランに勧誘しようかなと思ってます。」

 

二人はため息をつくと言葉を返す

 

「それに関しては私は前に言ったじゃないですか、年齢の件もたっちさんがそう決めたんだったら私はその方針に従いますよ。」

 

「私も、茶釜さんに同意見ですよ」

 

「…そう、でしたね、ありがとうございます。」

 

 

「って事でむささび君、私たちのクランに入らないか?」

 

むささびはログインして早々の勧誘に困惑していた。

 

部屋にはメンバー全員が集まっており、むささびを待っていたようだ。

 

既にたっち・みーはメンバー全員に話を通しており、むささびがクランに入る事に反対意見も出なかった

 

「…え…いいんですか?」

 

「もちろん、こちらから勧誘してるからね、どうかな?私たちと一緒にこの世界を、ユグドラシルを一緒に冒険してみないか?」

 

「はい!したいです!もっと!もっといっぱいこの世界を見てみたいです!」

 

「よしっ!クラン、ナインズ・オウン・ゴールに新しいメンバーの誕生だ!」

 

たっち・みーが高々と宣言するとメンバーは思い思いの言葉を発する

 

「よっしゃぁあ!」「これからよろしくむささび君!」「記念にスクショ撮ろうぜ!」

 

誰かが必要としてくれることがこんなにも暖かいことだとは知らなかったむささびは思わず涙を流す、だけど、この涙は今まで流した冷たい涙ではなく、どこか離しがたい、とても暖かい涙だった。

 

「あ!むささび君また泣いちゃったの??」

 

「泣き虫直さないとな!」

 

「これからは俺たちの仲間なんだからな!胸張って行けよ!」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

「よし!スクショだ!スクショ!集まって集まって!」

 

ぐいぐいと暑苦しいほどに中央に寄せられみんなに囲まれる

強引で荒々しいが全く嫌じゃない

 

「それじゃあイーグルカメラみて!」

 

ゲーム内には表示されないが最初の思い出の一ページに泣いている写真なんてもったいない、顔をごしごしと乱暴にこすると、カメラを見る

 

「「「ようこそ!ナインズ・オウン・ゴールへ!!」」」

 

カシャアッ!と音がなりナインズ・オウン・ゴールに新しいちょっと変わったメンバーが加わるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数か月後…

 

「やった!100レベルになった!!」

 

既にクランにも馴染み、ギルドのみんなの献身的な教育により短い期間での100レベル到達をむささびは果たしたのだった

 

「早っ!もう100いったのか!」

 

「流石非社会人、毎日すごい時間やってるだけある」

 

「むささびよく頑張ったな」

 

喜ぶむささびに皆、各々の声をかける

 

「それじゃあ、記念に高難易度ダンジョンでも潜りに行きましょう!」

 

ウルベルトが提案をするがたっち・みーがそれに異を唱える

 

「いやいや、100レベルになったばっかりで高難易度ダンジョンはないでしょう、それより、みんなで戦術や、スキルの使い合わせを詰めた方がいいですよ

 

「それも悪くはないんですがね、たっちさん、習うより慣れろって昔から言うじゃないですか、むささび君はそっち系のほうが早くキャラを使いこなせると思いますよ?」

 

二人の年中行事が始まり、皆呆れた様子で見守る

 

「あーあぁ、また始まったよ」

 

そこへぺロロンチーノが止めに入る

 

「ほら、ある意味100レベルになるってユグドラシルで成人になるってことじゃないですか、だからむささび君を連れて男性陣でエロ系のモンスターの討伐にいくっt「黙れ弟」

 

「これまた決まらないやつでしょ?ほらむささび止めてきて」

 

「えっ?僕が?」

 

そうぷにっと萌えの手に背中を押され言い合いをする二人の前に出される

 

「あっ!あの!けっ、喧嘩やめてください!、たっちさんに教えてもらって、その後高難易度ダンジョン一緒に行きましょう!!」

 

「「まっ、まぁむささびくんがそういうなら…」」

 

必死の説得に後ろから援護が飛ぶ

 

「ほら~、二人とも子供に諫められるなんて恥ずかしいぞぉ~」

 

「「うっ」」

 

「大人としての威厳がぁ~」

 

「たっちさん、子供の見本になる大人になりたいって言ってませんでしたぁ~?」

 

「「わかった!わかりました!!」」

 

これから二人が喧嘩するたびにむささびは同様に利用されることになるとは知る由もなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラン、ナインズ・オウン・ゴール、むささびが加入してから既に一年以上が経過していた。

むささびが加入する前から9人は超えていたが、更に人数が増え、クラン名のナインズは既にふさわしい名前ではなくなっていた。

 

途中ひと悶着あり、一人がクランを辞める様な事件もあったが、クランはギルドへの変貌を遂げようとしていた。

 

「まって…なんで僕がギルドマスターなの?」

 

部屋に呼ばれて早々むささびは戸惑いの声を上げる、

会議室には皆が集まっており、自分が最後に来た形だ。

 

ナインズ・オウン・ゴールのメンバー全員が集まり、そこでギルドに移行するにあたり誰がギルド長になるかそういう話になったのだが、本来であればクランから移行するにあたり、クラン長がギルドマスターになるのが流れではあるが、クラン長のたっち・みーはギルドマスターになるのを辞退したのだ。

 

理由はナインズ・オウン・ゴール始まって以来の対立があり、それが原因でメンバーが辞めてしまったのだ、その為、辞めてしまったメンバーと仲の良かったウルベルトや一部メンバーと確執ができてしまい、たっち・みーがギルドマスターになれば、再結成時に脱退する者が出ると予想されたのだ

 

そしてたっち・みーはむささびをギルドマスターに推薦した

 

「僕じゃなくてももっと適任な人がいるよ…」

 

むささびが推薦された理由は複数ある、

第一にクランで普段決定事をする際は、タッチ・ミーとウルベルトの二人が主に意見を出し、対立していた、その仲を取り持ち、提案をして両者を収めていたのがむささびであったからだ、

そしてクランへの貢献度も推薦された理由の一つだ

年齢的に働いておらず、趣味もユグドラシル以外になかったが故にほぼ毎日12時間近くログインをしていた、そして、ダンジョン攻略後の執務や調整等も時間を持て余す彼にはいい暇つぶしになったのだ。

そうして圧倒的なログイン率、時間に支えられ、積み重ねられてきた彼の実績はクランのPVP勝率を78%まで引き上げるに至っていた。

レベルのほぼ全てを魔力系、その中でも情報系能力に優れるクラスをほとんど習得した彼は、特別な希少クラスを習得していた、ぷにっと萌えの誰でも楽々PK術との連携により比類なき、情報戦能力を獲得していた。

 

ナインズ・オウン・ゴールがクランにしてワールドアイテムを入手できたのも彼の情報よるところが大きい。

 

もはやむささびはナインズ・オウン・ゴールの屋台骨と言っていいほどに成長していたのだ。

 

そして女性陣からの後押しもあったため、

メンバーからの否定的な意見は全くでなかった。

 

「みんなで話し合って決めたんだ、やってもらえないか?」

 

たっち・みーは真剣にこちらの顔を正面から捉え、語りかけてくる

 

普段であれば、たっち・みーに噛みつき、異を唱えるウルベルトも何も言わずにこちらを見ていた

 

みんなに助けを求めるように見渡すが、皆同意見の様だ

 

「みんなほんとに言ってるの…?」

 

何かと気にかけてくれているぶくぶく茶釜がこちらを見て声を上げる

 

「ギルドマスターって言ってもやる事は今とほとんど変わらないと思うよ、たっち・みーさんとウルベルトさんの喧嘩の仲裁に、クランの執務の色々、難しいことがあっても私たちが手伝うからさ」

 

「あぁ、俺たちの長として自信持てよ!」

 

皆が既に納得し、後押ししてくれている、

 

求められることが嬉しくて、頼ってくれることが嬉しくて、むささびは目の端に涙を浮かべながら(ゲーム内では表示されないが)感謝を述べる、

 

「うんっ!っっありがとう!頑張るっ!」

 

「あれ?もしかしてむささび君泣いてる?」

 

「泣くなよギルドマスター!俺たちのマスターとして頑張ってくれ!」

 

「わかりました!ギルドマスターとして頑張ります!」

 

むささびの返答を受けたっち・みーが声高に宣言する

 

「それじゃあクラン長として最後の命令だ!むささび!ギルドマスターとして新しいギルドの命名を命ずる!!」

 

「うんっ!」

 

(ギルドマスターとして最初のお仕事、なんて名前にしよう…)

 

皆が見守る中、むささびはしばらく考えると、顔を上げる。

 

皆のギルドマスターとして相応しいように、出来るだけキリっとした顔で、声で声高に語る

 

「クラン、ナインズ・オウン・ゴール改め!ここにギルド!異業種動物園の樹立を宣言します!!」

 

むささびが宣言し終えると異様な静けさが漂う

 

「「「・・・・・・・・・・」」」

 

「ん?今なんて?」

 

「え?だ、だから、ギルド、異業種どう「やっぱり、ギルド名はみんなで決めようか!」

 

「そうだな!そっちの方が良さそうだ!」

 

「よし!皆意見出してくれ!どんなギルド名がいい?」

 

「えっ?ちょっと!」

 

「やっぱりナインズ・オウン・ゴールからの移行だし!近い名前がいいよな!」

 

「そうだな!」

 

そうしてギルド名はアインズ・ウール・ゴウンに決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あぁ…疲れました、ほんとはもうちょっと早くアップする予定だったんですが、大まかなストーリーは考えていたんですが、どう話を運んだら違和感ないか、そこの調整がめちゃめちゃ時間かかりました、三日以上かけて一から書き直していたりしたため時間がかかってしまい申し訳ありません、

雑多な思いつき作品の為これで皆さんの違和感や矛盾点が払拭されたか非常に不安に思っています。

あー!感想を見るのが怖い!だけど読まなきゃ!!(使命感

それではお読みいただきありがとうございます!次回は…これ書くのに夢中でほとんど決まってませんが一週間以内には出させてもらう予定です!(変な気まぐれを起こさなかったらたぶん原作に沿う形で進んでいきます)
次回をお楽しみに!







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