もしも鈴木悟が少年だったら   作:パーピング

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サブタイトルは思いつかなかった、、、、

連休だったので文字数を気にせず書いていたら完成した時には三万字ぐらいになっており流石に長すぎるという事で分割させてもらいます

四期、劇場版決定おめでとう!!!!


第7話

エ・ランテル付近の街道に一台の豪華な馬車が走っていた。

 

「デミウルゴスの計画はうまく進んでいるようでありんすね」

 

馬車の中にはシャルティア、その左右をヴァンパイア・ブライド、対面にはセバスが座っていた。

 

「はい、あの業者が野党の一味であることは既に確認しております。ここを少し進んだところで待ち伏せしているようです」

 

はぁ、シャルティアはため息をつく

 

「ほんとにむささび様のお役に立てるような人間がいるんでありんしょうか…むささび様は既に森の賢王なる魔獣を捉え、そのお名前を更に高められたそうでありんすが…」

 

「さっそく成果を上げておられるとは、流石でございますね、それにシャルティア様の黄金の輝き亭での演技も素晴らしい物でした」

 

「至高の御方の為なら当然でありんす」

 

胸を張りながら答えるシャルティアにセバスは少し緊張しながら疑問を投げる。

 

「しかし、シャルティア様、大丈夫でしょうか、これから大量の人間を捕獲しろとのことでしたが、血の狂乱の発動は…」

 

その疑問にシャルティアは舌打ちをする。

 

「私以外にこの任務に適任なものはいないでありんす、私のスキルは集団戦にも有利でありんすからねぇ、デミウルゴスが童をこの任務に就かせたのは恐らくはテストの意味がいりんしょう?血の狂乱も抑え込んで見せるわ、むささび様の為に!」

 

目を輝かせ、今はいない自らの主人のことを思うシャルティアだったが

 

「どうやら馬車が停止したようです。」

 

「そうでありんすねぇ」

 

これから主人の役に立てる二人の声はどこか嬉しそうであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

むささびは一度ナザリックに帰還し、そこでアルベドとデミウルゴスに相談を入れていた。

 

「そうですね、先ずはそのリイジーには己の全てで支払っていただましょう」

 

「え、全てってどうするの?」

 

「リイジーにはカルネ村に移住させポーション研究をしてもらいます、現在ナザリックではポーションを永久的に生産することはできません、その為こちら側のポーション、一部手に入れることが難しいユグドラシルの材料を使わずにユグドラシルと同じレベルのポーションが作れるように働いていただきます」

 

その言葉にむささびは疑問を持つ。

 

「え、でもいいのかな…」

 

「話を聞いた限りではありますが、あの二人であれば喜んで我々の出すポーションに飛びついてくるでしょう」

 

「ん、わかりました」

 

「敵の情報は既にむささび様が全て集められている…ならばアンデッドの軍勢の方は街に被害が出るまで待つか、早期解決の道がありますが…」

 

むささびは少し考えると答えを出す

 

「やっぱりあんまり被害は出さない方がいいかな…」

 

「大丈夫でございます、早期解決でも死体さえあれば問題ありません。」

 

「敵の首謀者はむささび様自らが対処されると聞きましたが…」

 

むささびは少し暗い顔になり答える

 

「…漆黒の剣の人達は拷問されてた、それに敵の目的も伏兵がいない事も、罠じゃない事も確認してるから」

 

「かしこまりました。」

 

「敵の目的、強さ、人数、目的、全てはむささび様により明かされました。であれば問題ないでしょう、それではむささび様敵のアンデッドの軍隊が墓地を囲む壁に到達し、駐留中の兵たちが撤退を始めたら作戦を開始いたします、よろしいですね?」

 

「わかりました」

 

作戦会議も終わり、ゲートを開こうとするむささびをアルベドが止める。

 

「むささび様、今日はナザリックにお戻りになられるのですよね?」

 

「うん、作戦が終わったら帰ってくるよ」

 

「かしこまりました、このアルベドご帰還をお待ちしております、行ってらっしゃいませ」

 

「うん、アルベド、行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

エ・ランテル墓地、夜であれば普段、異様な静けさを放つ墓地はスケルトンの出す音や戦いの音をその夜に響かせていた。

 

「やばいぞ!百とか二百じゃないぞ!千はいる!」

 

「駐屯地に救援の要請は?!」

 

「とっくに出してるっ!!よっ!!」

 

壁を上ってくるアンデッドたちは殺せど殺せど数を減らさず、壁を上ってくる。

 

既に何人かの兵がやられ、何体か壁の上に上がってきている。

 

「だ、ダメだ…」

 

「て、撤退だ!撤退しろ!」

 

その言葉を聞くやいないや全員が一目散に逃げだす

 

後ろから骨と骨がぶつかり合う音に耳を塞ぎながら階段を駆け下りる。

 

壁から離れ、走っていくとそこには異質な四人組が立っていた。

 

「ぼ、冒険者?」

 

そこには緊急時でなければ見惚れるような美しい女性三人と異質な仮面をかぶった小柄なマジックキャスターが立っていた

 

冒険者だが首から下げられているプレートを見て落胆する

 

「おい、カッパー!すぐにここを離れろ!」

 

そんな呼びかけに無関心に冒険者たちは壁の方を見つめ居ていた

 

「後ろ」

 

小柄な仮面をつけたマジックキャスターの言葉に振り返る

 

そこには壁から顔を出す巨体、ネクロスオーム・ジャイアントの姿があった

 

「なっ…」

 

「ツイン・マキシマイズマジック・ライトニング」

 

青白い光と轟音が放たれ、見ただけで絶望を感じさせる巨体を持つアンデッドがその一撃を受け霧散する。

 

「あ、あんた達何者だ?」

 

「みんな行くよ」

 

問いかけに答えることもなくむささびは壁を乗り越えていく

 

 

 

 

 

 

「お、おい聞こえるか?」

 

「何がだ?」

 

「アンデッドの立てる音だよ!」

 

生き残った三人は再び壁を登り見渡す限りのアンデッドだった墓地を見る。

 

「嘘だろ?」

 

無限にいるとすら思えたアンデッドたちは既に押し返され始め、四人は圧倒的な力でアンデッドを蹂躙していた。

 

「俺たちは伝説を目にしているのかもしれん…」

 

「まさに艶麗の英雄だ…」

 

 

 

 

 

 

 

「ファイヤーボール!」

 

真っ赤な火球がアンデットへとぶつかると爆発しながら周囲のアンデット共々燃やし尽くす、

 

むささび達は既に墓地中腹へと足を運んでいた。

 

「しかしささびさーん、ハムスケをおいてきてよかったのですか?」

 

「うん、危険はないけど依頼主を守ってもらわなきゃならなかったしね」

 

そこへメッセージが届く

 

《むささび様よろしいでしょうか?》

 

声の主はエントマだろう

 

《エントマ?どうしたの?》

 

《アルベド様より伝言を預かっております》

 

(アルベドから?さっきアルベドとは話してたけど…)

 

《今は戦ってるから、いろいろ終わってから聞いてもいい?》

 

《はい、ではその時はアルベド様にお願いします》

 

《わかりました》

 

その言葉を最後にメッセージを切り、指示を出す

 

「そろそろかな、ソーイ、ナーベはここに残って、ユーリこれをやった人たちの所まで行こう」

 

「かしこまりました」

 

フライによりアンデッドたちを無視して奥へと進んでいく

 

しばらく進むと真っ黒なローブに身を包んだマジックキャスターらしき集団が見えてくる

 

距離のせいであまり聞き取れないがごにょごにょと儀式の言葉を口にしている

 

「カジット様、来ました」

 

(いきなり名前…?本名は知ってるけど…)

 

「カジットさんこんばんは、儀式をするにはちょっと似合わない日ですね」

 

カジットは舌打ちをし、名前を呼んだ部下を睨みつける。

 

「ふんっ!儀式に見合う夜か否かはわしが決める事よ、おぬしらいったい何者だ?」

 

「依頼を受けた冒険者です、ンフィーレアさんを返してください」

 

「それは出来ぬ相談よ」

 

むささびはため息をつく

 

「そこのクレマンティーヌさん、出てこないんですか?」

 

カジットの後ろを指さし告げるとカジット達は少し驚きの反応を見せる

 

「へぇー私の事知ってるんだぁ~」

 

「おぬし!」

 

「いやぁ~バレバレだったからさぁ~隠れててもしょうがないじゃん?それにしてもどうやって私の名前まで調べたのかな?…風花…って柄じゃなさそうだね~」

 

マントを羽織った女は気味の悪い笑みを浮かべ、余裕の態度を見せていた

 

「それでそちらさんの名前を聞いてもいいかな?私の名前は知ってるみたいだからね~、よろしくね」

 

「言ってもしょうがないけど、冒険者のむささびです」

 

「ん、確かにねぇ~、しっかしどうやってここがわかったのかなぁ~?」

 

「それは企業秘密です」

 

「あ~ん!お姉さん悲しい…」

 

「ユーリ、カジットとそこの男たち任せてもいい?」

 

ユーリは両こぶしを合わせカジット達を見据えると余裕の態度で返す

 

「問題ありません」

 

そしてカジット達には聞こえないように小さ目な声で警告する

 

(上に注意してね)

 

ユーリは無言で頷く。

 

「クレマンティーヌさん、僕たちはあっちで戦いませんか?」

 

「大胆だねぇ~、おっけー」

 

ささびが歩き出すとクレマンティーヌは鼻歌を歌いながら後ろを歩いてついてくる

 

 

 

 

 

しばらく歩いているとクレマンティーヌがささびに話しかける

 

「そういえばあのお店で私がやったのってお仲間?もしかして仲間殺されて怒っちゃった?ふふふふふっ♪大爆笑だったよあのマジックキャスター、最後まで助けがくるって信じてたみたいよ?ごめんね?殺しちゃって」

 

「うるさい、黙ってあるいて」

 

その反応に更にクレマンティーヌは嬉しそうな声を上げる

 

「いや~ごめんね?お姉さん『よくも仲間を!』って激高してくる奴をねじ伏せるのが楽しくて大好きなんだ!でもあんまり怒ってないみたいだねー、ほんとは仲間じゃなかった?」

 

「僕の仲間はもっと強いし、あなたじゃ絶対に勝てない」

 

「ふんっ!お前の仲間がどんなくそったれかは知らねぇーがこの人外!英雄の領域に足を踏み込んだこのクレマンティーヌ様が負けるはずがねぇーんだよぉ!」

 

その言葉にささびは足を止める。

 

「それじゃあかかってきたら?僕は仲間の中でも戦闘特化じゃないよ?」

 

その言葉にクレマンティーヌは笑みを浮かべる

 

「マジックキャスターなんてすっと行ってどすっ!それで終わりだよいつも、この国で私と互角に戦えるのは蒼の薔薇と朱の雫に一人ずつ、ほかにはガゼフ・ストロノーフにブレイン・アングラウスくらいかな?」

 

「へぇー、じゃあハンデを上げるよ、漆黒の剣の人達はこの街に来て最初にできた友人だった、だからそれで復讐するよ」

 

「ガキッ!」

 

むささびの挑発に激高したクレマンティーヌは驚異的な瞬発力で勢いよく突っ込んでくる。がささびはそれを許さない

 

「ライトニング」

 

ささびの攻撃にクレマンティーヌは笑いながら後ろに飛びのく

 

「あははっ!」

 

直ぐに体制を整え、右から、左からと接近を試みるが同じくライトニングがそれを阻む

本来のライトニングであれば武技も使わず避けて刺し殺せるクレマンティーヌだが、むささびの目はそんなクレマンティーヌの動きをしっかりと捉え的確に魔法を放っていたのだ

 

「あーあぁ、私疲れちゃったなぁ」

 

ささびは暗い顔で言葉を返す

 

「どうしたの?さっきから回避ばっかり、自分に勝てるマジックキャスターはいないんじゃなかったの?」

 

むささびの挑発に笑いながら答えるクレマンティーヌ

 

「ふふふっ!それじゃあ行きますよー」

 

マントをビキニアーマーがあらわになる、動きやすさを重視したアーマーにはハンティングトロフィーの様々な色の冒険者プレートが張り付けられていた。

 

「きゃ~!あんまり見ないでよ~お姉さん恥ずかしい」

 

そういうとクレマンティーヌはスティレットを手に取り、体制を低くする。

 

その姿は獲物を狙うネコ科の動物の様であった

 

笑みを浮かべると一気に加速し距離を詰めてくる。

 

「ライトニング」

 

接近するクレマンティーヌを稲妻が焼き尽くそうとした寸前

 

「流水加速!」

 

クレマンティーヌが武技を発動すると、更に加速し稲妻の下を抜ける、むささびとの距離を詰め、その肩にスティレットを突き刺す

 

ローブにスティレットが当たるとガギィンッ!と布に突き立てたとは思えない音が鳴り、クレマンティーヌは舌打ちをしながらすぐさま後方へと退避する

 

「かったいなぁ~、マジックアイテムかな?」

 

「攻撃僕に効かないみたいだね」

 

さらなるむささびの挑発にもクレマンティーヌは乗らない

 

「なら今度はもっと防御の薄い個所を狙えばいいだけだしねぇー」

 

言い終えると再び体制を低くし突っ込んでくるが、一度見たやり方はむささびには通用しない。

 

「ツイン・マキシマイズマジック・ファイヤーボール」

 

一つはクレマンティーヌの足元に、もう一つは飛びのきざまの予想地点に火球が放たれる。

 

これまでと違い直撃を狙わず爆炎による範囲ダメージを狙った攻撃はクレマンティーヌの回避先を読み、左手を焼く。

 

「くっ!!!」

 

「どうしたの?まだ僕に一ダメージも入れられてないよ?」

 

「舐めるなよクソガキ!お前だって第三位階を連射してれば魔力が尽きる、二連射なんて高度な魔法そうポンポンは撃てねぇーだろ!」

 

「そうだね確かにこれは反則かも、じゃあファイヤーボールは使わないで上げるよ」

 

その言葉にクレマンティーヌは激高する。

 

「本気で言ってるのかてめぇ!」

 

「早くかかってきなよ」

 

「チッ!」

 

クレマンティーヌは先ほどよりも強く地面を蹴る。

 

「ライトニング」

 

(こいつっ!ほんとに使わない気か!)

 

「流水加速!」

 

クレマンティーヌは稲妻を紙一重で回避しささびの首にスティレットを突き立てようとするが、

 

「ショックウェーブ」

 

「っ!不落要塞!」

 

不可視の衝撃波が接近してきたクレマンティーヌを襲うが武技を使い無効化する。

 

「ふっ!」

 

笑いながらスティレットを突き立てようとするクレマンティーヌにさらなる魔法がかかる

 

「ヘイトス」

 

その魔法が発動するとクレマンティーヌは自分の速度が異様に早くなったのを感じる。これまでの速度をいきなり変えられ、その攻撃を大きく外す。

 

加速されたクレマンティーヌはその場を一気に離れると自分の手を見る

 

「相手を逆に加速させるなんてね、初体験だったよ?」

 

「魔法も使い方次第、味方を援護する魔法も時には敵にも使える…りんきお、うへんだよ」

 

そんな会話をしているとユーリの方から轟音が響き、巨大なアンデッドがこちらからも確認できた。

 

「スケリトルドラゴン…」

 

「正解ー、よく知ってるね、かじっちゃんに強化されたスケリトルドラゴンはかなりの強さ、それが二体、お仲間が不安になってきたんじゃない?」

 

「あんな骨、ユーリにはわけないと思うよ」

 

「ふーん♪信頼してるんだ、いいね、そんなお前の前にあいつの死体を転がしたらどういう顔になるのかな?」

 

クレマンティーヌの発言に不快感をあらわにすると更にクレマンティーヌは挑発してくる。

 

「あ、雰囲気変わったね、ねぇー僕?よかったらその歪んだ顔、マスク取ってお姉さんに見してくれない?お姉さんそういう歪んだ顔が大好きなの!」

 

「・・・・・・・」

 

「あれれ?怒っちゃった?」

 

むささびは無言のまま嫉妬マスクを外す。

 

そこにさらなる挑発を入れようとするクレマンティーヌだったが、その少年の目の暗さに思わず口を紡ぐ。

 

「…もう、いいや」

 

クレマンティーヌは訳のわからない恐怖感に襲われていた、少年がマスクを外した途端、少年が大きくなったかのような感覚に襲われる

 

不安をかき消すようにクレマンティーヌは突撃するが、むささびは何もしない

 

(何もしない?!)

 

動かない少年に構うことなく肌の見える首にスティレットを突き立てる

 

「死ねっ!」

 

柔らかい感触がする腕は硬い物を叩いたように痺れていた

 

「なっ!」

 

その一瞬の硬直を見逃さずむささびはクレマンティーヌの手首を捕まえる

 

クレマンティーヌは間髪入れずもう一方の手で肌の見えている手を突き刺すが、先ほどと同じく堅い質感に阻まれる

 

「くっそ!放せ!」

 

むささびは絶望を感じさせる暗い表情のまま腕に力を入れ始める

 

掴まれた腕からはミシミシと嫌な音が流れ、女の悲鳴が闇に溶ける

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

バキバキと音がなり、骨が砕け、血管が切れたのか鮮血が噴き出す。

 

「放せ!この!」

 

痛みに顔を歪ませながらクレマンティーヌは必死にこちらを攻撃してくる。

 

「…お話が好きなんでしょ?上に行って話そうか…」

 

むささびはそうとだけ言うとフライの魔法で一気に上空へと加速する。

 

「っぅあがぁ!やめろ!がぁ!何するつもりだ!」

 

上昇中も抵抗するクレマンティーヌを無視して雲の上程の高さに到達する。

 

「…ねぇ知ってること…教えて…?」

 

「ふざっっっけるなっ!うがぁ!誰がお前に!」

 

了承を得られなかったむささびは更に腕に力を込める

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

必死になって腕を外そうとクレマンティーヌは噛みついたりしてきている

 

「…周りをちゃんと見ないと…ここで腕から離れたら死んじゃうよ…?」

 

クレマンティーヌは静かに周りを見渡すとそこは雲海に覆われた夜空だった

 

「ひっ!!!」

 

「…そんなに放してほしいの?」

 

そういうとむささびは腕の力を緩める

 

「やっ、やめて!」

 

むささびは離さないでほしいというクレマンティーヌの願いを聞き届ける

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

むささびの腕はそこに腕が握られているとは思えないほど締まっていた。

 

「…教えて?」

 

「…わがった…答える…答えるがら」

 

クレマンティーヌの顔は恐怖一色に染まっていた。

 

「…アインズ・ウール・ゴウンって知ってる?」

 

「…しっ、知らない」

 

「…ほんと?」

 

むささびは腕を持ち上げ、自分の頭と同じ高さの位置にクレマンティーヌの顔を持ってくる。

 

クレマンティーヌは少年の目の奥の闇を見ることは出来なかった。

 

「…どうして目を逸らすの…?」

 

「ほ、ほんとに知らない!」

 

再び目を合わるがすぐに逸らす

 

「…やっぱり、嘘つき…」

 

「違っ!ほんとに!ほんとに知らない!」

 

「…嘘ついたら落としちゃうよ?」

 

「わかった!わかった!わかった!わかった!」

 

クレマンティーヌは必死に恐怖から逃れようと声を上げていた。

 

「…ぶくぶく茶釜さん…って知ってる?」

 

「知らない、知りません!」

 

むささびは再びクレマンティーヌを持ち上げ目を覗き込む。

 

「ひっ!!!」

 

そしてクレマンティーヌにはわけのわからない質問が39回繰り返される

 

 

「しらない、しらない、しらない、しらないしらないしらないしらない」

 

「…そっか…じゃあもういいよ」

 

その言葉に絶望の顔を上げる

 

「ま、まさか!おまええぇえええ!!!」

 

むささびはぱっと手を離す、絶叫を発しながら落ちていく女を死んでいる虫を見るような目で眺めていた

 

 

 

 

 

マスクをつけ直し、下へ降りるとプレアデスたちが出迎えてくれた。

 

「お疲れ様です、ささび様」

 

「…うん、終わった?」

 

「はい、アンデッドの軍勢、カジットを含めた男たちも既にかたずけました。あの女はあちらに」

 

ユーリが指さす方を見ると墓地らしい枯れ木の尖った幹にクレマンティーヌだったものが深々と刺さっていた。

 

「…うん」

 

「それでは死体はナザリックへと持ち帰りますか?」

 

「…事件の首謀者が必要だってデミウルゴスが言ってたから置いておいて、でも珍しい物があったら拾っておいて」

 

「じゃあンフィーレアの所に行ってくるよ、もう敵はいないから待ってて」

 

何か言いたげに前に出るナーベをユーリが止め、頭を下げる

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い墓地の階段を下りていくと、前方にンフィーレアが現れる。

 

目から血を流し、薄い羽衣のような布をまとい、頭にはマジックアイテムが付けられていた

 

「確か、叡者の額冠だっけ?…ユグドラシルにはなかったよね…依頼だし、しょうがないよね…グレーター・ブレイクアイテム」

 

むささびの魔法により叡者の額冠は跡形もなく砕け散る。

 

倒れるンフィーレアを支え、布を被せる

 

「失明はソリュシャンが治せるよね…」

 

 

 

 

地上へと上がりソーイにンフィーレアを預け、治療を頼む。

 

「ンフィーレアの治療が終わったらお店にいるリイジーまで連れて行ってあげないとね」

 

とそこへ冒険者らしき男たちが近づいてくる。

 

「これは…お前たちがやったのか?」

 

男たちはあたりの大量の動かないアンデッドたちを見渡し驚きの声を上げている。

 

「はい、あなた達は?」

 

「お、俺たちはミスリル級冒険者チーム、クラルグラだ、悪いが一緒に来てもらうぞ」

 

男の強気な態度にむささびは少しだけ警戒する

 

「どこへですか?」

 

むささびの態度を生意気と取り、男は露骨な態度で接してくる

 

「は?馬鹿か?組合へだよ、お前らだって冒険者なんだろうが、だったら先輩の俺たちに黙ってついてこい!」

 

「…わかりました、ちょっと待ってください」

 

面倒くさそうに答えるとプレアデスたちへ指示を出す

 

「ソーイはンフィーレアさんを家まで送ってあげて、ハムスケも連れてきていいよ、ユーリはついていってあげて」

 

むささびはプレアデスたちへの支持が終わると男たちに向き直り声色を落としてしゃべり始める

 

「そういう事なので、行くのは僕とナーベだけで」

 

男は舌打ちをするとソーイに抱えられた少年を見る

 

「ンフィーレア…つったか?」

 

「そうです、早くいきませんか?」

 

男はソーイが担ぐ少年の顔を覗き込もうとしているが布にくるまれた少年は髪がでているだけではっきりとは見えない

 

「クソッ!わかった、ついてこい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー、イグヴァルジの報告では、スケルトン、ゾンビがおおよそ六百に、数体のワイト、2体のオーガン・エッグという報告だったが?」

 

エ・ランテル冒険者組合、組合長プルトン・アインザックは職員から聞かされている報告に頭を抱えていた。

 

「そんなちゃちなものではありません!ゾンビやスケルトンをだけでも千近くが確認され、それだけでなくグール、ガスト、ワイト、スウエル・スキンも何体も確認されています!それにオーガン・エッグだけではなく、ネクロスオーム・ジャイアントの目撃も複数寄せられています。」

 

「それで、それを解決したのがカッパーの冒険者チーム…艶麗の英雄と呼ばれていたな、既に確認したがそこのリーダーは年齢こそ不明だが恐らく、幼い身でありながら第四位階魔法を操る既に英雄級か…」

 

こんな異端の者たちどう扱ったらいい物か第四位階魔法を操っている時点でミスリル級、話を聞けばアダマンタイト級の実力を持っていてもおかしくはない、無論自分の冒険者組合に強者が現れるのは歓迎だが、これからの事を思うと頭が痛かった。

 

「街での聞き取りも行いましたが、まさに英雄といった反応でした、恐らく兵士たちから話が広がったのかと」

 

「それに街一番の薬師ンフィーレア・バレアレの救出に、まだ詳細不明だがズーラーノーンと思われる者達の撃破、一つ一つに依頼を出し、昇格を考えるに値する物だ…お前はどう思う?」

 

職員は考える素振りも見せず即答する

 

「オリハルコンいやもしかするとアダマンタイトの実力を持つかもしれない、まさに英雄かと」

 

「わかった、取り合えず艶麗の英雄を呼んできてくれ」

 

「わかりました」

 

職員は頭を下げて英雄たちを呼びに行った

 

 

 

 

 

「艶麗の英雄たちよ、呼び出したのに待たせてしまってすまない、さぁかけてくれたまえ」

 

アインザックは待たせていた件の冒険者を部屋へと呼び出していた。

 

部屋に入ってきたときの彼女たちはあまりに美しく目を奪われかけたが、冒険者組合長という手前そんな威厳ない事は出来なかった

 

「ありがとうございます」

 

お辞儀をしてから用意されていたソファーへと座る

 

「私は冒険者組合長、プルトン・アインザックだ、よろしく」

 

「僕はささび、こちらはナーベです、よろしくお願いします」

 

むささびがお辞儀をするとアインザックはにっこりと笑顔を浮かべている

 

「報告は聞かせてもらった、まさに英雄の働きだ、現に君たちは既に街で艶麗の英雄と呼ばれているよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

(艶麗って…リーダーの僕は?!)

 

アインザックは少し険しい顔になると話始める。

 

「まずは冒険者組合長としてお礼を言っておこう、今回の件を大した被害も出さず、早期解決できたのは君たちのおかげだ、ありがとう」

 

「いえ、たまたまその場に居合わせただけです。」

 

アインザックは手元の書類に視線を落としすぐに向き直る

 

「未だ全容が把握できたわけではないが、今回の事件の一つ一つの事象が、君たちを昇格させる様な事件だ、こちらは君たちが既にアダマンタイト級の強さを持つことを確認している、だが今回はミスリルで我慢してほしい」

 

アインザックは仮面越しの表情を読み取ろうと反応を伺うがあまり情報は得られない

 

「大丈夫です」

 

「本当にすまない、本来であればオリハルコン級に昇進させるところだが、エ・ランテルにはミスリル級冒険者が一番のトップだ、混乱を避けるためと認識してほしい」

 

「わかりました。」

 

「ふむ、それじゃあプレートを渡しておこう」

 

アインザックは机から四枚のミスリルプレートを取り出し、渡してくれる。

 

渡されたプレートをその場で付けるとアインザックは満足そうに頷く

 

「納得してもらったようで良かった、してむささび君?」

 

要件も終わり帰ろうとするむささびをアインザックが引き留める。

 

「君は一体年齢はいくつなんだい?それにその仮面…できれば顔を見ておきたいと思ってね」

 

アインザックは笑っているが、事実顔も知らない奴を信用できないという意図も含まれている。

 

「…か、仮面は特殊なマジックアイテムでして、特定の条件が揃わないと外せないんです」

 

「呪いのアイテムという事か?それだったら私の友人に魔術師組合の「いえ、僕の力を強化するもので、デメリットとして、そういう条件があるという事です」

 

「そうか、それは残念だ」

 

「それと僕の年齢は13歳です」

 

その言葉に冷静を装っていたアインザックはつい声を上げてしまう

 

「なっ!その年齢で第四位階魔法を習得したのか!いったい…失礼少々取り乱したようだ、いやいいんだ、また今度時間がある時に話を聞かせてくれ、疲れただろう、宿に戻ってゆっくり休んでくれ」

 

「はい、ありがとうございます、失礼します」

 

むささびは別れの言葉を言うと部屋を後にする。

 

 

 

 

 

 

むささび達は事情聴取も終わり、以前組合から紹介され泊まっていた宿へと戻っていた。

 

むささびはドアを開けると胸を張りながら誇らしそうにカウンターへの道を歩いていた。

 

一定の賑やかさがあった一階のバーは再び一行の登場で静まり返るが、初来店時とは全く違った反応だ

 

静寂の要因は首から下げられたプレートだろう。

 

カウンターまで到着すると店主は驚きの声を上げる。

 

「おまえ・・・・・」

 

一度顔を見ただけのカッパーが次にあった時にはミスリルのプレートを下げている。

 

そんな常識外の事に戸惑っているようだ

 

「四人部屋をお願いします。」

 

再び同じセリフと同じ金額を唖然としている店主へと渡す

 

「あ、あぁ、これが鍵だ」

 

もはやむささびを笑うものはこの宿にはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

部屋へと入ると、ナーベを待機させ、ゲートを開きナザリックへと帰還する。

 

本当はメッセージを入れるはずだったがもう帰った方が早いと判断しての行動だった。

 

ゲートをくぐりナザリック地表に出るとアルベドとナザリックでは珍しいシモベ達が出迎えてくれる

 

「お待ちしておりました、むささび様」

 

普段と雰囲気が違う、かなり真剣な面持ちだ

 

「ご報告させていただきます。シャルティア・ブラッドホールンが反旗を翻しました」

 

「…え?……じょ、冗談だよね…?」

 

アルベドは真剣な顔を崩さない。

 

「まずは玉座の間へお越しください。ご報告いたします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お読みいただきありがとうございました。

クレマンティーヌは私個人が結構好きなキャラだったので生かしてもいいかなぁーと思ったんですが何回やっても死ぬルートしか行けなかったので諦めますw

原作と違うのはユリがカジットの相手をしたため苦戦することなく圧勝しています。

後はミスリルに上がる段階でアインザックと顔合わせしたことでしょうか

次回はかなりむささび君がかなりぼろぼろになります、お楽しみに!


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