SSSS.01 X-OVER DREAM《仮面ライダー×グリッドマン》 作:ヒダリテ
---side computer world---
グリッドマンの予想は、意外にも大きく外れていた。
ツツジ台から怪獣とグリッドマン、そして新条アカネが去ったあの日から、間もなく一年が経とうとしていた。
新条アカネ。アレクシス・ケリヴという魔人に唆され、怪獣を創って街や人を襲わせた神にも等しい存在であり、ツツジ台というコンピューター・ワールドを構築した創造主であり、同時に、ひとりぼっちの寂しがりの少女でもあった。
彼女とアレクシスを止めるため、遥か彼方のハイパーワールドよりやってきたヒーローが、グリッドマンである。グリッドマンは、同じくハイパーワールドからの使者である新世紀中学生の面々と、アカネのクラスメイトの響裕太、内海将、宝多六花のグリッドマン同盟とともに戦いを繰り広げた。
ところが、戦いの中で一つの衝撃的な事実が判明した。
グリッドマンは、同盟の拠点であるジャンクショップ絢に売られているジャンクというコンピュータを介して裕太と合体することで、その身体を実体化していた。
裕太は長らく原因不明の記憶喪失状態に陥っていたのだが、その原因がグリッドマンにあったのである。
ツツジ台に降り立った際に大きく力を消耗したグリッドマンは、自己の存在を新世紀中学生として分離させ、メインの意識を裕太の中に宿らせた。そして、本来はグリッドマンの意識が裕太に成り代わって世界を救うために戦うはずだったのだが、彼らはお互いに記憶を失ってしまったため人格の一体化に気付けず、裕太は裕太、グリッドマンはグリッドマンとして存在することになってしまったのだ。
真実にたどり着いたことで、裕太/グリッドマンは真の力を取り戻し、アレクシスを打倒しアカネの歪んでしまった心を救済したのだった。
だが戦いを終えたグリッドマンがハイパーワールドに帰るとき、彼は本来の裕太の状態について「たとえ記憶がなくとも、裕太の身体には刻まれている」と言った。
同盟の内海と六花は、改めてグリッドマンではない裕太と友だちになることを決め、彼の目覚めを待つことにしたのだった。
ところが、その予想が意外にも大外れしたのだ。
絢で内海と六花に見守られながら目覚めた裕太の第一声は「グリッドマンはもう行った?」だった。
実はグリッドマンが真の記憶に目覚めたとき、裕太本人の記憶も覚醒していたのだった。
これが偶然なのか、それとも裕太の人生の一部を奪ったことへのグリッドマンの償いだったのかはわからない。
いずれにしても、裕太はグリッドマンであった頃の記憶を持ったまま響裕太として帰ってきた。
そして、高校二年に進級した裕太たち。
彼らの絆は、今なお続いている…
「いや、そうじゃねーだろ!」
と、一人の女子の声が響いた。
平日午後、昼休みを迎え騒々しくなった教室。少女の声に一瞬空気がシンと静まったが、またもとの喧騒が戻ってくる。
声の主、なみこという六花のクラスメイトは、注目を集めてしまったことで少し顔を赤らめて、今度はひそめた声で机を向かい合わせにして昼ご飯を囲んでいる六花に言った。
「そうじゃないじゃん六花。いつまでお友達なわけ?もうお互いバレてるようなもんなんだからアタックしちゃえばいいのにさー」
煽り立てるなみこを、六花が紙パックのきなこ豆乳のストローを咥えながら面倒そうに見ていると、なみこの隣に座っていたもう一人、はっすがニヤリと笑って返した。
「いやいや、あの六花さんが自分から告るなんてねぇ?大人な六花さんはウブな響が勇気を出すのをじっと待つイイ女なんですよ」
「かー、かっけぇー!六花さん流石だわー!それに引き換え響は…六花さんを待たせるとは何事かー!」
「ちょっと、響くんのことそんな感じで言うのは違うじゃん…」
裕太が六花を待たせている、というのは少し事実と異なる。そう思ってつい口を挟んだ六花は、顔を見合わせて邪悪な笑みを浮かべたなみことはっすを見て、失敗したと悟った。六花はまた二人からイジられるのを覚悟したが、彼女たちの反応は少し意外なものだった。
「…まぁ、六花さんがしたいようにすればいいと思うけどさ。花の高校生ももう折り返し地点まで来ちゃいましたし」
「そーそー。後悔のないようにしなきゃね」
保護者のような目で、しかし茶化すのではなく本心から六花の青春を案じてくれている二人を突っぱねることもできず、六花は「わかってるけどさ」と言って教室の入り口の方を向いた。
4月のクラス替えで、裕太と内海は六花と別のクラスになった。以降、時たま裕太が内海に連れられて六花の自宅である絢に来ることがあるが、それを除いて彼らと絡むことはなくなってしまった。
このドアを開けて二つ先のクラスにいるはずなのに、六花には裕太がそれ以上に遠いどこかにいるような気がしてならなかった。
*
終業を伝えるベルの音を背にして、裕太は校門を出た。
曲がり角も、小河も、坂道も、全て彼の記憶に刻まれている通りの下校ルートだ。
以前は記憶喪失だったこともあって内海と一緒に帰っていたが、今は記憶も戻ったうえ、内海にも一緒に帰ることが難しい理由ができたので一人で帰るのが主になった。
先日、内海に恋人ができた。二年になってからのクラスメイトで、趣味が共通しているのだという。曰く「彼女は等身大ヒーロー派だからたまに解釈で戦争になる」らしいが、楽しくやっているようだった。
高二の夏もとうに過ぎ、裕太もちょっとした危機感を覚えざるをえなかったが、彼の脳によぎるのは決まってたった一人の女子生徒の姿だった。
宝多六花。裕太が内海から聞いた話では、グリッドマンが裕太を選んだ理由の大部分が彼女だったらしい。世界の誰もが新条アカネのことを好きになるように設定された世界で、唯一六花だけを見ていた存在。それが裕太だったのだ。
自分がグリッドマンに選ばれた理由がそんなところにあったとは知らなかったので、裕太はその話を聞いたときに恥ずかしいような嬉しいような思いになった。
ところが、一つ大きな問題点があり、グリッドマンはあろうことかそれを六花にも話していたのだった。
身体を貸したり、戦いに巻き込まれたりしたことに関して裕太がグリッドマンに思うところは全くなかったが、このことに関しては恨み言の一つや二つ言いたいところだった。
グリッドマンによって中途半端に告白したような状態になっている以上、あとは六花がそれをどう受け取っていたかが問題となる。裕太自身、彼女から比較的好意的に思われている自負はあったが、とはいえ彼女と本格的に関わるようになったのはグリッドマンと融合した後の話である。
グリッドマンと心が一つだった頃の自分は、自分であって自分ではない。彼女が少なからずよく思ってくれていた自分と、今の自分は違うかもしれない。
そんな思いがあって、裕太は改めて思いを伝えることも、積極的に関わりを持とうとすることもできずにいた。
内海もそんな裕太の心中を気遣ってか、たまに絢でグリッドマン同盟の例会と称して裕太と六花が話せるタイミングを作ってくれている。内海には感謝しかないが、そんな彼も今や裕太や六花以上に一緒に過ごす時間を大事にしなくてはいけない人がいる。
うかうかしてられないな、と裕太が気を引き締めると、気が付けば学校からそれなりの距離を歩いていた。
そんな、いつも通りの、記憶通りの下校ルートに、奴はいた。
いつもとは違う、しかし裕太の記憶には強く刻まれた存在。
二メートル近い体躯をもった黒い異形が、裕太のもとに近づいてきた。
「やぁやぁ。ご無沙汰じゃないか、響裕太くん」
異形はさながら親しい友人に話しかけるように、しかし強烈な威圧感を放ちながら言った。
「…どうして、お前がいるんだ!」
アレクシス・ケリヴ、と裕太が異形の名を言う前に、アレクシスが「早速で悪いが」と被せてくる。
「君には、死んでもらおう」
《BEROTHA》
アレクシスの手に握られていたのは、ここではない、リアルの世界でゼツメライズキーと呼称されるデバイス。そのスイッチを入れるとともに、アレクシスは呪文を唱えた。
無機物に人間の情動を吹き込むことで怪獣を誕生させ、惨劇を巻き起こすための悪魔の呪文。
「インスタンス・アブリアクション!」
ゼツメライズキーから放たれた真っ赤な光に、裕太は思わず目をつむる。
裕太が次に目を開けたとき、彼の前には巨大なカマキリのごとき怪獣が立っていた。
「やば」
間もなくベローサ怪獣が振り下ろしたカマが、地面に突き刺さる。
強烈な衝撃波が放たれたことで、裕太の身体は宙に浮いた。
全身を揺るがす重力に、裕太が死を覚悟した、そのとき。
「今助けるぞ!裕太!」
どこからともなく聞こえてきたのは、頼れるヒーローの声。
グリッドマン、そう裕太が彼の名を心の中で唱えたとき、空から光が降ってきた。
隕石のように墜落すると思われた光は、空中で裕太を掬い上げると、彼を学校の屋上まで運んだ。
裕太を降ろした光は、その形を巨人のものへと変えていく。
ズシンズシンという轟音に巨人が振り返ると、そこには後を追ってきたのであろうベローサ怪獣の姿があった。
ベローサ怪獣の雄叫びに呼応するかのように、巨人の身体から光が飛散し、その真の姿をあらわにする。
「ハァァァァ、ハッ!!」
真紅のボディに近未来的な瑠璃色の鎧を纏った、旧世紀からの伝説のヒーロー、電光超人グリッドマン!
ベローサ怪獣がチョップをするようにカマを大きく振ると、斬撃が光の刃となってグリッドマンを襲う。
グリッドマンはその巨大な体躯を軽々と操り、バク宙によって攻撃を躱す。
地面に降り立ったグリッドマンは左手のグランアクセプターに力をためて、ベローサ怪獣を射撃する。
「スパークビーム!」
被弾したベローサ怪獣の身体から爆炎が巻き起こる。
そして、グリッドマンは前かがみの姿勢からクラウチングスタートの要領で駆け出し、爆風をも飛び越える大ジャンプを披露する。
ベローサ怪獣もカマを振って応戦しようとしたが、それよりもグリッドマンが間合いに詰める方が早かった。
「ネオ超電導キック!」
ズバン、とグリッドマンの蹴りが怪獣の身体に大穴を開ける。怪獣が身体から火花を散らせると、間もなく爆裂四散した。
爆風の中で、グリッドマンの黄金色の瞳がさんざめいていた。
グリッドマンの圧勝に終わった対決だったが、巨大生物の登場に街や学校の人々は騒然としていた。裕太が降ろされた屋上にも、生徒が大勢訪れ始めていた。
裕太は生徒たちを止めようかとも思ったが、グリッドマンが怪獣をすでに倒してしまったのでどうするべきか迷い、ひとまずはグリッドマンの動向を見守ることにした。
当のグリッドマンは、裕太の危機を救えた安堵とともに大きな焦燥感に駆られていた。
その焦燥の原因の声が、グリッドマンの耳元で響く。
「おや、来てしまったのかいグリッドマン。私の怪獣をそんなに早く倒してしまうだなんて酷いじゃないか」
「アレクシス・ケリヴッ!どうやってハイパーワールドを抜け出した!なぜこの世界にまた現れた!」
「そう一度に質問されても困ってしまうな。もっとも、君に教えるつもりはないがね」
グリッドマンは飄々と答えるアレクシスの姿を探すが、周囲にその姿は見当たらなかった。
「探したところで無駄だよ、グリッドマン。なにせ、君は命を落とすのだから」
アレクシスが宣告すると、グリッドマンの頭上の雲が晴れ、紫の光が刺し始めた。
「空から…だとっ!?」
「さよならだ、グリッドマン」
降り注ぐ死の光線が、グリッドマンの頭からつま先までを貫いた。
獣のような叫びをあげて苦しむグリッドマンの身体から、バラバラと装甲が剥がれ落ちてゆく。
「グォォォォッ!!」
回避しようにも、光線の威力に押されて体の自由が利かない。
しかしそうこうしている内にも、自身の肉体が形を維持できなくなりつつあるのが感覚的にわかる。
もはや、死を待つほか術はないとまで思ったグリッドマンだったが、彼の視界に、何か光り輝くものを見つけた。
既に機能を失いかけている目を凝らし、光の方を見ると、そこにいたのは彼のよく知る少年だった。
響裕太が、何か呼び掛けている。
「ユウ…タ…」
全意識を裕太のもとに集中させる。すると、彼の叫びが聞こえてきた。
「…ッドマン!グリッドマーン!!」
「……裕太…!」
「グリッドマン!俺を!」
俺を使え、裕太はそう叫んでいた。
あぁ、君はどこまでも優しい心を持った少年なのだな、と、グリッドマンは薄れゆく意識の中でやけに冴えた頭で思った。
もはや人型ともいえぬ風貌となっていたグリッドマンに腕が生え、裕太のもとへと伸びてゆく。
すまない裕太。
私はまた、君の優しさに甘えることになってしまった―――
*
廊下を走ってはいけません。これは、校則に書かれるまでもなく全学生が心得ているべきルールである。
しかしながら、今の内海将にとってそんなルールは守るに足らないものだった。
なんといっても、親友の危機である。
響裕太が屋上で倒れたとの報告を受けた内海は、保健室目掛け全速力で廊下を疾走していた。
目的地に辿り着き、横開きの戸を勢いよく開ける。
「裕太ぁっ!大丈夫かおま…」
息を切らしながら入室した内海だったが、瞬間的にその息を吞むことになった。
戸を開けた先には、学生服のままベッドに仰向けにされた男子生徒と、その傍らにいる六花と思しき後ろ姿があった。
男子生徒の顔は隠れていたが、おそらくは件の裕太であろう。
しかし顔が見えないのも、ひとえに六花が裕太の顔を覆い隠すように前のめりな姿勢をとっていたからで…
「えっ、あっ、すっ、スンマセン!!」
ピシャンと、つい先ほど勢いよく開けた戸を同じ勢いで閉める。
こめかみから流れた汗が眼鏡のフレームをつたったが、内海は拭う気にもなれなかった。
彼の推理が正しければ、これはなかなか衝撃的な、いや、ある種当然かもしれない場面に遭遇したことになる。
内海は、とりあえず一旦帰った方が良いかと思って立ち去ろうとした。しかし、今度は中から戸が開けられたのでその歩みを止める。
「えあっ、あっ、あのぉ、えっと六花さん、なんというか邪魔する気はなかったっていうかその…」
「内海くん、なんか勘違いしてるっぽいけどとりあえず静かにして。響くん起きちゃうから」
と、目を細めて内海を見つめる六花に制された内海は「はい…」と蚊の鳴くような声で答えると、彼女の手に湿ったタオルが握られていることに気が付く。「あっ」と思いベッドの裕太の方を見やると、傍の丸椅子には水のたまった桶があり、裕太のおでこにも濡れタオルが乗せられているのが見えた。
どうやら自分はなかなか恥ずかしい早とちりをしたようだと、内海はなおのこと沈んだ面持ちで保健室に入った。
積み上げられたものの一つを拝借して丸椅子に座ると、六花が裕太の容態を説明した。
「先生が言うにはただの貧血じゃないかって」
「あぁ、うん、そうか…」
そう答えたものの、内海は納得したわけではなかった。
内海は既になんとなく別の原因が思いついていたのだが、なかなか言い出せずにいると、六花の方が口を開いた。
「内海くんは…さ」
「…グリッドマンだろ。ハイパーゼットンのデスサイスみたいな怪獣と戦ってた」
「そのハイパーなんとかは知らないけど、やっぱり覚えてるのって、また私たちだけだよね…」
「だろうな。気付いたら倒されたビルも元に戻ってたし、ここに来るまでの間に怪獣のことを話してる奴なんか一人もいなかった」
「じゃあ…」
響くんも、と言いたかったのか、それとも別の「じゃあ」だったのか。
いずれにせよ、六花の頭の中で様々な記憶が巡っていることは、内海にも容易に想像できた。
花が咲くような思い出話ではないので、内海も六花もなんとなく黙ってしまい、静かな時間が流れる。
そうしていると、保健室の外から騒がしい声が聞こえてきた。
放課後ということもあり、多少の喧騒はあって然るべきなのだが、それにしてもやかましい声だった。
程なくして、保健室の戸がまた開かれる。
「ほらやっぱここじゃねーかよー!だから俺ずっと三階に保健室は無いだろっつってたのによー!」
「…すまない」
「ボラ―、静かにしろ。場所が場所だぞ」
「失礼しまーす。あっ、なんだ。もう二人とも揃ってるじゃん」
そう言って入ってきたのは、ツツジ台高校で定められたものとは異なる学生服を着た四人組。
グリッドマン同盟の頼れる仲間、ボラー、キャリバー、マックス、ヴィットの新世紀中学生の面々だった。
「え、えぇぇぇっ!なんでぇ!?」
「うっせぇなー内海ぃ。人が寝てる前で大声出すなよ」
「いやボラーさんに言われたくないっスよ!」
「やっほー。六花ちゃんもお久しぶり」
「ど、どうもですヴィットさん…ていうか皆さん、なんでここに…?」
「我々は、この世界にやってきたグリッドマンによって再び生み出されたのだ」
「さっきの攻撃でグリッドマンは死にかけたが、自身の存在を俺たちに分離することでなんとか一命をとりとめたんだ…」
先ほどまでの張りつめた空気が嘘かのように、保健室はずいぶんと賑やかになっていた。
しかし、穏やかではないキャリバーの発言に、六花と内海の顔が曇る。
「死にかけって…グリッドマンが圧勝したようにしか見えませんでしたけど」
「怪獣との戦いにはな。その後、グリッドマンは謎の光線を食らったことで瀕死となった」
「完全形態のグリッドマンを滅ぼしかねないほどの威力だ。敵は相当大きな力をもっていると考えられる…」
「ま、なんにしてもご本人様が目覚めないことには始まらないってこったな」
と、ボラーがベッドの方を見ながら言うと、寝ていた裕太がむくりと起き上がった。
「うむ。覚醒したようだな、グリッドマン」
「…あーでも、今回は前とちょっと違うみたいだね」
6人に見つめられる裕太の、左手首に巻かれたリストバンドから光が漏れて、声がする。
「あぁ、どうやらそのようだ」
「裕太…?なぁ、お前は裕太なのか!?」
内海が裕太の肩を揺らして問い詰めると、裕太は少し気圧されながら答えた。
「うっ、うん!大丈夫!今回は俺!ちゃんと俺が俺だから!」
「いや、それじゃ意味わかんないし」
六花が微笑み交じりにツッコミを入れると、裕太も「だよね」と言いながら笑った。
内海はほっと息を漏らして、裕太の肩から手を放す。
裕太が裕太であることは、内海と六花にとっては世界の平和と同じくらい大事なことなのであった。
そんな裕太がリストバンドを外すと、彼の手首には近未来的なデザインのモジュールがあった。
アクセプターとよばれるそれを裕太が六花たちの方に向けると、光に合わせて声が鳴った。
「みんな、久しぶりだな」
その力強くも優しい口調は、まさしくグリッドマンのものだった。
アクセプター、もといグリッドマンが「そして」と言うと、裕太の腕の向きが変わりアクセプターの前面が裕太の顔に向く。どうやらグリッドマンの意思である程度動かせるらしい。
「裕太。本来の君と話すのは、本当に久しぶりだな」
「うん。お帰り、グリッドマン」
ツツジ台高校一階保健室の一角。
グリッドマン同盟再結成の瞬間であった。
次回、SSSS.01
「別世界のアークを倒す方法などあるのでしょうか」
「やはり、我々の力が明らかに弱くなっている」
「それもトップに立つ人間の仕事だろ?」
「もしかして、これがアンチくんが戦ってたっていう敵?」
「我々が負けることは1000%ありえない」
「君たちは、一体…?」
「イズ、新条さんを連れて逃げるんだ」
第02回 世界脅かすソノ正・体