SSSS.01 X-OVER DREAM《仮面ライダー×グリッドマン》   作:ヒダリテ

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 ダイナゼノンにハマりすぎて投稿が途絶えていました。
 ウルトラ申し訳ない気持ちでいっぱいでございます…


#2

---side computer world---

 

 怪獣の咆哮が大地を揺るがす。

 ツツジ台駅前の繁華街は、怪獣が一歩歩くだけでいとも簡単にスクラップと化した。

 午後4時を回り、授業を終えた学生たちで賑わい始めたところに、二体の怪獣が出現した。

 一方は赤い身体で地を這うように進み、もう一方は青い身体に携えた大きな角で建造物を突き上げて壊してゆく。

 この二体もまた、アレクシスによって怪獣化させられた、もとはゼツメライズキーだったものである。

 爬虫類の絶滅種クエネオスクースと、哺乳類の絶滅種アルシノイテリウムのアビリティを宿した二怪獣。その前に、一体の巨人が立ちはだかった。

 身体に刻まれた青いラインが輝く、ツツジ台に生まれた新世紀の姿のグリッドマンである。

 グリッドマンと裕太の共有する視界を通して、グリッドマン同盟の面々もジャンクのモニター越しに戦いの行く末を見守る。

 

「二対一か。気を引き締めていくぞ、裕太!」

「うん、頑張ろう!」

 

 グリッドマンがファイティングポーズをとると、クエネオ怪獣は身体から生成したブーメランを放ち、アルシノ怪獣は勢いよく突進してきた。

 グリッドマンがブーメランを弾くとともに、即アルシノ怪獣の突進を受け止める。

 

「ぐっ、おおおぉぉっ!」

 

 グリッドマンはアルシノ怪獣の巨大な二本角を掴み、ハンマー投げの要領で投げ飛ばす。

 間一髪串刺しにされるのを防いだものの、アルシノ怪獣を投げ飛ばした先からクエネオ怪獣の投げたブーメランが返ってくる。

 グリッドマンは仰け反って躱そうとしたが、間に合わず胴に痛烈なダメージを受け、吹き飛ばされてしまう。

 

「グリッドマン!」

 

 画面の前で内海が叫ぶ。

 

「おいおい、ちょっとやべぇんじゃねーの」

「うむ。ヴィット、頼めるか」

 

 マックスに促され、ヴィットが「りょーかい」と気だるそうにジャンクの前に立つ。

 

「アクセスコード・スカイヴィッター」

 

 アクセスコードを唱えるとともに、ヴィットの身体がジャンクに吸い込まれる。

 戦いの現場に戦闘機の姿になったヴィットが現れ、クエネオ怪獣を狙撃する。

 

「グリッドマン、合体だ!」

 

 戦闘機の底面とグリッドマンの背中が連結し、主翼とジェットエンジンがグリッドマンのブーツに変形する。パイロット・ヘルメット型になった機種を被り、グリッドマンとヴィットが一つになった合体ヒーローが誕生する。

 

「「大空合体超人スカイグリッドマン!!」」

 

 高らかに叫んだグリッドマンが、背部スラスターの浮力を利用して空中で身を翻し、クエネオ怪獣のブーメランを回避する。

 そのままクエネオ怪獣のもとへ滑空し、ジェット噴射を交えた強烈な両足蹴りを見舞うと、クエネオ怪獣は大きく吹き飛ばされた。

 

「よし、いけるぞ!」 

 

 と、グリッドマンが必殺技の構えをとった瞬間、ヴィットが変形した装甲が弾け、姿が元に戻ってしまう。

 

「うおっ」

 

 絢ではヴィットがジャンクから吐き出され、売り物のソファにもたれるように倒れた。

 

「ヴィットさん!」

 

 驚いた内海と六花がヴィットのもとに駆け寄るが、新世紀中学生の三人は冷静にグリッドマンの戦いの様子を見守る。

 画面の中では、体勢を整えた二体の怪獣がグリッドマンのもとに迫っていた。

 

「キャリバー」

「ああ。アクセスコード・グリッドマンキャリバー!」

 

 マックスの指示を受けたキャリバーがジャンクに吸い込まれ、巨大な剣となってグリッドマンの目の前に突き刺さる。

 すかさずキャリバーを引き抜いたグリッドマンが、アルシノ怪獣の身体を一閃する。

 突進の勢いもあって全身を両断されたアルシノ怪獣が爆散すると、グリッドマンはそのまま爆風に乗って高く跳躍した。

 クエネオ怪獣がブーメランを放つも、空から降下するグリッドマンがキャリバーでブーメランを弾きながら間合いを詰める。

 

「グリッドォォォォ」

「キャリバァァァ」

「「エェーンド!!」」

 

 二人の掛け声とともに必殺技が繰り出され、クエネオ怪獣も全身を真っ二つにされて爆散する。

 二怪獣の消滅とほぼ同時に、グリッドマンの姿も空間に溶けるように消えた。

 

「うぅわぁっ!」

 

 ジャンクからキャリバーと裕太が吐き出されるように放出される。

 キャリバーは上手く受け身をとったが、裕太は尻もちをついて「いたた…」と言いながら患部を摩っている。

 内海に引き上げられて立ち上がる裕太に、マックスが「ご苦労だったな」と声をかける。

 

「マックスさん、やっぱり」

「ああ…」

 

 裕太の視線を受けたマックスが言う。

 

「やはり、我々の力が明らかに弱くなっているようだ」

 

 グリッドマンが帰還したあの日以降、ツツジ台には度々怪獣が出現していた。

 壊れた街や人々の記憶は怪獣が倒される度に修正されているので、グリッドマン同盟以外には知られていないが、怪獣とグリッドマンの戦いは幾度となく繰り広げられている。

 そして今回のようにアシストウェポンの力が十分に発揮されない事態は、これまでも何度かあったのだった。

 

「最初にグリッドマンが食らったあの光線、弱体化の原因はアレだろうね」

「あれ以降撃ってこねぇもんな。マジの必殺技だったってことだろ」

 

 ぼやくヴィットとボラーに、六花がよそよそしく聞く。

 

「それって、大丈夫…なんですか?」

「大丈夫じゃねぇよな…。頼みの綱のグリッドナイトも、今は動けないんだし」

 

 グリッドナイト。もとはグリッドマンを倒すために新条アカネに生み出された怪獣アンチが変身する戦士である。

 グリッドマンの能力をコピーする力をもっていたアンチは、心を宿したことで覚醒し、限りなくグリッドマンに近い存在としてグリッドナイトに生まれ変わった。

 打倒グリッドマンという目標を叶えるためにグリッドマンに敵対する怪獣やアレクシスと戦い、彼らがツツジ台から消えた後も密かに街の平和を守っていた。

 そんなアンチが満身創痍となって絢に運び込まれたのは、三日前のことだった。

 アンチを担いでやってきた少女、アノシラス二代目曰く、アンチはグリッドマンがツツジ台に戻る以前から別世界からの侵略を察知し、ツツジ台の‘外’でグリッドナイトとして怪獣や機械兵士の軍団と戦い続けていたのだという。

 アンチは現在、新世紀中学生のもとで療養中である。

 

「とにかく、今は我々にできる戦い方で怪獣を倒すほかないだろう」

「力は衰えているが、せ、戦力が全くないというわけではない」

「マックスとキャリバーの言う通りだ。今後も、我々は世界を守る使命を果たさなくてはならない」

 

 グリッドマンの一言に、何人かは渋々ながらも、グリッドマン同盟の皆が頷いた。

 

 

「そういやさ」

 

 絢を後にした裕太が内海と歩いていると、ふと内海が口を開いた。

 

「街を直す怪獣がいないのに、なんで世界がリセットされてるんだろうな」

「えっ?」

「ほら、新条がいた頃は街の外にでっかい怪獣が控えてて、そいつらが街を直してただろ?けど今は…」

 

 内海が遠くを見つめる。

 以前は霧に包まれた怪獣の影がぼんやりと見えていたが、今はただ青空が広がるばかりである。

 

「たしかに、街と記憶を修正する怪獣が死んだ後、私がフィクサービームを放つまでツツジ台が復元することはなかった。これもまた不可解な事態だ」

 

 裕太の腕のアクセプターに宿るグリッドマンが答える。

 そもそもアカネが怪獣に破壊と再生を担わせていたのは、端的に言えば合法的な殺人のためである。

 アカネが気に入らない相手を怪獣に襲わせ、それに伴って壊れた街や人々に植え付けられた怪獣出現の記憶を再生怪獣にリセットさせることで、怪獣によって死亡した人物をもとから死んでいた人物であるという風に書き換えるのがアカネのやり口だった。

 一方で、現在現れている怪獣は何の目的で人々を襲っているのか、そしてなぜ街と記憶を修正するのかはわかっていない。

 

「単純にアレクシス・ケリヴの復讐なら別に街が直される必要はないし、なんでわざわざ」

 

 内海の推理を聞きながら、裕太も額に手を当てて唸る。

 

「裕太、君は私がやってくる直前にアレクシス・ケリヴと接触したのではなかったか?」

「おぉ、そういえばそうじゃん。アイツ、なんか言ってなかったか?」

「いや、死んでもらおうとしか言われてないしなぁ…」

 

 裕太が通学路で出会ったアレクシスの姿を思い出していると、「あっ」と気付く点があった。

 

「アレクシスは、新条さんと違って模型から怪獣を作ってなかった」

 

 一年生の学校祭直前、教室でアカネから宣戦布告を受けたとき、アカネは怪獣の立体模型を取り出していた。

 自作したというそれは精巧なつくりをしていて、学校祭当日に全く同じ姿の怪獣が出現したことから、当時の怪獣はアカネが作った模型から生み出されていたのだとわかる。

 ところが、アレクシスがベローサ怪獣を生み出したときにその手に握ってあったのは、模型ではなく何かしらのデバイスだった。

 

「あれ、なんだったんだろう。スマホでもないし…」

「我々が今戦っている怪獣には、未知のテクノロジーが応用されているということか」

「マジか。特撮にはありがちな展開だけど、そうなるとなおさら厄介だよなぁ」

 

 そんな会話をしている彼らの背後から、一人の女子高生が声をかけた。

 

「あれぇ~?内海くんと裕太くんじゃん、やっほー」

 

 裕太たちが振り向いた先にいたのは、すみれ色のインナーカラーが入った白髪が特徴的な少女であった。

 

「くぁっ、桑田さん!ど、ども!」

「ヒトミでいいよー。二人とも六花ん家の帰り?」

 

 少女の姿を見て、アクセプターのグリッドマンが裕太に囁く。

 

「裕太、彼女は…」

「新条さんに似てるけど、別の人。桑田ヒトミさん。えーっと、新条さんのコピー元、らしいよ?」

 

 ひそひそ話をする裕太とグリッドマンをよそに、ヒトミと内海の会話が続く。

 

「そういえば内海くん、カナと仲良くやってるの?」

「あっ、あぁ。おかげさまで。いやホント、桑田さんにはマジ感謝です」

 

 手を合わせて拝むようにした内海にヒトミがけらけらと笑う。

 二人の様子を見ながら、裕太が小声で続けた。

 

「新条さんが帰った後、六花と内海が偶然桑田さんに会ったらしくて、それで内海の彼女を紹介してくれたのも桑田さんで」

「あぁ、わかるさ。そうか…」

 

 一拍置いて、グリッドマンが感慨深げにつぶやいた。

 

「我々が去った後も、この世界は広がり続けているのだな…」

「そうだね。グリッドマンが、守った世界だよ」

 

 多くの謎がひしめくツツジ台だったが、霧一つない街の光景は、グリッドマンの心を晴れやかにしていた。

 

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