SSSS.01 X-OVER DREAM《仮面ライダー×グリッドマン》   作:ヒダリテ

5 / 5
SSSS.DYNAZENON、最高の最終回でしたね…!

あ、ちなみに前回登場した桑田ヒトミちゃんですが、彼女はSSSS.GRIDMANのボイスドラマ最終回に登場した子ですね。ボイスドラマでは名前が判明しませんでしたから、電光超人グリッドマンに登場したキャラクターから名前を頂戴しました。
誰からとった名前か、気付きましたか?


#3

 

---side real world---

 

「あの、ウチに何か…?」

 

 或人とイズに声をかけたのは、セーラー服の小柄な少女。少し目にかかった前髪の間から、おずおずと或人たちを見上げている。

 或人がライズフォンに映し出された画像データと見比べ、少女に「君が新条朱音さんだね」と投げかける。

 

「新条朱音様。重要参考人として、飛電インテリジェンスまでご同行願います」

 

 そうイズが続けると、朱音は怯えたような表情を浮かべた。

 

「ちょちょちょ、イズ、その言い方だと怖いって!えっとね、最近起こっているヒューマギアの暴走事件のことで、ちょっと聞きたいことがあって」

 

 或人が慌てて恐怖心を和らげようとするが、朱音はうつむいたままポツリと言った。

 

「知らないです…」

「え?」

「私は、何も…!」

 

 逃げるように駆け出した朱音だったが、その行く手を一体のヒューマギアが阻んだ。

 イズとよく似た顔立ちをしたアークの使者、アズ。

 その妖艶な雰囲気とは対照的に、服装は学生服を着崩した女子高生のようであり、ぶかぶかの袖から伸びた手を朱音に差し伸べた。

 

「こいつらから逃げるんだったら、私と共に来なさい。あなたに下手に動かれると厄介なの」

「イ、 イヤ…」

「アズ!!!」

 

 或人が二人の間に割って入り、アズを睨みつける。

 

「そんな怖い顔しないでよ、或人様?」

「アズ、またアークを生み出したのか」

「…はぁーあ、滅といいあなたといい何もわかっていないのね。アーク様は生み出すまでもなく、常に私たちと共にあるものよ。私はアーク様の強大なお力を欲しがる者に、ほんの少し力を貸してあげているだけ」

 

 小首を傾げて嘲るような態度をとるアズを前に、或人は固唾を飲み込む。

かつては、或人自身も大いなる悪意の力を求め、仮面ライダーアークワンとなってしまった。

 しかし、強さの本質は力ではなく心にあることに気付いたことで、或人は悪意を乗り越え真の仮面ライダーへと変身することができた。

 今、或人の心にあるのは怒りでも復讐心でもない。

 目の前の忌敵を倒すためではなく、後ろに立つ二つの命を守るために、仮面ライダーの力を使うという純粋な決意だった。

 アズが鼻を鳴らして一歩後退すると、突如天空より鉄の塊が墜落してきた。

 否、それは先日あるメイドヒューマギアが変貌させられたマギアが、より機械的な造形になったもの。メカグールギラスマギアであった。

 

「ゼロワン、あなたは用済みよ。早く死んで」

「…イズ、新条さんを連れて逃げるんだ」

 

《KAIJU-NOVA!》

 

 刹那、メカグールギラスマギアによって無数のトリロバイトトルーパーが生み出される。

 怪人たちが一斉に或人に襲い掛かろうとしたその時、或人の足元から強烈なエネルギー波が放たれた。

 

《Let’s give you power.》

 

 或人が腰に巻き付けたゼロツードライバーのユニットを展開したことで、二体のライダモデルが顕現し、或人の周囲を跳び回る。

 

《ZERO-TWO-JUMP!』

 

「変身!」

 

 ゼロツープログライズキーがドライバーに装填されることで、或人の身にライダモデルが纏われる。

 

《Road to Glory has to Lead to Growin’ path to change one to two! KAMEN RIDER ZERO-TWO. It’s never over!》

 

 ゼロワンのシステムを超越した、飛電或人の夢の結晶。

 仮面ライダーゼロツー!!

 

「ギシィィィァァァァ」

 

 トリロバイトトルーパーを押し退けて、体中に装備された兵器を稼働させながらメカグールギラスマギアが突進を繰り出す。

 

「うおおおお!!」

 

 ゼロツーの繰り出したミドルキックとマギアの突進がぶつかり合い、巻き起こった波動があたりを包み込んだ。

 

 

 或人の指示に従い、イズは朱音と共に現場からの逃走を図っていた。

 イズの手から朱音の身体がするりと抜け落ち、朱音が力なく崩れ落ちた。

 

「新条様!」

「もう、イヤ…!」

 

 イズが駆け寄るも、朱音は涙ぐんだ眼をこすりながら、立ち上がることが出来ずにいた。

 

「逃げても無駄よ」

 

 と、そんなところにトリロバイトトルーパーを引き連れてアズがやってきた。

 アカネを守るべく、イズが朱音の前に立つ。

 

「あら、あなた一人でそいつを守る気?」

「それが、或人社長のご命令です」

 

 そう言うイズの真っ直ぐな眼差しを受け、アズが嫌そうな顔をする。

 

「そう。なら、そいつが別世界で何人もの人間を殺した殺人鬼だったとしても…あなたは守るの?」

 

 びくっ、と朱音が身体を震わせる。その様子を見て、アズがおかしそうに続ける。

 

「その新条朱音は、かつてコンピューター・ワールドで自分が作った怪獣を暴れさせて、多くの人間を殺してきた。今あなたたちが戦っている新しいマギアも、その子が作った怪獣の力を利用したものよ」

 

 予想外の事態に困惑するイズが朱音の方を振り返るも、以前朱音はうずくまったまま震えている。

 彼女が怪獣を操り、人々を虐殺する…イズは想像を試みるが、縮こまって泣いている彼女のイメージとは結び付かない。

 しかしイズは「まるでテロリストとは思えない」人間たちが世界を恐怖に陥れたことを思い出す。

 先日のシンクネット事件において、量産型仮面ライダーアバドンとなって各地で暴れ回ったのは、本人とはかけ離れた外見のアバターを操る一般のネットユーザーであった。

 荒唐無稽な嘘にしてはずいぶんと作り込まれた内容からも、アズの発言が事実である可能性は低くない。

 

「ねぇ、それでもあなたは、新条朱音を守る気?」

 

 こてんと首をかしげてアズが問う。仕草は可愛らしいが、赤く光る眼はギラリと光っている。

 

「私は…或人社長の…」

「或人社長の命令だから、何?私と違って、あなたは心を教わっているんでしょう?なら…自分で考えれば?」

 

 イズは理解していた。アズが自分を動揺させ、隙をついて朱音の身柄を奪うつもりであることを。

 しかし、体が動かない。

 与えられた情報の整理がつかずに身体機能が低下しているのか、それともわずかに芽生えている心が揺さぶられているのか。

 その様子を悟ったアズが片手をあげると、トリロバイトトルーパーたちが動き出し、イズと朱音のもとに迫りくる。

 動かなくては、しかし、彼女がもし、本当に多くの人を…

 イズの葛藤をよそに、トリロバイトトルーパーたちの魔の手は既に眼前まで届いていた。

 イズが思わず目をつむる。

 …すると、すんでのところでトリロバイトトルーパーたちは機能停止し固まっていた。そのフルメタルの装甲は貫かれ、ダークパープルの針が伸びている。

 グッと引き抜かれた針は、同じ色の腕に収納された。

 音を立てて倒れたトリロバイトトルーパーの亡骸を踏みつけながら、アズがニヤりと笑って言った。

 

「面白い光景ね。よりによってあなたがイズを守るなんて」

 

 イズと朱音の窮地に現れたのは、滅亡迅雷.netの滅が変身する、仮面ライダー滅。

 彼もまた大いなる悪意に囚われた、もう一人のアークだった戦士である。

 

「アズ、もうお前のくだらん遊びに付き合っている余裕はない。ここで倒す」

「お生憎様、私もあなたと遊んであげるつもりはないの」

 

 アズが指をスナップさせると、倒れていたトリロバイトトルーパーたちが起き上がって滅を襲う。

 滅は手にしたアタッシュアローのブレードで次々に斬り捨ててゆくが、その間にアズには逃げられてしまった。

 少しの沈黙。

滅はベルトからキーを引き抜き、変身を解く。

 朱音の方を一瞥すると、そのまま彼女のもとにつき進んでゆく。

 

「滅…いけません!」

 

 朱音の身に危険が及ぶと判断したイズが叫ぶが、滅は朱音に手をあげることなく、彼女のそばに膝をついた。

 怯えながら滅を見つめる朱音に、滅が問う。

 

「お前の罪は、もう許されたのか」

 

 朱音は質問の意図を掴めず少し困惑したが、ゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「許してくれる人はいた。でも、私は…私を許せない」

 

 朱音の手に力がこもる。

 滅もその様子を確かめながら、ゆっくりと答える。

 

「それでいい…俺も数々の罪を犯し、ある者の大切なものを奪った」

 

 滅の脳裏によぎるのは、自分が射った矢に貫かれ、命を落としたヒューマギアの姿。

 今のイズでない一号機のイズ、彼女の死をきっかけに、或人と滅はアークの力に呑まれることとなる。

 或人との戦いの中で、滅は自分の中に生まれつつあった心への恐怖と、自分の犯した罪を自覚した。

 悪意を乗り越えた或人…ゼロワンと対峙し、自らの死をもって贖罪を果たそうとした滅だったが、ゼロワンは滅を破壊しなかった。

 なぜ自分を破壊しなかったのかと問う滅に、或人は「もうその必要はないだろ」とだけ答えた。

 

「俺は、俺の罪を許さないために生きる。生きることで罪を贖うことにした」

 

 滅の力強い視線を受け取り、朱音も熱い眼差しで滅を見つめる。

 

「お前は生きていて、お前は自分の罪を許していない…そのことだけ覚えておけ」

 

 立ち上がった滅が、イズに「いくぞ」と促す。イズも、迷いながらも滅の後に続いて立ち去る。

 その二人の背中に、声がかかった。

 

「あのっ、私も…!」

 

 

《MAGNETIC STORM BLAST!》

 

「うおらぁぁぁっ!」

 

 バルカンの放った高エネルギー弾が多くのトリロバイトトルーパーを巻き込んで爆裂したことで、ナナシマギアを守る壁が破られた。

 今が勝機とみた雷が、すかさず二刀の大太刀にエネルギーをためる。

 他のトリロバイトトルーパーたちが雷を妨害しようとするが、迅の操る炎がそれを許さない。

 

「こいつで終わりだ!」

 

《ZETSUMETSU DYSTOPIA!》

 

 刀身から放たれた斬撃波が一瞬にしてナナシマギアのもとに届き、大きな爆発が起こった。

 ライダーたちはひとまず安堵し、手に持った武器を下ろす。

しかし砂塵の中から現れた影が、突如として飛びかかってきた。

 

「迅っ!あぶねぇ!」

 

 勢いよく迅の前に躍り出た雷の装甲から、火花が飛び散る。

 変身が解けた雷の見上げる先には、先ほどとは違うマギアが立っていた。

 否、それは別個体のマギアではなく、先ほど倒されたナナシマギアの骸から生まれた第二形態である。

 第一形態とは打って変わって身軽になったナナシマギアは、鋭利な刃を両手に携え、アクロバティックに跳び回りながらライダーに襲い掛かる。

 バルカンは射撃で、迅は火炎で攻撃しようとするが、その変則的な動きについていけず反撃を食らってしまう。

 

「くそっ…面倒な相手だな」

 

 のらりくらりと身体を揺らしていたナナシマギアは、とどめの一撃を繰り出すべく狙いを定める。

 ライダーたちも雷の盾となりながらも、武器を構えた。

 しかし、そんなとき思わぬ方向からの攻撃がナナシマギアを捉えた。

 ミサイルが着弾したことで、ナナシマギアは後退せざるを得なくなる。

 

「グガガガガガ」

 

 驚いたライダーたちが後ろを振り向くと、そこには何台ものA.I.M.Sのバンと共に多くのA.I.M.S隊員が集結しており、攻撃の主と思われる隊員が担ぐロケットランチャーは、銃口から煙を昇らせていた。

 バルカンと迅のすぐ背後にも一台のバンが止まり、運転席からよく見知った顔が声をかけてくる。唯阿だ。

 

「不破、迅!乗れ!」

「は、はぁ!?俺たち抜きであいつと戦わせる気かよ!」

 

 唯阿の提案にバルカンが驚く。対マギア戦のプロとはいえ、生身の人間であるA.I.M.S隊員にこの場を任せて仮面ライダーたちが退避するというのは正しい戦略とは思えない。

そんな風に思っていると、バルカンの周りに立った隊員たちが、一斉に漆黒のベルトを腰に巻き付けた。

 

「そのシステムは…!」

「迅、不破諫。あとは我々に任せ、飛電インテリジェンスに向かってください」

 

 そう言ったのは亡である。亡は耳のモジュールを明滅させると、その大きな瞳を青く発行させた。

 

「臨時作戦指揮官、亡より全隊員に通達。これよりレイダーシステムの全面使用を許可します」

 

 

 仮面ライダーの中でもトップクラスの戦力を誇るゼロツーだったが、メカグールギラスマギアとトリロバイトトルーパーの軍勢には少し苦戦を強いられていた。

 驚異の予測能力をもつゼロツーといえど、敵の数が増えれば想定される行動パターンも増え、演算処理の時間もかかる。

 そこにメカグールギラスマギアの繰り出す多種多様な攻撃が加わり、ゼロツーはいわば処理落ちともいえる状態に陥っていた。

 

《MECHA GHOULGHILAS-NOVA!》

 

 メカの身体から放出される幾つものミサイル。ゼロツーは空中で、地上で、あらゆる回避を試みるも弾道の全てを予測することはかなわず、幾つか被弾してしまう。

 

「ぐはっ」

 

 なんとか変身を維持できたものの、蓄積したダメージで思うように動けないゼロツー。

 そこにトリロバイトトルーパーの群れが迫りくるが、突如彼の目の前に黄金の鎧が現れ、手にした武器で群れを薙ぎ払った。

 

「天津…さん」

 

 サウザー課の課長、天津該の変身する、仮面ライダーサウザー。

 サウザンドジャッカーと呼ばれる槍をゼロツーに向け、指示を出す。

 

「飛電或人、君は飛電インテリジェンスに戻るんだ」

「えっ、でも」

「滅が新条朱音の説得に成功した。本社で君を待っているぞ」

 

 

「滅が言うには、別世界にアクセスするには私と不破と迅、そして飛電の社長が必要らしい」

「あなた方が現実世界から離れる間、戦力不足を補うため、一時的にレイドライザーの機能を開放することにしました」

 

 A.I.M.S隊員が装着しているレイドライザーは、ZAIAによって開発されたショットライザー、スラッシュライザーの量産機であり、人間を超人レイダーへと変貌させる力がある。

 その危険性からA.I.M.S管理のもと封印されてきていたが、今、技術顧問の亡の権限によってその力が使われることとなった。

隊員たちはそれぞれのプログライズキーのスイッチを入れ、レイドライザーに装填する。

 

「「「実装」」」

 

《RAID-RISE!》

 

 ホースシュークラブレイダー、バッファローレイダー、ペンギンレイダーなど、さまざまな姿となったA.I.M.S隊員たち。

 その先頭に立った亡も、腰に滅亡迅雷フォースライザーを取り付ける。

 

「雷、あなたも戦えますか?」

「はっ、当然だ。あの野郎にもっぺん雷落としてやるよ」

 

 雷もまたフォースライザーを巻き付け、両者がそれぞれのゼツメライズキーを取り出し、スイッチを押す。

 

《DODO!》

 

《JAPANESE WOLF!》

 

 雷は稲妻模様を描くように、亡は左手から落としたキーを右手でキャッチし、フォースライザーに装填する。

 

「「変身」」

 

 けたたましく鳴る警告音をバックに、ゼツメライズキーから解き放たれた外装が二人の身体を纏う。

 

《FORCE-RISE!》

 

《JAPANESE WOLF!》

 

《Break down.》

 

 片や宇宙飛行士として、片や技術者として、ヒューマギアと人類の共生のために活躍する二人の元・滅亡迅雷.netの戦士。

 亡が変身するのはニホンオオカミと疾風のアビリティを宿した白銀の戦士、仮面ライダー亡!そして雷が変身するのはドードーと暗殺術のアビリティを宿した獰猛なる戦士、仮面ライダー雷!

 

 ナナシマギアもまた多くのトリロバイトトルーパーを出現させ、大軍を作る。

 両軍に緊張感が走る中、先に動いたのは亡だった。

 

《ZETSUMETSU DYSTOPIA!》

 

 急加速した亡が斬撃を繰り出すのと同時、ナナシマギアも俊敏な動きで腕の刃を構える。

 爪と刃がぶつかり合うガキィンッという音と共に、各陣営の戦士たちが走り出した。

 

 

 ゼロツーの目の前でも、多くのA.I.M.S隊員がレイダーへの変身を遂げた。

 ライオンレイダー、ホエールレイダー、パンダレイダーなど、かつては飛電インテリジェンスの敵だった怪人たちが今、心強い味方となって現れた。

 

「サウザーもレイダーも、全て我がZAIAエンタープライズが開発したテクノロジーだ。すなわち、我々が負けることは1000%ありえない」

 

 そう豪語するサウザーは、レイダー部隊と共にトリロバイトトルーパーを次々と倒してゆく。

 

「行け、飛電或人!君の会社を守れるのは君だけだ!」

 

 サウザーの言葉にゼロツーは深くうなずき、駆け出した。

 

「みんな、ありがとう!」

 

 ゼロツーは飛電ライズフォンによって呼び出した愛機・ライズホッパーにまたがり、飛電インテリジェス本社に向けてバイクを走らせた。

 

 

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