浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「どうよ、お前の最期。あっけないよな」
二号が、その瞬間を見ながら嘲笑する。
「……」
「殴る元気もないか。まあ、そうだよな。理由あるとは言え殺されて、知らないうちに自分を殺した奴の味方してたなんて、誰も信じたくねえよな」
肩に手を乗せてくるが、俺はそれを払いのけた。
「はあ、しょうがねえ奴だなあ」
「お前に何が分かるんだよ……。俺はお前達と違う。お前達さえいなければ、俺は人間の教師として生きられた筈なんだ。奪ったお前達が偉そうにするな!」
二号に向かって拳を振るう。
が……当たる事なく避けられる。
「教師ねえ……だがお前、蘇我高校の教師になった事は後悔してるだろ? なら逆に、俺達と関わらずに人間として教師になってたらどうなってんだろうな」
「それは……」
二号の問いかけに、俺はどう返していいか困ってしまう。
「あのよ、何故俺がこんな事聞いたか分かるか?」
「……」
「確かにお前が死んだのは、俺のお袋や一号が、自分達の計画の為にお前を必要としていたからだ」
二号は冷静に告げる。
「でも、逆に言えばお前が蘇我高校の教師にさえならなければ、お前は選ばれずに済んだ。どこかの知らない誰かが、お前の代わりに選ばれたかも知れないのにな」
「……」
「運が悪かったのもあるかも知れねえが、これは蘇我高校に入る事を選んだお前のせいでもあるんだぜ?」
「うるさい……うるさい!」
図星を突かれたような気がして、俺は地面に拳を叩きつける。
「そんなの、俺がどうにか出来るわけないだろ……どうしたら良かったんだ……」
「どうしたら、なんて考えた所で今更どうなるんだよ」
「……」
「お前は死んだ。お前を殺した奴の中に入れられて、今は俺の中にいる。出来るとすれば、俺と二人三脚で生きるか、美咲に期待してお前が助かる方に賭けるかだな」
「くっ……ううっ……」
その現実に対して、俺は泣く事しか出来ない。
「まあ、どちらにしてもお前が元の身体に戻れる事はないけどよ。でも、お前は正直兄貴の事どう思うんだよ」
「……」
「ここは俺の中だ。何を言おうが、俺以外の誰にも聞こえやしねえ」
「……許せないさ。俺を殺したお前や一号を、絶対に許せない」
涙を啜りながら答える。
「そうか。なら、お前を少しだけ自由にしてやるよ」
「え……」
「俺が殺されるのはゴメンだが、一号を俺の能力を使って殺してみろ。どうせあいつはもう用済みだしな」
「……」
「躊躇う理由はないだろ? 俺もあいつもただの人形だ。どうせ殺した所で、人殺しにならない」
「……」
俺は俯く。
出来るわけがない。
した所で俺が生き返るわけでもなければ、むしろ美咲を悲しませるかも知れない。
出来ればこのまま何もしたくない。
けど……。
「そうやっていたい気持ちは分からなくもないが、お前に時間はないぞ。もし美咲がお前を助けられなかったり、お前がこの身体を動かす事を拒んだりしたら、お前は死ぬ。それに……どうせ生き延びた所でこの身体の寿命は短い」
「どういう事だ」
「この身体はあくまで人工物だし、それに成長促進させる為にヤク漬けにされた代物だ。そんなもんが長生き出来るとでも思ってんのか?」
「……」
「どうせ死ぬんだったらよ……せめて自分の仇くらいきちんととった方が良いんじゃねえのか?」
「……」
「今だけはお前の味方でいてやる。お前の辛い気持ち、俺も一緒に背負ってやるからよ」
悪魔の囁きだ。
そんなの考えなくても分かる。
なのに……俺はその誘いに乗る事しか出来なかった。
「すまない……美咲。これがお前に対する裏切りなのは分かってるつもりだ。けど、俺の死が避けられないなら……せめて自分の仇だけでもちゃんととりたい。だからその為に、お前の理想を壊す事を許してくれ」
俺は二号の手をとる。
二号が俺に見えないように、口元に笑みを浮かべた。