浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百二話

 

「お前のせいで、俺が死んだ。俺の仇は、俺がとる……!」

 

 譫言にように、涙を流して呟く裕太へ、美咲は言う。

 

「裕太さん、落ち着いてくださいな!」

「美咲、お前は下がっててくれ」

「しかし!」

「下がれよ! 俺はこいつを殺さなきゃいけないんだ!」

 

 あんなに苦しそうな顔をしているのは、初めて出会った時以来……いや、それ以上だ。

 

「……」

 

 一号は葛藤しながらも、ベルトを取りだす。

 

「そうやって、お前はまた自分を作った奴の為に命を奪うのか……」

「……」

 

 一号は俯きながら、端末を操作する。

 裕太はそれを見て更に激怒する。

 

「……ふざけるな!!」

 

 ムラマサドライバーのボタンを押し、端末を閉じる。

 

『ムラマサ! 御意! 出陣! 仮面ライダームラマサ!』

「ああああああああああッ!!」

 

 悲痛な叫び声を上げながら、ムラマサは一号目掛けて地を蹴った。

 

「……」

 

 一号もサックドライバーを取り付けて変身する。

 

「変身」

『COMPLETE』

 

 一号はサック怪人へと姿を変える。

 

「裕太さん、一号さん……」

「とっとと殺してやる……この人形が!」

 

 ムラマサは消える程の速さで、サック怪人と距離を詰めていく。

 

「せやっ!」

 

 荒々しい一太刀が、ムラマサから放たれる。

 サック怪人は難なく躱し、その刀を弾き飛ばす。

 

「お前とは戦えない。お前を傷付ければ、美咲が悲しむ」

「ならとっとと死ねよ!」

 

 怒りと憎しみに感情を蝕まれたムラマサは、何度も刀を振るう。

 

「お前さえいなければ、お前が俺さえ選ばなければ!」

「……」

 

 美咲もボマードライバーを取り出す。

 

「手を出すな美咲」

 

 サック怪人が何とか捌きながら、美咲を止める。

 

「これは俺が解決すべき問題だ。どうにかして裕太を止める。だからお前は下がっていろ」

「止める? ふざけるな! 俺は止まらない! お前が死ぬまで、俺は止まらない!」

 

 ムラマサの太刀が、ついに少しだけサック怪人の腕を霞めた。

 

「……ッ!」

「やっと隙を見せたな……」

 

 ムラマサが狂ったように笑う。

 

「覚悟しろよ」

「……」

 

 サック怪人は咄嗟に端末を操作する。

 

『WAVE DRIVE』

 

 端末を取り付けて、拳から波動を放つ。

 ムラマサを大きく吹き飛ばし、木へと激突させた。

 

「……」

「くっ……」

「もうやめよう。こんな事をしても、お前は……」

「……黙れ黙れ!」

 

 ムラマサはそう言って立ち上がる。

 そして手から光を放つ。

 それを何とか紙一重で回避してから、サック怪人は目を見開く。

 

「これは……」

「ああ。二号の能力の一つ……脳波破壊だ」

 

 


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