浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

107 / 311
第百六話

 しばらくして、遥が美咲の身体を運んで蘇我高校へ向かった。

 絶望に暮れていた成音達だったが、まだ復活する見込みがあるという。

 まず第一に美咲の肉体自体には損傷がなく、美咲の魂たる脳波も、完全破壊には至っていない。

 絶望的な状況には変わりないが、成音はそう告げた遥に任せた。

 

「ねえ」

「……」

 

 ヴィーダと優香が帰ってから、美咲の部屋で目を閉じて座っている一号に声を掛ける。

 一号が少し目を開けた。

 

「前にあたし、蘇我高校に攻めた時に……会長がアンタから色々聞いたっていう話を聞いたんだけどさ、アンタはいつから会長の味方をしてたのよ」

「……お前達が蘇我高校に向かった当日だ」

「やっぱり、その日だったのね」

「あいつは敵である俺を気に掛けて、わざわざ飯まで食べさせてくれた」

「……」

「戦うべき相手が悩みを抱えている状態では、例え倒しても勝った事にならない。そう言って、俺があの人と一緒にいられるようにすると言ってくれた」

 

 それを聞いて、少しだけ笑う。

 

「いつも無茶苦茶な事ばかり言うあの人らしいわね」

「……俺はあの人と一緒にいる為に、あの人の頼む事なら何でもした。裕太や遥の幼馴染にまで手に掛けてな。だがそんな俺の為に、あいつは戦うと言ってくれた。だから俺も、あいつの努力を無駄にしない為に戦うと決めたんだ」

「……」

「あいつは、俺やお前達が共に歩ける道を探そうともしていた。俺は反対したがな……。事実、遥や裕太は俺を受け入れるどころか、俺への憎しみをぶつけてきた」

 

 一号は瞳を細めながら言う。

 

「人はやはり、憎む理由がある者と分かり合う事は出来ない。あいつは最後までそれが出来ると信じていたが、それは甘い考えだったようだな……」

「確かにそうね……でも、そうでもないと思うわ」

「……」

 

 成音は美咲とのこれまでを振り返りつつ話す。

 

「アンタは会長と関わる事で変われた。だから会長と一緒に戦えたんでしょ?」

「……ああ」

「あたしもそう。会長と戦う事が無かったら、今でも会長とは分かり合えないままだった。だから一概にそうとも言えないわ」

「……」

「一号、お願いがあるの」

 

 真剣な眼差しで告げる。

 

「あたしに、アンタを作った人の事教えて」

「……」

「危険な事くらいあたしにも分かる。けど、裕太に会長を倒させた原因を作ったそいつらを、あたしは絶対止めたいの」

「本当に良いのか」

「ええ」

 

 一号は少し黙り込んでから、口を開く。

 

「俺にそれを実行させた犯人は……」

 

※※※

 

 一号から話を聞いた。

 犯人が戸間菫である事。

 そして、ほぼ成音が想像した通りの理由で遥の殺害を企てている事も。

 

「やっぱり、そうなのね」

「勘が良いな」

「そうでもないわよ」

 

 そう答えてから、フレイムシャワードライバーを取り出す。

 

「やっぱりヴィーダや優香には黙ってた方が良いわよね?」

「片方は殺される対象に選ばれているが、もう片方は助かる余地がある。もし守りたいのであれば、お前も全力で戦うのだな」

「そのつもりよ」

「……」

「アンタはどうするの?」

「俺は戦いに挑む前に、狩野遥が言っていた復活する可能性に賭けてみるべきだと思う」

「……」

 

 黙り込む成音。

 

「恐らく俺とお前だけでは、今の菫達に太刀打ち出来ない。福沢裕太と二号のムラマサ、足利明人、それに……あの黒いボマー」

「そうね……確かにそうするべきかも知れないわ」

 

 一号の意見に賛同したその時。

 

『~♪』

 

 丁度成音の携帯端末が鳴る。

 狩野遥からだ。

 

「ちょっと出るわね……はい」

『成音、方法が一つだけ見つかったぞ』

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。