浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
しばらくして、遥が美咲の身体を運んで蘇我高校へ向かった。
絶望に暮れていた成音達だったが、まだ復活する見込みがあるという。
まず第一に美咲の肉体自体には損傷がなく、美咲の魂たる脳波も、完全破壊には至っていない。
絶望的な状況には変わりないが、成音はそう告げた遥に任せた。
「ねえ」
「……」
ヴィーダと優香が帰ってから、美咲の部屋で目を閉じて座っている一号に声を掛ける。
一号が少し目を開けた。
「前にあたし、蘇我高校に攻めた時に……会長がアンタから色々聞いたっていう話を聞いたんだけどさ、アンタはいつから会長の味方をしてたのよ」
「……お前達が蘇我高校に向かった当日だ」
「やっぱり、その日だったのね」
「あいつは敵である俺を気に掛けて、わざわざ飯まで食べさせてくれた」
「……」
「戦うべき相手が悩みを抱えている状態では、例え倒しても勝った事にならない。そう言って、俺があの人と一緒にいられるようにすると言ってくれた」
それを聞いて、少しだけ笑う。
「いつも無茶苦茶な事ばかり言うあの人らしいわね」
「……俺はあの人と一緒にいる為に、あの人の頼む事なら何でもした。裕太や遥の幼馴染にまで手に掛けてな。だがそんな俺の為に、あいつは戦うと言ってくれた。だから俺も、あいつの努力を無駄にしない為に戦うと決めたんだ」
「……」
「あいつは、俺やお前達が共に歩ける道を探そうともしていた。俺は反対したがな……。事実、遥や裕太は俺を受け入れるどころか、俺への憎しみをぶつけてきた」
一号は瞳を細めながら言う。
「人はやはり、憎む理由がある者と分かり合う事は出来ない。あいつは最後までそれが出来ると信じていたが、それは甘い考えだったようだな……」
「確かにそうね……でも、そうでもないと思うわ」
「……」
成音は美咲とのこれまでを振り返りつつ話す。
「アンタは会長と関わる事で変われた。だから会長と一緒に戦えたんでしょ?」
「……ああ」
「あたしもそう。会長と戦う事が無かったら、今でも会長とは分かり合えないままだった。だから一概にそうとも言えないわ」
「……」
「一号、お願いがあるの」
真剣な眼差しで告げる。
「あたしに、アンタを作った人の事教えて」
「……」
「危険な事くらいあたしにも分かる。けど、裕太に会長を倒させた原因を作ったそいつらを、あたしは絶対止めたいの」
「本当に良いのか」
「ええ」
一号は少し黙り込んでから、口を開く。
「俺にそれを実行させた犯人は……」
※※※
一号から話を聞いた。
犯人が戸間菫である事。
そして、ほぼ成音が想像した通りの理由で遥の殺害を企てている事も。
「やっぱり、そうなのね」
「勘が良いな」
「そうでもないわよ」
そう答えてから、フレイムシャワードライバーを取り出す。
「やっぱりヴィーダや優香には黙ってた方が良いわよね?」
「片方は殺される対象に選ばれているが、もう片方は助かる余地がある。もし守りたいのであれば、お前も全力で戦うのだな」
「そのつもりよ」
「……」
「アンタはどうするの?」
「俺は戦いに挑む前に、狩野遥が言っていた復活する可能性に賭けてみるべきだと思う」
「……」
黙り込む成音。
「恐らく俺とお前だけでは、今の菫達に太刀打ち出来ない。福沢裕太と二号のムラマサ、足利明人、それに……あの黒いボマー」
「そうね……確かにそうするべきかも知れないわ」
一号の意見に賛同したその時。
『~♪』
丁度成音の携帯端末が鳴る。
狩野遥からだ。
「ちょっと出るわね……はい」
『成音、方法が一つだけ見つかったぞ』