浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百七話

 

 そのまま成音は、遥からその方法を聞いた。

 

「そんな事が出来るの?」

『ああ……だがこれも限りなく賭けに近い。これが出来なければ、恐らくもう復活の可能性はないな』

 

 遥の説明はこうだ。

 美咲が戦ってきた人達のドライバーを集め、そこの中に蓄積された残留データの中から美咲の記憶を抽出してカード化し、美咲自身の脳波の情報が込められたボマードライバーで読み取る。

 それを美咲に装着させ、情報で脳波を再構築する事で、美咲の脳波を蘇生させる……というもの。

 

『今から皆を、蘇我高校に集められるか?』

「やってみるわ」

 

※※※

 

 仲間全員を蘇我高校の科学部に集め、同じ説明を優香とヴィーダ達にもする。

 

「マジ系!?」

「ママホント?」

「ああ。賭けにはなるが、まずフレイムシャワードライバーを使ってみようと思う」

 

 遥は成音からフレイムシャワードライバーを受け取り、ブランクカードが刺さったカードリーダーと接続する。

 パソコンを操作し、エンターキーを押すと。

 

「これは……」

「どうなの?」

「成音の中にある美咲の記憶の一部が、カードに蓄積されたようだな」

 

 遥が冷静な声で言う。

 

「だがこれだとやはりデータが足りんな」

「……」

「ヴィーダモ!」

 

 グングニルドライバーを手渡す。

 

「ありがとう、ヴィーダ」

 

 次はグングニルドライバーを接続し、データを転送。

 

「まだダメか」

 

 かなりのデータを注入したが、まだ修復には至らない。

 

「他の回収したドライバーも試したが、まだ足りないな」

 

 遥がパソコンを睨みながら言う。

 

「ウチ、前田っちにドライバー貸してもらえないか聞いてみる系!」

「その手があったわね」

 

※※※

 

 ある程度時間が経過した後。

 成音は優香と共に、前田の家へと向かう。

 

「まだ今日は家にいる筈系」

 

 蘇我高校の生徒達は一応、あれからも普通に日常生活を送れている。

 遥の判断で、科学部のみは無期限の活動中止となったが、それ以外に問題はない。

 ヴィーダと約束した生徒達への謝罪も、ほとぼりが覚めてから全校生徒に対して行い、戦いが終わったら科学者に戻ると遥は決めているらしい。

 

「前田っち、優香系」

 

 優香がインターホンを鳴らして、前田を呼ぶ。

 ホースドライバーはあの後も、前田が預かっていた筈だ。

 

「どしたの~?」

 

 呼ばれてすぐに扉を開け、優香に眠そうな顔で問いかける。

 

「前田っち、ベルトまだ持ってる系?」

「持ってるよ~」

「ベルトちょっと貸して欲しい系」

「どったの急に」

「友達が大変系……それがないと困る系」

「うーん……よく分からないけど、優香ちんがそういうなら貸すよ~」

「ほ、ホント系?」

「うん! 優香ちん友達想いだし、信頼出来るじゃん」

「あざまる水産!」

 

 優香は前田からベルトを受け取る。

 

「受け取れた系」

「最後どういう会話してんのか全然分かんなかった……」

「気にしたら負け系」

 

 


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