浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
前田からホースドライバーを受け取り、それも接続して記憶を注入。
「まだ足りないか……」
残り10パーセント。
しかし今の所、現実的に集められるドライバーは集めきった状態だ。
「あとどれくらい必要なの?」
「恐らく残りの数字は……ただ単に戦闘した記憶があるだけでは不可能なのだろう。美咲と長い時間を共にし、尚且つ理解がある者……しかし」
今の裕太は敵側だ。
それに裕太が許可しても、二号が邪魔するのは目に見えている。
「……俺が説得に行く」
そう告げたのは。
「一号……」
「お前……」
成音が驚きの顔、遥が睨みながら呟く。
「美咲が死んだ原因を作ったのは、俺でもある。だから俺がやる」
「無理よ! アンタじゃ裕太の怒りに油を注ぐだけ……」
「それでも、俺が説得する」
「……」
一号は意思を曲げない。
まるで美咲が話しているかのように、はっきりと意思を伝える。
「美咲は俺の為にも戦おうとしてくれた。なら俺もその思いに答えたい」
「一号……」
「今回の件で、俺は自分がやった事の重さを尚一層理解した。それに……美咲が死んだのはもとはと言えば俺のせいだ。もし生き返る可能性が少しでもあるのなら、俺がその為に尽力する義務があると思う」
遥が少しばかり、その言葉に反応する。
それに気付いた一号が名を呼ぶ。
「狩野遥」
「……」
「俺は恐らく、一生お前に許して貰えない事は分かっている。福沢裕太にもな。だが美咲を必要としているのはどちらも同じだ。今回だけでいい、俺にやらせてくれ」
遥が立ち上がって問いかける。
「昨日は激情に駆られたあまり、お前に聞く事もしなかったな。教えてくれ。お前は自分が殺した者の為に何が出来ると思うんだ」
しかしそう問われると、少しばかり俯いてこう答えた。
「……分からない」
「……」
「美咲も、俺の頭の中にいた裕太も、それは自分で考えるべき事だと言っていた。今の俺に、どう償えば良いのか分からない。だから、今は自分のするべき事をするだけだ」
「そうか」
遥はそう告げてから、もう一つ問いかける。
「その言葉に嘘はないんだな?」
「……ああ。今の命は美咲に拾ってもらったもの。美咲の為にも使うのは当然の事だ」
一号の答えに、遥は言う。
「なら、私に証明してくれ。今のお前の覚悟を。言葉や覚悟に嘘はないと」
「ああ……」
「あたしも手伝うわ一号」
「……成音」
「ここまでアンタや会長が無理してくれたのに、あたしだけ何もしないわけにはいかないでしょ?」
「すまない……」
「礼は良いのよ。会長を生き返らせて、裕太も連れて帰る。絶対に成功させるわよ!」
「……!」
一号が頷く。