浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百八話

 

 前田からホースドライバーを受け取り、それも接続して記憶を注入。

 

「まだ足りないか……」

 

 残り10パーセント。

 しかし今の所、現実的に集められるドライバーは集めきった状態だ。

 

「あとどれくらい必要なの?」

「恐らく残りの数字は……ただ単に戦闘した記憶があるだけでは不可能なのだろう。美咲と長い時間を共にし、尚且つ理解がある者……しかし」

 

 今の裕太は敵側だ。

 それに裕太が許可しても、二号が邪魔するのは目に見えている。

 

「……俺が説得に行く」

 

 そう告げたのは。

 

「一号……」

「お前……」

 

 成音が驚きの顔、遥が睨みながら呟く。

 

「美咲が死んだ原因を作ったのは、俺でもある。だから俺がやる」

「無理よ! アンタじゃ裕太の怒りに油を注ぐだけ……」

「それでも、俺が説得する」

「……」

 

 一号は意思を曲げない。

 まるで美咲が話しているかのように、はっきりと意思を伝える。

 

「美咲は俺の為にも戦おうとしてくれた。なら俺もその思いに答えたい」

「一号……」

「今回の件で、俺は自分がやった事の重さを尚一層理解した。それに……美咲が死んだのはもとはと言えば俺のせいだ。もし生き返る可能性が少しでもあるのなら、俺がその為に尽力する義務があると思う」

 

 遥が少しばかり、その言葉に反応する。

 それに気付いた一号が名を呼ぶ。

 

「狩野遥」

「……」

「俺は恐らく、一生お前に許して貰えない事は分かっている。福沢裕太にもな。だが美咲を必要としているのはどちらも同じだ。今回だけでいい、俺にやらせてくれ」

 

 遥が立ち上がって問いかける。

 

「昨日は激情に駆られたあまり、お前に聞く事もしなかったな。教えてくれ。お前は自分が殺した者の為に何が出来ると思うんだ」

 

 しかしそう問われると、少しばかり俯いてこう答えた。

 

「……分からない」

「……」

「美咲も、俺の頭の中にいた裕太も、それは自分で考えるべき事だと言っていた。今の俺に、どう償えば良いのか分からない。だから、今は自分のするべき事をするだけだ」

「そうか」

 

 遥はそう告げてから、もう一つ問いかける。

 

「その言葉に嘘はないんだな?」

「……ああ。今の命は美咲に拾ってもらったもの。美咲の為にも使うのは当然の事だ」

 

 一号の答えに、遥は言う。

 

「なら、私に証明してくれ。今のお前の覚悟を。言葉や覚悟に嘘はないと」

「ああ……」

「あたしも手伝うわ一号」

「……成音」

「ここまでアンタや会長が無理してくれたのに、あたしだけ何もしないわけにはいかないでしょ?」

「すまない……」

「礼は良いのよ。会長を生き返らせて、裕太も連れて帰る。絶対に成功させるわよ!」

「……!」

 

 一号が頷く。

 

 

 

 

 

 


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