浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
次の日。
玩具屋での就業前に暇を貰い、俺は両親の墓参りに来ていた。
折角教師としての道を選んだのにも関わらず、それをすぐにやめなければならなかった事を詫びる為だ。
「……」
俺は墓の前で手を合わせる。
両親が死んだのは、数年前。
大学生になる前、俺は友達と高校の卒業旅行に行っていた。
両親も夫婦水入らずで旅行へ行くと告げていた。
丁度俺と両親の戻る予定の日は同じで、両親は先に帰って料理を用意すると約束していた……。
だが家に、両親の姿はなく。
その数日後、両親が旅行先で事故に遭って亡くなった事が判明した。
「……ごめんよ」
これで詫びるのは二回目だ。
俺が卒業旅行ではなく、両親の傍にいる事を選べば……こんな事にはならなかった。
それに頑張って教師になるという夢も、一年も経たないうちに辞めてしまった。
これでは浮かばれない……。
「ここにいましたのね」
美咲の声。
聞こえた方に顔を向けると、私服姿の彼女がいた。
春用の薄紫のコートに白いシャツ、そしてロングスカート。
そこそこお洒落な姿の彼女が、そこにいた。
「ここまで来るんなら、せめて制服着て花くらい持ってきて欲しかったな」
「別にお墓参りが目的じゃありませんわよ」
そう言いつつも、美咲もお墓の前で手を合わせる。
「誰が眠ってますの?」
「俺の両親」
「そうですの……」
「教師になったけど、すぐ辞めちゃった事を謝りたくてさ」
「ふーん……」
凄い不満そうな顔だ。
「だ、ダメなの?」
「何故謝る必要がありますの?」
「だって……頑張ってなれたのにすぐ辞めちゃったから、申し訳なくて……」
「確かに貴方は夢を掴んで手放す道を選んだかも知れませんが、もう一度掴む事だって出来ますわ」
「美咲……」
「この戦いが終わってから、別の高校の教師になっても良いですし、何なら夢を変えて一生私のお供……でも良いんですわよ」
それだけは断固拒否したいなあ。
「ま、まあ色々考えておくよ」
「それが良いですわ」
なんだ、美咲も結構良いこと言うじゃないか。
「言っておきますが、私のお供は楽じゃありませんわよ」
だからやる気ないって!
「あはは……」
「さあ、ご飯でも食べに行きますわよ。勿論貴方の奢りで」
「おいおい、俺まだ給料貰えて無いんだぞ……」
呆れながらも、仕方ないと思いつつ立ち上がる。
その時。
「……?」
少し、頭が痛む。
寝不足だろうか……いや。
「あれ……?」
急に記憶が呼び起せなくなる。
――俺は誰の墓参りに来ていたんだ?
何故、見知らぬ人の墓に花を……?
「うっ……」
「大丈夫ですの?」
美咲に声を掛けられて我に帰る。
混乱した記憶が安定する。
そうだ……俺は両親の墓参りに来ていた筈だ。
「なんでもないよ」
……なんだったんだ。今の。