浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百十一話

「副会長!」

 

 火炎放射器怪人が地を蹴って、剣の怪人・改へと飛びつく。

 苦しむ剣の怪人・改の姿を見ながら、説得を試みる。

 

「副会長、もうやめて! このままだと……」

「山内ちゃんが言ったんでしょ? それくらいの覚悟がなきゃ、美咲には勝てないって」

「……ッ!」

「私は絶対美咲より上に立つっす。この命を投げても、絶対に!」

 

 剣の怪人・改が、勢いよく火炎放射器怪人を吹き飛ばす。

 

「うわあッ!」

「成音!」

 

 俺はムラマサドライバーを取り出して、腰に装着する。

 

「変身!」

『御意! 出陣! 仮面ライダームラマサ!』

 

 仮面ライダームラマサへと姿を変えてから、俺は剣の怪人・改の前に立ち塞がった。

 

「……!」

「何するんすか?」

 

 俺は剣の怪人・改を睨みつけて告げる。

 

「成音に手を出すな……! これ以上美咲の仲間には手を出させない!」

 

 剣の怪人・改の剣を弾く。

 

「分かったっすよ。なら……」

 

 剣の怪人・改は姿を消して、サック怪人へと近づく。

 

「……!」

 

 目にも止まらぬ速さで、サック怪人を集中狙いしてダメージを与えていく。

 サック怪人はバレーボールのように宙へと浮かされる。

 

「あっ……」

「くっ……ぐあっ!」

「一号!」

 

 火炎放射器怪人がサック怪人の所へと駆けようとするが、俺はその手を掴んで止める。

 

「何するのよ!」

「もうこれ以上戦うな! お前を死なせるわけにはいかないんだ!」

「……!」

 

 俺の必死な言葉に、火炎放射器怪人は目を見開いてから反論した。

 

「いい加減にしてよ! 一号は自分の犯した罪の重さを理解して、生きてそれを償おうとしているのよ!」

「……!」

「アンタや遥の恨む気持ちを、全部受け止めて……必死に。それに、副会長をあれ以上戦わせるわけにはいかないでしょ!」

 

 俺は俯く。

 

「会長はまだ死んでない。あたし達がここに来たのは、生き返らせるのにアンタの力が必要だから来たのよ」

「生き返る……?」

「なんだって?」

 

 話を聞いた剣の怪人・改が、サック怪人への攻撃を止めて振り向く。

 

「それなら話は早いっす。福沢裕太、その方法で六角美咲を生き返らせるっすよ」

 

 剣の怪人・改が俺にそう要求した。

 けど俺は、それに返事をせず。

 

「……」

「何黙り込んでるんすか? 早くするっすよ。アンタも美咲を殺した事を後悔してた筈っすよ?」

「生き返ったとして、そしたらお前は美咲をどうする気だ」

「殺すっすよ。この力を使って」

「……なら」

 

 俺は姿を消しながら、剣の怪人・改へと近づき。

 その胴体に向かって切り払う。

 

「今はその要求は吞めない」

 

 

 

 


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