浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
少しずつ体型が良くなり、自信がついてきて……美咲は少しずつ学校に通うようになってきた。
そんなある日の事。
「おうおう、少し脂が落ちてまずそうになったんじゃねえの?」
「でも豚は豚よね~ハハハ」
チャラい男子生徒が女を連れながら、美咲を馬鹿にする。
「……」
「おい無視してんじゃねえよコラ」
男子生徒の一人がつかみかかった。
美咲が睨みつけると、男子生徒は虚勢を張りながら問いかける。
「な……なんだよやる気か」
「相手になりてえならなってやる。けど、それならはっきり言えや」
「んだと偉そうに……!」
拳が振るわれる。
美咲は持ち前の反射神経を使って、その拳を受け止めた。
「……どうすんだ? やるのか……やらないのか?」
「良いぜこの野郎。勝負してやるよ」
※※※
美咲はその生徒と共に、路地裏へ。
持ち前の喧嘩の強さもあり、その生徒のみは難なく素手で倒す。
「……もっと歯ごたえが欲しいな」
「歯ごたえ……か。だったらこの人と勝負してみろよ」
そう言って、どこからか現れた別の生徒が美咲の前に現れる。
自分以上の巨体で、かなり鍛えていると思しき男子生徒。
「先輩、この生意気な豚をお願いします」
「おう任せろよ」
「……」
美咲は拳を構えなおす。
「はあッ!」
そのまま地を蹴って駆け出すが……。
「あああッ!」
その巨体から放たれる拳を受け止める事は出来ず、無様に地面を転がった。
「くっ……」
美咲は立ち上がれずに悶絶する。
大男はもう一度拳を握って、美咲にゆっくりと近付いていく。
「なんだそれで終わりか? なら遠慮なく……」
拳が振り下ろされる……その時。
「悪いが、こいつは俺のお供だ。傷つけられちゃ困るな」
ソウジがその拳を受け止め、蹴りを放つ。
「くっ……」
「こいつ……」
「痛い思いをしたくなければ去れ」
ソウジは美咲が倒した生徒を睨みつける。
「ひいっ……行きましょう先輩!」
「この野郎……!」
取り巻きも同じく逃げていくのを確認してから、美咲に目を向けた。
「……」
「大丈夫か?」
そして手を差し出す。
だが美咲はそれを取ることなく拒否。
「お前……なんで私を助けたりなんかしたんだよ。あんな奴、私なら何とか出来た」
「……」
何も答えないソウジに、美咲は不貞腐れながら答えた。
「ああそうかい。私には無理だっつーのか? 少しは認めてくれたと思ったのに、内心じゃまだ私の事馬鹿にしてんのかよ」
ソウジの答えを待たずに、美咲はその場から走り出す。
この時の美咲には、素直にありがとうと答える事が出来なかった。