浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百十八話

 

 少しずつ体型が良くなり、自信がついてきて……美咲は少しずつ学校に通うようになってきた。

 そんなある日の事。

 

「おうおう、少し脂が落ちてまずそうになったんじゃねえの?」

「でも豚は豚よね~ハハハ」

 

 チャラい男子生徒が女を連れながら、美咲を馬鹿にする。

 

「……」

「おい無視してんじゃねえよコラ」

 

 男子生徒の一人がつかみかかった。

 美咲が睨みつけると、男子生徒は虚勢を張りながら問いかける。

 

「な……なんだよやる気か」

「相手になりてえならなってやる。けど、それならはっきり言えや」

「んだと偉そうに……!」

 

 拳が振るわれる。

 美咲は持ち前の反射神経を使って、その拳を受け止めた。

 

「……どうすんだ? やるのか……やらないのか?」

「良いぜこの野郎。勝負してやるよ」

 

※※※

  

 美咲はその生徒と共に、路地裏へ。

 持ち前の喧嘩の強さもあり、その生徒のみは難なく素手で倒す。

 

「……もっと歯ごたえが欲しいな」

「歯ごたえ……か。だったらこの人と勝負してみろよ」

 

 そう言って、どこからか現れた別の生徒が美咲の前に現れる。

 自分以上の巨体で、かなり鍛えていると思しき男子生徒。

 

「先輩、この生意気な豚をお願いします」

「おう任せろよ」

「……」

 

 美咲は拳を構えなおす。

 

「はあッ!」

 

 そのまま地を蹴って駆け出すが……。

 

「あああッ!」

 

 その巨体から放たれる拳を受け止める事は出来ず、無様に地面を転がった。

 

「くっ……」

 

 美咲は立ち上がれずに悶絶する。

 大男はもう一度拳を握って、美咲にゆっくりと近付いていく。

 

「なんだそれで終わりか? なら遠慮なく……」

 

 拳が振り下ろされる……その時。

 

「悪いが、こいつは俺のお供だ。傷つけられちゃ困るな」

 

 ソウジがその拳を受け止め、蹴りを放つ。

 

「くっ……」

「こいつ……」

「痛い思いをしたくなければ去れ」

 

 ソウジは美咲が倒した生徒を睨みつける。

 

「ひいっ……行きましょう先輩!」

「この野郎……!」

 

 取り巻きも同じく逃げていくのを確認してから、美咲に目を向けた。

 

「……」

「大丈夫か?」

 

 そして手を差し出す。

 だが美咲はそれを取ることなく拒否。

 

「お前……なんで私を助けたりなんかしたんだよ。あんな奴、私なら何とか出来た」

「……」

 

 何も答えないソウジに、美咲は不貞腐れながら答えた。

 

「ああそうかい。私には無理だっつーのか? 少しは認めてくれたと思ったのに、内心じゃまだ私の事馬鹿にしてんのかよ」

 

 ソウジの答えを待たずに、美咲はその場から走り出す。

 この時の美咲には、素直にありがとうと答える事が出来なかった。

 

 


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