浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
美咲は言う。
「この工場を守るのは、お前一人じゃなきゃダメなのか?」
「……何の話だ?」
ソウジは何とか誤魔化そうとする。
「この工場をデカくしたい、それがお前の夢なんだろ?」
「ああ」
「なら、なんでその夢に私を頼ってくれねえんだよ」
「……お前の力を借りなくても、それくらい」
「ソウジ!」
美咲はソウジの後ろから抱きつく。
「私はお前がいたから、こうして目標に近付けた。自信を持って、お前を好きになれた。けどよ、お前の事を助けてくれる仲間はいるのかよ」
「……」
「だったら私がその仲間になりたい。私の為に一生懸命でいてくれたお前に、今度はお前の為に私が一生懸命やる番なんだよ」
自分の想いを、きちんと伝える。
「だから、これからもずっとそばにいてくれよ。私の彼氏としても、さ」
「……お前……また変わったな」
「え?」
「自分の事で泣いてばかりのお前が、今度は俺の心を支えようとしてくれてるんだからさ。本当に、変わったな」
「ま、まあ。私はいつかお前すら超えるつもりだからな」
「今回ばかりは、俺の負けだ」
ソウジが笑って、そう告げる。
「ほえ? いや、なんか実感ねえけど。告白に勝ち負けもクソもあるのか?」
「さあな」
「あ、今適当な事言ったろ!」
「良いぞ。ついてくるならついてこい。だが、これは本当に非現実的な夢だぞ。誰にとっても」
「無理って言うのは、死ぬ前だけ……それがお前の生き方だろ?」
「ああ……その通りだ」
※※※
こうして、美咲とソウジは付き合う事になった。
学校と工場が両方休みの日は、恋人のように出かけた事もあるし、美咲の家に連れて来た事もある。
両親がいない、ある日の夜。
慣れない……というよりあまりした事のないキスをしてから、美咲はソウジに泊まるように言い。
数時間後……既に疲れて眠ったソウジを見て、ふと呟いた。
「こんな日々が、ずっと続けばいいな」
今の生活は、かつて美咲が抱いていた夢そのものだった。
普通の女の子のように、誰かと恋をしたい。
それに、ソウジとの関係はそれだけじゃない。
恋人であると同時に、その夢を支える立場。
いつかきっと大物になるであろう人を、こうして支えられる。
そしていつかは、二人で頂点に立つ。
勿論、自分がソウジより上に立つのは諦めていないが。
「……」
美咲はもう一度、あの時のように背中からソウジに抱き着く。
季節的に少し寒さを覚えていたが、ソウジの肌に触れればそんな事も忘れてしまう。
瞳を閉じて、もう一度祈る。
ずっと一緒に、いられますように……と。