浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百二十一話

 美咲は言う。

 

「この工場を守るのは、お前一人じゃなきゃダメなのか?」

「……何の話だ?」

 

 ソウジは何とか誤魔化そうとする。

 

「この工場をデカくしたい、それがお前の夢なんだろ?」

「ああ」

「なら、なんでその夢に私を頼ってくれねえんだよ」

「……お前の力を借りなくても、それくらい」

「ソウジ!」

 

 美咲はソウジの後ろから抱きつく。

 

「私はお前がいたから、こうして目標に近付けた。自信を持って、お前を好きになれた。けどよ、お前の事を助けてくれる仲間はいるのかよ」

「……」

「だったら私がその仲間になりたい。私の為に一生懸命でいてくれたお前に、今度はお前の為に私が一生懸命やる番なんだよ」

 

 自分の想いを、きちんと伝える。

 

「だから、これからもずっとそばにいてくれよ。私の彼氏としても、さ」

「……お前……また変わったな」

「え?」

「自分の事で泣いてばかりのお前が、今度は俺の心を支えようとしてくれてるんだからさ。本当に、変わったな」

「ま、まあ。私はいつかお前すら超えるつもりだからな」

「今回ばかりは、俺の負けだ」

 

 ソウジが笑って、そう告げる。

 

「ほえ? いや、なんか実感ねえけど。告白に勝ち負けもクソもあるのか?」

「さあな」

「あ、今適当な事言ったろ!」

「良いぞ。ついてくるならついてこい。だが、これは本当に非現実的な夢だぞ。誰にとっても」

「無理って言うのは、死ぬ前だけ……それがお前の生き方だろ?」

「ああ……その通りだ」

 

 ※※※

 

 こうして、美咲とソウジは付き合う事になった。

 学校と工場が両方休みの日は、恋人のように出かけた事もあるし、美咲の家に連れて来た事もある。

 両親がいない、ある日の夜。

 慣れない……というよりあまりした事のないキスをしてから、美咲はソウジに泊まるように言い。

 数時間後……既に疲れて眠ったソウジを見て、ふと呟いた。

 

「こんな日々が、ずっと続けばいいな」

 

 今の生活は、かつて美咲が抱いていた夢そのものだった。

 普通の女の子のように、誰かと恋をしたい。

 それに、ソウジとの関係はそれだけじゃない。

 恋人であると同時に、その夢を支える立場。

 いつかきっと大物になるであろう人を、こうして支えられる。

 そしていつかは、二人で頂点に立つ。

 勿論、自分がソウジより上に立つのは諦めていないが。

 

「……」

 

 美咲はもう一度、あの時のように背中からソウジに抱き着く。

 季節的に少し寒さを覚えていたが、ソウジの肌に触れればそんな事も忘れてしまう。

 瞳を閉じて、もう一度祈る。

 ずっと一緒に、いられますように……と。

 

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