浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百二十八話

 足利明人の姿に戻った二号。

 何とか意識を保ち、ボマーの姿を捉えて笑う。

 

「へっ……こいつはすげえや。今の俺じゃ、分が悪いってもんだ……」

「さあ、明人さんの身体から出ていきなさいな」

 

 ゆっくり近づいたボマーが、金のバットを向けて要求。

 

「無茶言うなよ。それはあの身体じゃなきゃ出来ねえし、まだそういうわけにはいかねえんでな」

 

 二号はポケットから、煙幕弾を取り出す。

 ボマーの前でばら撒き、煙に紛れて姿を消し、どこかへと消えた。

 

「六角美咲、お前も絶対いつか俺がこの手で倒す。それまでどこの誰にも殺されるなよ」

 

 最後に聞こえた声だ。

 丁度オールウェポンの効果が切れ、通常フォームを経ずに、六角美咲の姿へと戻る。

 

「……」

 

※※※

 

 

 菫が肉体の最終調整に入りだした頃、二号は明人の身体をボロボロにしながら入室した。

 

「その様子や蒲生がいない所を見るに、美咲の仲間達に邪魔されたようだね」

「……お袋は何でもお見通しか」

 

 床に座り込んで、歪んだ笑みを浮かべる。

 

「まさか、破壊した脳波を復活させるなんてな」

 

 それを聞いた瞬間、菫が眼を見開く。

 

「それは遥がやったのか?」

「ああ。六角美咲が生き返った上に、更に強くなりやがった。そのドライバーでも、もうキツいんじゃねえか?」

 

 菫専用のドライバーを指さす。

 

「もう……切札を使う時が来たというわけか」

 

 菫は培養器の中にいる肉体を一瞥してから告げた。

 

「予定より早いが、君にこの肉体をあげよう」

「おいおい、そいつは一号を殺してからの約束だった筈だろ? 良いのかよ」

「……こう言っちゃ難だけど、奇跡とは言え相手は一度破壊した脳波を復元する事が出来る。それに相手の戦力が今以上に上がってしまうのは非常に厄介だ」

「気持ちは分かるけどよ、焦ってもアンタの思い通りになるか分かんねえぞ」

 

 菫は内心動揺している。

 六角美咲さえ消えれば、もう少し楽に遥達を追いつめられると確信していたが、まさか破壊した脳波を蘇らせてしまうとは想像もしていなかった。

 だが。

 

「心配はいらない。繋ぎの策もきちんと用意してある」

菫が机の上に置いてあるものに掛かった布を持ち上げる。

 そこには蒲生や二号が使った、突然変異体の因子が大量に入った薬品数本と、量産化されたアークソードドライバーがある。

 

「もうそんなに作ったのか」

「ああ……量産化を急ぎ過ぎて多少オリジナルよりも劣る性能だが、戦力を削ぐには十分だろう」

「ただ、それを誰に使わせるんだよ。もう並大抵の奴じゃ、六角美咲には勝てないぜ」

「六角美咲を倒すのは君だ。まずはそれを支援する者達を倒す。例えば山内成音。一人でいる所でドライバーごと破壊すれば、遥の作った人形は強化能力を失う」

「大体それだって、倒せればの話だろ? 倒せなきゃどうするんだ?」

「別にそれならそれでも構わん。この肉体を強化する時間稼ぎの役割も担っているのだからな」

 

 菫は続けながら、他に隠していたものを見せる。

 そこには拘束されている〇×女子高の生徒達の姿が。

 

「ドライバーは彼女らに使ってもらう。六角美咲を見放した、生徒会のメンバー達だ」

「おいおい、こいつら全員誘拐したのか?」

「万が一の時の為に、蒲生を使って誘拐させておいたのさ」

「よく学校にバレてないよな」

「木を隠すなら森の中……と言うだろう?」

「はあ、なるほどな」

「洗脳は済んでいる。あとはこの薬を投与するだけだ」

 

 菫は悪魔のような笑みを浮かべて、薬を一瞥した。

 

 

 

 


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