浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第十二話

 仕事終了後に美咲の家へ。

 果たし状を見つつ、対策を考えていた。

 

「にしても……今度は〇×女子高の生徒を味方に、なんてね……」

 

 果たし状にはこう書かれていた。

 

『〇×女子高生徒会の六角美咲へ 〇×女子高のある生徒に新しいベルトを渡した。三日後にどんな手を使ってもお前を倒すよう指示してある。負けた時は今度こそ〇×女子高を支配下に置かせてもらう』

 

「うちの生徒の誰か……という事は……」

 

 急に、あまり動じない筈の美咲が青い顔に変わる。

 

「どうした美咲、恐ろしいもの見た的な顔してるぞ」

「だだだだ大丈夫ですの! わわわわ私に怖いものののなどありませせせせんの!」

 

 何にビビってんだ……?

 

「どう見てもビビッてるだろ……一体何にビビってんだ?」

「まあ貴方になら良いですわね……うちの生徒で最も恐ろしい人の話」

「それって……蘇我高生よりヤバいのか?」

「ええ。多分彼らが束になっても勝てませんわね……」

「どんな人?」

 

 美咲は眼鏡のブリッジを上げて、その生徒の話を始めた。

 

「その生徒にカツアゲされた人数は万を超え、超人的戦闘力と摩訶不思議な肉体を持つ女子生徒……浅井淀子(あざいよどこ)ですわ……」

 

 そいつ見た時にスカウターが破損しないかどうか心配な話だな。

 

「淀子……あーなんか聞いた事ある名前だな。どんな関係?」

「同級生……と言ってもただの同級生ではありませんわ……。浅井淀子……いや、そもそも浅井三姉妹は私のライバルですの!」

「ライバル?」

 

 しかも三人いるのか。

 

「ええ。私がいつか絶対超えなければならない相手ですの。今は彼女達に勝つ事は出来ませんが、最後は勝ちますわ!」

「はあ……」

 

 だが美咲がすぐに落ち込み顔に変わり、

 

「でももしベルトを渡されたうちの生徒が、淀子さんなら、今の私には勝てませんわ……」

「そ、それじゃあどうするんだよ」

「こればかりはそうでない事を祈るくらいしかありませんわ」

 

 ぶっちゃけ何とか説得して、そいつに蘇我高校襲わせれば全て解決しそう。

 蘇我高校と協力関係で無かったというのが条件だけど。

 

「とにかく決まったわけじゃないし、もしかしたらその淀子さんに協力してもらえば、蘇我高生の野望を打ち砕けるかも知れないじゃん」

 

 今の考えを告げるが、美咲に睨みつけられる。

 

「協力してもらうのだけは絶対勘弁ですわ」

「なんでよ」

「浅井家の手だけは絶対借りませんの」

「いやそんな事言ってる場合か?」

「言ってる場合ですわ! 浅井家に私の負けというようなものですわ!」

「な、なるほど?」

 

 俺としてはビビってる時点で負けな気がするけど。

 

「とにかく! いつかは浅井家に勝ちますの! とにかく渡されていないかは気になりますし、明日確かめにはいきますわよ」

「おう」

 

※※※(美咲視点)

 

 という事で美咲は、淀子がいるクラスに向かったが……。

 

「いませんわね……」

 

 淀子の姿がない。

 風邪も引かなそうな彼女が来ない理由が見当たらない……。

 

「何やってんだあいつ……」

 

 後ろから聞こえた声。

 それも聞き覚えがある……いやそれどころの話ではない。

 美咲が最もライバル視している浅井家の人間の声だ。

 

「はぁつぅさぁん!?」

「な、なんだよ」

 

 黒髪ロングに、黄色の三白眼を持つ貧乳。

 浅井家の三つ子の次女……浅井初(あざいはつ)だ。

 学年一位の成績を持つ生徒……そして二位である美咲のライバル。

 淀子やあともう一人相手なら、勝てる分野があるというのに、こいつにだけは一つも勝てないのだ。

 

「今から勝負しますわよ」

「いやしねえよ。てかお前こそ姉さんのクラスなんか覗いて、何してんだよ」

「ライバルの貴女に説明する必要はありませんの。今日こそ私が倒しますわ!」

 

 美咲はハンドメイド爆弾を取り出す。

 そして初へと投げつける。

 

「危ねえ!」

 

 しかし初は爆弾を避け、壁に跳ね返ったそれが美咲へと激突。

 

「ぎゃあああああああああああッ!!」

 

 廊下で死んだ。

 

※※※

 

「はあ……もう、何で勝てませんの……?」

「それは良いから、何で覗いてたか説明だけしてくれ。そして二度とその面見せるな」

 

 ――嫌ですわよ。

 

「淀子さんを探していましたの。少し緊急事態で」

「姉さんならしばらく家帰らねえって言って旅に出たぞ。ジャ〇ーズのアイドルにエンカするまで諦めねえとか、何なら私が芸能人になれるまで頑張るとか……ホントあいつ馬鹿だな」

「良かったですの……」

 

 淀子を相手にする必要がない事が明らかになった。

 取り敢えず助かったみたいだ。

 

「あと美咲」

「何ですの?」

「お前の緊急事態とやらに私を巻き込むのだけはやめろよ? もし巻き込んだら許さねえからな」

「言われなくても貴女の手なんて借りませんわ。プライドが許しませんの! いつかは絶対貴女達をぶちのめしますわ!」

「いい加減私をライバル視するのやめて欲しいぜ……」

 

 




久しぶりに初さん書きました(笑)
あ、因みに話題こそ出ますが、淀子は作中で登場しません(あの人が出ると物語崩壊するので)

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