浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
仕事終了後に美咲の家へ。
果たし状を見つつ、対策を考えていた。
「にしても……今度は〇×女子高の生徒を味方に、なんてね……」
果たし状にはこう書かれていた。
『〇×女子高生徒会の六角美咲へ 〇×女子高のある生徒に新しいベルトを渡した。三日後にどんな手を使ってもお前を倒すよう指示してある。負けた時は今度こそ〇×女子高を支配下に置かせてもらう』
「うちの生徒の誰か……という事は……」
急に、あまり動じない筈の美咲が青い顔に変わる。
「どうした美咲、恐ろしいもの見た的な顔してるぞ」
「だだだだ大丈夫ですの! わわわわ私に怖いものののなどありませせせせんの!」
何にビビってんだ……?
「どう見てもビビッてるだろ……一体何にビビってんだ?」
「まあ貴方になら良いですわね……うちの生徒で最も恐ろしい人の話」
「それって……蘇我高生よりヤバいのか?」
「ええ。多分彼らが束になっても勝てませんわね……」
「どんな人?」
美咲は眼鏡のブリッジを上げて、その生徒の話を始めた。
「その生徒にカツアゲされた人数は万を超え、超人的戦闘力と摩訶不思議な肉体を持つ女子生徒……浅井淀子(あざいよどこ)ですわ……」
そいつ見た時にスカウターが破損しないかどうか心配な話だな。
「淀子……あーなんか聞いた事ある名前だな。どんな関係?」
「同級生……と言ってもただの同級生ではありませんわ……。浅井淀子……いや、そもそも浅井三姉妹は私のライバルですの!」
「ライバル?」
しかも三人いるのか。
「ええ。私がいつか絶対超えなければならない相手ですの。今は彼女達に勝つ事は出来ませんが、最後は勝ちますわ!」
「はあ……」
だが美咲がすぐに落ち込み顔に変わり、
「でももしベルトを渡されたうちの生徒が、淀子さんなら、今の私には勝てませんわ……」
「そ、それじゃあどうするんだよ」
「こればかりはそうでない事を祈るくらいしかありませんわ」
ぶっちゃけ何とか説得して、そいつに蘇我高校襲わせれば全て解決しそう。
蘇我高校と協力関係で無かったというのが条件だけど。
「とにかく決まったわけじゃないし、もしかしたらその淀子さんに協力してもらえば、蘇我高生の野望を打ち砕けるかも知れないじゃん」
今の考えを告げるが、美咲に睨みつけられる。
「協力してもらうのだけは絶対勘弁ですわ」
「なんでよ」
「浅井家の手だけは絶対借りませんの」
「いやそんな事言ってる場合か?」
「言ってる場合ですわ! 浅井家に私の負けというようなものですわ!」
「な、なるほど?」
俺としてはビビってる時点で負けな気がするけど。
「とにかく! いつかは浅井家に勝ちますの! とにかく渡されていないかは気になりますし、明日確かめにはいきますわよ」
「おう」
※※※(美咲視点)
という事で美咲は、淀子がいるクラスに向かったが……。
「いませんわね……」
淀子の姿がない。
風邪も引かなそうな彼女が来ない理由が見当たらない……。
「何やってんだあいつ……」
後ろから聞こえた声。
それも聞き覚えがある……いやそれどころの話ではない。
美咲が最もライバル視している浅井家の人間の声だ。
「はぁつぅさぁん!?」
「な、なんだよ」
黒髪ロングに、黄色の三白眼を持つ貧乳。
浅井家の三つ子の次女……浅井初(あざいはつ)だ。
学年一位の成績を持つ生徒……そして二位である美咲のライバル。
淀子やあともう一人相手なら、勝てる分野があるというのに、こいつにだけは一つも勝てないのだ。
「今から勝負しますわよ」
「いやしねえよ。てかお前こそ姉さんのクラスなんか覗いて、何してんだよ」
「ライバルの貴女に説明する必要はありませんの。今日こそ私が倒しますわ!」
美咲はハンドメイド爆弾を取り出す。
そして初へと投げつける。
「危ねえ!」
しかし初は爆弾を避け、壁に跳ね返ったそれが美咲へと激突。
「ぎゃあああああああああああッ!!」
廊下で死んだ。
※※※
「はあ……もう、何で勝てませんの……?」
「それは良いから、何で覗いてたか説明だけしてくれ。そして二度とその面見せるな」
――嫌ですわよ。
「淀子さんを探していましたの。少し緊急事態で」
「姉さんならしばらく家帰らねえって言って旅に出たぞ。ジャ〇ーズのアイドルにエンカするまで諦めねえとか、何なら私が芸能人になれるまで頑張るとか……ホントあいつ馬鹿だな」
「良かったですの……」
淀子を相手にする必要がない事が明らかになった。
取り敢えず助かったみたいだ。
「あと美咲」
「何ですの?」
「お前の緊急事態とやらに私を巻き込むのだけはやめろよ? もし巻き込んだら許さねえからな」
「言われなくても貴女の手なんて借りませんわ。プライドが許しませんの! いつかは絶対貴女達をぶちのめしますわ!」
「いい加減私をライバル視するのやめて欲しいぜ……」
久しぶりに初さん書きました(笑)
あ、因みに話題こそ出ますが、淀子は作中で登場しません(あの人が出ると物語崩壊するので)