浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百三十二話

 

 夕食後、俺は美咲にさっきの話をした。

 

「ええーっ!!」

 

 美咲から目玉が飛び出しそうになっていた。

 

「……」

「裕太さんと一号さんが、明日から一緒に働く……んですの?」

「ああ」

 

 俺がそう返事すると、美咲が問いかけてくる。

 

「一応聞きますわよ。一号さんと一緒でも問題ありませんの?」

「……」

 

 聞かれて、少しばかり自信が無くなった。

 さっきの場面で美咲の父親を責める事は出来なかったが、流石に自分が殺そうとした相手と普通に仕事をするのは難しいだろう。

 彼をこれ以上責めても仕方のない事は俺も分かっているつもりではあるが。

 そして特に相手は、その事を気にしているようだし。

 

「私が上手く父さんに言いましょうか?」

「いや、良い」

「……?」

 

 俺は頭を振るうと、美咲が首を傾げる。

 

「確かに俺は一号を恨んで殺そうとして、結果的にお前を一度殺した。お前が死んだのも、お前があいつを守りたかっただからだろ?」

「ええ」

「お前はそんな俺をこれからも仲間として受け入れてくれた。だから、お前の目に見えているあいつを、これから俺も理解してみるよ」

「裕太さん……分かりましたわ」

 

 美咲が嬉しそうな顔で、俺にそう告げた。

 

※※※

 

 けど、俺はそこで話を止めなかった。

 純粋にさっきまでの出来事に対して、疑問を抱いていた事がある。

 

「まあでもそれはそれとしてよ」

「なんですの?」

「一号の奴、普通にここに来て飯食って、今外で寝てるわけだけど……」

「ええ」

「あいつ今ここに暮らしてるの?」

「ええ」

「ええ、じゃないだろ!」

「?」

「仮にもあいつ男だぞ。大丈夫なのか? その……同じ部屋で」

「何を気にしてるんですの?」

 

 ……。

 

「え?」

「私は別に男女一緒の部屋で寝ても気になりませんわ」

「な、なんで?」

「だって欲情されても、私が自衛すれば良いだけの話ですもの」

「そうですか……」

 

 貞操観念とかどうなってんだよ……。

 と悩ませていると、美咲が急に腕を組んで半目で言い出す。

 

「大体貴方は逆に、女の子に対しての積極性が足りませんわ」

「な、なにをー!?」

「それだからモテないんですわ」

「お前にだけは言われたくねえな」

「失礼な! 私の中学時代は……その、すごくモテモテでしたわ!」

「へえ、じゃあ彼氏はどれくらい出来たんだ?」

「それはセクハラですわ!」

「そりゃねえだろ!」

「じゃあ貴方は彼女出来た事あるんですの!?」

「二十三歳童貞です!」

「童貞が許されるのは中学生までですわ」

「別に良いだろ!」

 

 というか元教師という立場的にそんな事言えねえし。

 


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