浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
久しぶりに美咲は裕太と軽口を叩き合った後、美咲のスマホからファイズフォンの着信音が鳴る。
というか、美咲がカスタムした着信音だ。
相手は狩野遥。
「もしもし」
美咲は端末のボタンを押して、耳に当てる。
『六角美咲、蒲生の治療とボマードライバーの調整終わったぞ』
「ありがとうございますわ」
『だがすまない。蒲生の中にあった薬を中和する事には成功したんだが、洗脳までは何とも出来なかった』
「そうでしたの……」
『脳波を調べたら、ある種の記憶操作も行われていた。こう言っては難だが、元に戻すのは中々困難を極めるだろうな』
遥が疲れた声でそう告げた。
「それなら、その状態からでも私を認めさせてみせますの」
『……』
「一号さんだって、互いを理解し合う事で仲間になれましたもの。ですから、絶対に無理なんて事はありませんわ」
『そうか。ただ、お前も生き返ったばかりなんだ。あまり無茶はするなよ』
「私は無茶をした事など一度もありませんわ」
美咲は笑顔でそう告げる。
「他の誰かにとっては無茶でも、私には違いますもの」
『お前らしい答えだな』
「また目覚めたら、連絡お願いしますわね。私がいち早くお見舞いに行きますわ」
『ああ、了解した』
遥がそう呟いてから、美咲が思い出したように問いかける。
「ところで、ドライバーの調整はどんな感じですの?」
『ああ、そっちの説明を忘れていたな』
『急ごしらえで用意したオールウェポンを改良して、ボマードライバー自体にも機能を一つ追加した』
「機能ですの?」
『ああ。これを作った当初にそんなところまで作る余裕はなかったが、お前が私に協力してくれている礼というか……』
「礼?」
『そうだな、お前は仮面ライダーなのにないものがあるだろ?』
「ないもの?」
美咲は少し考えた。
仮面ライダーボマーにはファイズをオマージュしたっぽい端末型のベルトがあるし、必殺技もバットをボムビットと共に叩きつけるライダーインパクトだけでなく、ちゃんとライダーボムキックという固有のライダーキックがある。
それに強化フォームもハイドロフォームと、ついさっきオールウェポンが追加された。
しかし……それでも足りないものがあった。
「あ、バイクですわ!」
『そうだ。バイクに変形する機能を追加した』
「おおー!」
美咲は大歓喜。
『あ、だがお前免許はあるのか?』
「……」
『持ってなかったんだな……?』
「はいですの……」
さっきとは一転し、がっくりと項垂れる。
『まあ戦闘時に使うくらいなら問題ないだろう。くれぐれも移動に使うなよ』