浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百三十三話

 久しぶりに美咲は裕太と軽口を叩き合った後、美咲のスマホからファイズフォンの着信音が鳴る。

 というか、美咲がカスタムした着信音だ。

 相手は狩野遥。

 

「もしもし」

 

 美咲は端末のボタンを押して、耳に当てる。

 

『六角美咲、蒲生の治療とボマードライバーの調整終わったぞ』

「ありがとうございますわ」

『だがすまない。蒲生の中にあった薬を中和する事には成功したんだが、洗脳までは何とも出来なかった』

「そうでしたの……」

『脳波を調べたら、ある種の記憶操作も行われていた。こう言っては難だが、元に戻すのは中々困難を極めるだろうな』

 

 遥が疲れた声でそう告げた。

 

「それなら、その状態からでも私を認めさせてみせますの」

『……』

「一号さんだって、互いを理解し合う事で仲間になれましたもの。ですから、絶対に無理なんて事はありませんわ」

 

 

 

『そうか。ただ、お前も生き返ったばかりなんだ。あまり無茶はするなよ』

「私は無茶をした事など一度もありませんわ」

 

 美咲は笑顔でそう告げる。

 

「他の誰かにとっては無茶でも、私には違いますもの」

『お前らしい答えだな』

「また目覚めたら、連絡お願いしますわね。私がいち早くお見舞いに行きますわ」

『ああ、了解した』

 

 遥がそう呟いてから、美咲が思い出したように問いかける。

 

「ところで、ドライバーの調整はどんな感じですの?」

『ああ、そっちの説明を忘れていたな』

『急ごしらえで用意したオールウェポンを改良して、ボマードライバー自体にも機能を一つ追加した』

「機能ですの?」

『ああ。これを作った当初にそんなところまで作る余裕はなかったが、お前が私に協力してくれている礼というか……』

「礼?」

『そうだな、お前は仮面ライダーなのにないものがあるだろ?』

「ないもの?」

 

 美咲は少し考えた。

 仮面ライダーボマーにはファイズをオマージュしたっぽい端末型のベルトがあるし、必殺技もバットをボムビットと共に叩きつけるライダーインパクトだけでなく、ちゃんとライダーボムキックという固有のライダーキックがある。

 それに強化フォームもハイドロフォームと、ついさっきオールウェポンが追加された。

 しかし……それでも足りないものがあった。

 

「あ、バイクですわ!」

『そうだ。バイクに変形する機能を追加した』

「おおー!」

 

 美咲は大歓喜。

 

『あ、だがお前免許はあるのか?』

「……」

『持ってなかったんだな……?』

「はいですの……」

 

 さっきとは一転し、がっくりと項垂れる。

 

『まあ戦闘時に使うくらいなら問題ないだろう。くれぐれも移動に使うなよ』

 


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