浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百三十四話

 嬉しい知らせを聞いた次の日。

 いよいよ、運命の出勤だ。

 

『おう、六角か。どうした? 生徒会の資料の期限なら待ってやらんぞ』

「そう言われても待ってもらいますわよ先生。今緊急事態が起きてるので休みますわ」

『緊急事態だぁ? おばあちゃんでも助けてるのか?』

 

 困っているおばあちゃんを助けるだけなら美咲でも簡単に出来る。

 けど……。

 

「そうですわね。困っている二人のおばあちゃんを助けないといけませんわ。それも二人仲良くちゃんとやってくれるように……」

『どういう状況だそれ……てか、終わってないからサボる為の言い訳に使うんじゃねえだろうな? どうでも良いから早く来い』

「貴女の前で自爆テロしますわよ?」

『ひいっ! すみませんでした!』

 

 ――許してくださいな先生。それくらい緊急事態なんですわ。

 

「「行ってきます」」

 

 同じ声、同じ容姿の二人のおばあちゃんが家を出ていく声が聞こえた。

 美咲は見守りに備えて……変装の準備を始める。

 

「キャストオフですわ」

 

 ――CAST OFF! CHANGE……UNDERWEAR。

 

 そう脳内再生された音と共に、美咲は下着姿になった。

 

 数分後に、変装完了。

 いつもの眼鏡とは違う、度入りのサングラスを着け、服も多少ラフなものへ。

 

「……これなら問題ないですわ」

 

 昔自分がヤンキーだった頃に着ていた奴だが、問題なく着れる。

 リバウンドしないように努力し続けたかいがあったというものだ。

 

「よしっと……」

 

 そのまま自転車に乗り、美咲の父親が経営する玩具屋へと進んだ。

 

※※※

 

 到着後、まずは店の近くに隠れて……様子を確認する。

 

「「いらっしゃいませ」」

 

 朝からやってきた子連れの客に、裕太は元気よく、一号は粛々と挨拶をする。

 二人とも同じ顔だが、態度はまるっきり違う。

 

「あれ、裕太くん双子だったの? そっちは弟さんかお兄さん?」

「えーっと……」

 

 子供の母親からの質問に、どう答えるべきか困る裕太。

 

「あーでもお母さん、よく言うじゃないですか世の中には似たような顔の人が二、三人いるとかいないとか。それが偶然ここに来ちゃっただけですよ」

「そうなんですか?」

「そうそう。新人として入って来た時は驚いちゃって……」

 

 何とか誤魔化す裕太。

 だが別の子連れ客が現れ、裕太を指さして言う。

 

「あれ? くらいかおのおじちゃんあかるくなった……え? ふえてる?」

 

 一号を見て混乱する子供。

 裕太は身体を震わせ……叫ぶ。

 

「おじちゃん↑だと!? ふざけんじゃねえよお前、お兄ちゃんだろォ!!」

 

 

 

 

 

 




次回予告

初「裕太、語録出すなよ……」

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