浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
嬉しい知らせを聞いた次の日。
いよいよ、運命の出勤だ。
『おう、六角か。どうした? 生徒会の資料の期限なら待ってやらんぞ』
「そう言われても待ってもらいますわよ先生。今緊急事態が起きてるので休みますわ」
『緊急事態だぁ? おばあちゃんでも助けてるのか?』
困っているおばあちゃんを助けるだけなら美咲でも簡単に出来る。
けど……。
「そうですわね。困っている二人のおばあちゃんを助けないといけませんわ。それも二人仲良くちゃんとやってくれるように……」
『どういう状況だそれ……てか、終わってないからサボる為の言い訳に使うんじゃねえだろうな? どうでも良いから早く来い』
「貴女の前で自爆テロしますわよ?」
『ひいっ! すみませんでした!』
――許してくださいな先生。それくらい緊急事態なんですわ。
「「行ってきます」」
同じ声、同じ容姿の二人のおばあちゃんが家を出ていく声が聞こえた。
美咲は見守りに備えて……変装の準備を始める。
「キャストオフですわ」
――CAST OFF! CHANGE……UNDERWEAR。
そう脳内再生された音と共に、美咲は下着姿になった。
数分後に、変装完了。
いつもの眼鏡とは違う、度入りのサングラスを着け、服も多少ラフなものへ。
「……これなら問題ないですわ」
昔自分がヤンキーだった頃に着ていた奴だが、問題なく着れる。
リバウンドしないように努力し続けたかいがあったというものだ。
「よしっと……」
そのまま自転車に乗り、美咲の父親が経営する玩具屋へと進んだ。
※※※
到着後、まずは店の近くに隠れて……様子を確認する。
「「いらっしゃいませ」」
朝からやってきた子連れの客に、裕太は元気よく、一号は粛々と挨拶をする。
二人とも同じ顔だが、態度はまるっきり違う。
「あれ、裕太くん双子だったの? そっちは弟さんかお兄さん?」
「えーっと……」
子供の母親からの質問に、どう答えるべきか困る裕太。
「あーでもお母さん、よく言うじゃないですか世の中には似たような顔の人が二、三人いるとかいないとか。それが偶然ここに来ちゃっただけですよ」
「そうなんですか?」
「そうそう。新人として入って来た時は驚いちゃって……」
何とか誤魔化す裕太。
だが別の子連れ客が現れ、裕太を指さして言う。
「あれ? くらいかおのおじちゃんあかるくなった……え? ふえてる?」
一号を見て混乱する子供。
裕太は身体を震わせ……叫ぶ。
「おじちゃん↑だと!? ふざけんじゃねえよお前、お兄ちゃんだろォ!!」
次回予告
初「裕太、語録出すなよ……」