浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百三十五話

 まあ取り敢えず、二人が喧嘩になる事はなく、きちんと仕事をこなし続けた。

 実を言うと、ちゃんと裕太や一号の仕事ぶりを見た経験はほぼないに等しい美咲だが、見ていて分かるのは……裕太はやや不器用だが、愛想があり、お母さんや子供の客に人気。

 一号の方は、通りがかった若い女性に好印象のようだ。

 仕事の方も非の打ち所がないくらい完璧。

 確か前に美咲が心配して聞いた時は、取り敢えず自分の中にある裕太の記憶を使って覚えたのだとか。

 ただやはり問題はある。

 

「お、おい一号。ちょっとこれ運ぶの手伝ってくれよ」

「……別の人に頼んだ方が良い」

「いやんな事言ってる場合じゃないから!」

 

 そう、やはり一号は裕太に対して距離をとっていた。

 裕太の方は何とか過去の彼ではなく、今の彼を受け入れ、歩み寄ろうと努力をしてくれているが、一号の方は罪悪感故か……あまり会話をしようとしてくれない。

 

「うう……どうしましょ……」

 

 そうこうしてるうちに、昼時に。

 

「おーい裕太くんとそれに……」

「あ、俺は一号です」

「じゃあいっちー、昼飯入って良いぞ」

 

 美咲の父親にそう言われ、二人は休憩室へと向かった。

 

「はあ、昼休み中に進展があると良いのですが……」

 

※※※

 

 美咲も取り敢えず休憩室近くに隠れる。

 窓が開いている為、様子は取り敢えず見えた。

 

「……」

 

 二人がもくもくと電子レンジで温め、食べようとしてるのは、今日朝から美咲の母親が作ってくれた弁当。

 美咲は一人っ子故、あまり親が凄く張り切って飯を作る場面は見た事ない。

 だが、今日の母親の作る様子は中々に張り切っていたのを覚えている。

 

「まだ距離取り続けてますわね……」

 

 凄く距離が遠い。

 裕太が少しずつ近付こうとしているが、それに伴って一号も距離を取る。

 やがて裕太が頭を掻きむしり、痺れを切らして言う。

 

「なあお前、こんな事ずっと続ける気か?」

「……」

 

 裕太の問いに、一号は答えようとしない。

 

「確かにお前のせいで俺は死んだ。お前に俺の人生を奪われた事は許せないけど、俺はお前が美咲達を守ろうとしてんのを何回も見た。だから、今はお前に復讐しようなんて思ってない」

「……」

「お前にも色々あったんだろ? よく分かんないけど……だったらむしろさ、俺が歩み寄ろうとしてんだからお前も……」

「俺は別に美咲達の為にしてるわけじゃない。俺は美咲の気持ちに救われた。だから俺も、その恩を返そうとしてるだけ。善意でお前達といるわけじゃない」

 

 一号が自分に言い聞かせるようにそう告げる。

 その言葉に、裕太が返す。

 

「……そういうめんどくさいの、もうやめたらどうだ?」

 

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