浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第十三話

 

 数時間後、六角家の美咲の部屋。

 

「どうだった?」

「淀子さんはいなかったですわ」

「いない? それって……どんな理由で?」

 

 まさか気付かれないように、蘇我高校で拉致されたとかないよな。

 

「妹の初さんが言ってましたわ。東京に行っていていないと」

「……へ?」

「だから、アイドルに会う為に旅をしてていないって話ですの」

 

 んな馬鹿な話あるのか……?

 

「あら、蘇我高校の教師なのに今更そんな事で?」

「いや……蘇我高生に不登校の奴……しかもそんなオバカな理由で休む奴とかいなかったからさ」

 

 態度こそ悪いけど、逆に喧嘩出来る時に喧嘩したいから……不登校になる奴とかいないんだよなあ……。

 いっそ来ない方が俺の胃には良かっただろうけど。

 

「そうですのね。こちらはギャルとかもいますわよ。そこそこ真面目な人もいますが……裏が恐ろしい人とか」

 

 〇×女子高の方が恐ろしくないか……?

 あ、でもギャルは好きかも……。

 

「すけべ……」

「はあ!?」

 

 べ、別にそんな事考えてないのに……。

 ただ金髪女は割と好きかなって……。

 

「破廉恥ですわ」

「偏見だ! てかたまに俺の思考読むのやめてくれ!」

「無理ですわ」

「……うう、胃が痛い」

 

 好きな女の子のタイプを想像しただけなのに。

 

「そこは良いとして、今の段階では淀子さんでない事が分かっただけで、誰が犯人なのかはっきり分かりませんわね」

「確かに……」

 

 何とかして一気に全員を調べられる方法とかがあれば良いんだけど……。

 

「あ……良い事思いつきましたわ」

「本当か?」

「少し職権乱用にはなりますが……」

 

 ごにょごにょ。

 

「え……本気か?」

「本気ですわ」

「しかも俺もこの作戦に参加?」

「当たり前ですわ」

 

 まあ……一応恩もあるし、無下に出来ない……。

 

「分かったよ……」

「じゃあ決定ですわ」

 

 大丈夫かなあ……。

 

※※※

 

 二日後。

 俺は何とか〇×女子高の敷地内に潜入し、作戦が開始されるのを待っていた。

 

「にしても……この学校すげえな」

 

 美咲の作戦はこうだ。

 生徒会長の権限を使い、臨時の全校集会を開き、敢えて果たし状の中身を読み上げる事で怪しい動きをした生徒を見つける……というオーソドックスな作戦。

 なのだが……そもそも生徒会長の権限で全校集会が出来るのがおかしい気がする。

 他校だし、気にしたら負けかも知れないけど。

 

「ただいまより集会を始めます」

 

 それに……わざわざバレそうな奴を選ぶとも思えない……。

 

「まず、生徒会長の話。六角美咲さん、お願いします」

「はい」

 

 俺は体育館の外からバレないように見ていたが……中々佇まいだけはそこそこ良かった。

 姿勢もちゃんとしているし、何より真面目に見える。

 あれが中身にも反映されていればよかったのに……。

 

「今日は皆さんに、お話がありますわ」

 

 美咲は果たし状を手に、話し始めた。

 

 


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