浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
美咲と蒲生は外に出て、お互い向き合う。
何の意図も伝えずに行動している美咲に対して苛立ちを感じた蒲生が、美咲に問いかけた。
「何のつもりっすか? ドライバーまで渡して、表に出て……。まさか病み上がりの私をボコボコにしようとか、そういう魂胆っすか?」
「……ボコボコにされるのは、私の方かも知れませんわ」
「はあ?」
蒲生の質問に対してそう回答してから、美咲はボマードライバーを装着。
端末になっている爆弾型のバックルを取り出して開き、『BOMER DRIVE』と書かれたボタンを押す。
『BOMER DRIVE READY?』
美咲は端末を閉じ、いつもの構えをして呟く。
「変身ですわ」
ゆっくりと、ベルトに端末を差し込む。
『COMPLETE』
音声の後、上から一つの爆弾が降りる。
それを握り潰し、その爆風を浴びて、美咲は仮面ライダーボマーへと姿を変えた。
「まさかアンタから戦いを挑んでくるとはね……変身」
『ガスドライブ! コウアツ! フキトーブ!』
蒲生はガス怪人へと姿を変える。
「……」
ガス怪人は構えるが、ボマーはバットを落とす。
そして両腕を広げた。
「何の真似っすか?」
「私、まだちゃんと貴女に勝ててませんの。あの時、二号さんに連れ去られて……まともに貴女と会話一つ出来なかった」
「する必要なんてないっすよ。むしろ……とっとと殺させるっす」
「出来なければ、まだ死ねませんわね。尤も、出来ても死ぬ気はありませんの」
「ホントふざけてるっすね。わざと攻撃当たりに行く次は、攻撃しないから自分の事情話せって?」
「……」
「なめてんじゃないっすよ。こっちはアンタ超える為に命まで懸けたってのに」
「私はその理由を知る必要がありますわ」
「だから、それが分からないんすよ。知ってどうする気っすか。今更私はアンタを仲間だなんて思わないっすよ」
「貴女がそう思わなくとも、私はそう思ってる。それだけで十分ですわ」
ボマーの言葉に、ガス怪人は返すべきものを詰まらせる。
「……勝手っすね」
「もう言われ慣れましたわ。けど、それが私ですのよ」
「……聞いて良いっすか?」
「なんですの?」
「私が今から殴っても……その構え続ける気っすか?」
「……勿論ですわ」
ボマーが間髪入れずに答えた。
「なら、遠慮なく行くっす。この場でアンタを泣かせてやる……二度と頂点だのなんだのと言えなくなるまで!」
ガス怪人はガスの勢いと共に、ボマー目掛けて飛び出していく。
右腕を引き絞り、ボマーの目の前で勢いよく突き出した。